観光の途中に、心が動く体験を──佐野サービスエリアで作る“特別な寄り道”
首都圏から群馬・栃木方面の観光地に向かう人々が立ち寄る、東北自動車道下り線の佐野サービスエリア。そんな特別な空間にある「佐野ハイウエイレストラン」で、廣瀬は売店業務に従事しています。
「お客様の多くは観光、レジャー、帰省でのお立ち寄りですが、トラックドライバーを含むビジネス利用のお客様も少なくありません。私の所属する売店は24時間営業で、総勢32名のキャストで運営しており、朝から昼、昼から夜、夜から朝の3部制でシフトを組んでいます。
その中で売店部門の社員は4名です。キャスト経歴としては私が社員の中で一番長く勤めています」
チーム全体が共有するミッションは、他のサービスエリアとの差別化だと言います。
「お客様に楽しんでもらうお店を作ろうという気持ちをみんなで持っています。ウキウキ、ワクワクしてもらうために、なるべく他のエリアがやっていないことをやるようにし楽しいサービスエリアをめざしています。
当店は観光地に行く途中にあるので、お土産を買うお客様も少なくお財布のひもは硬めです。その中でいかに楽しんでもらえるかを考え、思い出を買っていただけるようなフェアやコーナーを店の随所に作っています。具体的にはご当地雑貨やぬいぐるみなど、旅行の途中でウキウキしながら『あっ、ちょっと欲しい!』みたいなものを散りばめて、気分が盛り上がるお店作りを心がけています」
子育て中の廣瀬は日中勤務を担当し、発注業務から企画立案まで幅広く手がけています。
「出勤すると、まずは売り場に行って店内を一周見て商品の乱れや品数を確認し、足りなければキャストに品出しを依頼します。そして商品の発注業務とメールチェックをし、その後は商品の売上分析を行いながら今後どう展開していくのか計画を考えたりしています」
仕事をする上で廣瀬が最も大切にしているのは、お客様の視点に立った店舗運営です。
「この価値観は、道路会社の接客コンテストでの経験から培われました。外部コンサルタントの方から『お客様が立つべきところに立って、座るべきところに座ってお店を見なさい』と教えられました。
店に入り込むと売手側の視点になってしまいがちです。『本当にお客様だったらこれが欲しいのか』『この清掃でいいのか』と厳しい指導のもと商品選びや陳列の仕方、接客の仕方を鍛え上げられました。私の信念はそこにあります」
佐野で築いた私らしいキャリアの形。“子どもファースト”の想いを胸に、正社員の道へ
廣瀬は、学生時代から長年にわたって佐野ハイウエイレストランで働き続けてきました。
「私は学生バイトとして当店で働き始め、社会人になってからはパートに業務体系を変更し、2024年までパートとして働いてきました」
なぜ、佐野ハイウエイレストランを選び続けてきたのか。その理由はじつにシンプルでした。「サービスエリアという場所が、私にはおもしろかった」。廣瀬は笑って答えます。
「自宅のあるエリアから近く、自転車やバイクでも通勤できる立地の良さも決め手の一つでした。そうしてアルバイトとして始めたのですが、おもしろかったんですよね、単純に。サービスエリアってなんだかワクワクするし、楽しい場所じゃないですか。
その中で私が長年この職場に留まり続けた最大の理由は、接客コンテストで出会ったトレーナーとチームの存在でした。当時のキャストはパートの女性陣が多くて、みんなが接客に対してモチベーションが高いチームの空気がとても好きだったんです。忙しくても泣き言を言わず、お客様のためなら頑張れるチームだったんです」
結婚・出産を経て、廣瀬の働き方やキャリアに対する考え方にも変化が生まれました。長年にわたり会社からは正社員への打診を受けていましたが、子育てを優先したい想いから断り続けていました。
「子どもを言い訳にするわけではないんですが、私はどうしても子どもファーストでありたかったのです」
転機が訪れたのは2024年。業務内容の変化と、長年お世話になった職場への恩返しの気持ちが廣瀬の心を動かし、2025年1月から正社員になりました。
「私の中でも業務内容がだんだんと変わりつつある中で、長いこと佐野ハイウエイレストランでお世話になっており、恩返しをしようと思うようになってきました。会社が向き合ってくれているから私も向き合いたいと。そうして、面談を重ねる中で社員になる決意をしました。
新たな責任感には、戸惑いや不安を感じることもしばしばあります。今までは『お客様のため』という感情を第一に仕事をしてきて、それを上司の方がうまくフォローしてくれていました。個人的な判断から組織としての視点への転換が求められる中で学びの必要性を感じ、学ぶ意欲が高まっています」
