全80拠点のうち、50拠点を海外に有するパナソニック インダストリー。デバイスソリューション事業部では、今年9月に、国を超えて「DEI:Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)」の取り組みについて学び合う情報交換会を開催しました。初めての試みとなった今回は、東南アジアの3拠点から人事担当者5名が来日。当日の活気あふれる模様をお届けします。
インドネシア・シンガポール・マレーシア・日本の社員が参加
パナソニック インダストリーでは、日本国内はもちろん、グローバル各地域においても多様な人財が最大限に力を発揮できるよう、それぞれの地域の課題に応じて、多種多様なDEI推進の活動に取り組んでいます。
全世界で4万1,000人いる社員のうち、1万人超が所属するデバイスソリューション事業部では、生成AIサーバや電気自動車、先進運転自動システム(ADAS)の市場拡大で需要が高まっている「コンデンサ」や「インダクタ」「抵抗器」をはじめとする高性能デバイスを開発。国内の11拠点と、海外の9拠点で生産し、世界中に供給しています。
今回の情報交換会に参加したのは、インドネシア・シンガポール・マレーシアの拠点から来日した人事部門の社員5名と、日本側からデバイスソリューション事業部 DEI推進室のメンバー2名、海外人事担当の計8名です。和やかな自己紹介の後、日本側のプレゼンテーションで情報交換会が始まりました。デバイスソリューション事業部 DEI推進室 室長の神崎が、パナソニックグループにおけるDEIポリシーをあらためて説明します。
最高の経営は衆知による経営である
神崎:パナソニックグループでは、「挑戦する人と組織の成功」の実現のためにDEIを推進し、「多様な人財がそれぞれの力を最大限発揮できるもっとも働きがいのある会社」になることをめざしています。DEIはマイノリティの方だけのものではなく、働く皆のもの。
そしてDEIとは、実はパナソニックグループのルーツそのものです。創業者である松下 幸之助の言葉に、皆さんもよくご存じの「衆知経営」があります。「最高の経営は衆知による経営である」というものです。衆知を集める上で前提となるのは、思い込みにとらわれることなく、あるがままに客観的に物事と向き合うことです。創業者は常々「素直な心」を持って仕事にあたることの重要性も語っていました。
グローバル社員にもなじみの深い創業者の言葉がスライドに投影されると、参加者一同、深くうなずきあっていました。
市川:パナソニック インダストリーが2030年をターゲットに、業界におけるベストワークプレイスになることをめざしている中で、実現に向けては、デバイスソリューション事業部としても課題と捉えている点がいくつかあります。今日は2つのポイントを中心に情報交換できたらと思います。
1つめは、製造部門で従業員満足度スコアが低くなる傾向についてです。製造拠点を中心とし、製造人財を多く擁する東南アジア拠点の皆さんに、各拠点での取り組みを伺いたいと思っています。
2つめは、多様性への対応策です。東南アジアは非常に多くの文化や民族が入り混じった環境にあります。人種や民族の違いを超えて協力できるように工夫している点は、日本における多様性対応策にも活かせるのではないかと期待しています。
3カ国5拠点、各々のユニークな取り組みに興味津々
プレゼンテーションのトップバッターとなったElaineとAnwarが所属する拠点は、シンガポールにオフィスを置き、国境を越えたインドネシアのバタム島に工場を構えています。シンガポールオフィスで働く従業員の出身地は11カ国にわたり、バタム島の工場には周辺のさまざまな島から従業員が集まっているため、文化的バックグラウンドも多種多様です。宗教は、キリスト教徒が約4割、イスラム教徒が5割強だと言います。
Elaine:従業員満足度は年々上がり続けています。さまざまな取り組みを行う中で、とくに意識しているのは部門をまたいだレクリエーションイベントの創出です。ハイキング、フルーツパーティー、ランタンフェスティバルといったイベントを開催し、ポジティブでいきいきとしたコミュニケーションが生まれやすい職場づくりをめざしています。
ワークライフバランスを充実させるための取り組みとしては、毎月末の金曜日を「Eat with Family Day」として、いわゆるノー残業デーを設けています。誕生日休暇の取り組みも取り入れています。
Anwar:バタム島は工場勤務者が9割を占め、勤務中にパソコンを使用しない方も多くいますので、積極的で直接的なコミュニケーションを大切にしています。WhatsAppでの発信やポスターを中心とした展示イベント、部門ごとにタウンホールミーティングや朝礼を実施しますし、チームビルディングを目的としたビーチでのブートキャンプや、組織構築を目的とした勉強会も開催しています。
