これは私にあう開発手法?別々の道からアジャイルの世界に飛び込む
富士通のサービスデリバリー変革をリードし、海外開発拠点を統括する組織として設立されたJGGは、その変革のひとつとして、アジャイル開発にも取り組んでいます。そんなJGGに所属し、SEとして働く澤田と久保田は、それぞれ異なる道からアジャイル開発と出会います。
澤田:アジャイル開発という言葉を私が初めて知ったのは学生時代のころですね。大学では情報系を専攻していたこともあり、技術的なことをネットなどで調べる機会も多く、いろんなサイトで目にしていました。就職先のひとつとして、後に入社する富士通ソフトウェアテクノロジーズ(以下、FST)を見つけたのも、アジャイルをキーワードに探した結果でした。
また、澤田がFSTへの入社を志望した理由は、同社がアジャイルに取り組んでいるだけではなく、それを強みにしている点にあったと言います。
澤田:というのも、ネットでいろいろと調べると、アジャイル開発の導入に失敗している事例が多数でてきたんですね。従来主流であるウォーターフォール開発を扱う組織にとって、アジャイル開発手法の導入は容易ではなく、多くの企業が成功と失敗を繰り返してきた歴史があることがわかりました。
そんな中、アジャイル開発を強みにしているということは、それだけ会社として力を入れているんだろうと考え、入社を志望するようになりました。
2019年に入社した澤田は、本人の希望通り、アジャイル開発を手掛ける部署に配属されます。
澤田:1年目は、アジャイル開発の立上げ支援などに携わりました。その翌年には、製造業のお客様との混成チームで進めていたプロジェクトメンバーとしてアサインされ、開発者としてアジャイル開発に取り組みました。その後、2021年にJGGに統合されるなど、組織変更や担当する業界など、周りの環境は変わりましたが、入社から今日までアジャイル開発に携わっています。
一方、久保田が学生時代に専攻していたのは経営学。2018年に入社した富士通ソーシアルサイエンスラボラトリでも、アジャイル開発に触れる機会はしばらくなかったと言います。
久保田:入社後すぐに携わったのは、キャリアのお客様向けのシステム開発プロジェクトで、主にテスト工程を担当していました。その後、鉄道会社で使用する切符販売管理システムの開発プロジェクトにも参画することになりましたが、どちらのプロジェクトも開発手法はウォーターフォール型でしたね。
しかし、次に参画したプロジェクトでアジャイル開発と初めて出会います。
久保田:過去の業務経験からもウォーターフォール型が当たり前だと思っていたので、最初はびっくりと言いますか、あまりぴんとこなかったですね。そのため、アジャイル開発についていろいろと学び始めたのですが、その特徴がわかってくるにつれて、これは私にあっている開発手法かもしれないと思うようになったんです。
アジャイル開発の魅力と難しさ。現場での実践から見えてくるもの
アジャイル開発とは、1週間から1カ月の期間を設け、その期間ごとに機能の追加を継続する開発手法。一般的に従来のウォーターフォール型と比べて、お客様からの要望から価値提供までのリードタイムが早い点が大きな特徴です。
久保田:短いスパンでものづくりを行い、作ったものをお客様に見せ、フィードバックをもらう。それを反復的に行います。私が参画したプロジェクトでは、お客様と会話する機会も多く、お客様と同じ目線でものづくりをしていると実感しました。
また、実際に動くものを目にすることでしか得られない、お客様からの率直な感想をいただくこともあります。ウォーターフォール型にはウォーターフォール型の特徴や良さはありますが、私にはこのアジャイル型のほうがしっくりと来ました。
澤田:アジャイル開発は、一つずつ動くものを積み上げながら作っていくので、いっぱい部品を作ったけど、最後にすべての部品をつなぎ合わせたら動きませんということにはならないです。一歩一歩、確実に成果に近づいていける開発手法だと思います。
また、アジャイル開発では、“ユーザーにとっての価値”を大切にしています。ユーザーが求めていないものを一生懸命作っても仕方がないので、作ったものに対するユーザーの反応を見ながら軌道修正し、より提供価値を高めていける点は魅力だと感じます。さらに、短い期間で細かなルールや仕様を変えていける点も、ユーザーに求められるものを作る上で重要だと思います。
楽しげな表情で、その魅力を語る澤田と久保田。一方で、アジャイル開発特有の難しさもあると言います。
澤田:あまりアジャイル開発をご存知ではない方からすると、「アジャイル」という単語の意味から開発スピードが速く、アジャイル=短距離走と捉える人が多いのではないでしょうか。ただ、実際には長距離走、マラソンのようなものなのだと私は捉えています。100mであれば全速力で走ることができても、そのスピードを維持したまま、5㎞、10㎞と走り続けることはできませんよね。また、前半の無理や戦略ミスは必ず後半に返ってくる。
同じことがアジャイル開発でも言えると思っていて、短期間に集中して開発するというよりも、将来の開発を見越した持続可能性を意識した考え方が重要ですね。また、開発の成果物が大きくなるほど、小さな変更でも全体への影響が大きくなり、修正作業が大変になります」
澤田の話に頷く久保田。
久保田:スピード感と保守性のバランスを取るのはすごく難しいです。開発期間が決まっている中で、お客様の要望にも合わせる必要があり、何かを諦めたり止めたりするという判断は常に付きまといます。そのため、開発が進めば進むほど、そういった難しい判断が増えていきますので、進捗管理もより大変になっていきます。
