若手中心のチームで挑む、量産設備導入の最前線
私は第2涌谷製造部の製造技術グループで、ボリュームやスイッチのメカチームを率いています。新製品の量産設備を設計・導入し、納期を守りながら利益最大化に貢献することが私の使命です。設備導入は一日遅れるだけで機会損失につながるため、スピードと品質の両立を常に意識しています。
製造技術はメカ・制御・計測の3チームが連携し、設計部門とも協力しながら課題を解決していきます。現場での即応力と論理的な分析力が求められる仕事です。
さらに、私の重要な役割として、若手メンバーの育成や部署間の連携強化があります。私のチームは11名で、その8割が20代の若手。経験は浅いものの吸収力が高く、挑戦を重ねて大きく成長しています。
だからこそ私は「メリハリ」を大切にしています。真剣な場面では引き締め、普段は意見を出しやすい雰囲気をつくる。そのバランスが若手の挑戦を後押しし、チーム全体の力を引き出すと考えています。
心理的安全性を確保しながら、納期厳守というプレッシャーの中で最大のアウトプットを出すことが私のリーダーとしての責任です。
原因不明を解き明かす技術者の醍醐味
私がとくにやりがいを感じるのは、設備トラブルや工程上の課題に対して技術的な対応が求められる場面です。
もちろん何も問題がないのが理想ですが、原因不明の不具合が出たときに、論理的に解き明かす過程は謎解きのようでおもしろいのです。メカ、制御、計測の各技術を組み合わせて原因を追究し、製品に起因する可能性がある場合は、設計部門とも連携して対応します。
具体的には、机上のデータだけでなく、現場で現物を確認する“三現主義”(現場・現物・現実を重視する考え方)を徹底し、現実を直視しながら要因を一つひとつ切り分けていきます。その結果、稼働率や不良率の改善が数字で確認できたとき、自分の努力が形になったことを実感でき、達成感があります。
この思考プロセスは、大学時代の研究経験が土台となっており、学生時代の経験は社会人になっても活かせると感じています。
2年ぶりの現場で再確認した、ものづくりのおもしろさ
大学時代は、原子炉の安全運転に関するシミュレーションを通じて、人と社会に安心を届けるものづくりの重要性を学びました。その経験から「ものづくりに携わりたい」という思いを軸に企業を選び、アルプスアルパインの理念「人と地球に喜ばれる新たな価値を創造します」に強く惹かれて入社を決めました。
入社後は製造実習から始まり、機構設計技術、製造技術、生産企画と複数の部門を経験しました。そして、今は製造技術に戻っています。
とくに印象に残っているのは、製造技術に戻って最初に任された大型案件です。2年ぶりの現場で、新しいメンバーと設備の立ち上げに挑戦しました。長い間、離れていたこともあって、課題やトラブルが続き、稼働率や不良率がなかなか改善しない時期は本当に苦労しました。
それでも、誰一人脱落せず最後までやり抜けたのは、チームの協力と雰囲気の良さのおかげです。チームの若手メンバーが挑戦を楽しみ、達成感を共有できたことは大きな喜びでした。
設備の調整では、集中しすぎてチームの皆に“丹下タイム”と呼ばれるほど没頭することもありました。トラブル対応に入ると、原因を突き止めるまで納得できず、時間を忘れて作業に没頭してしまうんです。そんなとき、ベテランの方や若手メンバーが「そろそろ休憩しよう」「安全第一でね」と声をかけてくれたり、根気よく付き合ってくれたりしました。自分のこだわりを理解しながら、チーム全体で支えてくれる雰囲気に本当に感謝しています。この経験を通じて、設備づくりのおもしろさと、仲間と一緒に課題を乗り越える喜びをあらためて実感しました。
過去の大型案件で培った知識や経験は、設備立ち上げやトラブル対応の“現場力”そのものです。
この現場力を次世代につなぎ、若手が挑戦を楽しめる環境を支えるため、私はノウハウの体系化に取り組んでいます。挑戦を楽しむ文化は精神論ではなく、困難に立ち向かうための具体的な知識と行動力によって成り立つもの。
その基盤を整え、次の世代がさらに成長できる土壌をつくることが、私の使命だと考えています。
育てる力と探究心──畑と数式が教えてくれた成長の本質
プライベートでは10年ほど前から家庭菜園に夢中です。きっかけは、妻の実家で見た楽しそうな様子。畑で土を耕しながら笑顔で話す義父母、収穫した野菜をその場で見せ合う姿がとても印象的でした。
真似して始めたら、土づくりから収穫までのプロセスにすっかり魅了されました。ズッキーニやにんじん、ナス、さつまいもなど、季節ごとに育てる野菜の成長を日々見守る時間は、何よりのリフレッシュになります。収穫の達成感も格別です。
この流れは、私の仕事にも通じています。設備づくりも、構想から準備、調整、そして量産へと丁寧なプロセスが成果につながる点は、家庭菜園と同じ。さらに、人材育成にも共通する部分があり、“育てる”ことの大切さを実感しています。
最近の挑戦は、数学の学び直しを始めたこと。公式を暗記するだけでなく「なぜこうなるのか」を理解することで、論理的思考が磨かれ、仕事にも活きると感じています。きっかけは単純に“子どもに聞かれて答えられないのが悔しい”という思いですが、学び続ける姿勢は自分の成長にもつながっています。
今後は、探究心と行動力を大切にし、頼られる技術者・リーダーをめざします。現場で学び続け、変化を恐れず挑戦することで、チームとして最大のアウトプットを出し続けたいと思っています。アルプスアルパインの設備が「すごい」と言われる水準を追求し、納期と品質を両立させながら利益最大化に貢献し、若手の成長を支えること。それが私の使命です。
※ 記載内容は2025年8月時点のものです
