設備故障ゼロをめざして。生産ラインを支え、お客さまに確実にクルマをお届けする
車両生産技術開発本部に所属している山根。設備管理技術の専門部署であるプラント・メンテナンスエンジニアリング部で、モノづくりの現場を支える重要な役割を担っています。
「私たちのミッションは、稼働中の生産ラインにおける設備故障をゼロにすることです。設備故障による納車の遅延や品質の不具合を防ぎ、お客さまに確実にクルマをお届けする責務を負っています。
その遂行に向け、部署で掲げている三原則があります。1つめが故障を起こさないこと、2つめが一度起きた故障を再発させないこと、そして3つめが、故障発生時には安全な環境と正しい手順で速やかに復旧することです。これらの原則に基づき、生産ラインの安定稼働を支えています」
その中で山根は、グローバル保全強化推進グループの技術者として、大型プレス設備の管理や点検、劣化部の更新計画を担当しています。
「私が担当しているプレス設備は、全長20~30mほどもある大規模な設備なのですが、たとえば、0.4~0.5㎜程度の平行ずれのような一見すると小さな不具合でも、大きな影響を及ぼしてしまいます。不具合を見逃さず、劣化部の修理や更新を立案・実行することが私の役割です。日産には国内外に数多くの工場がありますが、私は主に海外工場を担当しています。
業務のフローとしては、まず点検を実施し、そこで不具合が見つかった場合は劣化部の修理や更新を立案します。そして私たち技術者、工場のメンバー、プレス設備メーカーの3者で、いつどのように対策実行するかを検討し、計画に沿って不具合を解消していきます」
現在の業務に就いて2年目の山根。周囲の先輩社員に支えられながらプレス設備に関する専門知識を吸収している中で、大切にしていることがあります。
「私が常に心がけているのは、仕事の記録を残すことです。詳細な記録があれば、同じ課題が発生した際に一から解決策を検討する必要がなく、効率的に業務に取り組むことができます。これまではベテラン社員の勘やコツに頼っていた部分をきちんと言語化して記録に残すことにより、今後この仕事を担う後進の役に立ちたいと考えています」
システム開発から製造現場へ。「モノづくりをつくる」仕事を求めて、選んだ日産
大学では環境工学と材料力学を専攻していた山根。卒業後はシステム開発職の経験を積んだ後、第二新卒として日産へ入社しました。
「就職活動では、デジタル技術を活用して製造業の現場を効率化する仕事と、海外で活躍できる環境という2つの軸で企業を探しました。前職では機械製品のシステム開発を担当していましたが、デジタル技術をさらに広く活用できるフィールドがないか模索していました。
その中で転職を考えたのは、革新的な生産技術で次世代のクルマづくりを行う『ニッサン インテリジェント ファクトリー』について知ったことがきっかけです。まさに自分がやりたかったことだと思い、日産で働きたいと考えました」
日産に入社するにあたり、山根が配属先として希望したのは生産部門でした。
「前職ではシステム開発を通じて『モノづくり』に携わりましたが、日産でやりたいと思ったのは、テクノロジーを活かして『モノづくりをつくる』仕事です。そのため、デジタル技術の活用余地が多いと感じた生産部門に携わりたいと考えました。
そして2020年に入社し、研修を経て2年目から4年目までは技術開発系の業務に従事しました。主な業務は、自然言語処理や生成AIを活用し、故障した設備の原因分析や対策を瞬時に提示できるツールの開発です。入社前後で日産への印象は変わらず、最先端技術を積極的に導入する風土があるのを感じました」
その後、2024年に現在のグローバル保全強化推進グループに異動。海外の工場を担当する機会を得たことで、新たな気づきがありました。
「国や地域によってそれぞれ設備が違い、技術の活用度合いも異なることがわかりました。その分改善できる余地も多く、チャレンジする価値があると感じました。ただし工場は世界中にあるため、すべてを実際に見て対応することはできません。だからこそ大切にしているのが、現地メンバーとのコミュニケーションです。
たとえば、単に結果をフィードバックするだけでなく、参考になりそうな不具合の事例を共有し、次のアクションも一緒に考えるなど、相手にとって価値のある仕事をすることを大切にしています」
生産現場での新たな挑戦を通じ、山根は自身の視点が変わったのを感じています。
「前の部署にいた時、設備や工場で実際に働く人のことを深く理解できていなければ、真に役立つツールは開発できないと感じていました。その経験もあり、今は工場で実際に起きていることを把握しようと努めていて、現場の視点に立った提案も以前よりできるようになったと感じています」
メキシコでのプレス設備の大規模修理に挑戦。初めてリードを経験し、技術者として成長
これまで日産で約5年間にわたり、技術者としてキャリアを積んできた山根。中でも印象に残っているのは、初めての海外出張だと話します。