続いて、マレーシアのKhairulです。マレーシアは国の方針で、ローカル採用を強化しているため、年々外国籍の社員が減っていると言います。
Khairul:マレーシアは主にマレー系、インド系、華人系から成り立つ多民族国家ですし、一口にマレー系といっても10を優に超える先住民族が存在していることから、多様性に富む環境であることは間違いありません。そんなマレーシアならではのユニークな従業員イベントといえば「Festival Meals」が挙げられます。
たとえばインド系の記念日であれば、皆でインドの民族衣装を着て、インドの食事を楽しむパーティーです。ほかにもスポーツや釣り、ヨガなど、民族をまたいで楽しめる機会を多く用意しています。
ジャカルタに2つの工場を持つインドネシアの拠点から参加したOkkyとTopanも次のように語ります。
Okky:パナソニック インダストリー社長の坂本さんから「人のやる気は地域や文化に根差すものであるがゆえに、日本のやり方を各地域にそのまま持って行っても成功はしません。各地域において固有の解をそれぞれで求めていただき、それを集約してグループ全体の施策を考えることをお願いしたい」とのリクエストをいただきました。ジャカルタの拠点は従業員満足度が非常に高い傾向にあり、ここをさらに誇り高いものとするため、社員による地域貢献に力を入れています。
Topan:「Factory to School」というイベントでは学校に出かけて行って、一緒にソーラーカーの工作や実験をしたり、土壌汚染の危険性をレクチャーしたり、植樹したりしています。毎年6月5日の世界環境デーには、地域の清掃活動や、バイオポアと呼ばれる雨水浸透穴の入替を行っています。インドネシアでは、雨季の洪水や乾季の水不足による地盤沈下と土壌汚染が課題になっていて、バイオポアの設置が積極的に進められています。そのサポートを行っているんです。
見えないところから、見違える世界に変えていく
各拠点への質問が活発に飛び交い、予定終了時間を過ぎるほど盛り上がった情報交換会。終了後は虎ノ門オフィス内のショールームを見学しながらの歓談でも盛り上がりました。後日、参加者たちに情報交換会の感想を聞いてみました。
Anwar:虎ノ門でのセッションでは参加者全員がとても協力的で、それぞれが心理的安全性の創出に貢献していると感じました。民族や国籍の多様性は障壁を生み出すのではなく、むしろ団結を促進すると感じました。
Khairul:さまざまな国におけるDEI活動や職場文化を改善する試みを多数知ることができて良かったです。国は異なりますが、それぞれ同様の課題に直面している同僚と意見交換する機会があったことは、私にとって非常に価値が高いものでした。
Elaine:パナソニック インダストリーがDEI専門チームを立ち上げ、さまざまな施策やイベントを推進していることを嬉しく思っています。
神崎:パナソニック インダストリーは「2030年 働きたい会社No.1」をめざしています。働きたい会社になるには、従業員のエンゲージメントと従業員を活かす環境があることが大切です。多様な意見、多様な個性を活かしながら働いてもらうことがその1つだと考えています。
今回のディスカッションでは、従業員それぞれの活躍を促進するヒントをたくさんもらいました。今後は国の壁を越え、グローバルな視野でお互いの考えを理解し、活かし合うことでDEIの浸透を加速させ、さらなる事業成長へもつなげていきたいと思います。
市川:各拠点では従業員同士のコミュニケーションを非常に重要視していることがわかり、参考になりました。とくに心理的安全性の取り組みや研修に関しては、われわれのそれを凌駕するもので、勉強させてもらいました。
イベント主催者となったデバイスソリューション事業部・海外人事担当の熊内は、今回の成果を以下のように語っています。
熊内:デバイスソリューション事業部で初めての試みとして、海外人事とのDEI情報交換を企画しました。参加者の皆さんからは「定例で決まったトピックスを報告するにとどまらず、このようにオープンテーマのディスカッションを行い、各国の情報を交換することは非常に有益に感じた」とのコメントがあり、嬉しく思っています。
パナソニック インダストリーの人事として、海外拠点との連携にさらなるドライブをかけ、グローバルで働くすべての社員が本当の意味で「D:誰もが、E:遠慮なく公平に、I:イキイキと」活躍できる環境づくりに邁進していきたいと思います。
見えないところから、見違える世界に変えていく──パナソニック インダストリーではこれからも、グローバルに衆知を集め、「多様な人財がそれぞれの力を最大限発揮できるもっとも働きがいのある会社」をめざし、社員一人ひとりがそれぞれの“想い”を動かす動力源となる環境や施策を整備していきます。
※ 記載内容は2024年10月時点のものです
