世界中で展開する富士通ブランドを守るために。スピーディーな商標サービスを追求
ビジネス法務・知財本部の知的財産戦略室に所属する小林。富士通全社の知財戦略を策定・推進する組織で、商標チームのリーダーを務めています。
「新しい商品やサービス、技術、コンセプトの名称のほか、キャラクターやロゴなどについて、他者の商標権を侵害していないかを調査し、必要に応じて商標登録出願を行うのが私の業務です。
またブランドの模倣・不正使用対策にも取り組んでおり、近年はとくにドメインやウェブサイト、SNSなどインターネット上における富士通ブランドの不正使用や、富士通グループと無関係なのに『富士通』を社名に使用する不正商号に対する監視や権利行使を強化しています。自身がハブとなり、マーケティング部門や法務部門などさまざまな関係部署と連携を図りながら、守りだけでなく攻めの体制構築を推進しています」
国内からグローバルまで幅広い部署と関わる商標業務。小林は法務・知財サービスをスピーディーに提供できるよう、システムの刷新プロジェクトにも携わっています。
「私はこのプロジェクトに知的財産戦略室の代表として参画しています。これまで国内と海外で分かれていたシステムを刷新して法務・知財サービスをグローバルで一本化することにより、富士通グループが展開するグローバルビジネスを加速させることが狙いです。中でも私は知財相談サービスをグローバルで一本化するためのシステムの導入を進めています」
世界中でさまざまな商品やサービスを提供している富士通グループ。多数の案件を取り扱う上ではスピードや効率化が求められます。
「2019年までは紙ベースの業務も多かったのですが、コロナ禍で働き方改革が実施されたことを機に全面刷新しました。そして2021年には新たな商標管理システムを導入。商標チームが担当する業務のほとんどをシステム化し、社外のやり取りもシステム上で完結できるようにしました。
私はこのシステムの機能を誰よりも詳細に把握し、業務プロセスに即したカスタマイズ作業を一手に担当。その結果、商標チームの生産性を飛躍的に向上することができました。システムの導入と併せて業務プロセスも見直し、従来と比べて格段にスピーディーな商標サービスの提供が実現したことで、攻めの活動がより積極的に推進できるようになったと感じます。また、システム化が進んだことで、現在もチーム全員がテレワークで業務を行っています」
全社のブランド刷新プロジェクトに参画。リスク管理を徹底し、経営層の判断を支援
大学時代は法学部で知的財産法について学んだ小林。その知識を活かせる仕事を求めて就職活動に取り組みました。
「富士通には職種を選択して応募できる選考ルートがあり、新卒入社で知財のキャリアが積める環境に魅力を感じました。何より入社の決め手となったのは、生き生きと働く先輩社員の姿です。説明会や面接などを通じ、仕事とプロフェッショナルに向き合い楽しむ姿を見て、自分も富士通の一員になりたいと強く思いました」
そして2017年に入社した小林は、現在に至るまで一貫して商標業務に従事。幅広い案件を手がけ、2020年には全社のブランド刷新プロジェクト「ブランドリフレッシュ」に知財の主担当として参画しました。
「DX企業として富士通の新たなブランドイメージを打ち出すことが目的であり、富士通グループの変革を対外的に示す非常に重要なプロジェクトでした。具体的な取り組みとしては、サステナブルな世界の実現をめざす事業モデル『Fujitsu Uvance』を採用したほか、ビジュアルアイデンティティの全面的な刷新などを2年がかりで実施しました。
マーケティング部門主導のプロジェクトでしたが、私は商標チームのリーダーとして、企画段階から参画し、スケジュールや進行プロセスに対して積極的に意見しました」
実際の商標調査にあたっては、AIツールを活用しながらチームで分担して実施。その中で小林がとくに苦労したのが、グローバルでの知財リスクを迅速かつ精査に分析し、知財部門として経営層にどのように提案していくのかを判断することです。
「事業モデルやビジュアルアイデンティティは全世界で公開されるため、グローバルでの知財リスクを分析し、経営層の迅速かつ的確な判断を支援する必要があります。
そこでチーム内だけでなく、法律事務所とも密に協議しながら知財部門としてどのような提案ができるかを検討していきました。さまざまな選択肢がある中、それぞれの知財リスクやメリット・デメリットを分析し、見解を提示するのは大変でしたが、徹底したリスクマネジメントにより、富士通の新たなブランドイメージの訴求に貢献できたと感じます」
日本の民間企業を代表して商標五庁会合へ派遣。約50社の意見を集約し各国官庁へ表明
