自動車用の各種鋼板を必要な量と必要な形で、ジャストインタイムで納品
豊田通商のメタル+(Plus)本部の中でも、主力領域である自動車鋼板の販売を手掛けるモビリティ素材国内事業部。その業務のアウトライン、地域による特色を2人は次のように語ります。
朝妻:自動車用鋼板を自動車メーカーや協力メーカーへ納める仕事をしています。注文をもとに鉄鋼メーカーに発注をするわけですが、その際には鋼板が巻かれた「コイル」と呼ばれる、重量は10tにも及ぶものを発注します。納品は巨大なコイルのままの場合もあれば、要望に応じてシート状にしたり、輪切りに加工したりすることも。
また、鋼板は何百もの種類があるので、部品ごとに最適な鋼板を購入します。こうした発注・加工のほか、物流機能を通じてジャストインタイムで納品するのも仕事のひとつです。
モビリティ素材国内事業部の拠点は、国内はもとより世界各地にあります。
朝妻:国内では、東北・東京・名古屋・大阪・浜松・九州に拠点があるほか、海外20カ国以上にも拠点があります。自動車メーカーが海外進出しているところには当社の拠点もあり、自動車生産工場の門前に当社も工場を構えて、鋼板の加工や物流の対応を専門的に担当させてもらっています。
深澤:業務の内容は各拠点とも基本的には同じですが、お客様によって若干の違いが出てきます。東北は、小型車などの車種、九州は自動車メーカーのプレミアムブランドに使われる鋼板の納品を行っています。
また、これからは電動車が主流になっていくと言われており、いろいろな変革を進めています。
国内営業、海外勤務をはじめ、今の自分を形作った多くの経験
豊田通商への入社は、深澤が2010年、朝妻が2013年。海外勤務をはじめ、これまでの経験の数々を振り返ります。
朝妻:入社後さまざまなことを経験する中でも、とくに2016~2019年に所属したモビリティ素材国内事業部での3年間は、非常に楽しく、今へ続く仕事の糧になりました。
さまざまなお客様に幅広い改善策を直接提案でき、大幅な原価を低減することもできるなど、努力が結果に結びつくのがやりがいになりましたね。大変ではありましたが、私自身の成長の糧になった実感があります。
そして、2019年から3年間、朝妻はインドネシアへ赴任します。
朝妻:若手社員に海外経験をさせるという会社の方針もあって、7年目での海外赴任となりました。現地法人の社長のもとで研修生として勉強してきました。スタッフが200人ほどの会社で、スタッフのマネジメントをはじめ、現場の改善、デリバリーの管理や労務など幅広く担当しました。
その後、2021年に日本へ帰ってからの2年間は、モビリティ素材事業統括部に所属し、北米、メキシコを担当しました。海外の事業体の管理などをする部門で、当時はメキシコに工場を作る案件があり、融資のサポートや日本と現地の連携などのサポートをしました。
一方、深澤は入社当初、自動車鋼板の国内営業部にて、主に部品メーカー向け営業を担当します。
深澤:国内営業部はお客様と並んで、鉄鋼メーカーの方ともお付き合いがあり、両方から厳しい要求があるのですが、間に入って調整するのも大事な仕事で、鍛えられました。今の基礎を作ってくれたと思います。
入社4年目、深澤は海外実習生としてブラジルへ渡ります。
深澤:工場の規模がまだ小さかったので、トヨタツウショウブラジルの輸出入に関わる仕事も担当。それまで国内営業しか経験のない中、輸入をメインとした貿易業務を、しかも海外で始めたので苦労しましたが、貴重な学びもたくさんありました。
深澤は日本へ戻ると、中国の加工事業会社のプロジェクトに対応します。
深澤:主には加工事業体のサポートや新しい事業投資への対応、同時に、工場の撤退案件も任されました。この時とても苦労したのですが、当時の上司からすぐに現地へ行くように言われ、現場に駆け付けると、問題点が非常にクリアになって、解決を図ることができました。このことから、現地が困っていたらすぐに助け、情報を現地に的確に提供することなど、本社機能のあるべき姿を学ぶことができました。
現地では“構造改革”をスローガンにしていましたが、それをワッペンにして全員が作業着につけて業務に励んだんです。このワッペンは今も大切にしていて、よし頑張ろうという気持ちにさせてくれるんですよね。
そして2019年、南アフリカの加工事業会社へ、社長として出向します。
深澤:世界的にコロナ禍に陥り、工場では労務問題がたびたび発生し、組合員のストライキにより、管理職含む非組合員で土日も出社して2週間工場の稼働を継続させたこともありました。
さらに赴任した都市で大規模な暴動が発生。軍隊が出動する事態になりました。外出禁止になり、日本から支援物資を送ってもらいながら過ごしたこともあります。