自信に変わったサービスの原点──忙しさを乗り越えた先に見えたチームの底力
廣瀬がこれまでのキャリアで最も印象に残っているのは、過去に実施された高速道路料金の大幅割引制度です。どこまで行っても1000円という政策により、サービスエリアには多くのお客様が押し寄せました。
「1日があっという間に感じるほどでした。それだけお客様の数が尋常ではなかったんです。しかしこの未曾有の忙しさを、当時は現在よりも少ないメンバー構成で乗り切ったんですよ。
みんなで支え合って乗り越えてきました。今もそうです。自分だけが頑張るのではなく、みんなで頑張ってチームを守る。それを経験してきたので、その後のリニューアルオープンなど、どんな状況が来ても私は動じることなく自信を持って仕事ができています」
アルバイトからパート、そして正社員へと歩んできた中で、お客様への視点にも変化が生まれています。
「多くのお客様を見られるようになりました。レジ業務だけ担当していた時には目の前にいるお客様の対応がメインでしたが、今は『どうしたら佐野ハイウエイレストランにお立ち寄りいただけるのか』。まだ立ち寄っていただけていないお客様に対して想いや考えを広げられるようになりました。
その中で私が感じる今の仕事の魅力は、多様なお客様との出会いにあります。スーパーなどはお客様が目的を持って行くところだと思いますが、サービスエリアにはふらっと立ち寄るお客様も多く、その心境や考えも様々です。観光やビジネスのお客様はもちろん、冠婚葬祭などの道中の方もいらっしゃる。そんな中で、いかに『ここに立ち寄って良かった』と思ってもらえるか。それが、この仕事のやりがいの一つだと思っています」
廣瀬はグランビスタのアクションポリシー「広い視野でつながりを考え、行動しよう。」を体現した取り組みとして、「佐藤」という姓の発祥地とされる佐野市との連携企画を催しました。
「佐藤の発祥の地が佐野市だという説を知った時に、『こんなにおもしろいことってないじゃん!』と思いました。今まで生きてきた中で佐藤さんに会ったことがない人は、きっといないのではないでしょうか。それを多くの人が訪れるサービスエリアを利用して発信しようと思い、各所にご協力いただいてグッズを作りました。テレビ番組の取材で『佐藤』姓のタレントの方がTシャツなどグッズをたくさん買ってくださった時は、とても嬉しかったです」
立ち寄る理由を、“物”から“人”へ。SAだからこそできる仕掛けを、お客様に届ける
長年に渡って佐野ハイウエイレストランを支えてきた廣瀬が描く今後の展望は、アルバイト時代から変わらない想いに基づいています。
「ここで楽しんでもらいたい。佐野ハイウエイレストランに立ち寄ってもらいたいという想いが一番です。その中で、どう店舗を作っていくかが重要です。今までは商品やフェアといった『物の魅力』に頼っていた部分があるので、今度は『人の魅力』を上げていきたいと思っています。キャストの中で『あの人の接客が素敵だからここに立ち寄りたい』と思ってもらえるような人材を一人でも多く育てていきたいです」
そんな廣瀬が、後輩たちに対してどのような存在でありたいかという想いは意外な答えを持っています。
「私自身は口うるさい存在でもいいと思っています。譲れないところは譲らない。だけど、私に聞いてもらったら何でも教える。そんな二つの側面を持って後輩社員と向き合い続けていきたいです。
逆に私が後輩社員の方々に持っていてほしい価値観として、いろんなことを考えて挑戦を恐れない気持ちがあります。グランビスタのアクションポリシーの中には、『フロンティアスピリットを持ち、挑戦しよう。』というものがあります。
サービスエリアはお酒以外なら何でも販売できるので、私よりも若い世代の方たちのいろんな考え方をお客様のために還元し具現化してほしいです。何でも挑戦できる心を持っている人は私たちが全力でフォローしますし、アドバイスもします」
自分なりのアイデアを持ち、それを形にしようと挑戦する人を全力でサポートしたいと語る廣瀬。最後に現在の自分の姿について聞くと、迷いのない答えが返ってきました。
「今の自分が、職場が、仕事が好きです。自信というよりは、みんなに支えられて今の私がいます。私はどうしても想いが先走ってしまう部分があるんですが、上司含め周りのキャストがそれをうまくフォローしてくれます。みんなそれぞれに個性を持つ仲間たちが集まって成し遂げられるこの環境が大好きです」
長年培った経験と、チーム一丸となって作り上げてきた信頼関係を武器に。廣瀬は、新たな仲間とともに佐野ハイウエイレストランをさらに魅力的な場所へと進化させていこうとしています。
※ 記載内容は2025年11月時点のものです

