Girls Meet STEMへの登壇。正解を渡すのではなく、選択肢を広げたい
──2026年夏のインダ版Girls Meet STEMには、品質、材料開発、データ分析の技術系職種に携わる皆さんが登壇しました。「女子中高生と対話してほしい」と依頼を受けたとき、どう感じましたか?
梅村:最初は「私でいいのかな」と思いました。ただ、声をかけてもらえたことはうれしかったですし、少しでも学生の皆さんの役に立てたらという気持ちも大きくありました。私自身も文理選択で迷い、理系に進んで今のやりがいのある仕事に出会えたので、その経験が学生の皆さんの進路を考えるきっかけになればと思いました。会社としてこの取り組みに参加していることも、とても良いと思いました。
木村:私も新卒入社して2年半にも満たない若手なので、「私が出ていいのだろうか」というのが最初の感情でした。でも、理系進学に迷う中高生が、企業で材料開発に携わる社員と直接話せるのは貴重な機会です。自分の学生時代にもあったらよかったと思い、登壇することにしました。
岡本:2025年度の回に同僚が登壇していたので、このイベントの存在は以前から知っていて、良い取り組みだなと感じていました。技術の職場とあって女性が少ない傾向を日々感じています。中高生の段階では「文系・理系」と言われてもそれぞれの仕事のイメージがわきにくいと思います。だからこそ具体的な進路を決める前に技術系の仕事に触れられることには意義があると感じました。
──皆さんとも、ご自身の学生時代を振り返りながら登壇を決めたのですね。では、当時の自分にも届けるような気持ちで、女子中高生に「これだけは伝えたい」と考えていたことはありますか?
梅村:理系の仕事には、皆さんが想像する以上にさまざまな選択肢があることを、ぜひとも伝えたいと思っていました。理系に進んだからといって、将来が一つに決まるわけではありません。文理選択を最終決定のように重く捉えすぎず、将来の可能性を狭めない選択肢として考えてほしいです。
木村:「理系進学を必要以上に重く考えなくていい」と伝えたかったです。まず知ってみる、興味のあることを試してみる。その延長に理系があるなら、選んでみるという順序でも問題ないと思っています。
岡本:私は参加生徒の皆さんが理系進学をためらう理由を聞きたいと思って臨みました。成績や文理の区分だけで可能性を狭めず、周囲の意見も参考にしながら、自分がやりたいことに立ち戻ってほしいと伝えたかったです。
──皆さんはそれぞれ、進路を重く考えすぎなくてよいことや、自分の「やりたい」を大切にしてほしいと伝えようとしていました。実際に女子中高生と話してみて、想像していた姿との違いや、新たに気づいたことはありましたか?
木村:高校生からは大学や大学院、理系の中でどの分野を選ぶかといった具体的な質問が多く、中学生からは「まず参加してみた」という声が多く聞かれました。私が中高生だった頃より、将来を考える機会が増えている。その環境を少しうらやましく感じました。
梅村:想像以上に将来を具体的に考えている参加者が多かったです。すでに理系進学を決め、大学で何を学ぶか、その学びを仕事にどう活かすかまで考えている方もいました。自分でこのイベントを見つけて応募した人も多く、将来を具体的に考える姿勢に驚きました。海外への関心も高かったですね。
岡本:中学生は興味のあることを率直に話してくれる一方、高校生は進路が現実味を帯びる分、自分の考えを発信することに慎重になる傾向を感じました。高校にあがると数学が難しくなることもあり「理系に進んでよいのかわからなくなってきた…」という声もありましたが、点数だけで将来を決めないことの重要さもお話ししてきました。
好きなことをたどった先に、理系があった
──皆さん自身は、どのような興味や出来事をきっかけに理系を選んだのでしょうか?
梅村:高校1年の秋に文理選択があり、初めて本格的に悩みました。数学が得意だったので理系を考えていましたが、小学校の先生にもなりたいと担任教師に相談すると、文系選択を勧められました。一方で化粧品メーカーの研究開発業務にも興味がありました。そこで、将来の選択肢を広く残せることと、得意なことを活かせることから、最終的に自分で理系を選びました。
木村:中学生の頃から数学や化学、物理などの理系科目が好きで、理系に進みたいと思っていました。幼い頃から料理や工作など、「何かをつくること」と「なぜそうなるのかを調べること」の両方に興味があり、自然と研究開発やものづくりを志すようになりました。
岡本:数学や物理が得意だったわけではありませんが、コンピュータやグラフィックスに触れることが好きでした。その興味から進路を探し、情報画像学科を見つけました。理系を先に選んだのではなく、やりたいことをたどった結果、理系に行き着いたという感覚です。
──理系を選んだ経緯は、得意科目、ものづくりへの関心、やりたいことからの逆算と、三者三様ですね。では、そこで学んだ知識や考え方は、その後どのように活きていますか?
