就職後はグローバルに活躍したいと考えている方の中には、学生時代に力を入れたこと、いわゆる「ガクチカ」として留学経験を挙げる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もちろん、留学をした当時は興味や関心の赴くままに留学をしたという方も少なくないと思いますが、ガクチカとしてエピソードを考える上では、留学先でどんな経験をしたのか、どう成長できたのかだけでなく、どのようにビジネスで活かせるのかまで思い巡らす必要があります。

そこで、本記事では留学で得られる経験の一例と、留学先での経験が活かされている方、仕事に影響を与えていると考えている方々の実体験をご紹介します。

留学で得られるものといえば?

留学先やどのようなプログラムなのかによって異なりますが、一般的に次のような経験やスキルを得られます。

・言語スキル
語学自体は日本国内でも学ぶことはできますが、留学をした場合、日常的に留学先で使用されている言語を使用することになります。ビジネス用語を日常的に使用する機会は少ないかもしれませんが、日常会話に慣れておくことで、該当言語でのコミュニケーションが取りやすくなる可能性があります。

・異なる文化や価値観に触れる経験
留学先の国の文化や価値観に触れられることはもちろんのこと、留学先として選ばれやすい場所には他国からの留学生も少なくないでしょう。そのため、多様な文化や価値観に触れられる機会となるのではないでしょうか。日本国内で過ごす以上に、文化や価値観の違いを大きく感じ、留学をきっかけに視野や考え方に幅が出るのではないでしょうか。

・異文化コミュニケーションスキル
出身国を問わず、異なるバックグラウンドを持つ方と共により良い環境で仕事をする上では、それぞれの文化や価値観を知るだけではなく、尊重することが大切です。また、そうすることで、相手の視点に立った考え方なども身につくかもしれません。

・積極性/主体性/行動力
留学に踏み出すことも大きな一歩です。しかし、留学先では文化や価値観が大きく異なり、言葉にしなければ伝わらないことや、行動に起こさなければ伝わらないことなど、「察してもらう」ということが難しいケースが多いでしょう。そのため、積極的に発言したり行動する必要性から、積極性や主体性、行動力が身につくこともあるでしょう。

・対応力/柔軟性
国が異なれば文化だけではなく、法律やルール、常識なども異なります。そもそも新しい環境での生活になるため、柔軟に対応していく力が求められます。また、慣れない環境下でトラブルや問題に遭遇することもあるため、そうした力が養われるのではないでしょうか。

留学を経験したビジネスパーソンの声

ここからは、留学先での経験がビジネスの場においてどう役立っているのか、また影響しているのか、働く人の実際の声をご紹介していきます。

※ 掲載内容はストーリー公開当時の内容です

▶︎FWD生命保険株式会社

事業内容:生命保険業

・業務内容:デジタルビジネス推進部デジタルコンテンツグループでECサイトのプロジェクトに携わる
・留学先:シンガポール

山本さん 「シンガポールでは、アジア各国からさまざまな人種が集まる空間で学ぶことができました。考え方も文化も宗教も異なる人々の中で、自分の考えを自由に発言するスキルが身についたと思います」

このような経験から、仕事は海外の方と関わったり、海外で働いたりできるチャンスが豊富なポジションを希望するようになりました。

→ストーリー:複数の部署を経験し、広い視野で業務を理解。DGPを起点に拓く自分らしいキャリア

▶︎MANGO株式会社

事業内容:運用型デジタル広告オペレーション事業

・業務内容:デジタル広告の運用や広告効果の分析、施策提案を担当
・留学先:カナダ

尾﨑さん 「カナダに滞在した1年間でたくさんの人と出会い、多様な価値観に触れました。海外の文化や働き方にも心惹かれる部分はありましたが、一番大きかったのは、私と同じように、日本から留学に来ていた方たちとの出会いです」(中略)