澤田:基本的には、お客様側でプロダクトオーナーを立てて、プロダクトの舵取りをしていただき、計画したものを先に進めていくのですが、開発期間内で収まりきらないものもどうしても出てきます。そういう場合には、少し先のリリース計画を考慮しながら、順序づけをしています。ポイントは、優先度ではなく順序です。というのも、優先度にしてしまうと、得てして、すべてが「優先度:高」になってしまうので(笑)。
ユーザー目線とコミュニケーションがプロジェクト成功の鍵
アジャイル開発プロジェクトにおいて、ふたりが心がけていることとは何か。澤田は、ユーザー目線を意識することだと語ります。
澤田:自分たちが作りたいものを作るのではなく、お客様、そしてその先にいるエンドユーザーが本当に求めているものを理解し、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れていくことが重要です。
一方で、お客様から指示されたものだけを作るのではなく、チーム一丸となってどのようなものを作ると良いのかを考えることも同じぐらい大切です。エンドユーザーを想像しながら、自分たちが作ったものを実際に操作してみて、少しでも違和感があるものはプロダクトオーナーに対してフィードバックを上げるよう心がけています。
また、ユーザーと一口に言っても、作成しているアプリケーションを管理する側なのか、現場で操作する側なのかでは求めるものは違いますし、モノによっては別の視点を踏まえた開発をしなければなりません。さまざまな視点を同時に持つのは難しいですが、あれこれ頭を悩ませ作ったものに対し、ユーザーから良い反応をもらえたときは何よりも嬉しいですね。
一方、久保田は開発チームメンバーのコミュニケーションだと言います。
久保田:アジャイル開発では、コミュニケーションを大切にしなさいとよく言われます。物事がスピーディーに動くので、チームメンバーとの活発な意見交換が不可欠です。
また、ひとりで問題を抱え込まないようにするため、ペアで作業を行うこともありますし、それでもわからない場合は別のメンバーに話を聞きにいきます。そのため、誰もが意見を言いやすい、相談しやすいチームになっているかは重要ですし、私自身もそういった雰囲気づくりを意識しています。
また、自身の経験をもとにアジャイル開発の現場でのコミュニケーションを振り返ります。
久保田:スクラムマスターという、プロジェクト全体が円滑に回るよう、チームメンバーの能力が十分に発揮されるようにサポートする役割はいますが、チームメンバーは、役職に関係なく、自分が考えたことや感じたことを積極的に周囲に伝えていく意識は強いと思います。もちろん、プロジェクトに参画したばかりの頃は、なかなか伝えられないというメンバーもいます。
ただ、先ほども言った通り、高頻度でコミュニケーションを取ることになりますので、最後には自身の意見を言えるようになっていますね。
ただ、環境に応じた工夫も必要だと語る澤田。
澤田:たとえば、オンラインだとどうしてもひとりずつしか喋れないため、最初からメンバー全員が発言するというのは難しい場合もあります。そのような時はオンラインホワイトボードの付箋機能を用いて、全員の意見を吸い上げる工夫をしています。
また、他メンバーの発言に対して相槌を打つなど、リアクションも意識的に取るようにしていますね。そうしないと、話を聞いているのか、理解しているのかが話し手に伝わりにくいですから。
グローバルな環境と高い専門性。JGGで働く魅力とアジャイル開発の醍醐味を語る
サービスデリバリー変革にグローバル全体で取り組むJGGには多様な人材が集まり、海外拠点メンバーとの連携も積極的に行われています。その環境で働くふたりが感じるJGGの魅力とは。
澤田:一番大きいのは、世界中の仲間とともに仕事をしていることを実感できることでしょうか。私はこれまでお客様先で仕事をすることの方が多かったですが、フィリピン在住のメンバーとの開発プロジェクトを過去に経験したこともあり、だんだんとグローバルな組織になってきている実感はあります。
もちろん、言語の壁はありましたが、社内で提供されている翻訳ツールも活用しながらコミュニケーションをとったり、ドキュメントには日本語と英語を併記したりするなど、お互いが少しでも理解し合える環境を作っていました。
久保田は、JGGで働くことで、自身の技術力を高め、新たな技術に挑戦する機会を得ていると言います。
久保田:JGGは技術集団として、高い専門性や高度な技術力を持つメンバーが数多く集まっていると感じています。そのため、周囲から刺激を受けることも多く、自分自身のスキルアップをめざせる環境が整っています。
また、すでに高い技術力を持った人たちの向上心と言いますか、さらにもっと高めていきたいという気持ちが強く、実際に仕事をしていても、尊敬できるメンバーが非常に多い組織だと感じています。
インタビューの最後に、2人がアジャイル開発に対する率直な想いを語ります。
澤田:アジャイル開発と聞くと、アジャイル特有の言葉や、ある種「流行りもの」との印象から、何かキラキラとした印象を持たれる方もいると思いますが、実際には泥臭いことも多いです。これまでずっとウォーターフォール型で開発してきた方には、一度触れてもらうのもいいかもしれないですし、泥臭く愚直に進めることが好きな方にもぜひ挑戦してほしいですね。
久保田:アジャイル開発は、「人」を強く意識させられる開発手法だと感じています。お客様も含め、よりよいものを作り上げたいと願う同じ思いを持った仲間とでもいうべきでしょうか。そんなチームを作り上げ、メンバーやお客様と力を合わせながら、より良いものを作りだせたときは何よりも嬉しいですし、まさにそこにアジャイルの醍醐味があると思っています」
※ 記載内容は2024年10月時点のものです
