大学に申請をして、籍を置いたまま休むことができる休学制度。
病気や怪我、家庭の事情などやむを得ない事情で休学する方もいれば、海外留学や就職・起業の他、インターンシップやボランティアへの活動など、やりたいことがあり、休学する方もいます。
またその一方、大学で学ぶ意義を見失ってしまったり、やりたいことを見つけたりするために休学する方もいるなど、休学する動機はさまざまです。
休養が必要な方は、まずはしっかりと休むことが大切ですが、もし目的があって休学をしたのであれば、その期間をどう過ごすかは非常に重要です。
そこで本記事では学生時代に休学を経験した方々のリアルな声を通じて、休学経験者は休学期間にどんな経験をし、何を得たのか、その経験は社会人になってからどのように活かされているのかをご紹介していきたいと思います。
休学を検討している方、休学したものの過ごし方に悩んでいる方はぜひヒントにしてみてください。
休学者はどのくらいいるの?
周りに休学している人はいないな、という方もいるかもしれません。
文部科学省が公表している「学生の修学状況(中退者・休学者)等に関する調査」によると、令和3年度、大学(大学院生含む)の休学者は65,143人となり、学生数に占める休学者数の割合としては2.19%です。
休学理由としては「経済的困窮」、「心身衰弱・疾患」、「病気・けが・死亡」、「学生生活不適応・修学意欲低下」など、やむを得ない事情が多いものの、「海外留学」、「就職・起業等」など前向きな理由も見受けられます(下記図右下枠内)。
出典:「学生の修学状況(中退者・休学者)等に関する調査【令和3年度末時点】」(文部科学省)
休学経験者は休学で何を得たのか?就職やキャリアへの影響は?
ここからは、talentbookに掲載されているコンテンツの中で、休学を経験したことのある方々のエピソードをピックアップしてご紹介していきたいと思います。休学した方はなぜ休学を選択し、どのような休学期間を過ごしたのでしょうか?
休業が就職やキャリアへどのように作用したのかなどについても語られていますので、ぜひヒントにしてみてください。
※ 掲載内容は記事公開当時の内容です
▶︎株式会社ウェルカム
事業内容:小売及び飲食業を通したライフスタイル事業、輸入食品および加工食品等の製造・販売、カフェの運営
・現在の仕事内容:DEAN & DELUCAグループで、 “LIG DEAN & DELUCA”のプロジェクトリーダーを務める
大学生活とアルバイトをしながら、(ボランティア)団体での活動も送っていた小髙さん。多忙な小髙さんのバイタリティの源を次のように語ります。
小髙さん 「団体での活動にハマっていったのは、バックボーンが多様なメンバーが対等にいる環境がとても心地よかったからだと思います。上は60代から、下は中学生くらいのお子さんとお母さんが親子でボランティアに参加されていることもありましたが、私も含め、活動中はみんな対等でした。団体の目的に共感したメンバーが集まる空間がとても居心地がよくて、楽しさが根本にあったことで続けられました」
大学3年生が終わるころ団体から誘いを受け、学校を一度休学し、8カ月にわたりその団体の職員を務めることを決意した小髙さん。ひと回り成長してから復学し、就職活動の道を歩み始めました。(中略)
大学時代での服飾関係の学びを活かそうと、アパレル業界を中心に就職活動を進めたと小髙さんは言います。
小髙さん 「企業理念に共感できるかを一番の軸に置いていましたね。NPO団体にいたことも大きかったと思います。理念に共感して、ワクワクして自分が胸を張って働ける企業でないと続けられないとわかっていたんです」
→ストーリー:同じ想いを通し結び付けられるもの。ウェルカムの理念を胸に飛躍するプロジェクトの立役者
▶︎株式会社ギックス
事業内容:アナリティクスを用いた、データインフォームド事業(データを活用した各種コンサルティング業務およびツールの研究・開発、上記ツールを用いた各種サービスの提供)
・現在の仕事内容:取締役兼Data-Informed事業本部長
花谷さんが最初のキャリアとして選んだのは、建設コンサルティング会社。研究内容だけでなく、大学時代の海外体験がキャリアの方向性を決める道標となりました。
花谷さん 「大学3年生のときに休学し、バックパッカーとしてスペイン語を勉強しながら中南米を旅しました。その後、大学院在籍時には、カナダでの交換留学を経験して英語を学習。こうした経験や大学院で学んだ知識を活かし、海外で土木系の分析シミュレーション業務に携わる仕事に就くことを考えるようになりました。
最初に就職した会社は、政府開発援助(ODA)プロジェクトに参画する、海外で働く機会に富む職場。25〜32歳にかけての大半の時期をフィリピンやインドで過ごし、堤防やダムの建設を支援する仕事をしていました」
当時携わっていたのは、建設プロセスの中でも、最後の“つくる”工程にだけ関わる仕事でした。より上流のビジネスに関わりたいと考えるようになった花谷さんは、2008年に戦略コンサル企業への転職を決意。32歳で戦略コンサルタントへの転身を果たします。