かつての留学で、自分の中にはなかった価値観に触れたこと、人生観の視野が広がったことが、壁を乗り越えるきっかけにもつながったという尾崎さん。次のように続けます。

尾﨑さん 「自分自身に『今考えていることだけが正しいと思うな』と常に言い聞かせています。それから、仕事をする上では『自分でちゃんと考える力』を意識するようになりました」

プロジェクト推進という挑戦の中で得た新たな価値観と学びは、かつての経験と結びついて今の仕事の基盤になっていきます。

→ストーリー:多様な価値観に触れて「私らしく」輝く──新しい視点が成長への架け橋

▶︎株式会社コメ兵

事業内容:中古品・新品の宝石・貴金属、時計、バッグ、衣料、きもの、カメラ、楽器などの仕入・販売

・業務内容:KOMEHYO新宿店[KOMEHYO SHINJUKU (MEN/WOMEN)]で販売業務とバッグの買取業務を担当
・留学先:フランス

フランス留学での経験は、ポップアップの企画やアイデア創出につながるなど、今の仕事にも非常に活きていると小野瀬さんは語ります。(中略)

入社1年目の小野瀬さんがリーダーを務め、関係部門のマネージャーや商品部門が周囲を固める体制で企画が進行。とくに展示については、小野瀬がフランス留学で得た経験が活かされたといいます。

小野瀬さん 「本当に初めてのことばかりで、何ができて何ができていないかもまったくわからない状態でのスタートでした。他部署のスタッフと関わったこともほとんどなく、いろんな人の協力があってこそ企画が成り立つんだなと実感しました。

企画のリーダーになった以上は、ブランドの背景やそこに込められた意味も表現したいと思っていました。展示については、ジルサンダーのデザイナーさんがこれまで経験してきたブランド(ルイ・ヴィトン、シュプリーム)のエッセンスも感じてもらえるものにしたくて。そのためにフランス留学中に訪れたフォンダシオン ルイ・ヴィトン(ルイ・ヴィトン財団美術館)を参考にしたり、シュプリームのボックスロゴのイメージを使ったり、デザインの背景を感じ取れる展示にこだわりました。

そうした意味を込めた展示をすることで、ポップアップをお客様に楽しんでいただき、興味をもっていただくきっかけになればと思いました」

→ストーリー:入社1年目でポップアップのリーダーを経験!失敗を恐れず自らの手で未来を切り拓く

▶︎日本ストライカー株式会社

事業内容:医療器具の輸入販売

・業務内容:東京中心部の病院向けに内視鏡関連製品の営業を担当
・留学先:アメリカ

入江さんのチームには、彼女の父親よりも年上のメンバーもいます。多種多様な考えや経験が集まるチームだからこそ、幅広い視野を身につけることができる。アメリカ留学を経験した入江さんは“人の多様性”を受け入れ、それを自分自身の力に変えています。

入江さん 「ホームページなどに “チームワークが良い ”とうたう企業はたくさんありますが、日本ストライカーはまさにそれを実感できる職場。

私が入社を決めたときの人事責任者がその後異動し、現在私が所属する事業部門の部門長を務めているのですが、自分の成長する姿を最初からずっと見てもらえていることが励みでもあります。人を育てるということに重きを置いた、家族のようなチームの中で働いています」

→ストーリー:新進気鋭の女性営業担当が日本ストライカーで実感する“All for One”

▶︎農林中央金庫

事業内容:食農ビジネス、リテールビジネス、投資ビジネス

・業務内容:農林中金オーストラリアにて資金繰り業務などを担当

シドニーにある現地法人 農林中金オーストラリア。農林中央金庫で行われているプロジェクトファイナンスをオーストラリアで展開するべく設立されたこの会社で、駐在員として働くのが鈴木さんです。(中略)

鈴木さん 「大学時代に留学経験があり、それなりに一生懸命英語を学んできたので、仕事で英語を使うことに対してはとくに抵抗感はありませんね。ただ、専門用語などはわからない部分も多いので、日々勉強です」

