大好きな地球上の生物たちが直面する絶滅の危機を知り、意識が変わった
私は今、ひとしずく株式会社の取締役として、パートナーである企業や団体の広報サポートを行っています。プライベートでは、約7年前にダイビングのライセンスを取得し、これまで潜ったのは通算350回ほど。海の生物や、海の中の世界は本当に神秘的で、知れば知るほど魅力的です。
スケジュールが合えば、ワーケーションもしています。国内の離島に滞在しながら仕事して、週末は海へ潜ります。最近は、小笠原諸島の父島に1カ月ほど滞在していました。目を見張るほど魚影の濃い海があり、運が良ければイルカやクジラに出会うこともできる、世界に誇れる素晴らしい自然が残る場所です。海の生物が好きなので、カメラを片手に潜り、水中生物を撮影するのも楽しみの1つ。また、週末は海でビーチクリーンなどのボランティア活動に参加することもあります。それくらい、海は私にとって身近で大好きな存在です。
ひとしずくで仕事をする前は、100カ国以上で活動する国際環境保全団体の「WWFジャパン」で広報業務を担当していました。WWFで仕事をするきっかけは、幼少期から生き物が大好きだったから。物心ついた頃には生き物が大好きで、小学生の頃は捕まえた虫や金魚を飼っていました。
毎週の楽しみは、動物をテーマにしたテレビ番組を視聴すること。行ったことのない国の、見たことのない野生の動物たちの姿を見るたび、ワクワクする大好きな番組でした。ある時その番組で、レポーターの方が野生のイルカと泳ぐ回がありました。幼い頃から水泳を習っていたこともあり、気持ちよさそうに、海を自在に泳ぐイルカの姿から目が離せませんでした。海の生き物に興味を持ったのはその時です。
高校生になり、アメリカのフロリダにある水族館を訪れた時、マナティーに出会ったことが私の人生に大きな影響を与える出来事となりました。海牛目に分類され、体重300kg以上もある海や川に棲む哺乳類です。フロリダはマナティーが生息する地域で、傷ついて保護された野生のマナティーが飼育されていました。ぼわ〜んとした愛らしいフォルムが、水中にぷかぷか〜と浮かぶ様子にすっかり目を奪われてしまって(笑)。
説明書きには、マナティーが絶滅の危機に瀕していること、そして「元気になったらこのマナティーを野生にもどします」と書いてありました。私は生まれて初めて、数が減ってしまうことで絶滅の危機に瀕している生き物がいるのだということを意識しました。
それまでは「かわいい!」止まりだった生き物たちの存在。彼らが地球からいなくなってしまうのはとても悲しいなと思ったんです。将来は絶滅の危機に直面する生き物たちを守るような仕事をしてみたいなと思った瞬間でした。
憧れだった環境保全団体へ。知識ゼロから広報業務にチャレンジ
高校を卒業し、私は海洋学を学べる大学に進学し、海牛目の研究をしていました。卒業後は、マナティーの生息するフロリダを留学先へ選び、アメリカでも生物学を専攻。帰国後は、日本で生き物に関わる仕事に就きたいと思ったのですが、そもそもの募集人数が少ないこともあり、就職活動はなかなかうまくいきませんでした。このまま働かないわけにもいかないと思い、たまたまご縁をいただいた航空業界の道に進んだんです。
5年ほど経った頃、WWFがアルバイトスタッフを募集していることを知りました。高校生の頃、絶滅危惧種について調べていたころから知っていた憧れの存在です。まずは3年やってみて、社員になれる機会がなかったら別の道を探そうと決め、思い切ってチャレンジすることにしました。
WWFでの毎日は本当に刺激的でした!環境保全に対する熱量が高く、生物や環境保全について研究し、博士課程を取得しているなど専門性の高い方ばかり。今でも尊敬する方々がたくさんいらっしゃいます。学びの多い毎日である一方、周囲と比べ、自分の専門性が及ばないと感じ、今後のキャリアに不安を抱いた時期もありました。
働き始めて3年ほど経った頃、広報部署の内部公募がありました。広報に関する知識を身につければ自分も何か貢献できるかもしれない、という思いで応募して、広報部署に異動しました。私が担当していたのは、社外へ向けた広報の仕事です。初めての仕事であるのに加えて、対外的な広報の担当者は私だけで、外部の研修に参加したり、本を読んだり、Webで学んだりしながら、本当に手探り状態で経験を積んでいきました。試行錯誤する中で、ご縁をいただきWWFの社員として働けることになりました。
