これまで企業では、働き方改革により、残業時間の削減や生産性の向上、業務効率化といった取り組みが行われてきました。
最近ではZ世代を中心に、かけた時間に対する満足度や効果、つまり時間対効果を表す「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉が浸透していたり、生成AIの普及によってあらためて生産性や業務効率化に焦点が当てられたりと、生産性や業務効率化をより意識し始めたという方も多いのではないでしょうか?
生産性向上のための管理ツールなども世の中には多数存在している一方で、それらを使いこなすにも、自分自身が生産性を上げることを意識しなければ、より良い効果を生み出すことはできません。
そこで本記事では、タイムマネジメントのために意識すべきこととともに、実際に企業で働く社会人が取り組んでいるタイムマネジメントの方法をご紹介します。
タイムマネジメントのために意識したいこと
限られた時間をより効果的に活用するために、意識したいことや取り組みたいことをご紹介します。
・業務を整理する
どんな業務にどのくらいの時間をかけているのかを洗い出します。時間がかかりすぎている、無駄になってしまっている業務がないかなどを考えながら、整理することを習慣づけましょう。
・業務の優先順位を決める
業務やタスクが溜まってしまうと、どこから手をつけていいのかがわからなくなってしまいます。緊急度や重要度、納期などを踏まえて優先順位を決めることで、時間を最適化することができます。
・スケジュール(計画)を立てる
アポイントや会議といった予定の他に、いつどのタスクに取り組むのかなどもスケジュールに落とし込みます。また、前日や当日の朝に1日の間に何を取り組むのか整理したり、あらためて確認したりすると効率的に活動することができます。
・ToDoリストでタスクを管理する
やるべきことをすべて完璧に覚えるのは難しいことです。そこで、タスク管理ツールやメモなどを用いて、タスク、期日などを管理すると抜け漏れなく対応することができます。また、やるべきことが決まっていれば、行動に移すまでの時間が短縮され、より効率的に仕事に取り組むことができます。
また、タスクを管理する際には「新しい企画を考える」といった粒度の大きさよりも、「競合企業の施策を調べる」「トレンドを調査する」「資料にまとめる」というように粒度を細かくすると、進捗も可視化できますし、スケジュールに落とし込みやすくなります。
・時間に余白を作る
1週間、1日のスケジュールをみっちりと組んでしまうと、想定より時間がかかってしまった場合や急遽取り組まなければならない仕事が入ってしまった場合に、計画が崩れてしまいます。柔軟に調整が効くように、時間に余裕を持ってスケジュール立てやタスク管理を行う必要があります。
・ツールを活用する
タスク管理ツールやカレンダーツールを用いて、タスク管理を行うとリマインダー機能などを利用することができます。また、メモや情報を集約/整理できるツールなどを用いて、情報を集約・管理することで調べる手間やツールを移動する手間を省くことができます。
・集中と休憩のメリハリをつける
人の集中力には限界があります。時間を定めて、集中するときは集中すること、休憩中はながら仕事をするのではなく、しっかりとリフレッシュすることで仕事の生産性を高めることができます。
ここでご紹介したのは、一部の方法です。ご自身の仕事の進め方などに合わせて組み合わせたり、ご自身にあったツールなどを活用したりしながら、タイムマネジメントに取り組んでみてください。
企業で活躍する社会人が実践するタイムマネジメント
ここからは、企業で活躍している方々のタイムマネジメント方法をご紹介していきます。多忙の中でどのように生産性を上げているのでしょうか?
※ 掲載内容は記事公開当時の内容です
▶︎INTLOOP株式会社
事業内容:事業戦略・業務改革コンサルティング、ITコンサルティング、プロジェクトマネジメント支援、プロフェッショナル人材支援・人材紹介、新規事業開発・営業推進支援、海外進出・販路開拓支援
・仕事内容:コンサルティング事業本部 シニアコンサルタント
相談していた上司の助けもあって、無事に出産育児休暇に入った宮川さん。いったん復帰後、4カ月ほどで2人目の出産育児休暇も取得し、2023年5月に本格的に復職しました。
宮川さん 「現在は、週2〜3日リモートで対応するなど、フルに出社しなくてもいい案件を担当しています。基本的には、時短ではなく、産休に入る前と同じような働き方をしています。
仕事と家庭の両立については、正直なところ、完全にできているとは思っていません。心がけていることとしては、プライベートにおいてはがんばりすぎないということ。
仕事においては、時間管理を徹底するように気をつけています。たとえば『この仕事は今日中にやろう』ではなくて『何時に着手して、何時には終わらせる』というように、以前よりもシビアにやっています」
→ストーリー:ライフプランを見据えてキャリアを選択。願いがかない、仕事と子育てに奮闘する毎日
▶︎株式会社千葉興業銀行
事業内容:預金業務・貸出業務・商品有価証券売買業務・有価証券投資業務・国内為替業務・外国為替業務・社債受託および登録・付随業務
・仕事内容:船橋支店で法人コンサルティング業務を担う
JUNYA.Iさん 「2022年から法人渉外を担当するようになって痛感しているのは、時間管理の大切さです。そこで最近は、業務を効率化するのと並行して、ちょっとしたオフの時間を脳内整理するのに使っています。
たとえば、平日の帰宅後に風呂に浸かりながら、『今日はこれをして、明日はあれをする』という具合にあらためて言語化したり、『飛び入り案件のためにこの時間はあけておこう』とスケジュールに余白を設けたり。そうすることでタスクの手順が整頓されて、より良い時間の使い方ができるようになってきました」
