求められるのは工事を見据えた設計。現場の声がかたちに変わる瞬間
現在、貝屋が所属する本社設計部の設計第一課は、港湾構造物(※1)を主な対象として設計業務を行っています。設計第一課は若手とベテランが半々の約10人のメンバーで構成され、貝屋はその中で架け橋的な存在として活躍しています。
「若手からベテランへの相談がしやすい環境があって、お互いが関与していない仕事だとしても躊躇せずに相談することができます。懸念点や疑問点を共有し、解決のために若手からベテランまでが協力する分け隔てのない雰囲気の中で日々業務に取り組んでいます」
設計第一課では、主に2種類の業務を担当。1つは営業支援として営業部署のサポートや事業の実現可能性の検討、もう1つは施工支援として施工中の現場をサポートする業務です。
「設計計算、図面作成、報告書作成が主な業務になります。日々更新される最新の技術や知識を習得することで柔軟な対応力を身につけることも業務の一環だと考えています」
設計を進める上で、貝屋が最も大切にしているのは依頼者の要求事項を正確に把握すること。依頼者は必ずしも設計の専門家ではないため、丁寧な擦り合わせが必要不可欠です。
「施主や事業者の要望は、運用上特有のものや構造物の耐久性、耐震性など、案件によって大きく異なります。たとえば、メンテナンスの頻度を抑えたい、長期使用を希望するなど、さまざまな要望を考慮して設計します。近年では気候変動を考慮した検討が要求されることもあります」
ゼネコンの設計部門ならではの特徴もあります。たとえば設計コンサルタントでは良い設計をすることを主眼に置くのに対して、ここでは施工を見据えた設計が求められます。
「私たちゼネコンの仕事の最終的な成果物は施工です。そのため、工期やコスト、施工のしやすさや施工上の制約を常に意識して設計しています。
しかし、実用性と整合性を兼ね備えた設計をすることは容易ではありません。経験豊富な方々に相談できる環境に支えられながら何度も練り直しています」
実際に現場に足を運んで、状況を確認した上で設計することも。
「現場を見に行かないと、図面や写真だけではわからないことがあります。そのため、可能な限り足を運んで現地の状況を確認するようにしています」
若手社員の育成にも力を入れ、成長をサポートする文化が根付いています。
「ある程度の裁量を持って仕事を進められる一方で、困ったときには上司や先輩に相談できる体制が整っています。私たちも、若手社員が感じる新鮮な驚きや発見から学びを受けています」
※1港湾構造物:港などにある構造物
防災・減災の志を胸に。現場と技術をつなぐ設計者へ
貝屋は幼い頃から、祖父の家が阪神・淡路大震災で被災したり、自身が東海豪雨を経験したり、災害の影響を目の当たりにしてきました。
「小さい時から被災したものや災害自体を目にしてきたので、これらの経験がきっかけとなって、土木や建築の分野に進もうと思うようになりました」
建築か土木かの選択に迷っていた頃、発生した東日本大震災。
「土木に進もうというよりは、防災・減災というジャンルに興味を持つようになって。そういった分野を扱う土木工学を専攻しました」
大学4年時には実河川を対象に、石や砂利で構成される河床の評価方法を研究しました。
「一般的には河床を掘って得た石や砂利をふるい分けることで石や砂利の大きさの分布を調べる試験が行われていますが、多地点での実施はコストの観点から現実的ではありませんでした。そこで画像解析によって分布を把握する方法を調べていました」
大学では河川の研究をしていましたが、海にも興味があり、就職活動では広く水に関連する分野での仕事を希望していました。
「学生の時、さまざまな分野の土木工事の現場見学をして、最終的にスケールの大きさに憧れてマリコンに決めました。また事業内容だけでなく、働き方も重視し、実際に働けそうか、自分に合っているかという観点で最終的な企業選択を行いました」
インターンシップや説明会で、若築建設の雰囲気に惹かれたと言います。
「建設業界は年齢構成上、ベテランと若手しかいないことが多いと思っていたので、そういった中でコミュニケーションが取りやすい環境があるかどうかを重視していました。そして、その雰囲気があったのが若築建設。入社を決意したのはその時だったと思います」
当初はものづくりがしたいという思いから施工部門を希望していましたが、配属された設計部で自分の適性を見出していきます。
