大学の部活も就職活動も、すべて想定の範囲外
大学に入学後すぐに、体育会の相撲部に入部しました。入学当初、私は特にやりたいことが明確にあったわけではありませんでした。高校時代は帰宅部で、相撲に興味があるわけでもない、ごく普通の高校生でした。ところが大学入学後すぐ、なぜか参加した相撲部の新入生歓迎パーティーで私の人生は大きく変わることになりました。そこで出会った先輩方や顧問の先生の人柄に魅かれて、気づいたら入部を決めていたんです。身長も体重も標準的で、体力に自信があったわけでもない私が体育会の相撲部に入部するというのは、自分でも全く想定していなかった選択でした。
他の大学には小さいころから相撲に取り組んできて経験も豊富で体も大きい選手が多いため、入学当初は試合に出ても負けてばかりでした。でも、4年間真剣に練習に取り組み、体も大きくしていくと、勝てる試合も増えてきて、相撲の面白さに気づくことができたんです。この経験を通して、未知の領域に飛び込む度胸を身につけ、また、そこに飛び込む面白さを学びました。全く知らない、興味の無い世界でも、真剣に取り組めばそれなりの結果を出すことができ、面白いと感じる瞬間に出会える、ということを知ることができました。
その後就職活動を始めたとき、正直なところ業界や事業領域ではあまりやりたいことが明確になっていませんでした。そこで、大学の部活を選んだときと同じように、一緒に働いたら楽しそうな人がいる会社を探そうと決めたんです。部活もそこにいる人のキャラクターで選んで、その結果充実した4年間を過ごすことができたので。実際にその会社で働く人と会って話すことで、どんな人が働いている会社なのかを自分なりに見極めようとしていました。
大学時代、相撲部の活動を通して、当社の社員に知り合う機会がありました。そこで会った先輩がみんな、話しやすく楽しい人が多かったのを覚えています。仕事で苦労したエピソードを聞いているときも、どの先輩も、どんな大変なことも笑いながら面白おかしく話す姿を見て、魅力的に感じました。特に記憶に残っているのが、ある先輩の「仕事が嫌な日はたくさんあるが、会社に行くのが嫌な日はない。会社には一緒にいて楽しい人がたくさんいるので、会社に行くのはいつも楽しい」という言葉です。実際に入社して13年経った今、この言葉は本当だったと感じています。先輩社員に出会うまでの当社に対するイメージは、自動車関連の事業が多い商社、海外で働く機会が多い会社、といった程度のもので、具体的な業務内容はほとんど知らなかったので、あまり興味もありませんでしたが、最終的な入社の決め手は「こんな人たちと一緒に働いたら楽しいだろうな」という想いでした。
数億円規模の取引からカーボンニュートラル推進部への異動まで
入社後、私が最初に配属されたのは当時の金属本部、現在のメタル+(Plus)本部でした。そこで担当したのは、国内外向けの特殊鋼の営業業務です。先々の需要を予測しながら鉄鋼メーカーから鋼材を仕入れ、在庫として適切な量を保管し、顧客である自動車部品メーカーが必要とするタイミングにジャストインタイムで供給するという仕事でした。
入社後に最初に驚いたのは、扱う金額の大きさでした。入社後初めての業務でいきなり月間数千トンの鋼材を扱うことになったのです。当時の価格で月間の売上が数億円という規模の業務を担当することになり、大きなやりがいを感じると同時に、責任の重さもひしひしと感じたことを覚えています。
金属本部での営業業務の中で、とくに印象に残っているのは、顧客に新しい鋼材を提案するために、海外のさまざまな鉄鋼メーカーを調査した経験です。この業務は自身を大きく成長させてくれたと感じています。顧客が何を求めるのかを正確に把握しないと良い提案ができないため、そこに注意しながら鉄鋼メーカーの生産ラインを見学し、何度も打ち合わせを重ねて必要な情報を聞き出していきました。そうして顧客への提案を作り上げていく過程で、自分が扱う商品の深い知識を得ることができました。
そんな金属本部での営業を9年間経験し、次は会社の労働組合に出向することになりました。労働組合の業務に興味があったのと、新たなチャレンジをしてみたいという想いから、自ら希望して労働組合に出向し、書記局長を務めました。主な業務は「労働組合員の労働環境の維持・向上」というもので、会社の制度の改善や組合員のキャリア形成支援、組合員同士の繋がりの強化など、広くさまざまな業務を経験しました。組合員の代表として、組合員が何を求めているのかを正確に受け止め、会社と労働組合双方にとって良い状態を作り上げるために会社と交渉するという業務は、それまでの営業の業務とは大きく異なり、貴重な経験をさせていただきました。
その後、元々所属していたメタル+(Plus)本部の部署に復帰しましたが、1年前、私のキャリアにおいて大きな転機が訪れました。現在所属するコーポレート部門カーボンニュートラル推進部への異動内示を受けたのです。それまでカーボンニュートラルに関わる業務を行ったこともなく、また当時の部署の業務にやりがいも感じていたので、異動希望も出していませんでした。そんな中での異動内示だったため、非常に驚いたことを今でも鮮明に覚えています。会社からの異動内示を受け、新たなフィールドでのチャレンジが始まりました。
