育休取得を支えた周囲の理解と協力。健全な組織風土がワークライフバランスを育む
2015年に新卒入社し、それぞれ異なる部門で活躍する同期3人。猪狩 祥平は2019年、多田 和正は2020年と2022年、北村 康悟は2023年に育休を取得しました。
猪狩:当時も今と同じ道路や鉄道の沿線斜面の防災点検業務などを担当していて、娘が生まれたのはちょうど繁忙期に当たる2月。妻が里帰り出産し、私は仕事が落ち着いてから1週間の育休を取りました。
育休取得を思い立ったのは、社内で男性育休が推進されていることを知っていたからです。人事のメンバーからの勧めもあって取得を決めました。
多田:私は営業職として愛知県の自治体を担当していました。育休期間は第一子誕生時に1週間ほど。第二子が生まれた時は約1カ月でした。営業職の男性社員が育休を取得する前例が少ない中、自分がロールモデルになるつもりで取得を決めました。
北村:私は人財開発室に所属し、キャリアパス構築やタレントマネジメントシステムの運用、研修企画などを担当しています。当時は管理職昇格試験の事務局として運営をしているさなか。予定より1カ月早い出産となり、忙しい時期と重なりましたが、約1カ月休ませてもらいました。
私は社内の人的資本について考える立場にあります。当事者として、育児休業給付金や勤続年数の扱いなど制度への理解を深めるためにも、上司と相談しながら早い段階から育休取得を決めていました。
猪狩:周囲の反応はどうでしたか?私の場合は、「取ります」と早くから宣言して事前に調整していたので、非常に好意的でした。育休期間中は仕事が割り当てられないようにしてもらうなど、周囲の配慮に大いに支えられたと感じています。
多田:育児中の先輩社員に相談したところ、「自分がフォローするから、ぜひ取るといいよ」と背中を押してくれました。上司の反応も前向きで、担当業務の振り分けを含め、育児経験のある先輩社員を交えて準備を進められたことにも助けられましたね。
お客様である自治体の方々にも事前に伝えましたが、自治体では男性による育休取得が進んでいるため、温かく受け止めてもらえました。
北村:私の場合も同様です。忙しい時期に休むことに後ろめたさがありましたが、周囲は快く支援してくれました。社外で唯一やりとりがあった研修の委託先についても、上司が間に入って打ち合わせをしてくれるなど、協力を得ながら進めることができました。
家族との時間がもたらす貴重な経験。育児を通じて得た気づきと学び
育休期間の過ごし方は三者三様。初めての育児に苦労しながらも、家族と向き合う時間ができたことで、それぞれ貴重な気づきや学びがあったと振り返ります。
猪狩:すべてが初めての経験でした。粉ミルクは体温と同じくらいの温度になるまで冷ましてから飲ませるなど、毎日新しいことに直面するたびに適切な方法を調べ、実践する。その繰り返しでした。育児は片手間でできることではありません。仕事のことを忘れられたからこそ乗り切れたと思っています。
北村:出産が予定より早かったため子どもの入院期間が長引き、片道1時間かけて病院に通う必要がありました。病院に行かない日もやることが山積み。あっという間の1カ月でした。体力的には仕事よりも負担が大きかったと感じます。
多田:私は夜泣きに苦労しました。ふたりとも1歳半くらいまで続いたため、妻も私もひどく疲れていたのを思い出します。
北村:ああ、たしかに。子どもが退院してからは、わが家でも夜泣きとの格闘が始まりました(笑)。2時間おきに起こされていたこともありましたね。
猪狩:夜泣きはどこの家庭でも大変ですよね。そうした出来事を含め、家族と向き合う時間を持てたことは非常に貴重な経験でした。休暇を取得していなければ、育児の大変さを理解できなかったと思います。
多田:私も猪狩さんと同じ意見です。週末だけ育児に参加していても見えないことがたくさんあります。まとまった期間、育児に向き合えたことが学びになりました。
北村:そうですね。子どもが生まれた直後の期間を一緒に過ごせたことは代えがたい経験になりました。お風呂の入れ方やおむつの交換の方法など、看護師さんから予備知識を得た上で育児に臨むことができたのも、育休を取得したからです。また、1カ月という育休期間も妻と私にとってはちょうど良かったと思っています。
多田:私は最初の育休で1週間では短いと感じたため、妻と相談して2人目は約1カ月の休暇取得を決めました。幸い、私が育休を取得した12〜1月にかけては営業の現場が比較的落ち着いている時期で、仕事上も大きな問題はありませんでした。職場の状況次第だとは思いますが、個人的には、育休期間は長ければ長いほど良いと思っています。
猪狩:私も多田さんに同感です。1週間仕事を休むとなると一見長く感じますが、家庭にとっては必ずしも十分ではありません。妻は今回の取得期間には満足してくれていましたが、次回は家庭内でも相談しながら期間を決めたいですね。
育休を経て手にした新たな仕事観と人生観。より自分らしい働き方を求めて
職場復帰後は、仕事に慣れるまでに多少の時間が必要だったと話す3人。しかし、育休を通じてそれ以上に大きなものを手にしました。
北村:育休中に溜まっていたメールがあった分、進捗状況を把握して流れに乗るまでは少しだけ時間がかかりましたが、大きな壁は感じませんでしたね。
