尿素技術市場の3大ライセンサー。技術に対する誇りを胸に、顧客と向き合う
TOYOは1961年の設立以来、東洋高圧工業(現・三井化学)から継承した技術を世界に提供してきました。当社の海外営業本部は3つの部署で構成されており、第一部がアジア・中東地域、第二部がアフリカ・アメリカ・オセアニア地域を担当しています。私の所属する第三部は、自社技術の拡販とポストEPC業務、そして中央アジア地域を担当。尿素以外にもメタノールやDME(ジメチルエーテル)といった技術も取り扱い、全世界のお客様をターゲットにしています。
私は2022年の入社以来、一貫して尿素ビジネスを担当しており、現在も継続しています。部内ではこの分野に長く関わってきてメンバーの一人として部長のもとで後輩育成にも取り組みながら、大きな裁量をもって営業活動を行っています。具体的な業務は大きく3点あります。
1点目は案件発掘や市場調査などのプレセールス活動です。年間20〜30件の案件情報を受領し、その実現可能性を見極めながら対応していきます。2点目はプロポーザル業務で、提案書作成から契約交渉まで担当します。3点目は既設プラントの支援というアフターセールス活動です。
特にアフターセールスは、当社の強みとなっています。20年、30年と稼働し続けるプラントに対して、ライセンサーは継続的な責任を持ちます。腐食しやすい特性を持つ尿素プラントでは、定期的な機器交換や改造が必要となるため、インドネシアやインドなどの現地を訪問し、プロセス部と共にオペレーターから直接フィードバックを得て、それを次年度の開発戦略に活かすという重要な役割も担っているのです。
現在、世界の尿素技術市場には3大ライセンサーが存在します。オランダのスタミカーボン社、イタリアのサイペム社、そして日本のTOYOです。人口増加に伴い肥料需要が高まる中、当社は約20%弱の市場シェアを確保しています。確固たる技術をもとに、世界中の顧客に向けて営業活動が行えることは、この仕事の大きな魅力だと感じています。
営業として特に心がけているのは、オフィシャルとアンオフィシャルなコミュニケーションの使い分けです。お客様の実務担当者レベルとマネジメントレベルでは考えや要望が異なることが多く、公式の会議やメールだけでは本音を引き出しにくい場合があります。そのため、SNSなども活用しながら国ごとに適切なコミュニケーション方法を選び、真のニーズを把握することを重視しています。
世界の現場と製造のリアルを知った営業経験を武器に、TOYOで新たな世界に飛び込む
私は子どもの頃から海外への関心が強く、中学・高校時代にはイギリスやオーストラリア、中国への短期留学を経験しました。また、食べることが好きで、料理との出会いで感動を得る経験を重ねるうちに、食を通じて人々の幸福度を高めることに関心を持つようになりました。そのため、新卒時の就職活動では食に関わる企業に注目し、農機具メーカーへと入社しました。
前職では海外営業本部に所属し、6年間に渡ってアジアや北米、オセアニアなど幅広い地域を担当して営業部門と工場生産の管理部門の両方を経験することができました。営業部門では各国の販売代理店との在庫調整や販売管理を行い、直接的なコミュニケーションを通じてお客様のニーズをヒアリングして提案を行う機会に恵まれました。
工場生産の管理部門では、お客様からの注文に基づく生産計画の立案、月次の生産台数管理、出荷管理、財務管理まで一貫した業務に携わりました。これらの経験を通じて、製造業における基礎的なビジネスプロセスの理解ができ、現在のTOYOでの仕事においてもお客様に寄り添った営業を行う上での重要な基盤となっています。
6年間の経験を積み、一通りの業務を習得できたという手応えを感じていた頃、新たなキャリアへのチャレンジを考えるようになりました。そこで、新卒時にも志望していたTOYOに再び応募することを決意しました。
TOYOを選んだ理由は、案件規模の大きさとプロジェクトの進め方に魅力を感じたためです。確かな技術力と製品を持っているだけでなく、プロジェクトの実行において後工程まで考慮した契約づくりを行い、様々な部門の専門家がチームとして協働する姿勢に惹かれました。
また、設計やエンジニアリングだけでなく、法務や経営など多様な観点から優秀な人財一つのビジョンに向かってプライドを持って取り組む組織文化に大きな可能性を感じました。
2022年に入社してからは、異業種からの転職者として新しい知識を習得していきました。初めは苦労もありましたが、TOYOには、主に技術的な基礎知識を体系的に習得するための「TOYO Academy」という学習プラットフォームが整備されており、業務の合間に繰り返し学習できる環境が整っていました。
