新しい役職や役割など、2024年度に転機を迎える3人
異なる部署で異なる業務を担当する3人。それぞれ第一線で活躍しています。
生綿:私は非鉄事業部の非鉄地金グループで、主にハンダなどに使用される錫(すず)地金の先物取引に従事しています。国内市場を担当しつつ、マネジメント職としてリスク最小化や収益最大化をめざした体制構築にも取り組んでいて、2024年度からはグループリーダー(以下、GL)に就任する予定です。
宮寺:私はモビリティ素材・GX事業部に所属し、自動車用鋼板を商材として、国内部品メーカー向けの営業担当をしています。入社から5年間、一貫して同じ商材を扱ってきましたが、業務内容は少しずつ変化してきました。
最初の3年間は貿易の部署で中国や台湾、北中南米向けの輸出業務を担当し、4年目から現在の国内部署に異動となり、営業担当をするかたわら組織開発や後輩育成にも携わっています。2024年度からはタイの豊田通商グループの製造会社(以下、生産事業体)に2年間赴任することになっていて、マネージャーとして現地スタッフのマネジメントを担当したり、プロジェクトを推進したりする予定です。
袴田:私は入社4年目で、3年目の途中までは宮寺さんと同じ部署で自動車用鋼板貿易の貿易業務に携わっていました。その後、現在所属しているモビリティ素材・GX海外事業部に異動して中国や台湾向けの輸出を担当し、現在は国内向けのアルミ板のハンドリング業務を担当しています。私も2024年度からインドネシアに2年間赴任し、現地の生産事業体の管理や鉄のデリバリーを担当する予定です。
3人の中でもっとも勤続年数の長い生綿。2023年4月から組織開発につながる活動にも積極的に参画しています。
生綿:自部署の組織開発をはじめ、豊田通商グループのDE&I文化醸成のために全社横断のプログラムにも参加しています。そこでは、制度やトップダウン手法による意思決定だけではなく、私たち「現場」からのボトムアップ活動がどうすれば良い影響を周囲に与えられるのかを考え、仲間と共に組織の課題解決に取り組んでいます。
キャリアを支援する動きは社内で活性化していて、2023年11月にはふたつの本部合同でグローバル職の女性社員がキャリアについて話し合う座談会も開かれました。私は登壇者を務め、宮寺さんや袴田さんは参加者として意見交換を行いました。
時代と共に整備されてきた、性別問わず活躍できる組織風土
生綿が入社した2006年は、今ほどグローバル職の女性社員が多くなかったと話します。
生綿:幼いころから性別に関係なく働くことが当たり前という考えを持っており、性差をあまり意識しないまま社会人になりました。入社後、当時の男性中心の組織文化の中で自分が取り残されているという感覚や性差によるギャップの存在を初めて認識し、対応に困惑したこともありました。
また、入社6年目で産休に入る前後では、産休・育休はキャリアの壁と捉えたこともあります。プライベートを大切にしたい気持ちがあったものの、当時は自分のキャリアが一時的にストップしてしまうことを簡単には受け入れることができませんでした。
一方、宮寺や袴田の入社時には、性別関係なく誰もが活躍できる基盤が整いつつありました。働きづらさを感じたことはないと2人は言います。
宮寺:入社当初から同じ部署の2期上に女性のグローバル職の先輩がいて、その方が私たちの部署では先頭を走ってくれていました。その先輩の下に私と同期の女性社員がいて、1期下に袴田さんともう1人の女性社員、さらに1期下に1人後輩がいるなど、最近は女性のグローバル職が増えています。
当部の女性社員は1年目から営業に携わるわけではなく、貿易実務や支払い処理などの社内業務をじっくり覚えるのが一般的です。ビジネスの基礎を身につけられた反面、「守られた環境」に物足りなさを感じ、「2年目からは営業をバリバリやりたいので、台湾だけでなく中国も担当させてください」と直談判したこともありました。
現在は男性のグローバル職と同じように担当を持っていて、「女性だからこれができない」といった不満はまったくありません。
袴田:入社した時、宮寺さんのような年齢の近い女性の先輩が身近にいたことで安心感がありました。また、OJT担当が女性の先輩であるなど、女性社員の育成に前向きな印象を受けた記憶があります。
業務面でも、女性だからといって過度に気づかわれていると感じたことはありません。さまざまな職種の女性が、職種に関係なく教え合える風土で、協力しながら業務に取り組むことができています。
