1人で悩むより、皆でアイデアを出し合った方がいい。チーム全体で良いものを作る
電気自動車などが「走る」ために必要なギア、モーター、インバーターを1つにまとめてパッケージ化したeAxle(eアクスル)。電動化時代のクルマの中核となる部品の1つです。キムが所属するPTモータ技術部 第3設計室は、このeAxleの部品を設計する部署です。
「第3設計室は、電気を供給して回転するロータとステータという部品を設計しています。これは、クルマの駆動軸としてエンジンの代わりとなる重要な役割の部品です。
中でも私が所属するグループは、タイヤに動力を伝達するための機能を持つロータを担当しています」
現在、チームリーダーを務めるキム。設計者としての仕事とリーダーとしての役割を両立しながら業務にあたっています。
「チームリーダーとしては、お客さまが希望する開発日程に合わせて計画を立て、PDCAを回しながら進捗を管理することが主な役割。設計者としては、ロータが高温・高速回転の環境下でも品質を保てるよう解析や機能成立の検討を行い、実際に試作品を作って評価することを担当しています」
チームは、20代から40代の社員が中心。キムをはじめキャリア入社の社員も複数所属していますが、コミュニケーションを活発にとりながら仕事を進めることを大切にしています。
「気になったことやわからないことがあれば、すぐに周りの人に声をかけて質問し合える雰囲気があります。目の前の仕事の話だけでなく、『こういうことを考えているんですが、どう思いますか?』といった話題も自然と出てくるような和やかな雰囲気です」
キム自身もチームリーダーとして、品質を上げるためのコミュニケーションや働きやすい環境づくりを心がけていると話します。
「1人で悩むよりも皆でアイデアを出し合った方が早く進みますし、いろいろな視点から見た方が改善点も見つけやすくなります。以前の自分の働き方を振り返ってみると、業務量が多い時期は時間に追われて十分に意見を出せなかったこともありました。
でも今は、自分から率先して声を上げることを心がけています。チーム全体がより効率的に働けて、お客さまにとって最適な提案をしっかりと考えられる環境を作っていきたいと思います」
自分の目で確かめながら製品を作りたい。技術力と開発環境に惹かれてアイシンへ
2021年にアイシンに入社したキム。前職では外資系の自動車部品メーカーに勤務し、クルマの「曲がる」機能を制御するステアリングモーターの設計を担当していました。
約5年間キャリアを積んだ後、転職を考えるきっかけになったのは、グローバル企業ならではの葛藤を感じたことでした。
「本社も海外にありますし、コストを抑えるという側面から工場も海外に置かれていました。そうなると、設計者が直接製品を確認することが難しいのです。コロナ禍では、製造現場で何か問題が発生した時でも遠隔での対応を余儀なくされました。時差があるため、本社のスタッフとの意思疎通に苦労することも。
そこで、自分が手がける製品を直接見ることができる環境があり、先進的な製品の開発にも携われる会社に転職しようと考えるようになりました」
そんな中、選択肢として浮かんできたのがアイシン。実は当時から、アイシンの製品に注目していたと振り返ります。
「他社製品を分析して研究することがあるので、アイシンの技術力の高さは知っていました。とくに樹脂成型などの技術面で、コストが高くつくはずのものを採用していることに驚いたことがあります。
採用したということは、コスト面の問題もクリアしているということなので、『なぜアイシンではこれができるのだろう』と考えていました」
加えて、課題に感じていた製造現場とのコミュニケーションについても、アイシンの環境に魅力を感じたと言います。
「仕事は何十年と続けていくものですから、周りの人たちと密にコミュニケーションをとりながら進めていくことが大事だと考えています。ですから、プロトタイプを作るところから量産のための工場まで、すべてが愛知県内に集約されている環境は魅力的でした。
いろいろと調べていくうちに、先端技術の開発にも携われること、他部署も含めていろいろな人が交わりながら開発している文化があることを知ったことで、アイシンに決めました」
