中期経営計画の概要について
──現在掲げている中期経営計画の内容を教えてください。
当社はデジタル技術を活用し、取引先・お客様の潜在的ニーズに応えるソリューション提案型企業「デジタルソリューション企業」を目指しております。
現在、当社の売上高の約6割(※ 2024年度時点)を自動車関連事業が占めており、ものづくりの分野におけるデジタル技術を活用し、新たなソリューション提案を行うことを目指しています。その第一歩として、中期経営計画では設計に焦点を当てて「設計を基軸にしたデジタルソリューションを提供」することを目標のひとつに置いております。
従来のビジネスモデルから一歩先に踏み出し、お客様自身もまだ気づいていないような困りごとやニーズを先回りして捉え、当社がこれまでに培ってきた技術や知見を活かして、独自のソリューションとしてご提案してまいります。今後は、より“攻め”の姿勢で、課題解決に貢献する企業へと転換していきます。
計画策定の背景
──なぜ、今回ソリューション提案型企業へ変革されたいと考えたのでしょうか?
大きく2つの理由があります。まず1つ目は超長期的な視点で、日本国内の労働人口の減少による人材採用の難化が挙げられます。今後、新卒・経験者を問わず人材の確保がより難しくなっていくことが予想されるなか、これまでのように採用人数を増やすことで業績を拡大するビジネスモデルでは、持続的な成長が難しくなると考えています。
2つ目はお客様からのニーズがより高度化・多様化している点です。当社は創業当初、能力の高い技術者を一時的に活用したいなどのお客様のニーズに応えるため、技術者の派遣を行ってまいりました。その後は、お客様からの業務の一部を当社が請け負い、完成品として納品する「請負型」の体制へとシフトし、さらに近年では、専門性の高い技術領域ごとのチームによる請負体制を構築し、より高度な技術支援を提供しています。
しかしながら、特に自動車業界を中心とした国際競争の激化により、お客様から求められる水準は年々高まっています。当社ではこうしたニーズに応えるため、数年前より技術者のスキルを底上げする研修の抜本的改革や、経験者採用による技術力の強化に取り組んできました。
とはいえ、業界全体の景気が悪くなると、当社の売上利益も減少してしまう、景気の波に左右されやすい状況であることは変わりません。この状況を変えるためには、受け身のビジネスモデルにとどまらず、自社で独自の技術を開発し、他社やお客様自身も気づいていない潜在的な課題を捉え、積極的にソリューションを提案していく必要があります。
そのため、私たちは今後の成長戦略の柱として、「独自技術の開発力」や「問題解決力」のさらなる強化を掲げています。人材開発および技術開発への投資強化を進め、持続的な成長を目指す「デジタルソリューション企業」への変革を掲げました。
新たな戦略的取り組み
──独自の技術開発を行うとのことですが、どのようにされるのでしょうか?
2022年10月に技術研究機関としてイノベーションセンターを設立いたしました。ここでAIやARなどの先端技術開発を進めております。また、技術教育改革も順次進めており、当社の技術者が先進技術を学べる場を作っています。そして技術者のアイデアを実現する体制づくり、仕組みづくりも進めています。
──今後の成長戦略に向けた新たな取り組みとしてはどのようなものがありますか?
新たな戦略的取り組みとして次の4つを掲げています。1つ目が、「既存事業のさらなる発展や付加価値創造」です。こちらでは、主に、軽量化技術の発展、環境配慮設計の推進、ソフトウエアや電子部品開発、組込/制御ソフト開発の分野拡大の3つの方向性で事業を進めていきます。
当社の売上構成の約6割(※ 2024年度時点)を占める自動車関連産業において、開発費は増加傾向にあり、EV自動車などの次世代自動車の生産割合も拡大しています。これに伴い、持続可能な社会の実現に向けたグローバルな動きや、サステナビリティを重視した製品開発の流れを背景に、さらなる軽量化や環境配慮に対するニーズの高まりが見込まれます。こうした変化を捉え、当社では重点的に取り組む技術分野として位置づけております。
2つ目が、「解析事業の拡大」です。当社独自の解析技術を開発することで、試作品作成の工程を削減できるソリューションを提供していきます。試作回数の削減により、試作コストの低減やリードタイムの短縮につながります。
また将来的には、当社が研究開発を進めているAR技術を、解析技術と組み合わせることで、より直感的かつ視覚的に検証が行えるソリューションの提供を目指しています。これにより検証工数の削減を実現し、設計者がより自由で柔軟な発想をもって開発に取り組める環境づくりを進めてまいります。
3つ目が、「お客様向けDXソリューションの複数展開」です。設計ソリューションにおいては、図面や資料の自動作成ツール、設計検討支援ツール、設計チェック支援ツールなどの開発を進めています。さらに、AIやAR技術を活用したソリューションの開発にも取り組んでおり、さまざまな業務シーンにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に貢献すべく、事業のさらなる展開を目指してまいります。
そして最後4つ目が、「オフショア開発を含めたグローバル展開」です。業界の国際競争の激化、国内で優秀な技術者の採用が難しくなることが予想されることから海外展開を進めていきます。海外においても国内同等の品質を担保するために、アビストのものづくり思想や技術を習得した技術者を中心に拡大を目指します。
そのために、2019年よりさまざまな国籍の技術者を採用し、当社内で教育や業務を通じて技術習得を進めています。国際競争力が高まる中で、優秀な技術者の採用や、海外取引先への拡大を狙い海外展開していきます。
今後の展望
──数値目標などはございますでしょうか?
2027年9月期において売上高125億円、営業利益13億円、最終利益9.1億円を目指しています。2022年9月期では売上高93億円、営業利益7.3億円、最終利益3.6億円でしたので、売上高にて33%増、営業利益にて76%増になります。
売上高に関して既存の領域で着実に伸ばしていくことに加え、デジタル解析ソリューションなどの新領域にて売上の倍増を見込んでおります。それに伴い、利益の確保、足元の投資の成果が実を結ぶ計画です。
──最後にステークホルダーに向けてメッセージをお願いします。
社会、働き方、お客様の価値観など、当社の事業を取り巻く環境が変化する中で、私たちはデジタル技術を活用し、顧客の潜在ニーズに応えるソリューション提案型企業「デジタルソリューション企業」を目指して改革を実行していくことで、新たな成長を実現し、お客様、投資家の皆様の期待を越えて社会に貢献していきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
