「働き方改革」が叫ばれるようになって数年。2018年に働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律)が施行されて以来、企業は制度の整備や働きやすい文化醸成など、さまざま取り組みを行ってきました。

とはいえ、働く人々のライフスタイルやワークスタイルが大きく、かつ多様に変化する昨今。企業はどのような取り組みを中心に行っているのでしょうか?

取り組む企業は7割。多くの企業が関心を寄せている「働き方改革」

株式会社学情(本社:東京都千代田区)が企業の人事担当者を対象に実施した、働き方改革に関するアンケートでは、7割以上の企業が働き方改革に「取り組んでいる」と回答しています。

その内訳を見ていくと、働き方改革について「全社的に取り組んでいる」と回答した企業が64.3%、「部署、期間などを限定し、試験的に取り組んでいる」9.1%。実施できていない企業を含めても、ほとんどの企業が「働き方改革」について関心を寄せていることが分かります。


画像提供:学情

働き方改革の実態は?

多数の企業が働き方改革に着手しているわけですが、主にどのような取り組みが行われているのでしょうか。


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調査の結果としては、「有給休暇取得の奨励」が87.2%で最多となりました。2019年4月に改正された労働基準法により、全ての企業は年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇を5日取得させることが義務になっていることもあり、優先的に取り組まれているのでしょう。

また、上位には「時間外労働(残業)の削減」や「長時間労働の是正」など、多くの企業で課題となりがちな労働時間に関する取り組みがランクインしています。

一方で、「テレワークの実施」や「男性の育休取得支援」など昨今の情勢を踏まえた取り組みも。「テレワークの実施」と回答した企業からは、「採用において、特に女性の応募者が増えた」「高度なスキルを持つ人材など、優秀な人材を採用できるようになった」といった声があがっているということで、働き方改革がさらにポジティブな結果をもたらしているようです。

就業時間の変化に制度の新設。変わりゆく企業

さらに具体的な取り組みを企業の事例から見ていきたいと思います。

▶︎「営業職は一日2時間から就業可能に」育児と仕事の両立を支えるOPENキャリアデザイン制度

株式会社オープンハウスグループは育児介護休業法の改正に伴い、人事制度を改正。これまでの時短勤務では6時間しか選択できませんでしたが、キャリアを維持しながら一時的に柔軟な働き方を選択できる独自の両立支援制度「OPENキャリアデザイン制度」を新設しました。

これにより、より柔軟な働き方として、営業職は就業2時間から(営業職以外は4時間から)選択可能となりました。また制度の利用条件を緩和し、職掌関係なく保育園の休みに合わせて年間休日125日も選択可能になっています。


▶︎65歳定年延長、完全週休2日制、時間単位の有給取得制度、フレックスタイム制などの大幅な働き方改革を実施

株式会社東亜オイル興業所は現在、SDGsへの取り組みをはじめ、社会的責任に基づいた経営を推進しており、健康経営もその一つとして重視しています。今回のような、より柔軟な勤務制度の導入を通じて、社員が健康を維持し、働きがいを持てる職場環境を整備することを第一の目的としています。

▶︎JFEシステムズ、男性育児休業・休暇取得率100%達成目標を策定  自分らしくキャリアとプライベートを両立できる働き方を目指す

JFEシステムズはこれまで、働き方改革の一環として、出産・育児支援制度の充実および男性育児休業・休暇取得支援に注力。その結果、育児休業・休暇の取得率(2021年度)は、女性社員は100%を維持、男性社員は70%を達成しているそうです。

男性育児休業・休暇取得率100%達成目標を達成するためにも、改正育児・介護休業法に沿って、制度の周知や取得意向の確認、情報提供のほか、「育休取得相談窓口」の設置などに取り組んでいくそうです。

より良い明日のために取り組む、これからの「働く環境」づくり

これまで馴染みのあった制度や規則、そして慣習を大きく変えるのは、容易いものではありません。それでも、社員、そして企業のよりよい未来を目指して働き方改革を推進している方々がいます。そうした方々の想いが込められたストーリーをご紹介します。

▶︎自分らしく働くことを可能にしたGPの働き方改革──仕事も人生も尊重できるしくみを

硬直した人事制度や就業規則などについて、このままではよくないという思いはあったものの、変えるきっかけがありませんでした。ですから、クレドの制定は絶好のタイミング。イメージとしては、ユニバーサルデザインを意識し、どのような状況においても働く意欲のある人が働ける制度をつくろうと考えました

株式会社ゼネラルパートナーズ 佐々木 陽子さん/小林 美歩さん

▶︎社員一人ひとりに「ひらめき」と「きらめき」を。真の働き方改革に込められた想い

これまでは、全社員共通の『最適な働き方』を会社が決めてしまう傾向がありました。しかし実際は、所属部署や職種、プライベートの環境、自身のキャリアプランなど、さまざまな背景によって成果を最大化する最適な働き方が変わります

田辺三菱製薬株式会社 嘉祥寺 泰明さん/小谷恵理子さん/岡部 年真さん/吉信 ゆう子さん/長澤 優さん/吉井 亮祐さん/加藤 麻理さん

▶︎初めての出会いで感じた“誠実さ”。それを誇りに取り組む、新時代の働く環境づくり

様々なライフイベントがある中で、仕事と生活を両立するための環境を整えていくことなど、世の中においても重要になっているテーマについて施策を検討しています。社員一人ひとりが最大限に力を発揮できるような会社にしていくことが大きなミッションだと感じています

JX金属株式会社 浜野 光法さん

▶︎「これからの日本をつくる100の働くをみつける Work Story Award」

Work Story Awardは人でもなく、企業でもなく、働くを取り巻く「ストーリー」にスポットを当てるアワードです。働き方やイノベーション、企業風土などをテーマに、245のストーリー(事例)が掲載されています。

一般社団法人at Will Work


働き方改革で社員それぞれにあったワークライフバランスを実現する。そして、社員一人ひとりが最大限のバリューを発揮できる環境をつくり、企業としても更なる価値を発揮する──。改革の道のりは容易いものではありませんが、企業が一丸となって取り組むからこそ、より企業の結束を強め、これからの時代に欠かせない強固な地盤を作り上げるのではないでしょうか。