全社の一大プロジェクトを担いながら、社外活動にも力を入れてきた小林。知的財産に関する調査・研究・政策提言などを行う日本知的財産協会(JIPA)の商標委員会に、2019年から5年間にわたり参加しました。
「参加の目的は、最新の商標制度に関する情報や他社の知財活動の動向など、富士通の業務に活かせる情報を収集することです。また各国官庁へ意見を表明できる重要な機会を得ることもできます。
私は2020年から4年間副委員長を務め、約50社が参加する商標委員会において、ワーキンググループのリーダーも2年間務めました。ワーキンググループでは、商標のガバナンス体制などをテーマに研究活動に取り組み、その成果を発表しました」
社内業務と並行しながら、小林は副委員長として精力的に活動。その中で、とくに印象に残っているのが、商標五庁(TM5)会合ユーザーセッションへの参加です。
「商標五庁会合ユーザーセッションとは、日米欧中韓の知財庁と民間企業が参加する国際会議です。JIPAは世界最大級の知財ユーザー団体としてこの会議に毎年参加しています。私はJIPAの代表として、2022年にベルギーへ、2023年に韓国へ派遣されました。商標委員会に参加する約50社の意見を集約し、現地でのテーブルディスカッションやスピーチで意見を表明することが派遣者の役割でした。
現地で意見表明する上では、副委員長として各国商標制度の改正草案に対するパブリックコメント(以下、パブコメ)の取りまとめを3年間担当していたことが役に立ちました。ただ、意見集約には苦労も多く、ある改正草案に対するパブコメでは、各社から何十件もの意見が寄せられたこともありました。
パブコメの取りまとめを担当するにあたって私が留意したのは、パブコメで取りまとめた意見を提出して終わるのではなく、その考えを直接当局に伝えることです。商標五庁会合や日中の意見交換会などの場に積極的に参加して、意見を粘り強く伝えました」
日本の民間企業の代表として大役を務めた小林。商標五庁会合への参加を含め、社外活動のさまざまな成果を実感しています。
「各国の知財庁に対する意見表明を通じ、日本企業、そして富士通のプレゼンス向上に寄与できたと感じます。海外を含め他社の知財担当と関係性を築くことで、私自身の視野も広がりました。
中でも新たな気づきとなったのが、富士通が取り組んできた知財活動の先進性です。富士通は早くから、コーポレートサイトで知財活動に関する情報発信に注力してきました。商標委員会を通じて他社の知財活動を知ったことにより、自社の優れた点や新たに取り入れたいノウハウを学ぶ機会にもなったと感じます」
社員全員で築いてきた富士通ブランド。その不正使用対策を強化し、一層の価値向上を
社外にも活動の場を広げ、富士通のブランドを支えてきた小林。入社以来、一貫して携わってきた商標業務のやりがいについてこう語ります。
「富士通という企業ブランドは、グループの社員全員の努力で築き上げられてきたものです。その毀損につながるリスクを排除し、価値を向上する。それにより富士通の経営に貢献できることに、大きなやりがいを感じています」
数々の案件を手がけてきた中でも、小林がとくにやりがいを感じた出来事があります。
「長く続いていた海外での係争事案で、『富士通』がその国で著名商標であるとの認定を勝ち取ったことです。
富士通の著名性を立証するため、現地のグループ会社と協力して、スーツケース3個分にも及ぶ証拠資料を集めて裁判に臨みました。現地の法律事務所とも密に連携し、著名商標の認定という高いハードルを乗り越え、不正使用対策を大きく前進させることができたと感じています」
今後も小林は不正使用の対策に一層注力していきたいと語ります。
「富士通ブランドを不正に使用するドメインやウェブサイトはまだまだ存在しています。海外リージョンのメンバーとも連携を強め、知財のプロフェッショナルとして対策を強化していくことが当面の目標です。
また、個人としてはこれまで一貫して商標業務に携わってきたため、今後はさらに領域を広げ、法務の知見も培っていきたいと考えています」
富士通のブランド価値を向上するため、スキルアップを続ける小林。同じ志を持つ仲間へ、メッセージを送ります。
「商標は、普段目にする商品やサービスに使用されているため、知財の中でもとても身近で親しみやすい分野だと思います。業務を遂行する上ではリスク判断のための情報収集力や分析力、関係各所との調整力など、さまざまなスキルが求められますが、その分経営に貢献できるやりがいは大きいです。新たな仲間と共に、富士通のブランド価値をさらに向上できることを楽しみにしています」
※ 記載内容は2025年1月時点のものです