また、上司やアドバイザーからの丁寧なサポート、良好な人間関係にも恵まれ、中途入社者でありながらスムーズに組織に馴染むことができました。2〜3件の案件を経験する中で業務にも慣れ、着実に適応することができました。
案件で得た教訓を、次の案件へ活かす。粘り強く築いた信頼と戦略で、新プロセスの採用
入社当初、私が担当した案件の中で特に印象に残っているのは、400億円規模の新規顧客向け案件です。当社の尿素ライセンス供与は多くの場合、既存顧客からの依頼が中心となりますが、この案件は完全な新規顧客でした。そのため、客先信用調査やコンプライアンス調査など慎重な審査プロセスを経る必要がありました。
案件自体は順調に進んでいましたが、最終的にはコンプライアンス上の理由で成立には至りませんでした。この経験から、案件の規模だけでなくリスク管理の重要性を学ぶことができました。規模感だけにとらわれない、プロセスの重要性を早い段階で理解できたことは、その後の案件対応に大きく活きています。
そして、昨年は複数の契約締結を経験しましたが中でも特に記憶に残っているのが、インドネシアの既存顧客に尿素ライセンスを供与するプロジェクトです。 この案件の中国のEPCコントラクター向けにライセンス供与をする過程で、最も大きな課題が当社の新しい尿素合成技術を1号機として採用していただくことでした。
新技術の導入には20~30年以上プラントを稼働させるお客様にとってリスクが伴います。そのため、お客様のメリットを丁寧に説明するため、何度もインドネシアに足を運び、提案を重ねました。特に難しかったのは、国営企業であるお客様の意思決定プロセスです。直接の取引先であるプスリ社の上位組織としてインドネシアの肥料会社を束ねるPIHC社があり、その承認を得るためには適切な人脈を構築する必要がありました。
この案件で私が特に注力したのは、提案戦略の構築です。エンジニアリング部門から多くの技術的な提案がある中で、お客様にとって最も魅力的な要素は何かを見極めました。その結果、OPEX(運転コスト)の削減という観点を前面に出し、技術的な詳細は補足資料として位置づける方針を立てたのです。
この戦略が功を奏し、最終的にお客様は新プロセスの採用を決定されました。2027年頃の建設完了を目指しており、当社にとっても新プロセスの実績作りという意味で重要な案件となっています。入社以来、一つひとつの案件から学びを得てきましたが、そうした経験の積み重ねが、現在につながっていると実感しています。
多種多様な分野の専門家が集う環境。そこから目指す未来とは
私がTOYOに転職して最も良かったと感じているのは、社員全員が本気で仕事に取り組む姿勢です。自分の担当領域だけでなく、幅広い分野の専門家が互いに補完し合いながらプロジェクトを進めています。
また、気象情報会社や電機メーカーなど多様なバックグラウンドを持つ中途入社の社員も多く在籍しており交流も活発です。このような機会を通じて、どのように人に気を配るべきか、営業としてどうアプローチすべきかなど様々な情報共有ができる環境が整っています。
そんなTOYOで活躍するには、主に3つの要件が必要と考えます。1つは当事者意識と責任感を持ち、自分の裁量で考えて行動することです。上司からの指示に対しても、本当にそれが必要なのか。お客様が求めているものなのかを考えることが重要です。
もう1つは、効率化を意識することです。会議が多い中でもアウトプットの時間を確保し、効率的に業務を進められることが求められます。そして、最後の1つがメンタル面での強さです。案件が集中する時期もあるため、プレッシャーに耐えられ、お客様との商談でも粘り強く交渉できるタフさが必要です。
今後のキャリアについては、お客様との直接的なコミュニケーションを重視し、海外出張の機会を増やしていきたいと考えています。また、中途入社以来EPCの経験がないため、より大規模なプロジェクトにも挑戦したいです。
当初、当社尿素実績の多い国への駐在を考えていましたが、上司との定期的なキャリア面談では、新市場の開拓やTOYOのライセンサーとしての価値を高められる地域を推奨されています。保守的な考えに留まることなく、さらなる挑戦を後押ししてくれるため、その環境を活かして私も成長していきたいと思っています。
最後に、私の夢を語らせていただくと、肥料ビジネス、特に尿素に関して、限られた天然ガス資源の中でいかに全世界に安定供給できるかを追求していきたいと考えています。様々な情勢の変化によって価格が上昇する中、尿素プラントの新設や改良案件を通じて当社尿素技術で世界の食の安定供給に貢献していきたいです。
※ 記載内容は2025年7月時点のものです