しかし、2人にはビジネスパーソンとしてのキャリアの短さゆえのこんな悩みも。
宮寺:これまで海外赴任を目標としてきたので、2年後にタイから帰ってきた後にどんなキャリアを歩むべきかまだ考えられていません。同じ部署の男性の先輩の中には、海外の生産事業体の社長になる方や帰国してマネジメント職に就く方が多いのですが、いまの自分にはそうしたキャリアを歩む姿がまだ想像できていない状態です。
袴田:年齢が離れた女性の先輩が身近にいないので、キャリアの指標となる方やロールモデルを見つけにくい点が、男性社員との大きな違いかもしれません。
現在のところ結婚や出産の予定はありませんが、同世代の女性のライフスタイルの変化を目にする機会が増えてきたため、キャリアやライフプランに対する考え方が今後どう変わっていくのか、自分でもまだつかみきれていない部分があります。
自分を深く理解し周囲と対話することが、キャリアを切り拓くきっかけに
入社以来、どのようなキャリアを築くべきか長く悩んできたと話す生綿。ロールモデルを社外に求めても、出てくるのは仕事も育児も完璧に両立している女性ばかりで、自分とは違うと葛藤が深まる一方だったと言います。
そんな生綿に転機が訪れたのは2018年のこと。新しく上司となった人物との出会いが、生綿の人生を変えます。
生綿:その上司は相談相手になってくれるだけでなく、私自身の自己理解を促し、成長を後押ししてくれる存在でした。ロールモデルが見つからず、働き方の正解もわからない中で、選択肢の幅や視野を大きく広げ、直面する課題を細分化しては「こういうふうにしてみたらどう?」と一つひとつ提案してくれました。
その上司に出会えたことで、それまでずっと霧に包まれたような状態だった視界が晴れて、進むべき方向がクリアになった気がしました。
その後、生綿はその上司から、プロジェクトマネージャー(以下、PM)に任命されます。
生綿:それまで、自分が手がけている業務とその周辺しか見えていませんでしたが、PMを経験したことで全体を俯瞰する視点が身についたと感じます。周囲の協力を得ないと実現できないことが増え、どうすれば人をうまく動かしたり巻き込んだりできるのかを学ぶ機会にも恵まれました。
2021年には現在のグループに異動し、以前よりも川上側の業務領域に携わるようになって、さらに視野が広がっています。恩人と呼べる方と出会い、新たな分野へチャレンジするきっかけを与えてもらったことで、モチベーションの向上につながりました。
一方、宮寺や袴田は、先輩社員から刺激を受け、自分自身を客観的に見つめ直すことでキャリア観を磨き上げてきました。
宮寺:私は現在、豊田通商の組織開発を先導している組織でコーチングを受けています。以前は、「キャリアについて考えなければ」という切迫した思いにとらわれていましたが、メンターと対話する機会を設けてもらいキャリアについて考えたり、座談会を通して生綿さんのような先輩社員から話を聞いたりする中で、先輩方も同じように悩んでいることを知りました。
その中で「その都度ベストな選択を重ねていけば良い」という言葉をかけられたことで、気持ちがとても楽になりました。
袴田:私も、部門を超えて社員が集う座談会に参加して先輩方の話を聞いたことがきっかけで、肩の荷が下りた感覚がありました。私は生き急ぐタイプで、「何歳にはこうなっていたい」と計画を立てながら、これまでの人生を送ってきましたが、キャリアプランやライフプランは計画通りにはいかないものです。
焦ったり、人と比べたりせずに目の前のことに集中し、1年ごとなど一定のスパンで立ち止まって考えるくらいで良いのかもしれないと思えるようになりました。
生綿もまた、自己理解を深めると同時に、周囲の評価を励みにしながら自信を養っていると言います。
生綿:私はもともとネガティブで、不安を感じやすい思考の癖がありますが、まずは自分のそうした性質を受け止めることが、意識を前向きに変えるきっかけになると思っています。
また、部長や上司から「生綿さんのこういうところが良いね」と具体的に褒めてもらうことで、自己理解を促進し少しずつポジティブな考えが持てるようになってきました。
幅広い選択肢の中から、誰もが「自分らしい」働き方を選べる組織へ
2024年度からGLに就任する生綿。自分らしいGL像を追求したいという想いが、その背中を追う宮寺や袴田に勇気を与えています。
宮寺:OJTを通じて、相手の性格に応じたコミュニケーション方法を取る難しさを、身をもって学びました。赴任後、現地スタッフのマネジメントを担当することになり、一人ひとりに合ったアプローチをする責任を強く感じています。
