クランクシャフトの生産ラインを管理し、QCTの維持・改善をめざす
日産自動車のパワートレイン・EVコンポーネント生産技術開発本部は、その名の通りエンジンや電動化部品の生産技術開発や、工場ラインの設計などを担う部署。その中でも渡部が所属する量産技術グループは、工場生産ラインのQCT向上をミッションに、ラインの安定的な運営や効率化をめざしています。
「私は現在、横浜工場にあるクランクシャフトの生産ラインを担当しています。クランクシャフトとは、エンジンの心臓部とも言われる重要部品のひとつ。たとえば『クランクシャフトを1日に数百台つくる』などの生産要求に対して、出来高(生産数)と品質を確実に維持し、さらにプロセスを見直したり、不具合が起きた時に対応・改善したりするのが私の役割です。
1日の仕事の流れを具体的に紹介すると、まず朝一番にメールや前日からの引き継ぎ情報などをチェックし、9時頃からはクランクライン全体の状況を共有する会議に参加。そこでトラブルなどの報告があれば、午前中にその対応を行います。
午後は定例会議に出席することが多く、現場の方たちと過去の不具合報告の改善進捗を話し合ったり、設備メーカーと打ち合わせをしたり。退社時間は17~18時頃が多いですね」
日々の仕事では、ラインでの実務に携わる製造部、完成した部品をチェックする品質保証部、ライン設備をメンテナンスする保全部など、現場で働くさまざまな部署との連携が不可欠だという渡部。
「入社前は、工場で働くベテランの職人さんたちに怖いイメージを持っていました。でも、実際は皆さんとても話しやすく、しっかりとコミュニケーションが取れています」
そんな渡部が仕事をする上で大事にしているのが、「数字で語ること」です。
「たとえば品質改善においても『なんとなく良くなった』という感覚ではなく、『この項目がどのくらい改善した」という数字をしっかり把握することを意識しています。数字は誰に対しても説得力がありますし、変化を追うことで不具合の再発防止や原因解明にも役立つと考えています」
チャレンジできる環境でモノづくりに携われる日産へ。生産現場の最前線で経験を積む
学生時代は機械システムを専攻していた渡部。しかし就職活動では、その知識を活かすことよりも優先したい軸が3つあったと振り返ります。
「私が企業選びで重視したのは、『幅広い仕事ができること』『モノづくりに携われること』『チャレンジできる環境があること』の3つでした。
モノづくりという軸で日産のインターンシップに参加した時、生産技術開発の仕事は、ひとつの製品をつくるために加工機や検査装置など何十台もの設備の知識が必要だと実感。それをきっかけに、この会社なら幅広い仕事に携われると確信し、また『やっちゃえNISSAN』というCMのコピーからはチャレンジを後押しする社風がありそうだと感じ、入社を決めました」
入社後は9カ月間の新入社員研修を経て、初配属先が決まります。モノづくりへの情熱を持つ渡部は、現場に近い現在の量産技術グループを希望し、配属となりました。
「生産技術開発部門の中には開発機能部署もありますが、私は生産ラインで実際にモノを生み出し、お客さまに届けるエンド側で仕事がしたいという想いがありました。また、工場のラインには多種多様な設備があるので、その幅広い知識を身につけたいと思いました」
念願がかない、モノづくりの最前線で仕事に取り組むこととなった渡部ですが、その道にはさまざまな試練も……。最も苦労したのは、生産ラインの不具合対応だと語ります。
「品質の不具合が起きると生産ラインが止まってしまい、通常1日に数百台製造する部品が一気にゼロになってしまいます。そうなると、次に続く組立ラインを止めてしまうリスクもあり、影響力は大きいです。
ラインを再開しなければいけないデッドラインに追われながら、限られた時間の中で不具合を見つけ、対策を実行して品質を元に戻す対応に、毎回とても苦労しています」
こうした状況を乗り越えるために、渡部が徹底しているのは「的確な現状把握」です。
