クルマのデザインを左右する金型品質解析。チームでのコミュニケーションを大切に
プレス技術部の第一圧型製作課に所属している藤田。外装部品の成形に使う金型の品質解析を担当しています。
「プレス技術部では、要求された寸法精度やクルマのデザイン性を満たす部品の生産を目的として、金型の品質解析を行っています。具体的には成形過程で起こる変形や破損を予測し、金型の修正提案を行うのが私たちの役割です。
主な外装部品としては、クルマのデザインを決めるサイドドアがあります。デザイナーの意図を汲み取り、技術的にどういったアプローチなら実現可能かを検討して提案することも重要なミッションです」
藤田が担当している業務は、パソコン上だけでなく現場にも出向いて行われます。
「成形によって金型がどう変化するのか現象予測をパソコン上で行い、実際に部品がどのように変化したのかを現場で確認します。現象予測を行うには、材料の特性に関する専門知識が必要です。
たとえば成形後に形状が元に戻るスプリングバックなどのメカニズムを解明し、理論を組み立てるスキルが求められます。また、理論と実際の現象との差を正確に把握し、フィードバックできる分析力も大事です」
そうした専門性はもちろん、コミュニケーションスキルも重要になると藤田は話します。
「とくに海外工場とのコミュニケーションは英語で行うため、お互いに認識の相違がないよう慎重な対応が求められます。過去には実際にミスコミュニケーションが生じたこともありました。金型を海外工場に出荷する前に、お客さまの立ち合いのもと品質の最終確認を行う業務があり、定められた評価項目に基づいて説明したのですが、一部納得してもらえない項目があったのです。理由を詳しく聞くと、私の意図が正しく伝わっていなかったことがわかりました。
この経験以来、相手の立場に立って考えることを心がけています。たとえば私たちが使っている設備や測定器具が必ずしも相手と同じとは限りません。無意識に当たり前と思ってしまっていることを一つひとつ確認し、認識の相違が生まれないように留意しています」
さまざまな関係者と共に進めていく金型の品質解析。その中で藤田は常に、お客さまを見つめたモノづくりを大切にしています。
「生産技術やデザイン、部品設計の担当者には、それぞれに異なるミッションがあり、時には意見がぶつかることもあります。ただ私たちの共通の目的は、『お客さまにとって良いクルマを届けること』です。そのために自分に何ができるか──それを常に意識しながら、お客さまのために最善の選択を心がけています」
自分が描きたいキャリアを実現。チャレンジを支援してくれる環境に支えられて
学生時代は機械工学科に在籍していた藤田。機械工学に興味を持ったのは、幼い頃から身近な存在だったクルマがきっかけでした。
「家のクルマがキーを差してエンジンをかけるタイプで、その時に響くエンジンの音が子ども心に大好きだったんです。そこから機械を本格的に学びたいと思うようになり、大学では機械工学科へ進学しました。
研究室ではレーザ計測を専攻し、溶鉄や発電所排ガスの成分分析、距離計測の技術開発などをテーマに勉強。その研究室を選んだのは、多国籍な仲間と共にグローバルな環境で学べること、そして基礎研究から技術開発、装置化まで自分で一貫してモノづくりができることに魅力を感じたからです。
就職活動でも、モノづくりに携われる企業を志望し、日常生活に根づいた製品を提供するメーカーを探しました。その中でも『人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける』というコーポレートパーパスに強く惹かれ、日産への入社を決めました」
そして藤田は2019年に日産へ入社。希望したとおりの部署に配属されます。
「大学時代に実用化するプロセスがおもしろいと感じたため、開発に携わる部署を希望して車両生産技術開発本部に配属されました。開発にはR&Dと生産技術があり、それぞれに魅力がありますが、私はクルマの顔となる外装部品のデザインや品質に関われる生産技術が、自分のやりたい領域だと考えました。
配属後に最初に担当したのは、海外拠点のプレス技術部における新車のプロジェクトマネジメントです。企画から生産まで自分でできるようになるには、まずプレス技術の全体像を知る必要があると考えて希望しました。その後は専門性を磨くために、金型の成形性をシミュレーションする業務を担当。そこからパソコン上だけでなく現物を見ながら提案できるようになりたいと考え、現在の部署に異動しました」
これまで、自分が希望したとおりのキャリアが築けていると話す藤田。それには上司のサポートが大きかったと振り返ります。
