趣味のテニスと仕事の両立。直感と「人の温かさ」で選んだ道
ーー学生時代はどのように過ごされていましたか?
高校からずっとテニスに打ち込んでいました。大学1年生で薬学部のテニスサークルに移ってからは、プレーヤーとしてだけでなく、後輩の指導やコーチのような役割も担うようになったんです。
特に印象に残っているのは、大学の施設での泊まり込み合宿ですね。4つのグループに分けて、半分は真剣に、半分は遊び心も交えながら指導を行いました。自分が教えた後輩たちが、相手コートへしっかりボールを打ち返せるようになった姿を見た時は本当に嬉しかったです。「教えることの喜び」を感じた瞬間であり、今のマネジメント業務にも通じる原体験になっています。
ーー就職活動の軸と、中部薬品への入社の決め手を教えてください。
私の中には「生まれ育った地域で安定して働けること」と「趣味のテニスを続けられること」という明確な軸がありました。そんな時に目に留まったのが、グループ会社にスポーツクラブ「アクトス」を持つ当社です。福利厚生を利用してテニスをお得に続けられる点は、私にとって非常に大きな魅力でした。
また、幼い頃から身近にあったバローへの安心感もありましたが、最終的な決め手は「直感」と社内の「人の温かさ」です。合同説明会で採用担当の方と意気投合し、店舗見学の合間に「ちょっとソフトクリーム食べに行こうぜ」と気さくに誘っていただきました。さらに、現専務が月に1回内定者懇親会を開いてくださり、公園でバーベキューをしたり、フリスビーで遊んだりしたこともありました。自ら車を運転して店舗を回る姿を見て、この会社の人と繋がる温かさに惹かれたんです。
手厚い研修と現場での葛藤。見えてきた「風通しの良さ」
ーー入社後の研修で、印象に残っているエピソードはありますか?
最初の3週間の合同研修は今でもよく覚えています。初期配属は「中濃厚生病院前薬局」だったのですが、講師の方から「笑顔で挨拶を」と熱心にご指導いただく中、長い店舗名を噛まずに言うだけで必死でしたね。緊張で少し表情が硬くなりながらも、社会人としての基礎となるお辞儀や挨拶を基本からしっかりと学ばせていただきました。
また、疑似調剤室での実践的な研修もあり、分包紙の交換やピッキングなどを丁寧に教えていただき、当社の研修体制の充実ぶりには驚かされました。
ーー現場に出てから、ギャップを感じたことはありましたか?
ドラッグストア併設型ならではの課題だと思うのですが、調剤と物販それぞれの強みが十分に活かしきれていなかったことですね。調剤は専門的な医療サービスを提供する一方で、物販は日用品からOTCまで幅広い商品と大きな売上規模を管理しています。売掛などの会計概念や日々の業務サイクルが全く異なるため、お互いの業務の大変さが見えにくく、「相手の仕事がよくわからない」という状況から、少し距離感が生まれてしまっていたんです。
入社当初、合同研修の際に「せっかく同じ店舗にいるのだから、もっと連携できるはずではないか」と率直に意見を伝えたこともありました。現状に満足せずにより良い店舗にしたいという想いからの発言でしたが、会社もそうした現場の課題感をしっかりと受け止めてくれました。現在では、支局長や地区長代理が共に研修を受けたり、店舗内で連携して患者さんへのご案内を行ったりと、互いの業務への理解を深めるコミュニケーションの機会が増えています。職種の枠を超えて協力し合える環境へと、着実に変わってきていると感じます。
ーー若手の意見でも、しっかり聞いてくれる社風なのですね。
はい、当社の大きな魅力は「現場の声の通りやすさ」です。近隣の病院が院外処方へ切り替わる際、自店舗の調剤室のキャパシティでは対応しきれないと判断し、現事業部本部長に1枚の企画書を提出しました。すると「これで売上に繋がるな」と即座にご判断いただき、実際に調剤室が倍の広さに拡張されたんです。的確なニーズと理由があれば、末端の意見でもしっかり形にしてくれる。これは大きな成功体験になりました。
ピンチをチャンスに変えた経験。支局長としての挑戦と成長
ーー現在の支局長としてのミッションを教えてください。
一言で言えば「人・金・物の管理」と「業務の効率化」です。論理的に状況を分析し、メーカーや卸業者とも粘り強く交渉することで、現場のスタッフが「薬が入ってこない」という本来不要な対応に時間を奪われないよう、安定した供給体制の構築に注力しています。効率よく数値が上がり、その成果がスタッフの評価としてしっかり還元される好循環を目指しています。
ーーこれまでで最も印象に残っている出来事は何ですか?