「年齢の近い先輩方が優しく丁寧に教えてくれて、スムーズに馴染むことができました。現場にも技術にも距離が近い設計部では、私の『現場と技術の橋渡しができる技術者になりたい』という目標と重なる部分が多いと思っています。
これを言うのはおこがましいですが、設計という仕事は自分の性格や考え方に合っているのかもしれません」
青空と海に映えるドルフィン。試行錯誤を経て初めてかたちになった自分の設計
入社から現在までの印象深い出来事として、貝屋が最初に挙げたのは、自身が設計した構造物が施工され、それを実際目にした経験です。
「最も印象に残っているのは、自分が設計を担当した係留施設であるドルフィンの完成した姿を見に行ったときのことです。係留施設とは港などで船を安全につなぎとめておくための構造物で、ドルフィンは陸から少し離れた所に設けられる独立した構造物です」
貝屋にとって、ドルフィンは最初の設計案件ではありませんでしたが、初めて実物として完成した構造物でした。設計段階では試行錯誤を重ね、上司や先輩に相談しながら進めていきました。
よく晴れた夏の日の光景は、今でも鮮明に記憶に残っていると言います。
「海面から突き出た杭の上に大きなコンクリートの塊が据えられていて、細かい所まで頭の中でイメージしていた通りのものがそこにはありました。自分が携わった構造物の完成した姿を目にすることができ、とても感慨深かったです。
一緒に現場を確認した上司からは『試行錯誤した甲斐があったね』と褒めてもらい、とても嬉しかったのを覚えています」
この経験を通じて、設計の魅力を強く実感したと貝屋は振り返ります。
「ゼネコンの設計部の特徴は、単に設計して終わりではなく、施工が始まってから生じる課題への対応まで含めて携わることです。だからこそ、設計したものが実際に施工されてかたちになったときは、よりいっそう感動します」
現在は後輩の指導にも携わる立場となり、この貴重な経験を次世代に伝えていくことも重要な役割となっています。
「これは若い世代にも味わってもらいたい貴重な経験です。あの時のような成功体験ができるように、私たちの方からさまざまなサポートをしていきたい。若い人の感動を見ることで、私たちも初心に戻って刺激を受けることができます」
設計と現場をつなぎ、想いをかたちにする技術の橋渡し役をめざして
技術者としてめざす姿について、貝屋は明確なビジョンを持っています。
「日々新たな知見が蓄積され、目まぐるしく技術が発展していく中で、それらを実際の現場で活用できるよう、技術の橋渡し役を担える人材になりたいです。設計や現場など、おのおのの専門領域に特化した人に加えて、各領域をある程度またげる人材がいることで、意思疎通がしやすくなり、事業が円滑に進むようになると考えています」
若築建設では、基本的に設計職でも現場を経験することが多く、貝屋はそれを知見が広がるチャンスだと捉えています。
「1度は現場を経験しておいた方が良いと考えています。年数によっては経験の幅が広いとは言い難いかもしれませんが、皆が経験を共有し合うことで、それぞれの知恵を活かすことができると思います。さらに、現場経験で得た人脈は必ず武器になると思います」
後輩に求める素質について、貝屋は知的好奇心の重要性を強調します。
「好奇心を持って自分で考えようとする人は向いていると思います。なぜ?どうして?といった疑問を常に持ち、それを突き詰めていく熱意や姿勢は、とくに有利に働くことが多いと思います」
自身の経験を振り返りながら、後輩への期待とメッセージを送ります。
「私自身、初めてドルフィンの設計を任された時は、これまで学んでいないことばかりでした。そのため、ゼロから勉強して理解しようと思って取り組みましたね。私たちの仕事は同じ状況、同じ条件がそろうことは基本的にはありません。試行錯誤が必要かもしれませんが、新入社員や若手には、設計に携わった構造物が実際にできあがる体験をぜひ味わってほしいです。
ものづくりが好きな学生さんにとって、当社の設計部は魅力的な選択肢になると思います。現場との距離が近く、ものがつくられる過程にも設計の立場で携われることが大きな特長です。
また、設計部の雰囲気が良く、新入社員を温かく迎え入れる文化があり、若手が萎縮せずに仕事に取り組める環境があります。興味のある学生さんがいたらぜひ応募してほしいです」
※ 記載内容は2025年8月時点のものです
