見えない工程を想像し数値を積み上げる。200ページの見積書が完成する瞬間の醍醐味
石井が所属する建築積算部は、20代から60代まで幅広い年齢層のメンバー5名で構成され、温かい雰囲気があります。顧客から提示された図面をもとに正確な見積を作成し、会社としてその物件を受注すべきかどうかの判断材料を提供するのが、主なミッションです。
「具体的にはまず図面を見て、足場やメッシュシートなどの仮設資材がどれくらい必要かを想定し、数量を拾っていきます。内装や鉄筋、コンクリートといった細かな資材は専門業者に見積を依頼し、それらを統合して1冊の見積書にまとめていきます」
石井は入社4年目となり、任される仕事の範囲は着実に広がりを見せてきました。
「当初は見積の入力作業が中心でしたが、現在は上司の構想を施工計画図や概算工程表として図面に落とし込むこともあり、そこには『どの工程に何カ月かかるか』といった、現場の全容を理解するための知識が求められます」
積算の仕事は、単なる計算作業の範疇に留まりません。図面には描かれていない「つくるプロセス」を想像する力が不可欠だからです。たとえば、どの順番で資材を運び込むかによって、必要な工期や費用は大きく変動します。
「上司は、頭の中で施工の順序がすべて組み上がっているんです。そのスピード感にはいつも驚かされるばかり。私はまだ学びの途中ですが、指示を形にしながら『この案件はここから先に進めるんだな』と、建物が建つプロセスを一つひとつ吸収しているところです」
大規模な案件ともなれば、見積書は200~300ページにも及びます。1カ月半の期間をかけ、積み上げていく地道な作業。その膨大なデータが一つに統合される瞬間、積算職ならではの喜びが訪れます。
「最後にすべての項目がピシッと埋まり、適正な金額が導き出された瞬間、大きな達成感を覚えます。『すべて埋められた』という手応え。この瞬間がこの仕事のおもしろさですね」
図面の数字が「生きた資材」に変わった、現場で得た大きな学び
石井が建築の道を志したのは、得意だった理数系の知識を活かせる分野だと考えたからでした。
「大学では建築デザインを専攻しましたが、ゼロから形を生み出すデザインよりも、確実な根拠に基づき数字を扱うことに自身の適性を感じていました。大学で学んだ知識を活かしたいけれど、建築デザインよりも、数字を扱う仕事の方が向いているのではないか。そう考えて就職活動を進める中で、出会ったのが若築建設でした」
そして入社の決め手となったのは、実直な社風と充実した福利厚生でした。
「広島から九州へ転居して働くため、借り上げ社宅に月額1万円で住めるという制度は大きな安心材料となりました。生活の基盤が安定しているからこそ、仕事に全力で向き合うことができる。充実した福利厚生は、見知らぬ土地で社会人生活を始めるにあたって大きな支えとなりました」
とはいえ、配属当初は右も左もわからない状態。専門用語が飛び交う中、石井を支えたのは上司たちの温かな指導でした。単に答えを教えるのではなく、石井が自分で考える時間を尊重してくれる環境があったと言います。
「わからないことがあれば、1回自分の中で調べて整理してから聞くようにしています。それでも解決しないときは、上司が丁寧に教えてくれて。経験豊富な先輩たちがそばにいてくれる環境は、本当に恵まれていると感じます。この温かな人間関係が、日々の業務の支えになっていますね」
積算の精度を高めるためにと、上司は石井を何度も現場に連れて行ってくれたと言います。
「実際の現場で、壁の裏側にある下地の組み方や鉄筋の状態を自分の目で見たことで、図面上の数字が『生きた資材』としてイメージできるようになりました。現場での解説があったからこそ、『これだけの資材が必要なんだ』と納得感を持って積算に臨めるようになり、これは大きな財産になりましたね」
正確さもスピードも譲らない。数字が建物として形になっていく、積算ならではの感覚
日々の業務の中で、石井は自発的な「工夫」を忘れません。積算という仕事は、正確さが求められる一方で、スピードも重要になります。