→ストーリー:構想を実装しカタチあるものに──事業推進役として組織をけん引する事業トップの原点
▶︎株式会社ゼネラルパートナーズ
事業内容:障害者の総合就職・転職サービス(求人情報サービス、人材紹介サービス、就労移行支援事業、就労定着支援事業、就労継続支援A型事業)
・仕事内容:atGPジョブトレお茶の水の副施設長を務める
鹿島さん 「私がGPに入社したきっかけを遡ると、学生時代の経験が関係しています。そもそも私の原体験とも言えるのが、中学生のころに教科書で見た「ハゲワシと少女」という写真です。ケビン・カーターが撮ったこの写真を通して、途上国の現状を知り、いつか支援活動に参加したいという想いが芽生えました。
その想いもあり、大学は国際系の学部へと進学。途上国の支援を学ぶ中で、カンボジアの教育支援を行う団体に出会い、実際に現地に向かう支援プログラムに携わったんです。
プログラムは1~2週間程度の滞在期間での活動だったので、もっと長期間滞在し、現地の方たちとコミュニケーションを取りながら継続的な支援を行ってみたいと思うようになりました。その後は紆余曲折あり、1年間休学をして、カンボジアで教育支援を行うNGOのインターンとして、現地の農村にあるフリースクールやカンボジア都市部の大学生が格安で住めるシェアハウスの運営に携わりました。
鹿島さん 「もともと私自身はアクセサリーやファッションが好きで、『ファッション×途上国の支援』という文脈で何かできないか模索をしていたのですが、たまたまフィリピンでのスタディツアーに参加した際、少数民族の方が真珠を売っている場面に出会ったんです。これを日本で販売したいと考え、再び1年間休学。日本のアクセサリー作家さんに真珠をお渡ししてアクセサリーを作ってもらい、販売する企画を立ちあげました。
こうした背景があったので、就職活動では途上国発の鞄やアクセサリーを扱う会社などを見ていました。ですが、学生時代の経験を振り返りながら就職活動を進めていく中で気づいたのが、私は人をエンパワメントできる活動がしたいということ。
エンパワメントとは私の中で、自分が関わった人が自分の力に気づいたり、ありのままの自分も良いなと思えたりするきっかけをつくり、前に進むサポートをするイメージです。人を支援すること、対話を重ねることのおもしろさと難しさをカンボジアやフィリピンで感じたこともあり、人材系の企業への就職を考えるようになりました」
→ストーリー:利用者さんの隣で、共に学ぶ日々──変わらないのは目の前の人をエンパワメントしたい想い
▶︎株式会社デンソー
事業内容:自動車技術、システム・製品を提供する、グローバルな自動車部品メーカー
・現在の仕事内容:デンソー豊橋製作所で製作所内のDXに取り組む
西尾さん 「大学1年生のとき、進路に迷ってしばらくのあいだ休学をしたことが、人生のターニングポイントとなりました。
物理を学ぼうと関東の大学の機械工学科に入学したものの、初年度の講義は数学や化学などの基礎教養科目が中心。自分が想像していた学習内容とのギャップに耐えられなくなったんです。
自分が将来何をやりたいのかを考えるために、半年間の休学を選択。大学を辞めて自分で生計を立てていこうとも考えていました。
ですが、休学して得られたのは、自分にはまだ“何もない”という気づきでした。
当時はレコード集めが趣味だったので、海外でレコード買い付けるバイヤーをやってみたいと思っていましたが、当然、実用レベルの英語能力やレコードに関する専門知識がないと成り立たず挫折することに。他のことに手を出そうとしてみても、さまざまな壁に行く手を阻まれました。
何をするにも、しっかりと努力を重ね、それを証明できる資格や実績を持たないと、選べる進路は限られてしまう。自分を磨かずには先はないし、何者にもなれない。そんな自分の未熟さや社会の厳しさを痛感させられました。
結局、自分を磨くためにもう一度大学に行かせてほしいと親に謝って、大学2年生から再スタートを切りました。
それからは、何をするにしても、『なんとなく』で進めるのではなく『なぜ必要なのか』を自分なりに納得して行動できるようになりました。早い段階でそれに気づけたことは、本当に良かったと思います。あの休学がなかったら、今の自分はなかったと思いますね」
→ストーリー:若きリーダーの苦悩と成長。自分と向き合い、相手に寄り添うことで気づけたこと
▶︎日本シグマックス株式会社
事業内容:全国の医療機関に整形外科向けの各種固定材料、医療機器を製造販売するほか、スポーツ事業(スポーツ用サポート・ケア製品の製造販売)、ウェルネス事業(日常生活向けサポート・ケア製品の製造販売)も展開
・仕事内容:ベトナムおよびミャンマー協力工場の生産管理を担当している生産部・生産管理課リーダーを務める
安達さんは幼少期から海外に興味があり、大学時代は中近東・アジアを周遊。
日本生まれ日本育ちで、家庭環境としては海外に触れる機会はなかったものの、日本にはない刺激的な文化に強い興味を持っていました。
安達さん 「大学2年生の春、しがらみがなくて自分の力を試せるような場所を旅してみたいと中東へ行きました。エジプト・ヨルダン・シリア・トルコを訪れ、言葉では表せないほど大きな刺激があり、独自の文化に触れて『これはおもしろい!』と感じたのです。
