どんな経験も次のステップに。事務系キャリアの私が現場で手にした大切なもの
2026年4月から総務部長兼人事部部長を務める栗川。総務部門では、毎年6月末に開催される株主総会の準備・運営をメインに、取締役会の事務局、社規の制定、会社経費の管理など幅広い業務を担当しています。また、人事部門では現在採用を強化し、入社後の研修・教育も含めた人材開発を進めています。
栗川自身は1995年に若築建設に入社し、昨年入社30年目という節目を迎えました。そのキャリアは、実に多彩です。
「入社後8年間は、九州支店や東京支店の管理部にて経理や工事管理、総務業務を担当しました。その後2003年に本社の経営企画部に異動し、中期経営計画の策定やグループ会社管理を担当。グループ会社の決算をサポートしたこともあり、決算業務を勉強しながら仲間と協力してやり遂げた時には、大きな達成感を覚えました」
さらに2007年には、開発・不動産部に異動。宅建資格を取得し、不動産の売買契約や建物管理を経験。そして、キャリアの中で最も印象深いのが、2013年4月からの2年間だと言います。
「東日本大震災の原発事故の影響を受けた福島県郡山市で、放射線量の高い住宅などを除染する作業所の所長を務めることになったのです。私はそれまで事務系のキャリアを歩んできたので、現場の作業所長を務めるなんて、想像もしていませんでした。
これまでの部署での経験から、メンバーをまとめたり住民との話し合いを主動したりできると見込まれ、任されたのだと思います」
郡山では、何百軒という住宅の庭の土や芝生の入れ替え、屋根の洗浄や庭木の剪定、側溝に溜まった土の除去などの作業現場を毎日歩き回り除染作業を統括した栗川。発注元や下請け会社との打ち合わせなど、管理者としての役割も果たしながら、住民とのコミュニケーションも大事にしていました。
「住宅を一つひとつ回って作業内容を説明する中で、市民の方たちは本当に大変な環境で暮らしていることを実感しましたし、『早く放射線の濃度を下げてほしい』という切実な願いが伝わってきました。それに応えられるよう、作業所一丸で除染に取り組んだ結果、労いのお言葉もたくさんいただきました。
とくに印象的だったのは、うまく言葉が発せない住民の方から、お手紙で感謝の気持ちをいただいたことです。苦労もあったけれどやって良かったと、心の底から思え、事務系のキャリアだけでは経験できない、とても貴重な時間でしたね」
不安を希望や可能性に変える。社員教育プロジェクト「はぐくみ」に込めた願い
若築建設では現在、「はぐくみ」という社員教育プロジェクトを軸に、社員のキャリア形成を支援しています。このプロジェクトが生まれた背景には、社員たちが抱えていた将来への不安がありました。
「昔から社員研修自体はあったのですが、単発的なものだったため、社員から『この先自分はどう成長できるのか不安』『数年後、自分がどんなキャリアを歩んでいるのか見えない』という声が多かったのです。そのため、会社として組織的な教育体制を整え、そうした不安をまず減らしていこうと考えました。
また、会社としても『入社〇年目にはこんなスキルや資格を持っていてほしい』『この部門なら、こんなキャリアを選べる』と提示し、そのための教育を充実させる必要がありました。そこで考案されたのが『はぐくみ』です」
約10年前から本格的な整備が始まり、現在の形となった「はぐくみ」。この制度の大きな特徴は、新入社員時代から管理職や経営職までのキャリアアップの過程を可視化したことにあります。
「入社時から、いつ頃・どんな研修があるのか、管理職になるにはどんなスキルが必要なのかが見えれば、不安がなくなり、モチベーションも上がるはずです。そこで、工事部門や営業部門、現場の協力も得ながら研修体制を構築していきました。
また、教育制度と並行して充実させたのが、資格取得の支援です。建設業界では、特定の資格がなければ作業所長などを務めることができません。そのため、まずは資格を持った社員を増やし、管理職に挑戦できる人材を育てることが大事だと考えています。
たとえば、1級土木施工管理技士の資格試験に向けたeラーニングシステムを導入したり、技術士、コンクリート診断士などの推奨資格取得時に、最大100万円の奨励金を支給したり。社員が積極的に資格取得にチャレンジできる環境をつくることで、個々のスキルがアップし、それが会社全体の成長につながるのです」
さらに若築建設では、福利厚生の拡充にも注力。とくに住宅制度は、生活費に占める割合が大きい家賃などを会社が負担することで、社員が安定・充実した生活を送れるようにしたいという想いから整備されました。
「若手社員には、家具・家電付きの単身寮を用意しており、家賃・光熱費込みで個人の負担は1万円です。数年前からはインターネット費用も会社負担にしたので、帰宅後や休日は快適な時間を過ごせるはずです。
また、家族がいる社員に対しては借上社宅制度を用意し、自分たちが希望する賃貸物件の敷金・礼金・仲介手数料の全額と、毎月の家賃の一部を補助しています。