支局長代理時代、近隣の小児科門前薬局が急遽閉鎖した際の危機対応です。地域の患者さんがお薬を受け取れず困る事態を防ぐため、迅速に自店舗の受け入れ体制を整備しました。その結果、多くの患者さんに安心して頼っていただき、処方箋枚数は一気に倍増しました。
現場は大変な忙しさとなりましたが、私自身も現場に入り、患者さんをお待たせしないよう人員配置や業務フローを抜本的に見直しました。突然の過酷な環境変化の中、見事に成長し、地域医療を支える使命感を持ってついてきてくれたスタッフたちには感謝しかありません。チーム全員で乗り切ったその店舗は、現在でもトップクラスの成績と効率性を維持しています。
ーー支局長というポジションに就いて、ご自身に変化はありましたか?
体重が10キロ増えました(笑)。
妻に昔の写真を見せると、「こんなあなたに会ったことない」と言われるほどです。
冗談はさておき、性格面でも大きく成長できたと実感しています。市議会議員の方々や在宅クリニックの先生、地域カフェに集まる高齢者の方々など、関わる人の幅が劇的に広がりました。地域と直接関わり、多様な意見に触れる中で多角的な視点を持てるようになり、相手の立場に立って物事を考えられるようになったと思います。
在宅医療の未来を創る。「ありがとう」を集められる薬剤師へ
ーー今後、会社として注力していくべき領域はどこだとお考えですか?
間違いなく「在宅医療」です。外来の処方箋枚数がピークを越えつつある現在、中長期的には外来と在宅の比率が逆転する時代が来ます。
しかし、現状の業界全体の在宅医療レベルは、市場が求めるニーズに対してまだ低く、スタート地点に立ったばかりです。だからこそ、患者さんのニーズに的確に応えつつ、スタッフが無理なく働き、かつ正当に評価される仕組みを根本から「是正」していく必要があります。当社の強みであるドミナント展開と風通しの良さを最大限に活かし、まずはこの1年間、体制の基盤構築に全力で注力していく覚悟です。
ーー最後に、これから一緒に働く仲間へメッセージをお願いします。
患者さんから心からの「ありがとう」をいただける働き方ができる人と一緒に働きたいですね。ただ薬の説明をするだけでなく、患者さんの真のニーズを的確に察知し、プラスアルファの価値を提供できる。そんな薬剤師になってほしいと願っています。
薬剤師は国家資格であり、国の方針や社会のニーズが変われば、求められる役割も常に変化します。今まで右を向いていたのに、明日からは左を向かなければならないこともある。そうした変化を恐れず、常に自分をアップデートし続けられる柔軟性を持った人材と共に、これからの新しい在宅医療の形を創り上げていきたいです。
【編集後記】
インタビューを通して、古川さんの現状に決して満足せず、常に「なぜ?」と問いかけながらより良い環境を構築していく真摯な姿勢が印象的でした。
入社間もない頃から組織の壁に臆せず意見をぶつけたエピソードや、ピンチをチャンスに変えて現場を牽引した実行力には、物事の本質を見極めようとする熱い想いが溢れています。 現場の声を大切にする中部薬品の社風と、古川さんの柔軟かつ合理的な視点が交わることで、これからの「在宅医療」がどのように進化していくのか。今後のさらなる挑戦から目が離せません。
※記載内容は2026年2月時点のものです。
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