未来の子供たちにより良い地球を届けるために、カーボンニュートラルに取り組む日々
現在はカーボンニュートラル推進部のCN連携グループで、グループリーダーを務めています。カーボンニュートラル推進部のミッションは、地球のカーボンニュートラル実現のために、豊田通商グループ全体を推進する全社の事務局としての役割です。当社のミッションは「未来の子供たちにより良い地球を届ける」というものですが、そのためにはカーボンニュートラルは重要な要素だと考えています。
私のグループでは主に2つの業務を担当しています。1つめは、私たちが「Opportunity」と呼んでいる、事業を通じて脱炭素に貢献するというものです。脱炭素に向けた世の中の動きを「機会」と捉えて、当社の事業を通じて脱炭素に貢献すべく、事業を推進しています。もう一つは、「Stakeholder Engagement」と呼んでいる「情報開示」です。社内外のステークホルダーに当社のカーボンニュートラルに関する取り組みを適切に開示し、企業価値向上に繋げる取り組みを行っています。
この部署に異動してまだ1年ですので、大きな成果を挙げたとは言えませんが、この仕事には大きなやりがいを感じています。当社の成長戦略の中心にあるカーボンニュートラルへの取り組みを推進する立場として、特定の本部や部署ではなく全社視点で当社の向かうべき方向を考え、経営層と意見を交わし、現場や社外に伝えていくという業務は、非常に刺激的です。一方で、苦労も少なくありません。カーボンニュートラルに関する世の中の動向は、さまざまな新しいルールや各国の政策、新たな技術などが出てきて、変化が激しいのが現状です。そんな中で、当社がカーボンニュートラルに本気で取り組む意義を社内外に伝えるのは、なかなか伝わりにくい部分もあり、難しいと感じることもあります。
そこで私が意識しているのは、伝える相手によって伝え方を変えることです。誰にでも同じ伝え方をするのではなく、相手と自分はどのような関係性にあるのか、相手が何を気にしているのか、当社の取り組みに対してどのような感情を持っているのか、などを考慮して、より良い伝え方を考え、伝えるようにしています。
当社のミッション「未来の子供たちにより良い地球を届ける」を実現するには、カーボンニュートラル実現に向けた当社の想いに共感し、同じ想いを持って取り組んでくれる人を社内にも社外にも一人でも増やすことが重要だと考えています。そのために、事業を通じて脱炭素に貢献したり自社のCO2排出量を削減することも重要ですが、それだけでなく当社の取り組みをより多くのステークホルダーに知ってもらうことが大事なので、今後も「伝え方」は意識して工夫していきたいと考えています。
今後の展望と未来の仲間づくり
個人の今後の展望としては、短期的には、今の部署でもっと自分の専門性を磨きたいと考えています。せっかく異動内示をもらったからには、この機会を「自分が成長するチャンス」と捉え、今の部署で身につけられる知識やスキルをしっかりと身につけていきたいと思っています。そのために、自分の中で進みたいキャリアイメージを持ち、その中でいつまでに何をするか、ということを常に考えるようにしています。もちろんその通りのキャリアにならないことも多いですが、そうすることで、自分が得たい知識やスキルをいつまでに得る必要があるのか、ということを常に意識して行動できるようになると思ってます。
また中長期的には、自分の強みを活かした事業創出をしてみたいと考えています。これまでは鉄鋼の営業の経験が長かったですが、そこに労働組合での業務や、カーボンニュートラル推進という経験が追加されました。それらを掛け合わせた取り組みができるようになれば、自分にとってさらにおもしろいキャリアを歩めるのではないかと考えています。
就活生や転職を検討されている方から、当社の魅力について聞かれることがよくありますが、当社の魅力は総合商社としてさまざまな領域で事業を行っている点と、事業領域が多岐に渡るにもかかわらず豊田通商DNAと呼んでいる「Humanity」、「Gembality」、「Beyond」という3つの価値観・行動原則が、企業文化としてどの組織にも根付いている点だと思います。 相手を思いやる気持ち(Humanity)を常に持ち、机上の空論ではなく現場で何が起こっているのかを自分の目で確認(Gembality)し、未来を創っていきたいという想い(Beyond)を持つ、これらを実践している人が当社では活躍していると思います。 このDNAに加えて、当社のミッション「未来の子供たちにより良い地球を届ける」やビジョン「Be the Right ONE」に共感し、同じ想いで世の中に貢献したいという想いを持った人にジョインしてもらいたいです。
また、採用候補者の方には、自分が知らない環境でも、「なんかよくわからないけどおもしろそう」と思って飛び込むマインドを大切にしてほしいです。よく知らないから、自分の希望とは違うから、と言った理由でその環境を回避するのではなく、まずは飛び込んでみて、真剣に取り組んでみることで、興味がなかったものでもやってみると意外とおもしろい、という経験を増やせると思います。総合商社としてさまざまな領域でビジネスを行っているからこそ経験できる予想もしなかったキャリアが、自分を成長させてくれるはずです。

