船舶管理、新造船計画、社内修理体制構築。チームで達成する、不具合ゼロへの道
若築建設の技術部機械課で、澤田は船舶の保守管理や新規機械の導入支援、新造船の検討などを担当しています。機械課は課長の下、20〜40代までの計5名のメンバーで構成されており、若手の教育もしながら、メンバー全員で業務を進めています。
「現在、本社で直接管理している船舶が2隻と共同管理の船舶が2隻の、計4隻を主に管理しています。それぞれ役割が異なり、海底の土砂をさらうグラブ浚渫(しゅんせつ)船の『若鷲丸』、構造物を製作・運搬するケーソン製作用台船(フローティングドック)の『第八大亀号』などが若築建設を代表する船舶です。
2024年度は私たちのチームに2つの大きな目標を掲げていました。1つめは船の不具合をゼロにすることです。工事開始時や工事期間中の作業船の不具合による工事停止を防ぐため、事前の点検や修理、不具合箇所の共有を徹底しています。
2つめは、3〜4年後の完成をめざしている新造船の仕様を決めることです。より良い船を建造するため、海外の最新情報なども収集しつつ、さまざまな視点から最適な仕様を検討しています」
船舶技術は日々進化しており、とくに機器類は短いスパンでアップデートが必要になります。前職では12年にわたり造船業に携わってきた経験を持つ澤田。この経験を活かし、新たな取り組みを始めています。
「今までは外部の業者さんに依頼していた修理を、最近では社内でも対応できるように体制作りを進めています。乗組員や本社スタッフにアーク溶接作業者などの資格を取得してもらい、鉄板の交換や装置の据え付けなどの作業を自分たちで行えるようにしています。月に1週間ほど、私自身が現場に行き、直接指導も行っています」
若手社員はとくに積極的で、この新しい取り組みにも意欲的に参加してくれる人が多いと澤田は手応えを感じています。また一方で、澤田自身も新たな学びの途上にあります。
「レーダーやGPSなどの機器・装置に関することはとくに自分にとっては初めてで、難しいと感じています。こういった専門用語や仕組みについてまったく知識がない状態でしたので、最初は本当に、何を言っているのか理解できないことも多くありました。
ただ、わからないことは率直に質問できる環境があり、周囲の方々が丁寧に教えてくださるので、徐々に学んでこられている状況です」
前職時代、洋上風力に関連する船に携わったことがキャリア転換の契機に
造船の道を選んでから12年。船舶製造の現場で多くの経験を積んできた澤田は、ある出会いをきっかけに新たなキャリアを模索し始めます。
「これまでは自衛隊の護衛艦や海上保安庁の船舶、フェリー、タンカー、バルク船など、さまざまな船を建造してきました。しかし、前職のキャリア後半で受注が増えてきた洋上風力に関連する船舶は、それまでとはまったく異なる特殊な形状をしていたんです」
その船は「SEP船」と呼ばれる特殊な作業船。海中に4本の脚を立て、甲板を上下できる構造を持っています。
「今まで見たことのない形状の船だったので、どのように使われるのか非常に気になりました。調べていくうちに洋上風力発電事業について知り、国が掲げている目標なども含めて、強く興味を持つようになりました」
こうして若築建設がこのような領域を率いていることや、新造船建造のタイミングで造船知識を持つ人材を募集していることを知った澤田。さらにさかのぼると、かつて、澤田が最初のキャリアとして造船業を選んだ理由は、その社会的な重要性だったことにも気づいたと言います。
「私がかつて航空大学校を卒業後に、航空機ではなく造船の道を選んだのは、一つの工場で船の完成まですべての工程に関われることに魅力を感じたからです。航空機産業では各パーツがそれぞれ異なる会社で製造され、個社が担当するのは非常に限定的な部分だけ。それに比べ造船は、鋼材が工場に運ばれてから完成まで、1から100まですべての工程を見ることができることが魅力でした。
また、日本は島国で、物流の99.8%が船舶によって担われているという事実にも驚きました。将来的にも必要不可欠な産業だと確信して造船の道を選びました」
そして今、その造船で培った知識を活かしながら、若築建設で新たな挑戦をしています。
「造船業時代は、お客さまである船主さまやオーナーさまに、安く早く良いものを提供することが直接的な価値につながっていました。けれども、今の仕事では、誰のために、誰が喜ぶのかを常に考えながら進める必要があります。
