主力製品MEGTRON(メグトロン)シリーズの増産。AI市場の需要増大に応える
──本日はパナソニック インダストリーの電子材料事業部で「生産能力を2倍に高める」ミッションに挑んでいる生産技術者の方々にお集まりいただきました。まずは皆さんそれぞれが、どこでどのような職務を担っているか聞かせてください。
中條:パナソニック インダストリー(以下、インダ)の注力事業の一つである 電子回路基板材料「MEGTRON」シリーズなどのマザー工場、郡山拠点で部長として生産技術全般をマネジメントしています。MEGTRONに限らず、車載用のHIPER(ハイパー)シリーズ、無線通信機器用のXPEDION(エクスペディオン)シリーズなど、さまざまな用途に向けたハイエンドな電子回路基板材料を、世界中のお客様に向けて開発・製造しています。
本間:広州・蘇州電子基材ビジネスユニットに所属し、2025年の1月からパナソニック デバイスマテリアル広州(以下、広州工場)に出向しています。日本でいう部長にあたる職位で、新規開発や新工法・設備の開発・導入などを担当し、広州工場での大型投資を伴った新規ラインの増設プロジェクトも主導しています。
長谷川:私は2026年の4月に発足した新しい部署、生産技術センターのグローバル生産革新部グローバルDX開発推進課で課長を務めています。海外の生産拠点ほぼ全てを対象としてシステムの導入推進・支援に取り組むとともに、国内拠点についても担当チームと連携しながら、グローバル全体でのDX推進を進めています。
── 電子回路基板材料とは、私たちの生活のどのような場面で使われるものなのでしょうか?
中條:電子回路基板材料とは、私たちの身の回りにあるさまざまな電子機器に使われている電子回路基板の元になる材料です。電子回路基板材料は用途ごとに求められる特性が異なりますが、インダのMEGTRONは電気信号のロスが少なく耐熱性にも優れている点が特長で、サーバや通信アンテナなど高速な情報処理や通信が求められる情報通信インフラ機器に用いられてきました。近年では、その用途が生成AIを支えるAIサーバにも広がっており、電子回路基板材料の需要も高まっているという状況です。
── 「生産能力を2倍」に向けて、生産技術の勝負どころはどこにありますか?
本間:インダの電子回路基板材料は業界でも抜けた性能を誇っていますが、海外メーカによる追随が激しくなってきています。技術革新を続けなければあっという間に置いていかれてしまいます。特に勝負どころになってくるのが、品質や歩留まりに関する生産技術。中でも品質に直結するのが検査工程で、高度な手法や新しい設備を積極的に導入することが重要な任務の一つになっています。
長谷川:世界的な流れとして、電子回路基板材料の高機能化は続いていくと見ています。既存の工場・設備でDX化を進めていくことはもちろん、新工場や新ラインを導入する場合は、最初からDXに大きな投資を行い、これまで以上の生産効率を発揮できるよう、モノづくりの土台づくりに専心しています。
全世界で同時進行する増産プロジェクト──DXがカギとなる
── 世界的な競争が激しくなる中で、各現場で力を入れて推し進めていることを教えてください。
中條:AI市場の需要増加を受け、競合他社もこの2~3年で投資を増やしています。私たちも他社に負けない生産拡大を図り、伸び続ける需要を捉えていこうとしています。郡山拠点では工程の自動化を進めることで生産能力を上げ、省人化によるコストダウンも図っています。
長谷川:手作業に頼っている工程や煩雑な事務作業など、DXで自動化して工数を減らすことが私の役割の一つ。もう一つが取得する情報の種類・粒度をそろえて精度を上げること。生産の効率化のためにはモノづくり現場の客観的なデータが必要不可欠なので、データの取得方法や内容も含めて現場の皆さんと相談しながら進めています。各拠点がバラバラにDXを進めると、業務負担が増すことはもちろんですが、拠点ごとのスキルや文化の違いによりDX環境がガラパゴス化して、標準化が難しくなる。グローバルDX開発推進課が旗振り役となって統一した基準を考案し、それをアプライしていくことで現場へ負担軽減と、世界規模でのDX化を進められます。われわれが考えた標準仕様を上から押し付けるのではなく、現地と細かく折衝を重ねるように常に意識しています。
本間:近年、広州工場は自動化・DX推進を重点的に取り組んできました。生産設備のデータインプットや自動収集はもちろん、生産計画の立案や材料の調達などの意思決定も徐々にシステム化を進めています。この点は、電子材料事業部の中でもかなり先進的な拠点です。この4月からグローバルなDXを統括する長谷川さんらのチームが発足し、より連携を取りやすくなりました。グローバルに統一されたシステム導入を進められれば、広州工場の取り組みを、他の拠点に横展開させやすくなります。
これまでは日本の生産技術者が支援しながら、設計・立ち上げを行うスタイルが一般的でした。しかし、それでは今、求められているスピード感には追い付けない。現地のメンバーだけで立ち上げができる体制をつくることが、大きな任務だと思っています。技術レベルが高い方も増えてきましたし、若くて挑戦心にあふれたメンバーが多いので、非常に頼もしく思っています。
