会社の基盤を築く仕事。フィールドは「世界」
社内の基幹システム導入プロジェクトに従事しています。業務標準化と効率化を目的に、受注情報や生産情報、それらに関わるお金の流れを管理するシステムを導入するプロジェクトです。
導入とひと言で言っても、やることは多岐にわたります。まずは要件定義から始まり、実際にシステムを使用する人たちからシステムに求める機能や、何を実現する必要があるかをヒアリングします。
それをもとに、社内外の開発メンバーが最適なシステムを開発し、納品されたらオペレーションのトレーニング。その後、実際の利用環境で問題なく使用できるかという総合テストや移行活動を経て運用開始という流れです。これを、世界中にある拠点すべてに対して行います。
私自身、2013年に今の業務に就いて以降、日本やマレーシア、タイ、シンガポール、インド、韓国、イギリス、ドイツ、スウェーデン、アメリカといったさまざまな国や地域のシステム導入に関わっており、とてもグローバルに活躍できる仕事だと感じています。
私は小学校から英語を習っており、昔から英語で話すことに対して恐怖心はありませんでした。なので、就職活動でも英語を使った華やかな仕事、たとえば航空業界や商社を希望していました。
学生時代の塾の先生が昔商社で働いており、アメリカ駐在やアジア出張のエピソードなどをいろいろと聞かせてくれたんです。新潟の田舎の方の出身だった私は、そんなスケールの大きな話にいつも胸を躍らせて、商社や海外に行く機会が多そうな航空業界という仕事にも憧れを抱いていたのかもしれません。
しかし、就職活動を進めていく中でなかなか希望の業界から内定がもらえず、大学の就職課に相談に行きました。そこで紹介された企業を五十音順で上から受けていこうと思い、上位にあったのが「ア」から始まるアルプス電気(統合前のアルプスアルパインの前身)で、それが当社との出会いとなりました(笑)。
もちろんそれだけで決めたのではありません。同じ大学の先輩がアルプス電気で働いているというので、電話をしてどんな会社なのか聞いてみようと思いました。OG訪問を電話でしたようなものですね。残念ながら先輩は不在でしたが、先輩のお父さんとお話しすることとなり「アルプス電気はいい会社だと娘から聞いている」とお父さんが背中を押してくれ、入社を決めました(笑)。
就職した業界は、学生時代の希望とは変わってしまいましたが、海外を飛び回るスケールの大きい仕事がしたいという目標は叶っています。
現場社員からの強い抵抗も、経験を積むことでうまくコミュニケーションが取れるように
社内基幹システムの導入は、会社目線で長期的に見れば効率化につながるものですが、営業や生産の現場にとってはいいことばかりではありません。今まで使用していた慣れ親しんだシステムが使用できなくなり、さらに新しいシステムや業務分担に対応する必要があります。加えて導入プロジェクト活動がタスク同時進行のため、かなりの期間にわたり負荷が増え、心身双方のストレスが現場にかかることになります。
それを実感したのは、初めての海外出張で行ったマレーシアでした。新しいシステムのトレーニングが目的だったのですが、新システム導入に対する現地メンバーからの抵抗が強く、要件定義フェーズへちゃぶ台返しのような反応となり苦労をしました。
何十年も同じ業務をやってきた一部の現地社員には、アセアンビジネスのことを何も知らない日本人がなぜそんなことを強いるのかと不満をあらわにされ、反対に今のシステムがどれだけ優れているかということを説かれて困ってしまいました。現地メンバーが変化に戸惑う気持ちもわかるのですが、システム導入後なお納得できないと毎日言われてしまい、苦しい思いをしました。
他の海外現法でも、同じような抵抗を示されました。転職が盛んな欧米では、前にいた会社とベースのシステムは同じなのに使い方が異なるのには納得できないと転職してきた社員に不満を言われることも。それでも、うまく伝わらなければ言い方を変えてみたり、違う角度から話を始めてみたり、時間を置いてもう一度話をしてみたりと諦めずに対話を重ねることで最後には導入まで漕ぎつけることができました。
