チームで喜びを分け合えるように──スクラムマスターのやりがい
──現在の仕事を教えてください。
アルプスアルパイン初の取り組みである、国内自動車メーカー向けのAndroid OSカーナビゲーションのソフトウェアコンポーネント開発を担当しています。いくつかあるソフトウェアコンポーネント開発チームのうち、1つのチームの開発を支援しています。
現在、私たちの開発チームでは、部内で唯一の取り組みとなるスクラムという開発手法を導入しています。スクラムとは、チームで価値のある製品を作り出すための開発手法です。計画・作業・関係者への製品デモ・やり方の見直しを短期間で繰り返して、開発を進めていきます。
開発を進めるスクラムチームは、ROI(Return On Investment)に責任を持つ人が1人(プロダクトオーナー)、支援する人が1人(スクラムマスター)、そして複数名の開発者から構成されます。
私はスクラムマスターを担当しており、メンバー一人ひとりの能力を引き出す大切な役割を担っています。具体的な手法として、ティーチングとコーチングというものがあります。メンバーに対して答えを提供するのが前者で、メンバー自身に考えてもらえるようヒントを出したり、質問を投げかけるのが後者です。メンバーの成熟度や状況によって使い分けています。
私は以前までは実際にソフトウェア開発をする立場だったので、現在のチームを支える役割を新鮮に感じています。チームのメンバーの成長を近くで感じられるのが楽しいですし、自分のことのように嬉しく思いますね。以前なら「早くソフトウェアを作れた」とか「不具合がなかった」など1人で感じていた喜びが、「メンバーが成果を出してくれた」など、メンバーと関わる中での喜びを感じられるようになったことが今の仕事のやりがいです。
入社2年目のメンバーがベテランのメンバーに対して、対等に意見をぶつけていたのを目の当たりにしたときは、嬉しく思いました。チーム内で意見しやすい雰囲気ができていたことにもやりがいを感じましたね。
また現在のスクラムチームでは、メンバー同士の協働が欠かせないため、私はいつも「ありがとう」の言葉を大切にするようにしています。そうすることで、チーム全体として「ありがとう」が広まっているのを感じます。チームで作業する良い雰囲気づくりができていると思います。
ただ大変なことも多いです。メンバーに対して厳しいことも言わなければならない時もありますし、孤独を感じることもあります。またスクラムマスターだからなんでも知ってないといけないと思い込み、1人で抱え込んでしまうこともありました。しかし現在はチームのみんなで答えを探そうという考えになり、気持ちに余裕も生まれましたね。
多くの経験を経て気づいた、人とのつながり
──現在に至るまでの経歴を教えてください。
大学では情報処理を専攻していました。就職活動の際には、実際に製品を触りながら開発ができることで、作った実感を持てるという理由からメーカーを志望。その上で、地元福島県を拠点に働きたいという理由からアルプスアルパインへの入社を決めたんです。
入社後は、海外車両向けのディスプレイ開発やソフトウェアアーキテクト(ソフトウェア構造のコンセプトや制約などを決める役割)などを経験しました。その中で、ありがたいことにたくさんの人に恵まれたと思います。入社前はソフトウェア開発の部署は寡黙な人が多いだろうと思っていたのですが、先輩はとても明るく親しみやすい人ばかりでした。部署や担当製品が変わってきた分、その都度関わる人も増えました。おかげで、いざというときに頼れる人の数は多くなりましたね。そういった意味で人とのつながりの大切さは常々感じています。
人とのつながりは、趣味のバンド活動にも関係しています。中学からバンドを組んでいて、現在は同じ会社の仲間同士で組んでいるバンドのボーカルを務めています。今のバンドは私がどうしてもボーカルをしたかったがために、メンバーを集めて組んだバンドです(笑)。バンドのメンバーで演歌やJ-POPをハードロック調などにアレンジしたりして、曲を歌っています。歌を歌うのは好きですし、メンバー同士で一緒にアレンジを考えるのが楽しいですね。
思い返せばいつもチームの支えがある
──印象に残っている出来事について教えてください。
過去担当していたオーディオのソフトウェアの市場不具合が発覚したことです。私はその不具合に関わる、通信部分のソフトウェア開発を担当していました。そのため不具合を再現、修正して検証するところまで一連の流れに携わることに。
実際にお客様の手に渡ってから判明した不具合だったので、当時はかなり切羽詰まった状況でした。不具合が発覚してから1~2カ月はチーム総出で取り掛かっていましたね。心が折れそうになったこともありましたが、メンバーの支えのおかげで乗り越えることができました。
不具合を出してしまったことは当時の挫折ですが、その中でもチームで取り組むことの大切さを身に染みて学んだことが今に生きています。当時のメンバーには感謝しかないですし、この失敗をポジティブに捉えて成長につなげることができました。
また育児休業中のことも印象に残っています。妻の出産後、1カ月間家族のサポートに専念しました。子育ての大変さを痛感しましたし、先輩パパママはこんなに大変なことを経験しているのかと驚きました(笑)。
ただ同時に子どもの成長を間近で見ることができる楽しさも感じました。昨日できなかったことが今日はできるようになった……ということを1番近くで見られた貴重な期間でした。自分も「子どもに負けずに成長しなくちゃ」と刺激にもなりますね。「開発者としての代わりはいても、父親の代わりはいないよな」とあらためて思いました。育児休業中に業務のサポートをしてくれた同僚には感謝してもしきれません。
スクラムをもっと身近に──メンバーの能力を引き出す
──将来の展望を教えてください。
今後はワークショップデザイナーという資格を取得して、自分と関わる人の能力を高めるエキスパートをめざしたいです。ワークショップデザイナーとは「コミュニケーションの場づくりの専門家」(WSDとは? | 青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム (aoyama.ac.jp)より)という位置づけにある資格です。今後この資格を取得して、現在の業務に活かしていきたいと思います。
中長期的な目標として、私たちのスクラムのような、チームで取り組む手法を社内でより広めていきたいと考えています。なぜならスクラムマスターのような、メンバーの能力を最大化させる役割の重要さがあまり社内で認識されていないからです。この役割はソフトウェア開発以外でも役立つので、社内でより重要さを広めていきたいと思います。
そのためにも、私たちのスクラム活動を今後も継続していきます。他の人が真似したくなるようなスクラム活動をめざして、メンバー一同で頑張ります。
※ 記載内容は2023年12月時点のものです