「定期的な面談の機会があり、その中で自分が進みたいキャリアについて話しました。私の希望に対してさまざまな選択肢を提示してもらえただけでなく、入社2年目でまだ経験が浅くても、『まずやってみよう』とプロジェクトリーダーを任せてもらえるなど、チャレンジをしっかりと支援してもらえました」
「すぐやる、できるまでやる」──上司の言葉に背中を押され、乗り越えた試練
藤田が新車のプロジェクトマネジメントで初めて担当したのが、中国市場向けの新型パスファインダーです。計画を進行する中では、予期せぬ課題にも直面しました。
「当初は先行販売されていた北米のモデルと同じデザインで、中国市場向けに新型パスファインダーの計画を進行していました。しかし途中で、より中国市場に受け入れられやすいデザインへと変更することになったのです。
入社2年目にしてプロジェクトリーダーを務めるというプレッシャーもある中、急な方針転換をプレス技術部にどう説明すれば納得してもらえるのか、最初は悩んで動けずにいました。
その際に上司に言われたのが、『すぐやる、できるまでやる。それでもダメな時は、いつでも頼ることを忘れないで』という言葉です。その言葉を支えに、この変更はお客さまのためなのだと懸命に伝えた結果、現場は納得してくれて無事に計画を遂行できました」
周囲に支えられながら挑戦を続けてきた藤田。現在取り組んでいる金型の品質解析においても、挑戦と失敗を通じて成長を重ねています。
「品質を向上していく『品質玉成』において、金型設計にミスがあることがわかったのです。大規模な改造が必要になったことで、車両全体の計画が遅延しかねない状況に追い込まれました。
改造以外の作業日程を短縮できないか設計や部材担当に相談し、現場のベテラン技術者にもアイデアをもらいながら解決策を探りました。いろいろな意見がぶつかり合う中で、やはり自分が大切にしたのは、どの選択がお客さまにとって最善であるかということです。自分の考えを上司にも説明し、納期に向けて作業の優先順位を決めて実行したことで、難題を乗り越えられました」
入社当時と比べて変わったのは、まず行動を起こすようになったこと──そう話す藤田は、さまざまな経験を通じて、大きなやりがいを感じています。
「クルマが完成してお客さまにお届けできるまでには、3~5年もの長い年月がかかります。デザイナーや部品設計者など多様なチームメンバーの要求を満たすべく、時にぶつかりながらもプレス技術部としての高い精度や品質を確保していく。
その長いプロセスを経て、実際に完成したクルマが走っているのを見ると、大きな達成感を覚えます」
一つの部品がクルマ全体に与える影響を考ながら、これからもより良い品質の追求を
藤田が日産へ入社して間もなく7年目。後進を育てる立場にもなりつつある中で、今後描いている目標があります。
「これまで金型をデジタルで解析する経験と、実際に現場で現物を解析する経験を積んできたので、その両方の視点を活かして活躍することが目標です。私たちがつくる一つの部品が、車両全体にどのような影響を与えるのかを考え、より高い視座で改善提案ができる技術者をめざしていきたいと考えています。
後輩に対しては、私がこれまで先輩方にしてもらったことを還元していきたいと思っています。支援しすぎると成長の機会を奪ってしまうことになる場合もあるので、サポートが必要かどうかを丁寧に見極めながら、主体的に考えて行動できるように支えていきたいですね」
後輩の育成においては、ロールモデルとしている先輩を見習い、相手の立場に立ったコミュニケーション心がけたいと話す藤田。目標となる先輩がいることは、日産の魅力の一つだと言います。
「私が若手のうちにいろいろチャレンジできたのは、失敗してもいつでもフォローしてくれる先輩方がいたからです。自分がやりたいことを伝えれば、挑戦を支援し、チャンスを与えてくれる風土が日産にはあります。こうした環境を活かし、今後は機会があれば海外出張を経験するなど、グローバルな活動にも取り組んでみたいですね。
プレス技術部での業務は、直接お客さまの目に触れるクルマのデザインやエクステリアに関わる非常にやりがいのある仕事です。関係者が多い分、調整に苦労することもありますが、『お客さまのために良いクルマをつくる』という共通の目標に向かい、チームで協力しながら困難を乗り越えていく喜びは、モノづくりの醍醐味だと感じます。
行動を起こすことをためらわず、困難を打開できるまで粘り強く取り組める。そんな方と一緒に、生産技術で新たなチャレンジができるのを楽しみにしています」
※ 記載内容は2025年2月時点のものです
