厳しい環境に飛び込み、周囲に刺激を与えたい
横浜出身のATOがヒップホップに出会ったのは、8歳のころ。そのダンスが生み出す「空気」に圧倒された。
「一つひとつの動きについて、パワーの放たれ方がすごいなと子どもなりに感動したんです。このジャンルでかっこよく踊りたい。そう思って、どんどんのめり込んでいきましたね」
小学時代からコンテストを制するなど実績を重ね、注目を集めてきたATO。自身が影響を受けた人物として真っ先に挙げるのが、小学5年の時に出会ったakihic☆彡(アキヒコ)さんだ。現在Legitの振り付けも担う恩師から学んだことは、数知れない。
「1に音楽、2にダンス、と教えられました。音楽がないとダンスはできない、と。この曲ならこういう踊り方をしようという感じで、音楽をメインに据える考え方は、今も自分の中に軸としてあります。
なによりも『人間力』を学びましたね。イベントなどで他のダンサーと一緒に仕事をする機会が多いのですが、礼儀やマナーの大切さを日々実感するんです。それらを恩師が教えてくれたからこそ、自分は今こうして順調に仕事ができているのだと思います」
一流の技とマインドを吸収したATO。立教大学に在籍(現在休学中)しながら自らを磨き、レッスンでは生徒に教えてきた。昨季、Legitの門をたたいたのには理由がある。
「それまでの自分はアウトプットが多かったのですが、スキルの高い人たちがいるチームでインプットを増やし、成長したい思いが高まってきたんです。また、自らが厳しい環境に身を置くことで、生徒や周りの人への刺激になればうれしいとも思いましたね」
FISHBOYに教わった「プロフェッショナル」の意味
Legitが、あと一歩でD.LEAGUE CHAMPIONSHIPの頂点を逃した昨季。加入1季目だったATOはある時、ステージ裏で他チームの練習風景を目にした。
「ひとりのパフォーマンスについて、他のメンバーが遠慮なく意見を伝えていました。一見、厳しい指摘でしたが、全員がひとつの目標に向かってぶれずに突き進んでいるように見えたんです。
もちろん、チーム内のバランスを保つことは必要ですが、チームがさらに進化するために、思ったことをどんどんメンバーに伝えていくことも大切なんじゃないかと感じましたね」
自分なりに考えを深めた昨季だったが、もうひとつ、大きな学びがあったという。チームのディレクターFISHBOYからの言葉だった。
「『プロフェッショナル』の意味を教わりました。勝ち負けも大事だけれど、観衆やスポンサーに対してどのようなものを届けるべきかを考えられるようになろう、と。昨季は悔しい結末でしたが、このアドバイスのおかげでいい意味で結果を気にしすぎることなく、前を向くことができました。
落ち込む時間があれば、パフォーマンスを向上させることに費やした方がいい。今季はその考え方をより意識し、ひとつのROUNDで思うような結果が出なくてもくよくよせず、次に向けて頭を切り替えるようにしています」
メンバーのチーム外活動が盛ん。それがLegitの魅力
Legitの魅力は、メンバーの活動がチーム内にとどまらないことだという。ATO自身はアーティストのミュージックビデオに出演したり、アイドルグループに振り付けを提供したりしてきた。一方で、個人として海外に出向く機会もしばしばあり「チーム活動に向け、いいスパイスになっている」とうなずく。
「今、ありがたいことに中国や韓国、インド、カナダなどから声がかかって、ダンスの大会でジャッジを務めたり、ワークショップの特別クラスで教えたりしています。
文化が違う国に飛び込み、現地の人たちの言葉に耳を傾けると、自信の持ち方、芯の強さに驚かされることがあります。自分自身も、ダンス以外のことも含めて考え方が柔軟になり、視野が広がっていくのを感じますね。これからもっと英語を勉強して、さまざまな文化、人々と接するチャンスを増やしたい。そこで得たものをLegitの活動にも還元したいなと思っています」
Legitで2季目を迎えたATOは、チームとしての飛躍をめざし、思いきりエンジンを吹かせている。
「チームや作品の質を高めていくために、自分の考えを積極的に発信するようにしているんです。この姿勢は自分だけでなく、他のメンバーも同じじゃないかと。それが今、すごくいい形でぶつかって、みんなでひとつの目標へと向かうことができていると実感しています」
ダンスを知らない人も置き去りにしない。振り向いてもらう仕掛けを
ひとりのDリーガーとして、ATOは「ダンスに精通した人をうならせつつ、詳しくない人も巻き込みたい」と語る。
「プロリーグなのでもちろん、ダンス本来の良さを伝えたい。でも裾野を広げていくためには、ダンスを知らない人たちを置き去りにするような作品ではいけないと思っています。
なので、自分がそれまでやってきたアプローチの仕方を変えなければいけないなと。詳しい人たちにとって見応えのある動きなどを取り入れながらも、わかりやすい作品づくりを心がけ、それに合う踊り方やキャラクターを考える。そのバランスを、チームとして常に考えていますね」
才気あふれる23歳は、Legitやダンス界の「これから」を見据え、誓いを新たにしている。
「2024年8月には、チームのワンマンライブを東京のZepp DiverCityで行います。2,000人分のチケットがすぐに売れるようになるためには、普段D.LEAGUEを見ていない人たちにも振り向いてもらう仕掛けをもっと練っていく必要があると感じています。
そして、将来かなえたい目標は『ダンスで世界一周』。チームとしても個人としても、世界各地のステージなどからオファーを受けるような存在になって、休む間もないくらい、いろんな国を飛び回りたい。実現すれば個人としても大成功だし、それによってD.LEAGUEや日本のダンス界を世界に広めることができたら最高じゃないですか」
※ 記載内容は2024年4月時点のものです