多田:私も復帰直後は職場と家庭の時間の流れ方の違いを感じましたが、当時8年目で仕事に慣れていたこともあり、思いのほか早く感覚を取り戻すことができました。
猪狩:当社には夏季休暇があるなど、育休以外で長期休暇を取る人が多くいます。結果的に仕事に大きな支障がなかったのは、そんな組織風土があるからかもしれませんね。
多田:ただ、育休中に育児の大変さを肌で感じたことで、復帰後は早く帰宅したいと思うようになりました。家族とより良い関係を築くためにも、積極的に時間を共有するようにしています。
北村:私も出社日はなるべく早く帰宅するようにしていますが、働き方よりも仕事との向き合い方が変わった気がします。たとえば、研修を企画する際、以前は専門的な話をわかりやすく伝えることに重点を置いていましたが、育休後は働きがいや仕事へのモチベーションをテーマにした研修を取り入れたいという思いが強くなりました。
入社当時と比べて会社を取り巻く状況は大きく変わりましたが、これからは変化のスピードがさらに速くなるでしょう。父親として子どもの将来を考えるようになったことで視野が広がり、長期的な視点が身についたと感じています。
猪狩:繰り返しになりますが、あらためて家族の大切さに気づけたことが財産になりました。遅くに帰宅しても、わざわざ寝室から出てきて「お帰りなさい」と迎えてくれる家族の存在が、私の原動力になっています。
育休後も仕事と育児の両立に励む3人。それぞれ自分らしい働き方を模索しています。
多田:子どもが寝た後に仕事を再開したり、細切れ時間を仕事に充てたり。コントロールできる範囲で、なるべく子どもと過ごす時間を増やすようにしています。
猪狩:私は家族と過ごした時間のあとは仕事をしないタイプですね。仕事とプライベートを明確に線引きして、娘と同じ生活リズムを維持するよう心がけています。
北村:私は在宅勤務や時間単位有給など、社内制度を積極的に取り入れてきました。子どもがまだ小さいため家族で外出する機会がなかなかないので、妻と交代で外食に出かけるなど、時間をうまく使ってワークライフバランスを実現しています。
育児休業のその先へ。やりがいを感じながら働ける環境だから描ける未来
誰もが育児に参加できる組織風土づくりに向けて、実際に育休を経験した立場から、3人はそれぞれ次のように提言します。
北村:育休に関する制度の整備は進んでいますが、法改正にともなって日々変化しており、内容が非常に複雑です。そのため、社員に十分に周知されていません。情報提供の仕組みを整えることが重要だと考えています。
猪狩:そうですね。たとえば、月末時点で育児休業していればその月の保険料が免除になることなど、社内ではほとんど知られていないのが現状です。諸制度に関する有益な情報が取得しやすいよう、窓口を一元化するといった環境整備が急がれます。
多田:私もふたりの意見に賛成です。そうした地道な取り組みを重ねながら育休取得者を増やしていくことが、すべての従業員が家族と充実した時間を過ごし、健康でやりがいを感じながら働ける企業になるための近道だと思っています。
北村:父親の観点から言えば、男性も育休を取得するべきです。子どもが1日中泣きやまない時期があることなど、育児の現場に居合わせなければ知り得ないことがたくさんあります。体がみるみるうちに大きくなっていくような、貴重な成長過程を見られるのも、生後数カ月だけですから。ぜひ経験してもらいたいですね。
猪狩:その通りです。日を追うごとに子どもの行動範囲が広がり、ずっと後を追いかけ回っていたことを思い出します。
多田:私は育休を取得して初めて、妻と同じ目線を知ることができたと感じました。それまで自分ができていたのはほんの一部。ほとんど何の役にも立っていなかったことに気づかされました。育児とは何かを理解するためにも、ひとりでも多くの男性社員に育休を取得してほしいと思います。
育休を経て、父親としてもビジネスパーソンとしても大きく成長した3人。アジア航測だから描ける未来図があります。
北村:子どもに誇れるような仕事をしたいですね。社会的意義の高い事業を展開している当社なら、それが可能だと信じています。職種にこだわらず、さまざまな仕事に挑戦するつもりです。
猪狩:幅広い経験や人々との出会いを通じて、価値観を深めたいと考えています。現在、社内ベンチャー制度を利用して、当社が得意とする赤色立体地図に関する新規プロジェクトを計画中です。興味あることに挑み続けることで、人生をより豊かにしていけたらと考えています。
多田:社会がどのように変化したとしても残り続ける仕事がしたいです。アジア航測でしかできない、誇りを持てる仕事を成し遂げることが私の目標です。
いま、アジア航測はワークライフバランスを重視した職場環境を整備し、すべての従業員が健やかで、やりがいを持って働ける企業をめざしています。
当社では、「家族との時間を充実させるための雇用環境を整備する。男性・女性問わず、出産・育児・介護に参加できる職場風土をつくり、男性の育児休業の取得を推進する」と 『一般事業主行動計画』で定めています。
少子化は社会的な課題。次世代を育てていくためにはさまざまな関わりが必要になります。男親の育児参加も大切なことと捉え、より積極的な関わりや取り組みを進めていきます。
そんな新しい働き方を体現する新しい時代の先駆けとして、3人はこれからも、家族とアジア航測の未来のために、新たな価値を創造し続けます。
※ 記載内容は2024年6月時点のものです
