国をまたいでふたつのプロジェクトを担当。技術者として養う資源開発の新たな経験
資源開発部で主任を務める梅田。既存案件および新規案件の技術分野を横断的に担当する技術チームのメンバーとして、ふたつのプロジェクトを兼務しています。
「アルゼンチンのオラロス塩湖で、生産能力を17,500t/年から42,500t/年へと拡張するリチウム生産拡張プロジェクトが進行中です。これに本社側の技術担当者として参加し、プロジェクトの進捗状況を確認すると共に、本件への投資がJOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)の債務保証制度を受けるために必要な完工試験(既定の生産量を達成し、それを証明する試験)の実施に向けて、試験実施方法などについての調整を政府機関と進めています。
これと並行して取り組んでいるのが、モロッコの錫鉱山開発事業のフィジビリティスタディ(実行可能性調査)です。JV(ジョイントベンチャー)パートナーから提示されている検討事項や、コンサルタントによる検討内容と結果の妥当性を検証し、これらの結果にもとづいて経済性モデルに使用されている重要なパラメータ―の評価を行っています。
現在は、実際の鉱山操業を想定しながら、導入予定の各設備や技術を含む複数の開発オプションに関する検討事項についてJVパートナーと深掘りしている段階です」
これまで鉱床を探す「探鉱」、鉱石を採掘する「採鉱」の分野を得意としてきた梅田にとって、粗鉱を精鉱と廃石に選別する「選鉱」の工程や製品化に携わるのは今回が初めて。技術者としてキャリアの幅の広がりを感じていると言います。
「前職および前々職では、地質系や採掘系の技術者としてプロジェクトに参加してきました。一方、現職のアルゼンチンの案件では、塩濃度の濃い地下水を汲み上げ、そこに含まれているリチウムを炭酸化プラントで回収し製品化する、化学系と呼ばれる分野にも携わっています。初めて経験することばかりで、いまも多くを学んでいる最中です」
入社して2年目を迎える梅田。部内の風通しの良い雰囲気がその活躍を支えてきました。
「現在の職場は、上司とのあいだに壁を感じることもなく、誰とでも気軽に話せる環境があります。技術的な質問を受けることもあれば、製品がどう販売され利益に貢献しているかについて販売担当のメンバーに私が尋ねることもあるなど、部内のコミュニケーションはとても活発です」
ロスのない資源開発を。リチウム資源の権益を持つ豊田通商へ
大学院で地質学を専攻した梅田。学びを活かせる環境を求めて選んだのが、資源開発分野でした。
「社会人2年目に非鉄金属メーカーの資源開発部門に配属され、鉱床地質学に関する知識だけでなく経済的なことも含め、鉱山開発事業の基礎を学びながら、探鉱技術者として探査案件に参加しました。
その2年後、坑内探査課員としてメキシコの鉱山へ出向することに。現地で鉱山操業に従事する過程で、スペイン語を習得しました。
採鉱に携わるようになったのは、さらにその2年後。メキシコに新しく立ち上げられた鉱山のオープニングスタッフとして参加し、フィジビリティスタディで導き出された品質や生産量の目標達成をめざし、現地のチームと協力して採掘計画の策定に関わりました」
その後、家庭の都合で約4年間にわたる海外生活に終止符を打ち、梅田は日本で再スタートを切ることを決意。2021年のことでした。
「ベントナイトという粘土鉱物の採掘と製造を手がける国内メーカーに転職しました。そこでは約2年間、既存の鉱山周辺での探鉱活動の立案・実施や、採掘計画の作成、新規の鉱山建設に向けた野外調査などを担当していました」
そして2023年、梅田は豊田通商へ。素材メーカーではなく、商社へと梅田を導いたのは、限られた地下資源を最大限に有効活用し、環境負荷の低減に貢献したいという信念でした。
「素材メーカーは国内に製錬所を構えており、製錬所への安定的な原料供給を目的として鉱山開発を行うため、製錬所での処理が容易になるよう鉱石を事前に処理します。その過程ではしばしばロスが生じ、鉱山のポテンシャルを100%活かせていないことに、かねてからもどかしさを感じていました。
