先端技術で現場を支援。経験豊富な社員がリードする、BIM/CIM内製の道
林が現在所属する土木部 現場支援室。ここは「主に工事におけるBIM/CIM(建設現場の情報を3次元モデル化して活用する技術)の活用」を見据え、高度なデジタル技術を専門的に扱うために設立された組織です。BIM/CIM班、システム班、動画制作班から成り立っています。
「各支店でもBIM/CIM担当者はいますが、対応しきれないケースも少なくありません。それらを含めて、本社土木部の現場支援室にて担当しています。BIM/CIM班のメンバーは5〜6名おり、私の役割は現場とデジタル技術の橋渡しです。長年の施工管理経験があるため、図面から工事の全体像を即座に理解し、現場と同じ視座で対話ができます。
具体的な業務は、工事の進め方をデジタル上でシミュレーションするために『BIM/CIM活用計画書』を策定したり、現場を仮想空間に再現する『3次元モデル』の構築、出力、およびドローンを使用した計測業務まで多岐にわたります。契約仕様書にある抽象的な要件を具体的な計画に落とし込み、予算を含めて発注者との合意形成を図るまでが私たちのミッションです」
林は本社勤務が基本ですが、現場へ行くことも大切にしていると言います。
「データには表れない現地の空気感を把握し、所長と信頼関係を築くために現場へ足を運びます。現在担当している茨城県の案件でも、月に1回は訪問し、自らドローンを飛ばしてデータ収集や打ち合わせを行っています」
そんな林たちによる支援は、工事のあらゆるフェーズに及びます。
「工事を受注してから約45日の準備期間中に、現場が施工計画を策定するのと並行して、私たちは『BIM/CIM活用計画書』を作成し、発注者へのプレゼンテーションを行います。3次元モデルの具体的な活用方法と費用対効果を提示し、予算の承認を得るプロセスです。着手前に双方の認識を合わせ、適切な予算を確保することが、その後の円滑なプロジェクト進行の鍵となります。
その後、工事初期には『4D施工ステップ(3次元モデル+時間軸)』などを作成し、施工手順の可視化や、協力会社・地元住民への説明資料として活用されます。また、工事初期~中盤には設計上の課題解決に向けたスポット対応を行い、竣工前には報告書作成や電子納品データの整理を通じて、工事の成果をデータとして納品可能な形に仕上げていきます」
各担当者は常に複数の案件を抱えていて、工事の進行に合わせて対応しています。だからこそ、「経験の密度」もこの仕事の醍醐味だと林は話します。
「現場支援室では多くの案件に同時並行で関わることができます。他のメンバーの相談を聞くだけでも多種多様な工事の知見が蓄積され、知識のハブとして機能するおもしろさがあります。常に新しい技術や事例を学び続けられる環境に、日々刺激を受けています」
陸上、海上、そして発注者側へ。視座を高め続けたキャリアが今の「現場支援」の土台に
林の建設業界への道は、大工をしていた父の影響から始まりました。学生時代も土木・建築系を専攻し、専門知識を学んだ林は、社会基盤を支える土木の魅力と、陸上・海上双方を手掛ける技術力に惹かれ、若築建設へ入社を決意しました。
2006年に入社後は、北陸支店を皮切りに新幹線、原発関連、港湾、下水道、河川、道路など多種多様な工事を経験。若くして現場代理人を務めるなど、施工管理の最前線で技術者としての足腰を鍛えました。
「転機は30歳前後です。ベテラン所長たちから学ぶ中で、単なる図面通りの施工から脱却し、設計意図や発注者の背景までを読み解く視座を獲得しました。プロジェクト全体の最適化を考えた提案ができるようになったのは、この頃からです」
その後、積算業務などを経て、2019年から先端建設技術センターへ出向。2年半にわたる国土交通省の発注者支援業務を通じ、発注者の意思決定プロセスや設計資料を隅々まで読み解くスキルを習得しました。
出向を終えて名古屋支店へ戻った林。これまでに従事した道路、港湾工事での経験が、まさに現在の現場支援室へとつながる大きな転換点となりました。
「名古屋支店所属時、当時の土木部長から『道路工事で新しく導入した3次元ソフトを試してみてほしい』と指名されたのが始まりでした。当時はまだ業界全体でルールも定まっていない黎明期でしたが、私は現場でハイスペックパソコンを用意し、三重県の現場にいた先輩と相談しながら、まずは『3次元で現場を再現する』ところから手探りで始めました」
その後、現場代理人として従事した名古屋港の護岸工事がBIM/CIM適用案件となりました。
「支店からデータは受領しましたが、納品形式のノウハウは確立されていませんでした。そこで国土交通省のガイドラインを読み込み、要領を精読し、要件を満たす形で納品を完遂しました。こうした実績と経験が評価され、2023年に本社へ着任し、現在のキャリアがスタートしました」
さまざまな現場経験を経て今の部署に配属された林。これまでの経験は今も生きていると語ります。
