AI技術が導く新時代のビジネス。さらなる業務効率化に向けて
スマートオペレーション推進本部 デジタル戦略部に所属する澤下。現在、社内限定のAIチャットシステム「SB C&S AI CHAT」の企画開発運営をはじめ、複数のプロジェクトを推進しています。
「SB C&S AI CHATは2023年10月に正式版をリリースし、社外に向けても広報発表しました。それ以降も、インターネット検索や画像生成などの新機能を順次導入し、機能拡充と利用者拡大に注力しています。
また、これと並行して、発注支援システムの企画開発運営をはじめとする新規業務改善施策の検討・実現にも取り組んでいます」
入社以来、ITによる業務効率化に取り組んできた澤下。技術革新が急速に進む中、とくにAIを活用したソリューションの実現に力を注いできました。
「ChatGPTが2022年に公開された当初は、セキュリティ上の理由から社内利用が困難でしたが、Microsoft社のサービスとしてリスクを抑えて言語モデルを利用できるようになりました。まずはいち早く利用環境を用意するため、情報システム部門と協力し、2カ月弱で社内限定のAIチャットシステムの構築を実現しました。
ただし、大規模言語モデル(LLM)は主にインターネットから収集した情報をベースに回答を生成するため、利用範囲は限定的でした。そこで、当社の実業務での活用に不可欠な社内情報ポータルサイトとのデータ連携を進め、半年後のリリースにつなげました。
従来の教師あり学習モデルとは異なり、LLMはすでに学習されたデータを用いるため、導入コストが非常に低い点がとても画期的だったと実感しています」
AI技術の急速な進歩は新たなビジネスモデルやサービス創出の可能性を広げ、社内の意識を劇的に変化させています。こうした流れを受け、スマートオペレーション推進本部は経営戦略と連動しながら、AI活用の最適な道筋を模索してきました。
「当社は『事業領域の拡大』『ビジネスモデルの進化』『リカーリングモデルの拡大』という三大成長戦略にAIを融合させることで、さらなる成長をめざすと宣言しています。
しかし、社内での無秩序なAI利用は避けなければなりません。統制の取れたかたちでAI技術を導入し、社員がAIに慣れ、自然と使えるようになることを目標に、適切な利用環境の構築を進めています」
技術とビジネスの架け橋に。企画から実装まで一気通貫で業務改革を推進
ITシステム開発企業でキャリアをスタートした澤下。SB C&Sで活躍していた元同僚に誘われたことが転職のきっかけでした。
「2012年ごろに画像処理技術に革新的な進展があり、その後、多くの企業が機械学習の実用化に着手し始めていました。私自身もこの技術革新の波に乗りたいと考えていたところ、当社でAIを活用した革新的なプロジェクトを展開していることを知り、入社を決意しました」
入社後、澤下は情報システム部門の先端技術推進チームへ。機械学習などを活用したシステム開発に従事し、現在も取り組む発注支援システムの開発などに携わりました。
「情報システム部門では、見積もりの自動化など内製システムの支援を担当しました。AI活用を検討していたコンシューマ事業部門から相談を受け、その後プロジェクトに参画することに。
約3カ月間にわたり、部門メンバーへのヒアリングを実施し、業務フローや課題を詳細に分析しながら、AI技術の効果的な適用箇所を特定。担当者が毎日1〜2時間を費やしていた在庫補充の発注作業に着目し、これを効率化する専用システムの開発に着手しました。
2019年のシステム実装後、日々の発注作業が数分で完了するようになり、作業時間の90%以上の削減に成功しました。現在、モバイルアクセサリーの月間発注明細の70〜80%が本システムを通じて処理されています」
このほか、澤下が担ってきた新規業務改善施策は多岐にわたります。
「コンシューマ事業部門とは他にもさまざまな業務効率化の検討やツールの開発などを実施してきました。具体的には、PSI(製造・販売・在庫)管理ファイルの作成およびデータ更新効率化システムの開発、受発注データの定期配信システムの構築などが挙げられます。