岡本:情報画像学科で学んだ数学やプログラミングなどデータを扱うための基礎を身につけたことは、現在のデータ分析業務に活きています。
梅村:特定の公式や専門知識が役立つことはもちろん、物事を論理的に整理する思考の癖も今の仕事に活きています。今の仕事は大学で学んだいわゆる理系の学問と直接つながらない部分も多いのですが、筋道を立てて考えることは、今でも役立っています。
木村:考察を飛躍させない思考のプロセスは、今も日々使っています。材料を評価すると、予想通りの結果も、理由がすぐにはわからない結果も出ます。お客様に説明できる根拠があるか、一つずつ確かめながら考える。その姿勢は大学院での研究を通じて身につき、今の材料開発にも直結しています。
好きや興味を起点に、専門性を仕事の広がりに活かす
──皆さんは、どのような出会いや判断を経てインダを選び、今の仕事にたどり着いたのでしょうか?
岡本:2017年に新卒で入社して以来、研究開発部門でデータ活用に携わっています。現在は、技術本部でコンデンサの自動実験装置から蓄積されるデータを研究開発に活かすためのプラットフォームを開発しています。一つの業界だけではなく、さまざまな分野のデータを扱いたいと考え、多様な事業を持つパナソニックグループを選びました。
木村:2024年に新卒で入社し、電子材料事業部でAIサーバなどの高速通信を支える半導体や基板に関わる材料開発を担当しています。大学と大学院では樹脂について研究していました。研究室の先輩がインダで働いており、同じ分野の仕事があると教えてもらったことから、四日市でのインターンシップに参加しました。2週間の職場体験を通じて、仕事の内容も職場の雰囲気も自分に合っていると感じ、入社を決めました。学生時代に研究してきたことが、そのまま社会を支える製品につながっていることに面白さを感じます。
梅村:2025年にキャリア入社し、品質保証センターでより良い職場づくりと業務品質の向上に取り組んでいます。大学では材料・半導体系を学び、前職では液晶ディスプレイに関わる品質管理に携わっていました。経験を活かせるデバイスメーカーであることと、関西出身のため関西に地盤を持つ企業で働きたいことが転職の軸でした。パナソニックへ転職した前職の同僚が、長く楽しそうに働いている印象も後押しになりました。
──皆さんとも、もともとの専門や関心を活かしながら、入社後に仕事の対象や役割を広げてきたのですね。実際に働いてみて、学生時代や就職活動中に抱いていた仕事のイメージは、どのように変わりましたか?
梅村:前職では工場で生産している製品の品質を管理する、理系色の強い仕事をしていました。インダでは品質管理の経験を活かし、人の意識や会社の風土づくりに向き合っています。学生時代には、理系出身の自分がこういった全社員の意識を変える仕事をするとは想像していませんでした。専門分野の経験から、仕事の内容や役割を変えながらも挑戦していけると実感しています。
木村:開発は実験だけではありません。お客様と対話しながら、求めるものを実現する方法を一緒に考え、必要な部署に協力を求め、商品として採用してもらうところまで関わります。働き始めてから、技術者の仕事の幅を知りました。
岡本:コンピュータが好きという気持ちから始まり、データを通じて複数の事業や人をつなぐ仕事にたどり着きました。学んだことを道具として使いながら、仕事の対象や規模がどんどん広がっていきました。
見えないところから、見違える世界に変えていく
──専門を起点にしながら、仕事の対象や役割は入社後も広げていけるというお話がありました。その延長線上で、皆さんがインダで次に挑戦したいことを教えてください。
梅村:まずは、現在担当している活動を継続し、目標としている状態までやり切りたいです。みんなが誇りを持って働ける会社に近づけたい。その先は、品質職能の経験を広げたいと考えています。前職で経験した工場の品質管理に加え、お客様の信頼につながる品質保証にも携わりたいです。海外の仕事にも、いつか挑戦したいです。
木村:今開発している商品を世の中に送り出し、事業の利益に貢献することが第一の目標です。AIサーバなど、需要が伸びる領域を支える材料だからこそ、確実に形にしたいです。その上で、技術だけでなく、お客様や関係部署をつなぎ、採用まで導ける技術者になりたいです。「この人がいれば大丈夫」と頼られる存在を目指します。
岡本:これまでは特定の事業部に向けたプロジェクトが中心でした。これからは、事業部や直轄部門をまたぎ、多くの人が活用できるデータ分析プラットフォームをつくりたいです。誰でも必要なデータや、ほかの人がつくったツール、ノウハウを使える状態にする。知識が個人の中に閉じず、次の人の仕事につながる環境を実現したいです。
──皆さんの想いが、参加者一人ひとりが将来を考える小さな一歩につながると良いですね。最後に、進路やキャリアに迷っている人へのメッセージをお願いします。
梅村:周囲の意見も情報として参考にしながらも、最後は自分でじっくり考えて決めてほしいです。得意なことや好きなことを一番よく知っているのは自分自身です。時間がかかっても、いろいろな人の話を聞き、挑戦しながら選んでよいと思います。
木村:学生時代にさまざまな経験をして、興味があること、長く続けられそうなことを見つけてほしいです。それが理系と重なるなら、理系進学も一つの選択肢です。最初から答えを決めるのではなく、試しながら自分の軸をつくってください。
岡本:学生時代の科目や文理の区分で、自分にハードルをつくらないでほしいです。「理系だから営業は無理」「英語が苦手だから海外は無理」と早々に決めつけてしまわず、興味があることには少しでも触れてみてください。キャリアは、後からいくらでも広げられます。
※ 記載内容は2026年10月時点のものです