「経験豊富な先輩技術者と2人で、インドの工場に赴いてプレス設備の不具合対策を行いました。現地のメンバーはソフトウェアに起因する不具合だと考えて対策を試みていたのですが、先輩は現地・現物を確かめることで、機械側に問題があることを瞬時に見抜いたのです。
そして不具合の原因となっている機械部品を特定し、交換のための計画を立案して影響を最小限に抑えました。積み重ねた経験と専門知識があるからこそなせる仕事だと、感銘を受けました」
もう1つ山根にとって印象深いのが、メキシコにある工場の亀裂修理プロジェクトを担当した経験です。
「点検でプレス設備の壁面に亀裂が生じているのが見つかり、初めて修理プロジェクトをリードすることになりました。亀裂は専門外の方には軽微な損傷と思われるかもしれませんが、製品の品質に影響を及ぼす重大な不具合のため対策が必要だったのです」
プレス設備は分解するだけでも1週間近く要するため、亀裂修理をするなら設備を長期休止しなければなりません。そのため、入念に計画を立案していきました。
「当初、工場側はすでに見つかっている亀裂を修理したいと考えていました。工場側には、修理費用がかかることや生産停止期間が長引くことへの懸念がありました。
一方、私は設備を分解すれば他にも亀裂が見つかる可能性があると考えました。実は、他の工場でプレス設備の分解後に予想外の亀裂が見つかり、修理費用や設備停止期間を費やした類似の事例があったのです。
そこで両者の納得が得られるよう、毎週のようにミーティングを重ね、長く設備を利用するためには修理の前に亀裂の詳細点検が不可欠であると、丁寧に説明しました。
最終的に私たちの提案を受け入れてもらうことができ、詳細点検で更なる亀裂を発見。そして、今年9月には無事に修理が完了しました。大きなプロジェクトを成し遂げたことで、技術者としてステップアップできたと感じています」
設備管理の仕事を通じ、プレス設備と日々向き合う中で実感するのは、機械は人と同じで思い通りにはならないということ。だからおもしろいと、山根は話します。
「仕事をする中でよく思い出すのが、私の部長が言っていた『機械設備は諸行無常』という言葉です。絶えず変化する機械の状態を見極め、どのように対応するのが最善かを考える。それは人と向き合うのと同じでとても奥が深く、自分の思い通りにはならないからこそ、挑戦しがいのある仕事だと感じています」
自分のやりたいことを形に。挑戦できるフィールドを活かし、次世代のモノづくりを
修理プロジェクトのリードを経験するなど、技術者として着実に成長を重ねている山根。次に描いている目標があります。
「入社当初はデジタル技術を活用した工場の効率化をめざしていましたが、仕事をする中で気づいたのは、デジタル技術はあくまで手段だということです。手段を活かすにはまず基盤を固めることが大切なので、今は設備管理技術を体系的に習得することに注力したいと考えています。
その上で、デジタル技術を活用して従来とは異なる新しい製造業の在り方を追求し、『モノづくりをつくる』ことが目標です。それをいつか、グローバルで実現したいと思っています」
大きなビジョンを描き、その実現に向かって挑戦できるフィールドがあること。それが日産の魅力だと山根は話します。
「日産には、自分がやりたい仕事にチャレンジできる機会があり、一人ひとりの挑戦意欲を尊重してくれる風土があります。実際に私自身も、海外出張を経験したいという想いを上司に伝えたことで、それを実現できました。
他にも自ら希望してプレス設備の分解工事に同行させてもらうなど、自分が経験したいことや学びたいことを積極的に発信し、さまざまな挑戦の機会を与えてもらっています」
挑戦を通じて成長できるフィールドは、とくに生産部門において大きく広がっていると山根は言います。
「生産部門で扱う技術は多岐にわたり、私が担当するプレス設備の維持・管理のように、特定の専門領域を担う技術者の数はある程度限られています。そのため地道に経験を積むことで、その領域を先導できるプロフェッショナルになれることが生産部門の魅力です」
技術者として専門性を追求できる日産の生産部門。その環境を活かし、これからクルマづくりの未来を共に担う仲間へ、山根がメッセージを送ります。
「過去の製造業を踏襲するのではなく、『これからの製造業はこうなるとおもしろい』という構想を持ち、未来の製造業を創造していく。そうした姿勢を持っている方が、日産には向いていると感じます。
そして学生の皆さんに伝えたいのは、自分の得意分野だけでなく、それを活かせる別の領域も視野に入れながら仕事を選んでほしいということです。そのほうがきっと、自分の可能性を広げられると思います。次世代の『モノづくりをつくる』ために、新しいことに意欲的に挑戦できる仲間が加わってくださるのを楽しみにしています」
※ 記載内容は2025年11月時点のものです
