現場の声を集め、ボトムアップで組織を変える。TCSX国内サービス部 部長の挑戦
TCSX国内サービス部で2024年より部長を務める丸地。200人近い組織を率いて国内のサービス品質向上に取り組んでいます。
「国内サービス部の仕事は大きく3つあります。1つは修理支援で、テックラインと呼ばれる技術のホットラインを通じて、販売会社からの不具合相談や修理支援に対応、2つめは品質改善活動で、不具合や不満に対する商品魅力の向上をめざしての活動、3つめはコールセンターの運営でお客さまへの感動の応対を実現することです。全国114の販売会社・約2千店舗に対して、お客さま満足度向上や販売会社の対応力向上をめざし取り組みを行っています」
部署に着任して最初に行ったのは、課長代理職以上のメンバー50人以上との1on1でした。
「国内サービス部は私が異動してくる前から従業員サーベイでも高い評価が出ている部署でした。しかし一人ひとりの想いを聞いていくと、『部としてのビジョンが不明確』『人材育成ができていない』という大きな課題が見えてきました。
そこでこれらの課題解決のために課長層から選抜メンバーを集め、部の中期計画を策定するプロジェクトを結成。ボトムアップで『国内市場の最前線でお客さま・販売会社の声に耳を傾け、課題化し、対策に落とし込む責任者』という国内サービス部のめざす姿を定義し全員で意思統一することができました」
丸地が仕事をする上でもっとも大切にしているのは「常に自責の念で考え、他責にしない」ことです。
「仕事においてできない理由を並べるのは簡単なことです。でもそれでは楽しくないし、成果も上がらないですよね。何か問題が起こった時、できない理由を並べるのではなく『どうしたらできるのか?』と常に考えるようにしています」
諸先輩に恵まれたからこそ変われた。挫折を糧に「人」を大切に考えるリーダーへ
日本の優れた商品を世の中に広める仕事に興味を持ち、メーカーを中心に就職活動をしていた丸地。
「当時の日産自動車は低迷期で久々の新卒採用だったこともあり、『日本の基幹産業である自動車で復活に貢献したい』という思いから入社を決意しました。そこから26年間にわたり、マーケティングとセールスを経験することになります。
最初はマーケティングから始まり、大阪でゾーンスーパーバイザーとして販売現場を経験。続いて販売会社の社長として3年間マネジメントを学びました。その後は再び車種マーケティング部門に戻り、ノートオーラなど新車の立ち上げなどに従事し、九州地区での販売責任者を務めた後に、2024年に現在の部署へ異動してきました」
「成功するまでやり続ける」ことをポリシーに持つ丸地にとって、これまでのキャリアで大きな失敗体験はあまり思いつかないと言います。しかし、そんな丸地にも1つだけ忘れられない挫折経験がありました。
「課長代理への昇格試験で不合格になったことが自分の心に強く残っています。当時順当に職位を上げ、当然受かるだろうと思っていました。当日の面接試験でも自身の力をフルに発揮できたと自負していました。
しかし、結果は不合格。上司との対話を通じてその理由を振り返る中で、原因は『自己中心的な側面が見られること』だと気づかされました。いくら正しい意見だとしても一方的な押し付けでは仕事はうまく進まない。お互いに納得した上で進めることが大切だと痛感し、仕事のスタンスもそこから大きく変わりました。
まだまだ至らないところばかりですが、私が成長できたのはあきらめずに指導してくださった当時の上司や先輩のおかげです。だから自分が管理職になってからは人材育成こそがマネージャーの一番の仕事だと思い、率先して部内でも取り組むように心がけています」
メーカーと販売会社双方の課題に向き合う。テックライン入電削減プロジェクトの舞台裏
成功するまでやり続ける丸地が現在の部署で成果を挙げた取り組みの1つが「テックラインの入電件数削減」です。テックラインとは全国の販売会社のメカニックからの不具合対応に関する問い合わせを受け付けるホットラインのような仕組みです。