→ストーリー:「意味のある銀行」の答えを求めて。常にチャレンジを続ける原動力と見つめる未来

▶︎富士ソフト株式会社

事業内容:業務系ソリューション、組込/制御系テクノロジー、プロダクト・サービス&アウトソーシング

・業務内容:エンジニアとして、半導体製造機器から出力されるデータを扱うためのサーバ構築や運用、機能改善を担当
・留学先:アメリカ

高校卒業後、グローバル化の重要性やIT業界の将来性を感じ、英語とプログラミングを同時に学ぶためにアメリカの大学に進学する道を選んだ甘利さん。ドローン開発を通じてプログラムの基礎を学んだという。

甘利さん 「コンピュータサイエンス学科に所属し、プログラミングを専攻しました。グループ単位でプレゼンテーションする機会があり、そこでドローンを開発したんです。

ドローン開発は、機体に関するハードウエア開発と自動制御プログラムやアプリに関するソフトウエア開発などの知識が必要です。当時はC言語でプログラミングをしました。ドローンを飛ばすために、必死でC言語をマスターしました。今でも、GO言語というC言語に似た言語を使っているので、当時の経験が活きています」

→ストーリー:高い技術力と理解力を武器に即戦力へ。エンジニア2年目の軌跡

▶︎富士通株式会社

事業内容:テクノロジーソリューション、ユビキタスソリューション、デバイスソリューション

・業務内容:神恵内村役場に出向し、企画振興課でデジタル化戦略を担当
・留学先:アメリカ

大学では座学で農業を学び、研究をすることがほとんどだった福地さん。現場で起きている課題を解決するには、違う角度からの学びが必要だと感じ始めていました。 

福地さん 「どうにかしたいと思っていたとき、ちょうど大学の掲示板にアメリカへの農業留学の募集がありました。日本とは違う農業を学ぶことが近道になるかもしれない。その想いから、2年間休学してアメリカに向かいました。

アメリカの農業は日本とはまるで違い、驚きの連続でした。とくに驚いたのが、データ活用と分業が進んでいることでした。これを日本の農業でも生かせないか、社会人となってどう関わるとそれが実現できるのか、悩みましたね」

最終的に民間企業に就職し、ICTの側面から農業と関わることを決めた福地さん。入社した富士通では、帯広の地からそのキャリアをスタートさせます。 

福地さん 「私は農業の生産管理システムのバージョンアップに携わりました。また、AIを活用した病害虫診断システムのPoC(概念実証)を行っていて。試験農場で写真を撮って、どの虫なのか、どのくらい農薬をまけばいいのか、といった情報を生産管理システムと紐づけるような実験もしました」

→ストーリー:日本をもっと元気に!持続可能な街づくりに向け、地元の方と一緒に考え、未来を創る

▶︎ランスタッド株式会社

事業内容:人材派遣サービス、人材紹介サービス、テクノロジーサービス、アウトソーシング事業、人事サービス

・業務内容:アソシエイトコンサルタントとして、テクノロジー・IT業界の人材紹介を担当
・留学先:フィリピン、カナダ

海外の候補者の方を担当するケースが多く、アメリカの大学で学んだことを活かせる場面も少なくないといいます。

林さん 「国によって人生観や仕事観は大きく異なります。大学ではさまざまな国の方と接する中で、話し方の特徴や文化・慣習など、国ごとの違いについて知る機会に恵まれました。当時の経験が役に立っていると感じますね」

→ストーリー:自身の成長意欲にブレーキはかけない。人材コンサルタントとして歩む道


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行により、留学が叶わなかった方も多いかもしれませんが、入国制限が緩和された国も多く、徐々に留学もしやすい状況になってきました。留学をしてみたいという一心で留学した方も、将来を見据えて留学をした方も、今回ご紹介したビジネスパーソンの経験談を踏まえて、自身の経験を整理してみてはいかがでしょうか?

他にもグローバルに活躍されているビジネスパーソンのストーリーをご紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。

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