商社に興味を持ったのは、そうした素材メーカー特有の制約にとらわれない資源開発に取り組めると考えたからです。中でも当時、EVの動力となる高性能電池に欠かせないリチウムの権益を持っていたのは、日本では豊田通商だけ。新たな経験と知見が得られるのはとても魅力的でした」
キャリアチェンジを機に、技術者としての成長を実感。前職での経験が役立つ場面も
同じ資源開発分野とはいえ、メーカーから商社への転職。入社当初は戸惑いながらも、梅田は技術者としての幅を着実に広げてきました。
「メーカーには多くの技術者が在籍し、専門分野ごとに分業化が進んでいます。そのため、自分の専門外のことに関わる機会はほとんどありません。ところが、商社での技術者の役割は特殊で、広範囲に精通している必要があります。聞きかじった程度の知識しかない分野においても、専門的な議論に対応するスキルが求められたため、最初は勉強に追われる日々でした。
電動化の進展にともない、さまざまな技術が発展していますが、最終的にどの技術が主流となるかは不透明です。そうした不確実性に対応するには、常にアンテナを高く保ち、幅広い情報を収集することが欠かせません。この状況に柔軟に対応し、競合他社との競争に後れを取らないことが技術チームのミッションと思っています」
一方、メキシコで長く暮らした経験から培ったスキルが生きた場面も。
「アルゼンチンのリチウム生産拡張プロジェクトで現地メンバーとやりとりする際、英語では思うように意思疎通できないケースが少なくありません。マネージャークラスのメンバーは英語でコミュニケーションがとれますが、鉱山で働くオペレーターは英語が堪能ではないことが多いからです。
完工試験に向けた準備を着々と進められているのは、スペイン語を駆使して現場から詳しい情報を入手できているからこそ。語学力など、これまでの経験から得たものによって、スムーズに事を運ぶことができています。
また、プロジェクトを成功させる上では、厳しい環境で働く方々に寄り添い、気持ちよく働いていただくことがとても重要ですが、短期間の滞在では、現地の文化や習慣、人柄などを深く理解するのは困難です。ときにお酒を酌み交わすなど、現地の生活に溶け込む中で養った感覚やコミュニケーション力が私の強み。これを活かして、これからも案件を円滑に進めていけたらと思っています」
新しいプロジェクトを立ち上げ、この国に豊かな資源を
新しいプロジェクトを立ち上げるのが現在の目標だと話す梅田。その背景には、キャリアを通じて大切にしてきた想いがあります。
「そもそも私が資源開発の世界に足を踏み入れたのは、世界各地で貴重な資源を見つけ出し、日本に持ち込んで産業の成長に貢献したいと考えたからでした。資源が乏しいこの国に貴重な鉱物をもたらすことは、とても有意義なことだと信じています。
また、新しい産業を生み出し、消費や雇用の拡大を通じて現地の発展に大きく寄与するのも資源開発のメリットのひとつです。資源開発は、環境破壊というネガティブな側面から語られることもありますが、技術を駆使して環境への影響を最小限に止めつつ、持続可能な開発に貢献していきたいと考えています」
梅田の想いが実現できるのは、豊田通商だからこそ。さらに、同社の充実した成長環境について、次のように続けます。
「TOEICやスピーキングテストの受験支援制度をはじめ、学びの意欲を後押しする環境が整っています。加えて、在宅勤務のための費用補助や住宅手当など、福利厚生が非常に手厚いのも特徴です。フレックス制度や在宅勤務制度も取り入れられていて、自由度の高い柔軟な働き方ができるのも、大きな利点だと感じています」
数少ない商社の技術者人材として活躍してきた梅田。社内の仲間に向けて、伝えたいことがあると言います。
「資源ビジネスでは国境を超えて大きなお金が動くため、それだけ多くの困難がともなうことと思います。皆さんがそれぞれの業務にフォーカスできるよう、私たちが技術的な部分を全力でサポートしていくつもりです。一丸となって大きな課題に取り組んでいきましょう」
※ 記載内容は2024年3月時点のものです