「昨今の技術の進化により問い合わせが右肩上がりに増加していました。その結果、問い合わせ対応に追われ、本来日産として取り組むべき難解修理支援に時間が割けていないことがわかり、早急に解決する必要があると感じました」
そこで丸地は過去の現場経験を活かし、この課題の解決には販売会社との協力が不可欠だと感じ、販売会社とワークショップを結成し、現状分析から対策検討を共同で実施することにしました。その際、課題設定の仕方に一番気をつけたと語ります。
「入電数削減を目的にしてしまうと、販売会社からしたら『メーカー側の都合だろう』と思われてしまいます。販売会社としても、テックラインに頼らず対応できればお客さまをお待たせせずに修理ができます。そのため、『現場での対応力を強化すること』を共通の目的にしてプロジェクトを進めていきました。
原因を究明していくと、大きく分けて2つありました。1つは私たちメーカー側の責任で、未解決の問題の情報を開示できていないために、問い合わせが多く入ってきていたこと、もう1つは販売会社側の問題で、テックラインに相談する前に本部に相談するという基本ルールが守られず、簡単な内容でも現場から直接問い合わせがテックラインに寄せられていることがわかりました。
そこで私たちは未解決の問題についても途中経過の情報を開示し、対策方針を伝えるようにしました。これにより直接的なトラブルの解決には至らなくても、お客さまに一時的な対応を行うことができ、状況や考え方を共有することで、結果的に不信感を持たせてしまうケースが少なくなりました。
また販売会社にもテックラインに問い合わせる前に本部への問い合わせを徹底してもらい、PDCAを回し続けた結果、入電件数が前年の半数まで減少したのです。これは販売会社と共に、国内サービス部のメンバー全員が同じゴールに向けて取り組むことが出来た成果であり、共通の目的意識を持つことの大切さを改めて実感できました」
成果が上がらなければ仕事はおもしろくない。納得のストーリーで組織を動かす
このように丸地は方向性を示しながら周囲を巻き込み、自身がリーダーシップをとって業務を進めることを大切にしています。
「人を巻き込むには目的意識の統一が必要だと思います。そこで私が大切にしているのはストーリーです。背景から入って、なぜこの課題に取り組むのか、原因はなんなのか、という仮説を持ってストーリーを語り、周囲に共感を得た上で取り組むことが大切だと思っています。
どんな時も高いモチベーションで仕事に臨む丸地。自身の魅力について問われると、迷わず「成果を出すこと」だと答えます。
「結果にこだわることは私の一番の強みです。成果が上がらなければ仕事はおもしろくないと思うので、そのためにストーリーをしっかり作り、自責の念で物事を捉え、周りを巻き込みながらあきらめずに実行し続ける。もともと小学生のころの卒業文集にも書いているのですが、『すべてに全力投球』なんです。暑苦しいですよね(笑)。メンバーにも『優先順位をつけてやると決めたものは徹底する、中途半端にやるのであればやめたほうがよい』とよく伝えています。
また愛社精神が強いことも自分の誇りでしょうか。くだらないことかもしれませんが、ロッカーを選ぶ時などは必ず『23(ニッサン)』がつく番号を探しています(笑)」
日産自動車は現在、経営再建計画「Re:Nissan」を掲げ、長期的な成長に向けて行動しています。
「Re:Nissanという会社としての新しい取り組みに向けて、まずは自分事として部の中期計画(前述)をしっかり実現させたいと思っています。長年日本市場で業務をしてきた経験を活かし、なんとしても日産自動車をホームマーケットの日本から復活させたいです。
そのために私たちの部署でやるべきことを自責の念で着実に行い、Re:Nissan成功の暁には『私たちが貢献したんだ』と胸を張って言えるよう、部門方針でもある“カスタマーセントリック”の心を持ち続け、メンバー全員で同じ方向を向いて日産自動車の復活を支えたいと思います」
※ 記載内容は2026年3月時点のものです