事業部門には、技術の可能性をまだ十分に理解していない人や、自身の担当領域と周辺領域との効果的な連携方法の整理に苦心している人が少なくありません。前職での要件定義の経験を活かしてITコンサル的なアプローチで各部門に寄り添い、複雑な作業をシンプルな操作で実行できるシステムの構築に取り組んできました」
キャズムを超えて、SB C&S AI CHATの普及を加速。SB C&Sだから実現できる大胆な業務改革を
正式リリース後も積極的に機能拡充が進められているSB C&S AI CHAT。大きな手ごたえがある一方、課題も感じていると澤下は言います。
「社内でのSB C&S AI CHAT活用がとくに進んでいるのがICT事業部門です。スマートオペレーション推進本部にはICT事業部門出身のメンバーが多く、彼らが部門内で定期的に勉強会を実施してくれていることが、普及を後押ししています。
正式リリースから約1年が経過した現在は、イノベーター理論における『アーリーアダプター』から『アーリーマジョリティ』への移行期にあります。部門内のヘビーユーザーを集めて、さらなる普及に向けた活動を展開するなど、具体的な数値目標を設定して、利用者数と利用頻度の増加をめざした取り組みを強化しています」
入社後、AIを含むIT技術を用いた業務改善の最前線で活躍し、大きく成長を遂げてきた澤下。それを支えてきたのが、挑戦を後押しするSB C&Sの組織風土でした。
「前職では受託開発が中心だったため、リスクをともなう挑戦の機会は限られていました。一方、SB C&Sには試行錯誤が許容される環境があります。上司から『失敗を恐れずもっと大きく動いてみよう』と言われたことで、私の根本的な発想が大きく変化しました。
私は特殊なケースかもしれませんが、大きな裁量を与えてもらっています。入社当時の上司の口癖は、『とりあえず打席に立って、バットを振れ』でした。明確な方針がない中で進むことに難しさを感じることもありますが、新しいことに積極的に取り組む機会が与えられていることに大変感謝しています。
資格取得支援制度など、学びをサポートする社内の仕組みにも助けられてきました。たとえば、私が取得した際はE資格(JDLA認定のエンジニア向け資格)の支援制度がありませんでしたが、現在では社内研修も充実するなど段階的に整備が進んでおり、非常に頼もしく感じています」
「怠惰の美徳」が導く業務革命。人間ゆえの創造性を解き放つために
澤下がエンジニアとして一貫して大切にしてきたのが、「怠惰の美徳」。その根底には、創造性や潜在能力を最大限に発揮し、自己実現を果たすことへの強いこだわりがありました。
「エンジニアの多くは反復作業を嫌い、コードで作業を自動化しようとします。この『怠惰さ』をポジティブに捉える思考を、私は業務全般に適用したいと考えているんです。機械が遂行可能なタスクはできる限り機械に委ね、人間はより創造的な思考や戦略的な意思決定に注力すべきだという理念のもと、業務効率化に取り組んでいます。
私たちに求められているのは、効果的なアウトプットの創出です。社員が効率的にアウトプットを生み出せる環境を整備することで、組織全体の成長が加速すると確信しています」
そんな澤下が大切にしているのは、「オーナーシップ」を持って業務に取り組むこと。キャリアを通じて培った確固たる信念があります。
「当社では新しいことに積極的にコミットできる人が活躍しています。指示待ち型ではなく、自発的に改善案を提示できる人。目の前の課題を自分事として捉え、提案型の思考で行動できる人材です。必ずしも最初から完璧である必要はありませんが、とくに新しいことへのチャレンジにはそうしたマインドセットが不可欠だと考えています」
企業がより強固な組織へと進化していくために。業務改善が必要だと思っている人々に、澤下は次のようにメッセージを送ります。
「新しい試みに挑戦することを、どうかためらわないでください。一度の試行で効果がないと即断するのではなく、別の角度からの活用方法を模索し、専門家に相談することで初めて新たな可能性が開けるものだからです。
開発者の立場では、現場が直面している課題をすべて正確に把握することはできません。『こういうことはできないだろうか』『こういった点で困っている』といった声を私たちも必要としています」
※ 記載内容は2024年8月時点のものです
