リサーチから商談に接客、催事のプロモーション担当を通じて学ぶ百貨店の業務
大丸松坂屋百貨店に入社したS.Hは、入社式から約1週間わたり参加した新入社員研修を終え、4月中旬に大丸梅田店の営業部に配属されました。
「現在は『お菓子なパレード』という催事のプロモーションを担当しています。週替わりにブランドが入れ替わるので、その運営と新規出店先を探すことがメインの業務です」
それ以外にも、毎週入れ替わるブランドの搬出や搬入を手伝うほか、販売員としても売場に立って接客を行う日々。Hが初めて配属された「お菓子なパレード」のプロモーションは、Hの育成担当でもある先輩社員と2人で運営しています。
「私たちのミッションは、多くのお客様に喜んでいただけるブランドを誘致すること、知恵を出し合い工夫を重ねて多くのお客様に買っていただく仕組みを考えることです。お客様とお取引先様、その両方に喜んでいていただける仕事をしたいと意識しながら働いています」
最大のミッションは店舗の売り上げを向上させること。日頃から売り上げデータを見て変動する数字に頭を働かせ続けるHは、現場での情報収集を欠かしません。
「休日の売り上げが良いことは感覚的に理解できますが、休日なのにあまり良くなかったり、平日のとある1日だけ異常に売り上げが高かったりすることもあるんです。そういうときは売場に出向き、軽く世間話も兼ねつつ販売員の方に『何があったんですか?』と聞いています。
そうすると、『この日は閉店間際に、残っている商品を全部くださいとおっしゃるお客様がいらっしゃった』というエピソードを聞くことも。自分の想定外の話を聞くと、新たな発見につながります。こうした日々の発見を積み上げ、数字の分析や売り上げ傾向を考える際に役立てています」
Hが担当するお菓子売場は、梅田駅構内のコンコースに位置し、人通りがかなり多く百貨店の中でも好立地にあります。しかし、それだけで常にお客様の興味を引けるかというと、苦戦していることもあると言います。
「人通りが多いことはもちろん、大きなメリットです。一方で人通りが多いというだけでは、店舗の前で誰も足を止めないことも少なくありません。
もし、たった1人でも商品に興味を持って店舗の前で足を止めてくださるお客様がいたら、同時に多くのお客様が足を止めてくださるきっかけにつながることもあります。ですので、人混みの中でも新しいブランドに目を留めてもらえる仕組みをつくりだすことが課題ですね」
百貨店はお客様へ情報をお届けする役割がある──インターンシップで知った業界の魅力
配属されてわずか半年の中でも、日々の業務から課題を見つけ改善策を思考し主体的に取り組むH。しかし、遡ってみると就職活動をはじめた当初のHは百貨店を志望していたわけではありませんでした。
「生活に近い分野で働きたいと考えていたので、最初は食品メーカーを中心に検討していました。ただ、ゼミの教授が百貨店業界のブランディングなどを研究していたことをきっかけに、就職活動の途中から百貨店に興味を持ち始めました」
百貨店への就職を視野に入れたHは、大学生の3年生の夏からインターンシップに参加するように。
「インターンシップに参加する前は、百貨店といえば物を仕入れて売るというイメージのみでした。しかしインターンシップに参加してみると、キャンペーンや店舗の施策を通じて情報を提供し、お客様に物を買っていただくという、ある意味では広告のような側面を百貨店という場が持っていることに気がつきました」
百貨店が生活と密接につながっている仕事だと気づいたことで、それまでのイメージが一変。自分がやりたいことに近いのではないかと考えるようになったと振り返ります。
「もちろん当社のインターンシップにも参加しました。その内容が、リーシングやエリア開発など不動産に近い内容で、いい意味で百貨店らしくないことをさせてもらえたことが印象に残りました。そこから当社で働くことに本格的に興味を持ちましたね」
こうして大丸松坂屋百貨店への入社を決めたHは、入社後も良い意味で自身の想像を裏切る仕事のあり方に刺激を受けていると語ります。
「新入社員の自分にここまで裁量を与えてもらえるのか、ということにまず驚きました。まだ入社して半年にも関わらず、気になるブランドやお菓子のお店があれば自らアポイントを取り、その後、先輩が一緒に商談に行ってくれて、新規のブランド様が出店を決めてくださったケースもありました。できる仕事が着実に増え、毎日のように成長を感じています」
仕事を覚えると同時に、少しずつ周囲が見えるようになってきたH。若年層の来店が減っているという、百貨店が抱える課題に気がつくようにもなりました。
「学生時代の自分が想像していた以上に若いお客様には認知が薄いことに衝撃を受けています。でも、私自身も学生時代には百貨店をあまり利用したことはなかったんです。それは百貨店のことを詳しく知らなかったからだと思います。きっと若い方にも、お菓子売場がこんなにワクワクするものなのだと知っていただければ、足を伸ばしてもらえると確信しています。