人財こそが改革の要。働きがいを支える環境がイノベーションを生む
── ここまでのお話を聞いていると、忙しさも含めて“勢い”が伝わってきます。皆さんがこの生産拡大プロジェクトを進める中で大切にしていることを聞かせてください。
中條:国内外で投資が盛んに行われ、生産技術職は引っ張りだこの状態です。とても忙しい中ですが、だからこそ私は皆が活躍できるように、モチベーション高く自立して動ける環境づくりを意識しています。異動やキャリア入社でどんどん新しい方が増えていく中で、スムーズに仕事に取り組んでもらうために、マニュアルの整備をしっかりと進めながら、それ以外の部分でもフォローできるよう心を砕いています。勢いのある事業部だからこそ、動きやすさを追求したい。
本間:中條さんの言うとおり、やりがいを感じられる職場づくりは、私たち管理職の務めです。体制と仕組みを構築して人を育てることに私も注力しています。これまで日本から派遣されるのは50代以上のベテランが多く、若手との年齢のギャップを感じていました。広州は30代、40代の優秀な人財が増えており、その年齢ギャップを埋めてくれる。広州や日本だけを見るのではなく、グローバルな事業貢献を見据えて人財の育成体制を構築したいですね。
長谷川:これまで新工場をつくる場合は、生産技術が建屋や設備の構想を進め、情報システムが会計や経理のシステムを導入するといった役割分担がなされていました。設備とシステムをつなぐ、中間の部署が存在していなかったのです。私たちグローバルDX開発推進課は、この接続を仲立ちできる。システム導入時に現場で起こるハレーション、さまざまな課題を一緒に解決できた時にやりがいを感じます。
── ここまで伺った“やりがい”を踏まえて。キャリア入社の本間さん、長谷川さんが「インダに転職してよかった」と実感したのは、どんな瞬間ですか?
長谷川:一番は、自分のやりたいことを裁量権を持って任せてもらえる会社だと感じています。中途入社でも、ここまで自分を信じて任せてもらえることに驚くと同時に、その分だけやる気がわいてくる。そんな感覚があります。前職と比べると、走りながら考えるような、スピード感重視の社風も心地よく感じます。
本間:キャリアだからといって壁を感じることは全くありませんでしたね。自分の裁量を持って働きたいと転職をしたのですが、どんどん仕事をさせてくれるし、きちんとサポートをして育ててもらった。自分の頑張りが認められて、さらに次の仕事にチャレンジさせてもらえる良い環境が整っていると思います。
見えないところから、見違える世界に変えていく
── 先程の話を踏まえて、転職を迷っている人に「今こそ飛び込む価値がある」と背中を押すなら、インダのどこを一番伝えたいですか?
中條:今は新規の大型投資が多いので、かなり広い領域にまたがっていろいろな仕事ができると思います。
本間:海外勤務にチャレンジしたい方は、とりわけ今がチャンスです。新しい現場では正解が用意されていないからこそ、自ら考え、動き、走りながら形にしていく力が求められます。事業目標を見据えて、自分事として仕事に向き合う人には、国内外を問わず挑戦の機会がもらえる会社だと感じています。
長谷川:そうですね。変化や困難さも含めて挑戦そのものを楽しめる人にとって、インダには大きな成長機会があるのではないでしょうか。日本国内でも4月に新組織ができたところなので、スタートアップのような走り始めの段階から参加できるのがおすすめポイント。まさに走りながら形にしていく途上です。
── 目下「生産能力2倍」に奮闘している最中ではありますが、その先もさらに前に進めるために、皆さん自身が次に「自分の手で成し遂げたい」と思っている挑戦を教えてください。
中條:組織としては、キャリア採用で新たに入ってきた方を含めて、メンバー全員が生き生きと活躍する職場にしたい。技術者としては、郡山はMEGTRONのマザー拠点として、新しい技術や他社にまねのできないブラックボックスの技術など、私たちならではの仕事を強化したいと考えています。
本間:私も一番やりたいのは、自分たちにしかできないモノづくりです。広州での新ライン立ち上げを現地メンバー中心で完遂できれば、それが新製品開発や新工法などを現地で推進する土台になると思っています。圧倒的な競争力と付加価値をインダから発信できるように人財育成も含めたモノづくり強化を図っていきます。
長谷川:全世界でDXを推進するにあたり、直近の大きな目標は、事業部内でのグローバルで統一された標準システムモデルの構築です。その先は事業部内にとどまらず、インダ全社、ホールディングス全体と、より広い領域でモデル化も必要になると考えています。ぜひ、積極的に関わっていきたいと考えています。DXがすさまじいスピードで進んでいることもあり、他拠点や他のカンパニーの導入事例を現地で学ぶ機会も多く、横軸での協業体制もしっかりと意識して動いていきたいですね。
※ 記載内容は2026年6月時点のものです