同時に、結局、こうした旅ができるのはその土地の人たちの助けがあってこそだとも痛感しました。その後、中国・パキスタン・タイ・ベトナムへ。さらに1年休学し、ミャンマー・インド・イラン・タイ・カンボジアなど全部で10数カ国を放浪。最後の2〜3カ月はベトナムに長期滞在していました」
数多くの国を訪れた結果、安達が最も惹かれた国が「ベトナム」。大学卒業後、一度就職したものの「真剣にベトナムについて研究したい」という想いが強まり、退職して大学院に入り直すことを決意しました。
安達 「大学院では地域研究科の東南アジアコースに属し、ベトナムの出稼ぎ労働者の町と村での生活について文化を切り口に研究していました。そのときに1年間ベトナムに滞在し、言語を中心に勉強しながら、出稼ぎ労働者たちに密着するフィールドワークを実施。容易ではありませんでしたが、会話力は、現地の生活に入り込みインタビューできるレベルにまで上達できました。
ベトナムでは人と人との距離が近く、ウェットな人間関係が求められます。そんな文化を理解するのが大変おもしろく、現地ではとても多くのことを学びました」
大学院卒業後は、ベトナム雑貨販売事業を行う企業と海外研修生の受け入れを仲介する企業の2社を経験。しかし、就職した会社がベトナム関連事業から撤退するなど状況が変わり、転職先を探しているところで日本シグマックスと出会いました」
→ストーリー:語学力を強みに「想い」をダイレクトに伝える。現地の信頼を掴んだ生産管理担当者
▶︎富士通株式会社
事業内容:テクノロジーソリューション、ユビキタスソリューション、デバイスソリューション
・仕事内容:神恵内村役場 企画振興課にデジタル化戦略担当として着任
大学では座学で農業を学び、研究をすることがほとんどだった福地さん。現場で起きている課題を解決するには、違う角度からの学びが必要だと感じ始めていました。
福地さん 「どうにかしたいと思っていたとき、ちょうど大学の掲示板にアメリカへの農業留学の募集がありました。日本とは違う農業を学ぶことが近道になるかもしれない。その想いから、2年間休学してアメリカに向かいました。
アメリカの農業は日本とはまるで違い、驚きの連続でした。とくに驚いたのが、データ活用と分業が進んでいることでした。これを日本の農業でも生かせないか、社会人となってどう関わるとそれが実現できるのか、悩みましたね」
最終的に民間企業に就職し、ICTの側面から農業と関わることを決めた福地。入社した富士通では、帯広の地からそのキャリアをスタートさせます。
→ストーリー:日本をもっと元気に!持続可能な街づくりに向け、地元の方と一緒に考え、未来を創る
▶︎talentbook株式会社
事業内容:talentbookの企画・開発・運営、採用マーケティング支援
・仕事内容:執行役員CFO
スポーツに夢中だった津田さんが、将来のことを少しずつ考え始めた高校時代。旅行やテレビ番組をきっかけに海外に興味を持ち、中でも強く関心を抱いたのが、開発ボランティアの活動。大学入学後には、フィリピンやインドなどいろいろな国へ足を運び、自分の目で現場を見るうちに、「自分にできることはなんだろう、自分がやるべきことはなんだろう」という思いが募っていきます。(中略)
転機となったのは、1年間休学して行った中国でのインターンシップ。スポットコンサルティングのマッチング事業をしているベンチャー企業で、津田さんは海外の投資家やコンサルティング会社と日本の専門家をつなぐ仕事を担当します。英語に不慣れで同僚とのコミュニケーションもままならないところからのスタートでしたが、チームには日本とのビジネスニーズがあるにもかかわらず日本人が不在。「日本語が話せること」で価値を発揮できると感じたことが、自分の居場所を見つけるきっかけになりました。
そして、この会社で経験したベンチャー企業ならではのカルチャーは、津田の進路への指針となります。
津田さん 「自分には、風通しが良く、オープンなカルチャーを持った会社がフィットすると感じたので、スタートアップ、IT系の企業などを軸に就職活動を始めました」
いくつかの会社を訪れる中で津田さんが心惹かれたのは、クラウドソーシング事業を展開するスタートアップ企業。インターネットだからこそリアルの限界を超えられる、そんな信念に魅力を感じたのです」
→ストーリー:ベンチャーキャピタル(VC)を経てスタートアップに飛び込んだCFOが描く、PR Tableの可能性
休学を経験した人の中では、休学時の経験が就職先選びに大きく影響している人が多いようでした。
休学を経て、成長したり、貴重な体験ができたりする可能性があります。一方で、休学を決断するまでには、将来のキャリアへの不安や休学中の学費、家族や周囲の理解など、人によってさまざまなハードルがあるかと思います。休学経験者のお話しをヒントに、最適な選択ができることを願っています。
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