イチから学ぶことへの情熱を持ち、新しい分野へ飛び込む
──現在の業務を教えてください。
現在は、目視による製品の外観検査を自動化するための技術を開発しています。いわゆるロボットの「目」を作る仕事ですね。マシンビジョンと呼ばれるカメラで撮った画像を使って、計測・認識・判別などの処理する技術開発を行っています。
この外観検査の自動化は難易度が非常に高く、従来の画像処理技術では太刀打ちできないケースが多く存在していましたが、AI技術を活用しこの課題を解決する事が私のミッションです。私は2017年に中途入社し、現在の生産システム開発部に配属されて初めてAI技術の開発に携わることになりました。初めは不安で「なぜ私がこの部署に配属されたのだろう?」と疑問にも思うほどでしたがAIの魅力に気づいてからは業務に没頭しています。
学びを楽しみに変え──専門性を高め、仕事を充実したものに
──初めて行う業務にどのように対応しましたか?
入社した当時は、社内でのAI知見者がほとんどいませんでした。当時の上司が、教育に熱心な方だったので入社して1年目のころに東京でやっていた外部のセミナーや勉強会に出向き、1カ月くらいかけてAI技術の勉強をしました。
業務をしながらの勉強だったので、大変ではありましたが内容がとてもおもしろく、自分の知識が広がる楽しさもありどんどん知識を吸収していくことができました。また、自分の実力を試すためにAIのコンペティションにも参加をしました。あらかじめ決められた課題に対し、機械学習や統計学、情報処理分野の知見を用いて、どれだけ優秀なAIを作れるかを競うものです。
そういったAI技術を勉強し、得た知見をもとに、AI画像検査のソフトウェア「ALICE」(アリス)(Alpsalpine Intelligence Conbolution Engine)」を開発しました。もちろん有償AIソフトはたくさんあるので、作らずとも導入は可能ですが、高額であることが課題でした。
社内開発することでその費用を抑え、生産現場で広く使うことが可能になります。また、日々向上する世界中のAI研究開発結果を早期に導入し、検査精度を上げていくことができる事もメリットの1つです。
この「ALICE」は、すでに国内・海外含め10拠点の工場に導入をしています。また、コンサルティングに近い仕事も行っていて、毎週のようにさまざまな拠点から要望があり話を聞きながら進めています。
たとえばこのソフトウェアを導入することで検査の工数が100人分削減できる、という場合はもちろん導入する意味があると思うのですが、1~2人分しか減らないといった場合は投資の金額との割合が合わず、導入しないほうがいいということになるので、そういったアドバイスも行っています。
実はこの「ALICE」なのですが、勝手にシリーズ化しています(笑)。たとえば、「ALICE VISION(アリスビジョン)」というソフトウェアも開発しました。このソフトウェアは、「ALICE」で学習したAIを量産現場へ導入する為、生産機器と連携しながらAI検査システムを実現するというものです。「ALICE」でAIが完成したとしても、検査システムとして量産現場で使えるようにするにはさらなるステップがあります。
たとえば、カメラの制御、生産機器との通信、検査画像の表示など装置の要件に合わせ、多くの時間をかけてプログラムを作成しシステムを構築する必要がありました。「ALICE VISION」はAI検査システムに共通するこれらの要素をノーコードで構築し、システム開発工数を削減する仕組みを持っています。こういった課題と目的に合わせたソフトウェアを「ALICE」の派生として開発し「ALICE Solutions」として社内に展開しています。
趣味の延長のように今の業務を楽しくやっていますが、ソフトウェアを作ること自体はとても難易度が高いです。AIは、赤ちゃんのように最初は何もわからない状態なので、部品ごとに「ここに異物があったら出荷できない部品」「ここが欠けていたら出荷できない部品」といった形で、一つひとつ教え込まなければいけません。この作業は手作業になり、かなり時間が掛かるので、実は泥臭い仕事でもあります。
学びを楽しみに変え──専門性を高め、仕事を充実したものに
──楽しいことや、やりがいはどんなところですか?
現場から困り事を聞き、まずその工場に導入できるかどうか検証するところからスタートするので現場に導入するのに約1~2年ほど掛かってしまう事も多いのですが、システムやソフトウェアの仕様を一から考え、それが形になり、工場で使ってもらえることはとてもやりがいがあります。
会社から「こういうソフトウェアを作って」という要望があるものではなく、その工場ごとの問題に対して、どういったシステムが必要か、工程をイチから考えて「アルプスアルパインだったらこのソフトウェアがベスト」と考えながら作るということに、私は魅力を感じています。
──休日はどのように過ごされていますか?
私は20歳の時に結婚して、3人の子どもに恵まれたのでプライベートでは家族と過ごしています。また、中学3年生の娘とギターを一緒にやっているのですが、娘がボーカルを担当して、バンドを組んでいます。たまにライブハウスで演奏したり、地元のお祭りでお披露目したりもしています。
私は中学生のころからギターをやっていたので、大人になった今、娘とやれることがとても嬉しいです。
LiSAというアーティストも大好きで、ライブが行われる際は毎回行っています。住んでいる地域以外の場所で行われる時は遠征するほど好きです。遠征の場合は平日に休む場合もあるのですが、上長やチームのメンバーに「LiSA休暇もらいます!」と言えば通じるようになっています(笑)。
技術のバトンをつなぐ──チームの成長とやりがいを生み出す伝承へ
──今後めざしていることを教えてください。
アルプスアルパインに転職して、たまたまAIにたどりついて、がむしゃらに仕事していますが今の仕事が一番楽しいと感じています。ただ、今までと違う考え方も必要だと感じています。
今までは自分が直接手を動かして、仕事をするケースが多かったのですが、それは限界があるということに気づいたので、さらに高みをめざすためには、チームのメンバーと一緒にやることも必要だと感じています。
自分が得た技術を自分だけのものにせず、今後はさらに自分が得た技術をチームのメンバーに伝承することや、チームのメンバーがやりたいことのサポートを行いたいと思っています。また、チームのメンバーだけでなく他拠点の人にも、まずはAIとはどういうものなのかを伝えながら、共に成長していきたいです。
※ 記載内容は2024年11月時点のものです