「入社2年目の頃、毎回手順を追って算出していた仮設資材の数量拾いに共通点があることに気づき、独自の計算フォーマットを作成しました。以前は算出に2、3日かかっていた作業が、フォーマットを使うと1日程度で終わるように。
時間は限られているので正確さを確保しつつ、いかに効率を上げるかを常に考えています。浮いた時間でより深い分析ができるようになることが、自分自身の成長にもつながると信じています」
そんな石井が印象に残っている物件は、住宅街の狭小地に建設される13階建てのマンション。都市部ならではの制約が多い現場は、積算としての腕の見せ所でもあります。
「敷地いっぱいに建てる計画なので、施工の難易度が非常に高いんです。近隣の方への配慮や資材を入れるタイミング、クレーンの旋回範囲など、上司が緻密に練った計画を数値化していく作業は、おもしろさがあります」
積算の醍醐味は、自分の手元で「建物が組み上がっていく感覚」を味わえる点にあります。石井は、担当者が顧客と交渉するための資料作成も担当しており、前回との金額の差異を分析し、納得感のある根拠を提示することに力を注いでいます。
「数値の正確さは絶対に譲れません。時間が許す限り、間違いがないか、自分の中で何度もダブルチェックを繰り返します。急ぎの案件が飛び込んでくることもありますが、あらかじめ準備を整えておくことで冷静に対応できるよう心がけ、数字という根拠でプロジェクトを支えることに責任感を感じています」
入社当初、担当した1年目の物件が、今まさに建物として形になり始めています。
「当時は何が何だかわからない状態で必死でしたが、自分が算出したベースをもとに建物が建っていくのを見ると、どこか感慨深い気持ちになります。もっと経験を積んで、上司と同じスピード、同じ精度で複雑な計画を立てられるようになりたい。そう思う日々です」
人を大切にする文化のなかで。十数年かけてめざす積算のスペシャリスト
将来について、石井は「積算のスペシャリスト」として、さらに高い視座で業務を遂行できるようになることを目標としています。積算は、単に数量を数えるだけの仕事ではありません。そこには、建設のあらゆる知識が凝縮されているからです。
「積算の世界は本当に奥が深くて、真の専門家になるには数十年の経験が必要だと言われています。基礎を一つひとつ覚え、いつかは施工計画図も工程表も、すべて自分の手で描き切れるようになりたい。それができて初めて、本当の意味でプロジェクトを背負えるようになるのだと思います」
新卒の採用候補者に向けて、石井は「コツコツと積み上げることが得意な人」にこそ、この仕事の魅力を知ってほしいと語ります。華やかなスポットライトが当たる仕事ではないかもしれませんが、積算がなければどんな巨大なプロジェクトも動き出すことはできません。
「積算は数字を扱うことが好きで、地道な作業に楽しみを見出せる人なら、きっと活躍できるはずです。若築建設には、そんな個性を尊重し、成長を待ってくれる文化があります。焦る必要はありません。一歩ずつ、着実に知識を自分のものにしていける環境がここにはあります」
若築建設の最大の魅力は「人を大切にする文化」にあります。
「テニス部などの部活動や、支店一丸となって参加する地域イベントを通じて、部署を越えた温かな絆を感じてきました。仕事中は真剣に業務に向き合い、オフの時間は会社の方と笑い合う。そのメリハリこそが、長く働き続けられる理由になっています。
福利厚生も手厚く、無理のない範囲で着実にステップアップさせてくれる。だからこそ、安心して次の課題に挑戦できるのだと思います」
これから入社する仲間と一緒に働いていくことを石井は楽しみにしています。
「まだまだ学ぶことばかりですが、一緒に成長していける仲間がいれば心強いです。焦らず、自分のペースで歩んでいってほしいですね」
数字を通じて、建物の未来をつくっていく喜び。石井の歩みは、これからも正確な積み重ねとともに、着実に続いていきます。いつか自分だけで積算した建物が完成する日を夢見て。
※ 記載内容は2026年3月時点のものです