2022年には大規模洪水が起き、自動車メーカーを含め工場全体が被災し、そこからの復旧も大変でした。予想を遥かに上回ることが起き、自分自身強くなったと思っています。
若手社員を積極的に海外へ。貴重な体験を積むことで、経営者マインドを醸成
入社から十数年の間に、世界各地でグローバルな経験をしてきた深澤と朝妻。豊田通商には、若手社員を積極的に海外で経験させようという雰囲気があると言います。
朝妻:深澤さんが、南アフリカで社長になったのが豊田通商を象徴していると思いますね。
深澤:以前の社長は全員40~50代でした。それが、いきなり30代前半の私を社長に据えたんです。若手社員に何事も経験させようという雰囲気が社内に満ちています。全新入社員は入社時に初めての「キャリアロードマップ」を書くのですが、私は自分が書いた通りにチャンスを与えてもらいました。
海外での経験は、自分自身を大きく成長させてくれると朝妻は言います。
朝妻:インドネシアでは、現地の社長から実習生であったとしても日本人の代表として来ている自覚を持って行動するようにと指導されました。また、部品メーカーの役員クラスの方ともお仕事をさせてもらったり、食事やゴルフをご一緒したりする機会もあるなど貴重な経験ができました。
深澤は九州で2024年から、朝妻は東北で2023年から、それぞれの事業部でグループリーダーを務めています。
朝妻:メンバー一人ひとりの性格や得意分野、現在の仕事内容など、総合的に判断しながらグループを運営しなければなりません。そんなところは、経営者に一歩近づいているのかと思え、非常に楽しいです。先々のことについてもメンバーと話をしながら、モチベーションをアップさせていきたいと考えています。
深澤:コイルを自前で加工する機能を保有していないため、どこにわれわれが付加価値をもたせることができるのかを考えています。
とくに、この4月から豊田通商グループ会社と製販一体の組織となったことで、今までにはなかったシナジーが生めるようになりました。これを九州でどのように発揮していくのかが、当面の最大の課題であり目標だと考えています。
朝妻:私や深澤は、今後も一定年数がたてば異動をしてしまいますが、私たちがいたことによって、お客様へのパフォーマンスが向上した、組織が変わったといったという実績を積んで、残るメンバーに後の道筋や目標をしっかりと明示しながらやっていきたいと、強く思っています。
常に明るく楽しくチャレンジングな姿勢で。困ったときは必ず助けてくれる仲間がいる
自動車を取り巻く環境が変わる中、モビリティ素材国内事業部にも大きな変革が求められています。こうした情勢の中、今後、社員に求められる資質を2人はこう考えます。
深澤:今後は素材を提供するだけでなく、社会課題の解決も大きなテーマになります。誰かのためにと思ってやっていかないと、仕事は長続きできません。人のため、お客様のために真剣に物事を遂行できる人であれば、私はどんな人でもウェルカムだと思います。
上の世代の人たちがつないできたバトンを次の世代へつなぎ、サステナブルな組織を作っていかなければならない。私たちと志を同じにして、事業を継承していける人なら、現在のスキルを問わず一緒に仕事をしてみたいですね。
朝妻:いろんなチャレンジをしてくれる人が適任と思います。チャレンジするには机上の空論ではなく、現場へと足を運んで汗をかくことが必要です。当社には「現地・現物・現実」という価値観・行動原則がありますが、現場に行って実態を確認し、その上で方策を考える。人と人との商売をベースにした考え方を持った、熱く、誠実な人と働きたいと思います。
どんな仕事にも大変さとおもしろさの両方があると思います。せっかくなら仕事を楽しんで自分の糧にできる人がいいですね。
深澤:メタル+(Plus)本部のCEOは、よく「明るく、『楽しく、楽しく、楽しく』、元気よく」ということばを唱えるのですが、まさにそのとおりですね。困難なども楽しく乗り切れる。そういったマインドはすごく大事だと思います。
朝妻:楽しむというのは能力のひとつですし、ビジネスマンとしてミッションのひとつでもあります。
深澤:そして、この事業部は困っている人をひとりにさせない。私が南アフリカにいたときも、日本から応援に来てくださった人を含め、のべ100人くらいの人が助けてくれました。困ったら互いに助け合うといった社風が確実に存在します。
今、朝妻も私も、他の事業部の人や本部の人、関連会社の人をも巻き込んで、なんとかシナジーを生み出そうとしています。私たちの強みはどこになるかというと、総合商社としていろんな事業が身近で行われていること。メタル+(Plus)本部だけでなく、会社全体のことを考えながら試行錯誤すれば、きっと新しいプラスが生まれるのではないでしょうか。
※ 記載内容は2024年8月時点のものです