愚痴が出るのはしょうがない。でも言いっぱなしにはしたくない
私自身も経験を積むことで成長し、今ではネガティブな気持ちを抱える方とも前向きに対話ができるようになってきました。
コミュニケーションにおいて相手は鏡に映る自分自身だと思います。相手に不満を持てば、相手も不満な態度を向けてきますし、ゆっくり穏やかに話せば、相手も冷静にこちらの話を聞いて言葉を選んで伝えてきてくれます。
今後も、自分と異なる考えを持つ人と協力する場面はたくさんあると思います。そんな時は、お互い納得できるまで前向きに、そして冷静に対話していきたいです。
働いていて愚痴や不満が出てしまうことは誰にでも経験があると思います。
でも、マレーシアや他拠点で愚痴を言っていた現地社員たちは、導入からしばらく経つと新システムの意義を理解してくれ、自発的に課題形成をして改善に努めたり、他のメンバーへのシステム教育を積極的にやってくれたりするようになりました。そういう姿を見るのはこの仕事の喜びの一つであり、前向きな姿勢を学ぶことができます。
つい愚痴を言ってしまうのは私も同じですが、私も彼/彼女たちと同じように不満は言いっぱなしにせず、それを糧に次のステップへつなげて最後には良い形になるよう心がけています。
仲間や上司たちから受け取った恩を、後輩たちへ
2017年からは、3年間ドイツのミュンヘンに駐在しました。駐在することで現地の感覚を肌で覚えることができ、現地の人が何を課題に感じて何を欲しているのかを理解しやすくなったように思います。
帰国後も欧州のシステム導入に関わる機会があったのですが、抑えるべきポイントやスケジュールの勘所のようなものがつかめるようになっていたので、以前のように漠然とした不安がなくなって冷静に仕事ができるようになりました。 ドイツでは、日本では関わらないような他部署の駐在員や現地社員とも深く交流することができ、知見が広がる良い経験でした。
駐在時代の思い出で強く残っているのが、現地の定年間近の女性とビアガーデンに行った際に言われた「Matured(成熟)しなさい」という言葉。おそらく、「人として深くなりなさい」という意味だと思うのですが、正解はわかりません。ただ、ことあるごとにこの言葉が頭に浮かんで、「この言葉の正しい意味はなんなのか。今の私は、あのころよりもMaturedしているのか」と自問しています。人生に思わぬ課題を与えてくれた彼女には、感謝しています。
上司からもたくさんのことを学んできました。
ある上司は、一緒に行った海外出張で現地社員からのあまりの抵抗の強さについ漏らしてしまった私の愚痴に対し、「腹を立てるのはわかるけれど彼ら、彼女らのいいところも見てあげよう」とアドバイスをくれました。口だけではなく、それを実行している方だったのでその言葉がストンと胸に落ちました。
別の上司は、普段穏やかな人だったのですが、ある時私たち部下を不利益から守るために自分より上の役職の人に怒る姿を見て驚きました。彼ら、彼女らからは物事を大局的に見る姿勢や守るべきものを守る強さなどを学んできたように思います。
帰国後はチームリーダーになりました。周囲から受けた恩を、今度は私が後輩たちに返していく番です。
入社時は愛着があまりなかったアルプスアルパインという会社が、今は周りの人たちのおかげで大事な場所になりました。ですから、不満があれば積極的に改善に努め、今よりも少しでも良いアルプスアルパインを次の世代に手渡していきたいと思っています。
きっと、社員一人ひとりが次の世代のために何ができるかを考える……いえ、ただ次につなげたいという気持ちを持つだけでもいいかもしれません。それだけで、未来はもっと明るくなるのではないでしょうか。
※ 記載内容は2024年3月時点のものです