「現場支援室での業務は、単なるデータ作成ではありません。3次元モデル化の最大の効能は、設計不備の早期発見によるリスク回避にあります。2次元図面では気づきにくい整合性の不備や用地の問題などを、着工前のモデリング段階で発見できるのです。
これまで多くの図面を見てきた経験も活かしつつ、3次元モデルを作る中で得られた課題を現場作業所長にも共有し、発注者への確認を促すことで、工事の手戻りやトラブルを未然に防いでいます。これは現場を知っている私だからこそ発揮できる価値だと自負しています」
自らの提案でプロジェクトの付加価値を高める。現場支援室で働くおもしろさ
現場支援室として最前線を支えている林。プロジェクトを推進した象徴的なエピソードがあると言います。ある河川工事では、地形が複雑で設計が定まっていないという課題がありました。
「現場所長と協力し、2次元の計算と3次元モデルを突き合わせながら『この形状なら施工可能である』という実現可能な案を作成しました。すると発注者から『若築建設で図面化してほしい』という依頼をいただき、社内の設計部署とも連携して対応しました。
3次元モデルを基に変更図面、変更数量をまとめることは弊社では初めてのことでしたが、発注者・現場・現場支援室が一体となって最適解を導き出し、円滑な施工につなげることができました」
こうした現場と協力する関係を築く上では、林が一貫して大切にしている「現場との対話」があります。
「業務推進において、とくにBIM/CIMに馴染みのない現場作業所長に対しては、まず『なぜ必要なのか』という導入意義を丁寧に伝え、納得感を得ることから始めます。その上で、計画書はあえて『70%の完成度』で提示しています。
あえて余白を残し、『所長ならどう活用したいですか?』と相談する余地を作るのです。そうすることで、現場視点のアイデアを引き出し、より実用的な計画へと練り上げることができます。
また、月1回のWeb定例会の時間も大切にしています。各メンバーが状況などを確認する目的で行う会議なのですが、会話の中から工期の変動や数量変更の兆候を早期に把握する機会にしています」
他にも、チーム内では、互いの知見を共有し合う文化が根付いていて、地域ごとの特性や未知の課題に対し、組織として対応する体制があると言います。
「基準や要領は毎年改定され、新しいソフトウェアも次々と登場します。まずは私や上長が最新情報を読み解き、『何が変わったか』『どう対応すべきか』を噛み砕いてチームへ水平展開しています。現場を迷わせないために、まず自分たちがプロフェッショナルとして最新知見を習得し、リードすることを徹底しています」
現場一筋だった林。現在の仕事にも新たな「やりがい」を感じています。
「受注直後の『見えない課題』を探求するフェーズには、大きな高揚感があります。設計書から潜在的な課題を見つけ出し、解決策を提案することで、プロジェクトの付加価値を高め、契約金額の増額という形で正当な評価を得られることもあります。自分たちの提案がプロジェクトの価値向上に直結したと実感できる瞬間ですね」
これまでの知見を還元したい。責任ある仕事をできるところこそ、若築建設の魅力
これからのビジョンについて、林は自身の持つ「ハイブリッドな知見」を還元していきたいと語ります。
「『陸と海の工事現場』『施工者と発注者』『現場と内勤』という多角的な視点を持つ自分だからこそできる支援を続けていきたいと考えています。発注者の背景にある意図や設計思想を現場に解説し、所長や若手がスムーズに工事を進めることができるよう、自身の経験を還元していく存在をめざしています」
これまで若築建設で長く経験を重ねてきた林。当社にフィットする人物像について、林は「元気で好奇心旺盛」というキーワードを挙げました。
「工事にまったく同じものは2つとしてありません。常に異なる条件下でプロジェクトが進むからこそ、前例に縛られず『なぜこうなるのか?』と本質的な疑問を持ち、自ら調べ、周囲に相談しながら最適解を導き出し、適宜判断を下せる姿勢が不可欠です。
日々進化する技術や新しい情報に対して貪欲に吸収し、楽しみながら自らのスキルとして積み上げていける方は、この仕事に大きなやりがいを感じられるはずです」
最後に、これから建設業界をめざす学生に向けて、若築建設の魅力についてこう結びました。
「経営層との距離が近く、意見交換がしやすい『風通しの良い規模感』があります。また、若手のうちから責任あるポジションを任されるなど、経験の幅が広く、成長スピードが速いのも特徴です。与えられた役割をこなすだけでなく、主体的に工夫し、自らの手で成果を生み出すおもしろさを味わえる環境があると思います」
現場支援室という新たなフィールドで力を発揮する林やチームの存在は、これからも最前線の施工を進化させ続けていくでしょう。
※ 記載内容は2026年2月時点のものです