年に一度、WWFが世界的に開催している消灯イベントに「EARTH HOUR」というものがあります。世界中で同じ日・同じ時刻に消灯することで、気候変動と生物多様性保全への意思を示す企画なのですが、日本のキャンペーンの計画から実行までを任せていただいたことは心に残る出来事でした。
何から始めたらいいのかわからない状況でしたが、周りからたくさんサポートしてもらったおかげで、なんとか成功することができました。大きな達成感を味わえたことは本当にうれしい出来事として心に残っています。
時間や場所にとらわれず、地球環境や生物を守る仕事に自分の力をさらに活かしたい
ひとしずくの代表のこくぼ ひろしと出会ったのは、私がWWFの広報を担当し始めて数年経った後のことです。組織としてさらに広報に力を入れていく方針は決まったものの、私も手探りで始めた状態だったので、外部による広報のサポートが必要だ、との結論に至りました。そこでWWFが広報サポートを依頼した先が設立して間もないひとしずくでした。こくぼもWWFの広報メンバーの一員のように毎週事務所に来て、一緒に今後の戦略を考えました。広報の基盤づくりには何が必要か、丁寧に教わった内容は今の私の広報業務の基礎にもなっています。
10年間勤めたWWFを退職し、ひとしずくで仕事を始めるきっかけとなった1つに、新型コロナウイルス感染症の流行がありました。仕事はリモートワークになり、大好きな旅行にも行けなくなってとても落ち込んでしまったんです。自分の行動が制約されてしまった時に、「時間や場所に縛られない働き方が自分には向いているかもしれない」と、ふと思い始めました。
WWFで広報業務を一通り経験したおかげで、今度はこの広報のスキルを、WWFと同じように地球環境を守るために課題に向き合っている他の組織でも役立ててみたいと思うようになったんです。そんなことを考えていた折、ひとしずくがメンバーを募集していることを知りました。地球上の生き物や自然環境を守る仕事をしたいという思いは変わりませんでしたし、自分がこれまで学んできたことを活かしつつ、さらに広報を学ぶのにぴったりな環境だと思いました。
WWFを退職した後は、ひとしずくの仕事と並行し、とある離島のNPOやWWFから独立された方が立ち上げた団体の広報サポートなどもご依頼いただきました。好きの延長に仕事がある、今の環境がとても気に入っています。まずは自分が関心のあるところに飛び込んでみて、自分の力を役立てていけたらとても理想的だと思っています。
海の中での感動こそ、広報で伝えたい体験。地球や社会にとってポジティブな仕事を続け
広報の仕事には、あらゆる方とのコミュニケーションが欠かせません。だからこそ、日々の業務で求められることは変わります。常に変化があるこの環境が、私がとても楽しいと感じる点です。
また、プレスリリースやSNSなどのWeb情報など、自分が発信した内容に対しての反応を直接受け止めることができるのは広報の醍醐味だと思います。ポジティブなコメントをいただくととてもうれしい気持ちになります。
一方で、ネガティブなコメントをいただくことももちろんあります。そんな時は、いったん自分の考えや常識を離れてみて、違う切り口を探していろいろと試すようにしています。人の心に響く広報に正解はありません。そこが難しく、大変ではありますが、そのために試行錯誤するうちに反響がいただける瞬間が本当に楽しいです。
石垣島の知り合いを訪ねてワーケーションすることがあります。週末は海へダイビングに行くのですが、海の中って本当に綺麗で、潜るたびに「ああ綺麗だな」としみじみ感動してしまいます。
海は身近な存在ですが、海の中の世界は出会ったことのない生き物に溢れていますし、陸と同じような呼吸はもちろんできません。人間の常識からは、かけ離れた世界です。
だからこそ、ロマンがあると思うんです。神秘的だと感じたり、冒険心がくすぐられたり、「こんな世界があるんだ!」とまた1つ世界が広がった気持ちになったり。この感情って、広報で動かせる感情の1つだと思います。
そうやって心が動く体験をたくさんの方に提供できる広報業務を常に行いたいと日頃から考えています。人生の時間は限られているからこそ、自分が納得できる何か、かつ私の信念となっている地球やそこに棲む生き物、社会にとってもポジティブなことを仕事として残していきたいと思います。
※ 記載内容は2025年1月時点のものです
サムネイル画像:セルフブランディングのサポートをひとしずくへ依頼してくださった、WWFジャパンの環境・エネルギーの専門ディレクターとして活躍する小西 雅子さんとの1枚
