コロナ禍以前より、働き方改革や業務効率化に向けて業務の「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を推進する企業は増えていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行によりそのスピードは加速しました。しかし、実態としては書類のデジタル化など、業務のデジタル化に留まるケースが多くあります。
経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するための ガイドライン(DX 推進ガイドライン)」ではDXを次のように定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
つまり、デジタル化をするだけでは、DXとは言えないのです。
本記事では企業のDXにまつわる実態とともに、DXに取り組む企業の実例をみていきます。
【この記事でわかること】
・DXに取り組む企業の割合
・デジタル化されている業務
・企業の社内DXの事例
DXに取り組む意向はあれど、その実態は……?
総務専門誌『月刊総務』を発行する株式会社月刊総務(所在地:東京都千代田区)は、全国の総務担当者を対象に「DXに関する調査」を実施。118名の声が寄せられました(※)。
同社の調べによれば、会社の事業計画にDXが組み込まれている企業は47.5%と半数近い企業が、取り組む意向を見せています。
しかしその一方で、「取り組んでいるがやや足りていない」と「取り組んでいるが全く足りていない」と感じている企業が合わせて51.8%もおり、取り組みに対して不足を感じている企業が大多数であるという結果になりました。
うまくいっているポイントと足りないと思われるポイントとしては、次のような意見が寄せられています。
<自社のDX推進でうまくいっているポイント / 一部抜粋>
・BCPを前提としたシステムのクラウド化。 経営目標に明確化され全社活動となっている
・DXではないが、デジタル化によって紙の給与明細の廃止による郵送コストと郵送に至るまでの工数が削減された。WEB会議、WEB採用に切り替えたため、出張費が大幅に削減された
・推進途中であるが、全従業員を対象にDX教育の実施、個人の業務問題解決や効率化を目的としてDXによる業務改善を進めている
<自社のDX推進で足りていないと思うポイント / 一部抜粋>
・紙帳票をエクセルで回覧できるようにしたレベルをDXとして取り扱っているなどの事例もあり、単純な業務改善の枠を超えていない部分がある
・経営からの方針としてDX対応の指示が出ているが、明確ではないので、対応計画が抽象的になり具体的に進まない
・スポットでデジタル化されているが、全体的に統合されていない。設備管理面でのデジタル化は進んでいない
進むバックオフィス業務のデジタル化
DXの定義はあれど、デジタル化はその一歩であることに違いはありません。現在デジタル化されている業務を尋ねたところ、「入退社・勤怠管理」が60.2%で最も多く、「給与・経費計算」が59.3%、「請求書・契約書」が43.2%と続きました(n=118)。
・入退社・勤怠管理:60.2%
・給与・経費計算:59.3%
・請求書・契約書:43.2%
・顧客管理:33.9%
・営業(オンライン商談):32.2%
・文書管理:30.5%
・受注管理:28.0%
・備品管理・発注:24.6%
・出張手配:21.2%
・社内問い合わせ対応:20.3%
・電話・受付:13.6%
・施設管理:13.6%
・採用・研修:11.0%
・株主総会・取締役会:11.0%
・健康管理:8.5%
・デジタル化されていることはない:5.9%
・その他:1.7%
また、2022年度にデジタル化したい業務としては、「文書管理」が37.3%で最も多く、「請求書・契約書」が29.7%、「社内問い合わせ対応」が20.3%と続いています。
同調査の中では、約7割がデジタル化の推進はコロナ対策が関係していると回答しているように、この数年で急加速しているものの、まだまだ課題は多いようです。
その中でも、「従業員のリテラシーが足りない」「コストがかかる」「対応できる人材がいない」といった課題があげられています。昨今、デジタル人材の不足が叫ばれていますが、そういった事情が大きく反映されているのではないでしょうか。
DXで未来を変える。4つの事例
社をあげてDXに取り組む企業もあります。DXを推進している4つの事例をご紹介します。
◎朝日放送グループホールディングス株式会社
👉データ利活用体制の構築とデジタル技術の活用促進
▶︎DXで放送局に改革を──デジタル領域を牽引するリーダーが描く、テレビ業界の未来
◎ボッシュ株式会社
👉自動車産業領域における業務プロセス管理と改善
▶︎月969時間の業務時間削減を実現、IT改革に留まらないボッシュのDX
◎富士通株式会社
👉全社DXプロジェクト「フジトラ」
◎本田技研工業株式会社
👉請求書電子化プロジェクト
▶︎世のため人のために──変わらぬ信念を胸に有事に立ち向かう彼女の挑戦
デジタル化をする上ではこれまでの業務の進め方や方法が大きく変わることもあり、抵抗感があるという声を耳にすることもあります。推進者だけが取り組めばよいわけではなく、現場の声を拾いながらも落とし所を見つけていく必要があるのです。しかし企業内でも働き方改革や業務効率化が推し進められるいま、DXは事業計画に組み込まれるほど重要なもの。社内で推進する中でのヒントがストーリーの中から見つかるかもしれません。
▶︎関連リンク:#DX
(※)【調査概要】
調査名称:DXに関する調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2022年3月23日〜2022年3月29日
有効回答数:118件
※各回答項目の割合(%)は、端数処理の関係上、合計が100%にならない場合があります