また最近では、健康経営の観点からスポーツジムと法人契約を結びました。1回500円で通えるようになったので、仕事帰りや休日に汗を流してもらいたいと思っています」
さまざまな制度を設計する上で、栗川がとくに重視したのは「現場の声を取り入れること」でした。
「たとえば、現場の社員はそれぞれの工程やスケジュールがあるので、資格勉強のために同じ時間に1カ所に集まることは難しい、という意見がありました。そのため、対面だけでなくオンラインでも講習を受けられるようにし、皆が参加できるようにしています」
資格取得を後押しする制度や充実した福利厚生が生んだ、社員たちの自信と笑顔
教育研修制度や福利厚生の整備が進んでから、社員の働き方や意識に変化が生まれているという栗川。とくに資格取得支援制度は、社員のキャリアアップを後押しし、活躍の場を広げることにつながっています。
「当社は当初土木事業を主幹としてきましたが、今では海洋土木、陸上土木と合わせ建築事業も第三の柱となっております。そしてこの分野をさらに成長させていくには、建築士資格を持つ社員が不可欠です。
そこで、一級建築士の資格取得を支援するために、予備校などの受講料を会社が最大500万円まで貸し付け、合格した場合は返済を全額免除する制度をつくりました。一級建築士は難関資格のため、合格者は毎年少数ですが、確実に成果は出ています。
また、土木部や建築部では、業務時間内に資格取得のための勉強時間を設けるなど、部署を挙げて支援体制を整えています。若手でも1級土木施工管理技士の資格を持つ社員も増えていて、『資格があればステップアップできる』と、みんな自信を持って仕事に取り組んでいるのが印象的ですね」
一方、福利厚生面でとくに社員に好評なのが、旅行補助金。社員やその家族が旅行に行く場合、1泊5,000円の補助が出るので、家族と一緒に旅行を楽しむ社員が増えていると言います。
「昨今は、建設現場でも週休2日制が浸透してきたので、社員の皆さんが休日時間を充実させる手助けになれば、という想いからつくった制度です。
また、当社には野球やバドミントン、スノーボードや登山などさまざまなクラブ活動があるのですが、それにも補助金が出ます。クラブ活動では、普段の仕事の中では関わらない他部署の社員との交流も生まれます。
最近は人事部の若手メンバーからも、週末に旅行やクラブ活動をした話をよく耳にし、みんな制度をうまく活用して楽しんでいるなと感じます」
栗川自身は昨年、永年勤続表彰制度で30周年の表彰を受けました。
「勤続10年ごとに表彰される制度で、30周年だと8日間の特別休暇と金一封が支給されます。長年この会社に勤めてきましたが、教育研修制度や福利厚生が社員にもたらす変化を実感しています。社員が仕事と私生活の両方を充実させられる環境が整いつつあり、さらに働きやすく魅力的な会社になってきたと思います」
すべての職種に成長機会を。「社員を大事にする会社」で実現するより良いキャリアと人生
栗川の目下の目標は、技術系以外の部門の社員も継続的に学べる研修制度を企画・運用し、キャリアアップの道筋を提示することだと語ります。
「これまでは、技術職の研修や資格支援に注力してきましたが、今後は事務職や営業職向けの教育も拡充させていきたいと考えています。というのも、先日事務系部門の研修を行った際、『技術系に比べてキャリアアップしにくい』『事務職は縁の下の力持ちなので評価されにくく、モチベーションを維持しにくい』などの声が多かったのです。
その研修内では、『事務系ならこんな風にキャリアアップできる』『自分はどんな仕事に興味があるのか』などをみんなで話し合い、それぞれが自身のキャリアを見つめ直すことができました。どんな職種でも、学び続けることで自分の可能性が広がることを伝え、研修などで成長をサポートしていきたいですね」
そんな栗川は、長年勤めてきた若築建設という会社の魅力を次のように捉えています。
「研修制度や福利厚生からもわかるように、会社が社員のことをよく考え、大事にしてくれているなと感じます。そして、これまでさまざまな部署を渡り歩きましたが、どこに行っても周りの方が気さくに話しかけて、気にかけてくれる環境で、とても働きやすい会社だと思います」
「社員を大事にしてくれる会社」だからこそ、総務・人事の管理者として会社の成長に貢献したい。そのためには、「社員一人ひとりの成長」が不可欠だと栗川は考えています。
「ここで説明した以外にも、当社ではさまざまな教育・研修制度、福利厚生を用意しているので、社員の皆さんにはどんどん活用してもらいたいと思っています。そして、私が事務系のキャリアを歩みながらも作業所長を務めたように、キャリアにはさまざまな選択肢があります。どんな経験も必ず次のステップにつながりますし、研修や資格取得に積極的にチャレンジすることで、皆さんの可能性は大きく広がるはずです。
また、クラブ活動や福利厚生については、全社員に情報が行き渡っていないとも感じるので、今後は社内へのPRも強化していきたいと思います。若築建設で働く社員全員が、充実したキャリアと人生を歩めるように、今後も制度面から支えていきたいですね」
※ 記載内容は2026年3月時点のものです