→ストーリー:〈鶏口人材紹介〉やりがいのある仕事だから成長できる──小さな組織ならではのスキルアップの余白
▶︎富士フイルムシステムサービス株式会社
事業内容:全国の自治体および企業向けBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスの提供
・仕事内容:システム開発部サービス開発グループで流通小売業向けの新サービス企画・提案に取り組む
産休・育休を経て、仕事との向き合い方が変わったと話す宇原さん。とりわけ、時間の使い方に大きな変化があったと言います。
宇原さん 「以前は、その日の仕事をその日のうちに終わらせられれば良いと考えていたところがありました。しかし、今は保育園のお迎えがあるので、その時間に間に合うよう『今日はこれだけの成果物を出す』と決め、逆算して予定を組み立てるようにしています。
強く意識しているのは、納期を必ず守ること。突然、保育園から呼び出されることもあるため、自分ができることをしっかり伝えておかないと、大事な仕事を任せてもらえませんから」
→ストーリー:偶然を必然に変えていく──産休・育休を経て手にした自分ならではのキャリア
▶︎富士通株式会社
事業内容:テクノロジーソリューション、ユビキタスソリューション、デバイスソリューション
・仕事内容:公共機関に提供する自社ソリューションの品質検査に携わる
Fujitsu Conventionにて、優秀発表賞を獲得した吉崎さん。また、論文執筆の経験が日常業務のスキルアップにもつながったと言います。
吉崎さん 「論文を書き始めたころはスケジュール管理が甘く、上司のレビュー間際になっても予定のレベルに達していない、また直前に慌てて作業を進めることもしばしばありました。しかし、今ではスケジュールを立てるときは、まずは作業の締め切り日を決め、そこから逆算する形でマイルストーンを設定できるようになりました」
→ストーリー:誰もが安全で充実した“ライフ”を過ごせる社会へ。若手社員が論文執筆で得たもの
▶︎ボッシュ株式会社
事業内容:自動車メーカー向けシステムおよび製品の開発・製造、ドライバー向け自動車パーツおよびアクセサリーの販売、ボッシュ・カー・サービス(BCS)などの運営、自動車整備機器の販売、電動工具の販売
・仕事内容:エンジニア
タイムマネジメントの基礎は、「何をやっているのかを見える化する」こと。実際に仕事の様子を記録してみると、メールを読んだり同僚と話をしたり、またほかの人に話しかけられたりして、仕事自体に集中している時間は1時間の中でも意外と少ないことがわかります。
それを目の当たりにすれば、自分からムダを省くように工夫するようになるというものです。
押川さん 「育児中は 1日があっという間に終わってしまう。一体何をやっていたのだろう?と、日々モヤモヤが募っていきました。 そこで、子どもが生まれて数カ月が経ち、少し余裕ができてから、1日のタイムラインをつくってみました。すると、何もしていないようだけど、実は数多くのタスクをこなしていたことがわかりました。見える化されることで、モヤモヤが晴れる良いきっかけになりましたし、自分の糧になったなと思っています。
このタイムラインを育休復帰後に社内閲覧用のブログに載せたところ、好評を得ました。女性社員に『夫に見せたいのでこの表、いただけませんか』と言われたりして。少しでも子育てへの理解を促すきっかけになったのならば嬉しいですね」
→ストーリー:子育ても、仕事もあきらめなくていい。2年間の育休が僕に教えてくれたもの
▶︎三菱ケミカルグループ株式会社
事業内容:医療用医薬品を中心とする医薬品の製造・販売
コロナ禍におけるリモートワークが進んだことも一因ですが、『真の働き方改革』にはまずデジタルツールを導入し、社員一人ひとりの時間を創出することが重要と考えています。
そのためにも社員自らが時間の使い方を見つめなおすことが大切で、そのツールとして導入するのが「MyAnalytics」です。
小谷さん 「私たちが普段使っているパソコン上でのOffice365の蓄積データ(メールやチャット、出席している会議など)をもとに、個人の働き方を可視化しレポートしてくれるツールがMyAnalyticsです。そのレポートから、自分の仕事のやり方や他者との接し方を客観的に振り返り行動を主体的に変えていくことをめざしています。
たとえば『会議の時間や頻度を減らすために、事前のやりとりを工夫しよう』とか、『メールを当たり前に使っていたけれど、部内でのコミュニケーションはチャット中心にしよう』といった行動変化が可能になるんです。チャットだとメールに比べてかしこまった文章を書く必要がなくなるので、時間が短縮でき、業務の効率化へとつながります。
さらには、実際の働き方を見つめ直すことで、理想としている働き方との相違点を見つけることもできます。
たとえば、自分自身としては社外や他部署の人との繋がりが多いと感じていたけれど、レポートを見ると全体のほんの数%しかなく、想像よりも少なかったことに気づく場合もあります。であれば『今後はもっと自部署以外の方との情報交換やコミュニケーションを増やして視野を広げていこう』などと思えます。こうした気づきを通じて、前向きに行動してほしいと思っています」
→ストーリー:社員一人ひとりに「ひらめき」と「きらめき」を。真の働き方改革に込められた想い
生産性を上げるタイムマネジメントをテーマに、タイムマネジメントをする上で意識したいこと、それらを実践している方々のエピソードをご紹介してきました。ご自身の業務内容などによって、工夫すべきことは異なるとは思いますが、ぜひ今回ご紹介したことを踏まえて、タイムマネジメントを実践してみてください。