現在は手がいっぱいで、自分が生綿さんのようにGLを務める姿がまったく想像できません。GLに就任されるのは本当にすごいことだと思います。
生綿: GLという役割に、今も確固たる自信があるわけではありません。ただ、日頃の仕事ぶりやこれまでの成果を評価しこの役職を任せてくれた上司の期待に応えたいと思っています。
グループメンバーの仕事のスキルやスピード、働き方はそれぞれです。一人ひとりに合わせて柔軟に対応しながら、メンバーが心理的安全性を感じられる組織にしたいと考えています。いざというときに互いを頼り合い、「ほかのメンバーが自分を守ってくれる」と思えるような環境をつくっていきたいです。
袴田:これまで悩みや葛藤を抱えながらも前進し続けてきた生綿さんなので、GLになってからも、自身にとって最適な方法を模索しながら「生綿さんらしいGL像」を見つけていくのだろうと思います。
今回、話を聞けたことで、私も私らしくキャリアを積み重ねていきたいと気持ちを新たにしました。
それぞれ人生の転機を迎える3人。ライフステージに合ったベストな働き方をその都度考えていこうという価値観で自らの気持ちや理想を大切にしながら、新しいステージに向けて歩みを進めています。
袴田:幼いころから、日本と海外をつなぐ仕事をすることが唯一の夢でした。海外赴任というかたちで願いがかなうことに対して、今は不安と楽しみが混ざり合う複雑な気持ちです。
周りを気にしすぎることなく、自分の気持ちに真っ直ぐ向き合い続けたいと思っています。明確なロールモデルがいないということは、自分だけのキャリアや人生の道を切り拓ける可能性があるということ。理想とする未来をゆっくりと描いていきたいです。
宮寺:2023年は、仕事においてさまざまな変化があった年でした。何事も自分事として捉え、率先して業務の効率化や仕組みづくりを行い、チームのために担当外の業務改善に取り組むことで、周囲から信頼されて楽しく仕事ができたと思っています。
真剣に取り組むほど仕事がおもしろくなるのを実感できるようになりました。タイへの赴任後も全力で仕事に臨み、同僚と一緒に楽しく働けるような職場環境を築いていきたいと思っています。
生綿:私はメンバーにとって心の支えとなるようなGLをめざし、誰もが働きやすさを感じ、互いに助け合える組織をつくっていきたいです。信頼関係が築かれた組織には、自然と一体感が生まれるもの。仕事の目標やグループ全体としてのミッションの達成に向けて邁進していくつもりです。
そう話す3人が共通してめざすのは、誰もが働きやすく、理想のキャリアパスを追求できるような組織づくり。それぞれの視点から、未来の組織像を次のように描き出します。
宮寺:一人ひとりが自信を持って働くことができる環境整備がさらに進んでほしいと考えています。第三者によるコーチングが、私にとって自分自身を客観的に見つめ直す貴重な機会になりました。このような機会に誰もが気軽にアクセスできるようになることを願っています。
袴田:昨今、さまざまな企業で女性の管理職を増やそうとする動きが進んでいますが、そう望む女性もいれば、違った働き方を望む女性もいます。これは、女性に限らずシニアや外国籍の方にも共通すること。個々人が自分に合ったキャリアを選べるように、より多様な選択肢が提供されることを心から希望しています。
生綿: 現在、豊田通商グループが真のグローバル企業となるために、誰もが平等に働ける機会を得られるような取り組みを進めています。私がめざすのは、現場の視点を大切にし、より働きやすい環境の構築です。
具体的には、自己理解を深め、ロールモデルを探して同じ境遇の人同士が対話できる機会を設けて、お互いエンパワーメントできるコミュニティを形成できるといいなと。私自身にとってもキャリア形成のヒントになるのではと考えています。
さらに今後、この取り組みのバトンを次の世代に引き継いでいかなくてはなりません。女性社員だけでなく、シニア、育休を取得した男性社員、介護と仕事を両立する社員など国内に限定することなく、豊田通商グループ全体でメンバーに加わることで、DE&Iの文化が豊かになることを願っています。周囲に期待するのではなく、自ら率先して変えていこうとする姿勢が社内に根づいてほしいですね。
「自分たちの道を自ら切り拓く」という強い意志を胸に。誰もが自分らしく活躍できる環境をめざして、これからも3人は着実に前進し続けます。
※ 記載内容は2024年2月時点のものです