そういった若い方への周知は、まさに自分のような新入社員に求められている仕事。会社からの期待もひしひしと感じています」
自ら探し出したブランドの出店が決定──先輩や同期に支えられ、試行錯誤の日々
Hの百貨店人生は、45名に及ぶ同期たちと泊まり込みの合宿研修からスタートしました。
「研修は1週間ほど。社会人としてのマナーや知識といった基礎からはじまり、当社の歴史や事業について、グループワークを通して学びます。その中で、同期との強いつながりもできました」
もともとの関心から食品に関わる仕事がしたいと志望し、研修を終えた後、現在のお菓子売場へ配属されました。それからすぐにプロモーション担当として実務に臨むこととなります。
「新人のプロモーション担当である自分にとって、催事に出店していただきたいブランドを、私の育成担当の先輩に紹介することが最初の役割。賛同してもらえれば、そこからさっそく商談への動きがスタートします」
入社半年にして、Hが提案したブランドの出店が決まりましたが、そこに至るまでの商談は決して容易ではなく、その過程で多くの学びがあったと振り返ります。
「とても強いこだわりを持ってお菓子づくりをされているブランドを見つけ、『お客様にこのおいしいお菓子を届けたい』という想いから、ぜひこの機会に出店していただきたいとお声がけをしました。ただ、商談は自分ひとりではうまくいかず、ほとんど先輩の力を借りることに。その過程で、お取引先様であるブランドの立場を考えることが大事だと学んだんです」
毎週のように代わる代わる催事が行われる中で、百貨店側の視点のみで話を進めようとしてしまっていたことに気づいたH。見えていなかったのは、催事に出店することがブランド側にとってかなりの負担になるという現実でした。
「実際に催事に出店していただくとなると、どんな什器を使い、販売員は何人必要で、費用がどれだけかかって……と、さまざまなことに考えを巡らせ、調整しなければなりません。
また、時には催事のために追加で商品を生産していただく必要もあります。そうした調整をして出店いただく状況を踏まえ、相手の状況をしっかりと理解した上でお話を進めていかないと、失礼にもなりますし、いいお話し合いができないと実感しました」
悔しさを覚えたときに、支えになるのはやはり同期の存在です。プロモーション担当には全国の各店舗でHを含めて4人の同期社員が配属されました。
「同期が働いている店舗ではどんなブランドに出店いただいているのかなど、気になることがあったら気軽に連絡を取ります。先方のご担当者様につないでくれないかといった相談もしますね」
同期と支え合いながら奮闘する日々。それと並行して、若手のみで課題解決に挑むプロジェクトにも参加しています。
「梅田店の各部署と連携して若いお客様を集客できるイベントが開催できないかと同期の中で企画しています。社長に向けたプレゼンテーションを控えており、現在は資料や企画を詰めている段階です」
無限にキャリアが広がる環境で見つけた新たな夢と目標
お客様の新しいブランドへの注目を集めることや若いお客様への訴求など、Hのプロモーション担当としてのこれからの目標は多岐にわたります。しかしまずめざすべきは、ひとりでしっかりと仕事を回せるようになることです。
「事務的なミスをなくし、スムーズに売場を運営することが当面の目標ですね。百貨店には多くの人が関わっているので、ひとつのミスによって周囲に多大な迷惑をかけることもあります。育成担当をしてもらっている先輩からアドバイスを受けつつ、工夫をして小さなミスを直しているところです」
そういった基礎がきちんとできるようになった将来、Hには叶えたい夢があります。
「私自身が熱量を持って楽しんでいる趣味を生かしてプロモーションを展開してみたいと考えています。というのも、私はコーヒーが好きなので、何かコーヒーに関連したお菓子のイベントを企画したいなと。自分がとくに好きなものであれば、アイデアもより浮かぶと思うんです」
百貨店での仕事を通じ、目まぐるしく成長を遂げるH。彼は大丸松坂屋百貨店の魅力を次のように語ります。
「いい意味で百貨店らしくないところです。『百貨店』と聞くと、昔ながらのイメージがあると思います。しかし、当社には新しいことにチャレンジできる風土があり、若手でも裁量権を持って仕事ができる。それが当社の一番の魅力です」
ゆくゆくは、インターンシップで体験した不動産に関わる業務にも携わってみたいと語るH。どんなチャレンジも寛容に受けとめてくれる環境の中で、無限に広がるキャリアに胸を膨らませながら、Hの挑戦の日々は続いていきます。
※ 記載内容は2023年8月時点のものです

