迷いながらも選んだ道。ものづくりが、仕事のやりがいに
もともと優柔不断な性格で、「自分が何をやりたいのか」をなかなか明確にできず、大学の進路を選ぶときも多く悩みました。
そうした中で、大学では機械分野に興味を持ちながらも、より幅広い分野に関われる可能性を感じ、最終的に電気科を専攻。大気圧プラズマを用いた金属薄膜のエッチングについて研究し、実験を通して課題解決力や粘り強く取り組む姿勢を身につけました。
ただ、その後の就職活動でも、自分のやりたいことを明確にできず悩む時期が続きました。そんな中、アルプス電気の説明会に参加した際に、アルパインとの統合やカーナビなどの幅広い製品分野への展開の話を聞き、さまざまな製品に使われる部品を手掛けていることを知りました。そこに「自分の可能性を広げられる環境」があると感じ、入社を決意しました。
2019年に入社後は、宮城県の古川第2工場の精密加工技術部に配属され、モールド金型の設計を担当しました。
先輩方に3D CADの操作方法を一から丁寧に教えてもらい、約1年をかけて少しずつ設計のおもしろさを実感するようになりました。2年目頃からは、新しい金型の設計を一から任せていただけるようになり、仕事への責任感とともに、ものづくりのやりがいを強く感じるようになりました。
カタチにする金型設計の仕事。多様なメンバーと仕組みづくりに挑戦
2024年4月に、フロントローディングという仕組みを業務に取り入れるため東京本社の勤務となりました。フロントローディングは設計初期に作業を集中させることで、スケジュール後半の手戻りや不具合の発生を未然に防ぐことを目的に行います。
こうした業務を、営業や顧客との距離が近い本社で進めている状況です。さまざまな部署の方と関わる機会が増え、知見の幅が広がりました。現在は他部署のミーティングにも参加し、所属している「生産本部」全体の動きや方針を把握するよう努めています。加えて、自分の業務内容を明確に共有することを意識し、メールでやり取りの履歴を残しながら円滑なコミュニケーションを図っています。
私が所属するチームは10人前後で構成され、設計担当と検査担当が同じチームにいます。現場勤務の頃と比べると、金型加工に問題が発生した際の迅速な対処は難しくなりましたが、工程ごとに連携しやすい体制が整っています。部署全体では毎年1〜2名の新卒社員が入社しており、若手からベテランまで幅広い年齢層がそろう活気のある職場です。
現場との距離は離れましたが、月に1回ほどは古川へ出張し、現場の方々と直接意見交換を行うようにしています。後輩たちも部署内のちょっとした出来事をチャットで共有してくれるなど、常につながりを感じられる環境です。物理的な距離はあっても、チームの一員としての一体感を持ちながら仕事に取り組むことができています。
また、本社へ異動しても、設計の業務は続けて行っています。現在はスイッチやボリューム、センサーなどに使用されるプラスチック部品の金型設計を行っています。3D CADを用いて設計を行い、製品設計部門や製造部門と連携しながら業務を進めています。製品設計部門から新しい製品の依頼を受けて金型を新規に設計することもあれば、製造部門からの要望に応じて既存の金型を改良・作り替えることもあります。
私たちの仕事は、技術部門が設計したものを実際の形として具現化する工程です。製造プロセスの最終段階に近いため、後戻りが発生することもあり苦労する場面もありますが、自分が設計した金型が実際に形となって現れた瞬間には、何度経験しても大きな感動を覚えます。
製品ごとに求められる仕様はさまざまで、たとえばゲーム機向けと車載向けでは安全性や耐久性の基準が大きく異なります。車載向けでは試験項目が多く、寸法精度や強度など厳しい条件をクリアする必要があります。一方で、外観の美しさが重視される製品もあり、用途によって設計の工夫や重点が変わる点におもしろさを感じています。
プレッシャーを力に、チームと歩む──設計の楽しさ
設計業務には常に大きな責任が伴います。設計ミスは会社全体に影響を及ぼす可能性があり、私自身も日程が厳しい中でミスをしてスケジュールを遅らせてしまったことがありました。その際は製造・技術部門の方々と協力し、チーム全体で問題を乗り越えることができました。
金型の組み上げトラブルや異物混入など、想定外の課題に直面することもあります。原因が特定できず苦労したことも多いですが、各部署と連携して調査を進め、最終的に量産に間に合わせることができたときの達成感は今でも印象に残っています。プレッシャーの多い仕事ですが、「1年後にはきっと笑っているよ」という先輩の言葉を支えに、前向きに取り組むよう心がけています。
プライベートでは、一つの趣味に絞らず、楽器演奏や野球観戦、旅行などさまざまなことをして楽しんでいます。昨年はマレーシアに出向している先輩を訪ねに行く機会もあり、職場の仲間とプライベートでも良い関係を築けています。普段の生活でもプラスチック製品を見ると「この金型はどうなっているのだろう」と考えてしまうほど、仕事が自分の興味と結びついていることを実感しています。
多様な製品に挑む金型設計の誇り
金型は、生産効率やコストに直結する重要な要素です。時間を短縮できれば、コスト削減という形で数字に反映されます。「安くて品質が良く、メンテナンス性にも優れた金型をつくる」ことができれば、それがそのまま金額的な成果として表れるのです。そのため、良い意味でも悪い意味でも結果がはっきりと見える点が、この仕事のやりがいにつながっています。
設計業務では、3D CADを活用してテンプレート化や設計プロセスの効率化など、改善にも積極的に取り組んでいます。
金型設計は製品ごとに構造が異なるため、常に新しい発見があり、決して飽きることがありません。ゲーム機や自動車、家電など、さまざまな分野の製品に携われる点も大きな魅力です。自分が設計した金型から作られた製品が世の中に出ていくことを想像すると、大きな責任とともに誇りを感じます。
今後は、より多くの製品に関わりながら技術を磨き、本社にいる金型設計担当の一員として、技術部門や営業部門と連携を深めていきたいと考えています。そして、現場である古川第2工場のメンバーに最新の情報や知見を共有し、より良いものづくりにつなげられる存在をめざしています。
※ 記載内容は2025年12月時点のものです