たとえば、改造や修理の際も、単に自分が良いと思うものを付けるのではなく、実際に誰が使うのか、どういう価値があるのかを意識しています。誰のために仕事をしているのか、より深く考えるようになりました。社内の人のためになり、それが工事の効率化につながり、最終的には発注者、使い手のためになる。
作業船は操作する乗組員のため、会社の利益のために、作業船でできた構造物や状態(海底)は物資を運ぶ運搬船のために、その物資は企業や市民のために、その連鎖を意識しながら仕事をすることが、今の私の興味になっています」
そうした意識の変化は、仕事への向き合い方も変えていきます。
「自分たちで使う船の修理や改造をすることで、設備に対する愛着が生まれ、より丁寧に使用するようになります。
そういった小さな変化の積み重ねが、会社全体としてもより良い仕事につながっていくことをこれまでにも実感してきているので、若築建設内部で修理ができる技術もみんなで身につけていこう、と働きかけることにつながったのだと思います」
運用管理という新たな領域に挑み感じる、社内の手厚いサポートと成長の手応え
若築建設入社から1年が経過し、造船技術者としての経験を活かしながら、澤田は運用管理のための新たな知識の習得に励んでいます。
「前職では船を製造する立場として、鋼材の切断や溶接、クレーン操作などの作業に従事していました。ただこれは製造に特化していたため、完成後の運用方法については詳しくありませんでした。現在は完成した船の運用管理を担当しており、仕事の内容は大きく異なります。
ただ、船舶建造時の検査や監督として立ち会う際には、これまでの経験が非常に活きています。一方で、運用するための計画策定などは初めての経験で、多くの学びが必要でした。知らない用語を毎日検索して調べ、理解を深めていきました」
とくに、同じ部内、周囲からの手厚いサポートが大きな支えとなっていると言います。
「課長は最初からたいへん丁寧にフォローしてくれまして、わざわざ中途の私のためにも時間を設けて指導してくれたことが、とても助けになりました。また、機器管理には実際の使用方法の理解が不可欠なため、現場見学の機会も多く設けてもらい、実践的な知識を得ることができましたね」
中途人材として新たな視点を提供しつつ、十数年後に「良い船」と感じてもらえる船舶を
機械課で培ってきた保守管理のノウハウを自分で得つつ若手メンバーにも引き継ぎながら、新造船プロジェクトという大きな挑戦にも同時に向かう澤田。今後の目標について、こう語ります。
「保守管理はまだまだ私にとって勉強が必要な分野なので、しっかりと知識を深めていきたいですね。また、数十年に1回という大きな新造船プロジェクトが控えているので、十数年後に、あの時のメンバーは良い船を作ったね、と後々の方にも言ってもらえるように、長いスパンでの価値を見据えながら、尽力したいと思います」
中途社員として入社した澤田は、若築建設での1年を振り返り、それぞれのバックグラウンドやキャリアを受け入れる社風についても印象を語ります。
「船の構造や製造に関する知識を活かしつつ、機械課の一般的な業務として船の知識も備えた人材になることをめざしています。私が中途社員であるからこそできることもあると思うので、そこに強みを持って取り組んでいきたいですね。
若築建設はとても働きやすく、人にも恵まれた会社です。中途社員だからといって特別扱いされることもなく、むしろ経験を積ませてもらえる環境があるので安心しました。これからは、元の若築建設の良さは保持しつつも、他の業界や会社でまったく異なるバックグラウンドや個性を培ってきた人がどんどん入社してくれることを、私も期待しています」
新しい視点を持つ人材との協働にも期待を寄せる澤田。
「若築建設はしっかりとした企業文化のある会社でありながら、異なる視点や考え方を受け入れる、包容力のある会社でもあります。新しい視点や考え方を自ら発信することで、会社をさらに進化させることができ、自らも成長していけると考えています。このような環境で働くことで日々、新しい視点や知識を得られていると実感しています。今後も楽しみです」
造船業界での経験を活かしながら、新しい知識も吸収し続ける。そんな姿勢で、澤田はこれからも成長を続けていきます。
※ 記載内容は2025年3月時点のものです