「不具合が起きた時は、まずはありとあらゆる関係者に状況を聞き、徹底的に現状を把握するようにしています。見逃しや対応漏れがないように、とにかく情報を集めるのですが、この時、普段から周囲の人と密にコミュニケーションを取っていることが非常に役立ちます。
何か問題が発生した時、直属の上司はもちろん、他部署の責任者や現場の人たちがサポートしてくれるのは、日頃から直接言葉を交わして信頼関係ができているからこそ。みんなで解決しよう、という体制が整っていることもとても心強いですね」
1年かけて出来高の向上を達成。改善の成果が数字に表れ、感謝されるのがうれしい
クランクシャフトの生産ライン担当として、日々QCTの維持・改善をめざす渡部。その成果が大きく表れた出来事があります。
「ラインの担当となって間もない頃、出来高の向上をめざした取り組みがスタートしました。これまでの1時間あたりの出来高を+10台にするという目標を掲げ、そのためにはどの設備をどう改善すればいいかすべて洗い出し、愚直に一つひとつ対応していきました。
1年後、目標とした出来高を達成した時は、大きなやりがいを感じましたね。生産ラインの改善は、数字として目に見えるので成果がわかりやすいし、現場の人たちからも感謝してもらえるのがとてもうれしいです」
一方でラインを管理する立場の渡部は、改善の指摘や注意など、時に言いにくいことを現場に伝えなければいけない場面も。
「そんな時は、メールではなく必ず自分から会いに行って直接伝えるようにしています。文章だと、言葉選びのちょっとした違いで誤解を招くリスクがあるので、対面で話して相手の意見もしっかり汲み取ることを心がけています。
言いにくいことを面と向かって伝えるのは緊張もしますが、結果としていい方向に進むことが経験上多いと感じます。その場しのぎではなく、今後より良い関係を築くことを見据えたコミュニケーションを大事にしています」
お客さまにより近い場所で働きたいと、設計・開発部門ではなく生産技術開発部門を選んだ渡部。しかし、「生産現場にお客さまの声が届くのは、クルマに不具合が起きた時」だと表情を引き締めます。
「クルマの生産ラインの仕事は、お客さまの安全や会社の信用に直結する重要なもの。だからこそ、業務改善などで変化点を加える時には確実な根拠を示した上で変更しなければなりません。お客さまが安心して日産車に乗れるように、毎日緊張感を持って仕事に取り組みたいと思っています」
幅広い仕事をこなせる人材に──生産技術の枠を越え、他の部門にも挑戦したい
入社して3年半──渡部に今後の展望を尋ねると、就職活動の時からのブレない答えが返ってきました。
「何かの専門家をめざすより、いろいろな知識を身につけ、幅広い仕事をこなせる人材になりたいと思っています。将来的には生産技術開発の枠を越え、設計・開発や経営の仕事などにも挑戦してみたいなと。
今の自分に足りないのは、物事を俯瞰する目だと思っていて、何か問題が起きた時にその点ばかりに気を取られ、視野が狭くなってしまいます。さまざまな仕事を経験することで、俯瞰的・多角的な視点を持つ人になりたいですね。
また、チームとしては、会社の収益改善のひとつの柱になりたいという目標があります。より良いものを、より安く、安定的につくるにはどうすればいいかを考え抜き、会社に貢献できるチームでありたいと思います」
そんな渡部は、就職活動に臨む学生たちに次のようなメッセージを贈ります。
「生産技術開発の仕事は、関わる人の数が非常に多いので、部署を超えて円滑なコミュニケーションが取れる人が向いていると思います。コミュニケーション能力とは、単に雑談できるスキルではなく、相手の話をしっかり聞いて真意を引き出し、自分の意見もきちんと伝えられるかが重要です。
また、日産で活躍している先輩たちを見ると、やはりモノづくりが好きで、自らいろんなことにチャレンジしている方が多いと感じます。学生時代からひとつのことに固執せずに柔軟な考えを持ち、いろんな勉強や趣味に挑戦してきた人──そんな方たちの入社を待ち望んでいます」
※ 記載内容は2025年10月時点のものです