胸を張れる製品を作りたいという想いは同じ。課題が見つかれば皆で解決する
アイシンに入社後は、現在のPTモータ技術部に配属。扱う部品は変わったものの、前職でのキャリアが活かせていると話します。
「製品を量産化するプロセスや品質保証の考え方など、自動車業界の基本的な部分は共通しているため、すぐに適応することができました。もちろん技術を深く掘り下げていくとまったく異なる世界なのですが、前職で学んだ知識をベースに新しい領域に発展させることができています」
これまでの経験に新たな知見を加えながら、即戦力として活躍しているキム。転職の理由でもあった「周りの人とコミュニケーションをとりながら良いものを作りたい」という想いをかなえる経験もしたと続けます。
「近年、サステナビリティの観点から、電力使用量や温室効果ガス排出量の削減が注目されています。私の担当する製品でも、電力コストを削減しながら同じ性能を出すための工程を取り入れることになりました。しかし、当初の設計では問題ないと考えていた部分で、トラブルが発生してしまったのです。
その時は、チームのメンバーがすぐに集まり、一つの部屋でアイデアを出しながら最終的に原因を特定して対策を講じたことで、無事に生産まで漕ぎつけることができました。大変ではありましたが、その過程がとても楽しかったんです」
こうした経験からも、皆でアイデアを出しながら品質を上げていくために、メンバーとコミュニケーションをとる際には、自分の意図をより正確に伝えるようになったと言います。
「文章だけで伝えると、私がAだと考えていることを相手はBやCだと解釈する場合があります。そこで、図面やイラストなどを使って『私はAが良いと思っています』ということを早い段階で伝えるようにしています。
それぞれ知識を持った技術者なので意見が分かれることはありますが、『胸を張れる製品を作りたい』という想いは同じ。複数の意見が出た時は、原点に戻って矛盾がないかを確認しながら良いものをめざしています」
限られたリソースでもできることを最大限考える。ポジティブな議論がアイシンの強み
皆の知見を持ち寄って、より良いものをめざす──それが実現するのは、チャレンジ精神のある風土が根付いているからこそだと語ります。
「予算やリソースには限りがありますから、数字上は難しそうに見える課題もあります。でも、実現のためのアイデアを出し合う文化があるんです。最初は『無理かもしれない』というネガティブな入り口だったとしても、すぐにポジティブな議論に変わっていく。そこがアイシンの魅力です」
また、お客さまとの関係性においても、アイシンの強みがあると言います。
「お客さまの要求通りの製品を提供して終わりではなく、その先を提案しているんです。『私たちはここまでできますが、求めているのはもう一段上のものではないですか』など、お客さまとしっかり話をして本当のニーズを引き出し、それに応えているところが強みだと思います」
望んだ環境で成長してきたキムは、アイシンという舞台で、技術者としてもチームリーダーとしても、さらなる成長を見据えています。
「将来的には、アイシンのラインナップを使えばどんな車両でも作れるようなモジュール設計を提案したいと考えています。とても難しいことはわかっていますが、小型車からSUV、トラックやバスまで、さまざまな車種に対応できる製品を作ることが目標です。
自分たちの成長が会社の成長になるはずなので、それが自動車業界の中でアイシンの競争力を高めることにつながればいいなと思っています」
学生時代に留学したことをきっかけに、日本で就職したキム。日本語を学びながら仕事も覚え、社会人としてのキャリアを積んできました。だからこそ、皆に伝えたいことがあります。
「私は前職でもアイシンでも、素晴らしい先輩方に恵まれたことで日本語も上達し、仕事もできるようになりました。大変な時もありましたが、先輩から『1日に1つ、ちゃんと仕事を完了していければ、目標はかなうよ』と励まされた言葉は今でも心に残っています。
人間関係で悩んでいる人もいると思いますが、少なくとも私が働いてきた場所は良い人がたくさんいました。これからは、その感謝の気持ちを周りの人たちに還元していきたいですね」
※ 記載内容は2024年11月時点のものです
