設計や構造の課題を洗い出し、改善策を提案する試作業務。電動化に向けて新たな挑戦を
設計図面をもとに、ユニットを試作し実機検証を行う試作・サイマル技術開発部。高瀬は同部の電動パワートレイン技術グループに所属しています。
「私たちの部署では、生産技術の中でも工場での量産に直接携わるのではなく、開発部門と生産部門の橋渡し役となる業務を担っています。設計図面から初めて現物を製作し、想定した性能や生産性が得られるかを検証するのが私たちの役割です。
つまりは、量産目線で設計図面の課題を顕在化させ、開発と生産が一緒になって解決を図るべく『サイマル活動』を通じて、『生まれの良いパワートレインユニット』をめざし開発初期段階での品質作り込み向上に貢献しています。
その中で私が現在担当しているのは、次期型・次世代型EVに搭載されるバッテリーパックの試作準備です。具体的には、まず設計図面をもとに各種検証を実施して課題を抽出します。その後、必要な治具を設計して試作を行い、不具合の原因や量産化する上での課題を分析し、設計や構造の改善策を提案します。
このように、試作は開発から量産への橋渡し役を担い、クルマづくりにおいて重要な役割を果たしています」
開発や設計、量産担当など、さまざまな部門と関わる試作業務。入社2年目の高瀬は、各部門と連携しながら新たな経験を積んでいます。
「電動化は未知の挑戦が多く、予測できない事象が起こるのが常です。不具合が出たらまず自分で解決策を考えながらも、先輩方の力を借りて課題と向き合っています。先輩方は親身になって話を聞き、アドバイスしてくれるためとても相談がしやすい環境です。
それぞれの分野で高度な専門知識を持っているので、同じ部署はもちろん他部署の先輩方にもよく質問をしています」
周囲に教わりながら貪欲に知識を習得している高瀬。仕事をする上で大切にしているのは、積極的に学ぶ姿勢だと話します。
「私は大学時代に熱力学を専攻していたため、今の業務は初めての経験ばかりです。そのためわからないことは放置せず、自分で参考書を調べて原理原則から学ぶことを心がけています。
また、設計担当に設計の意図を直接尋ねるなど、背景も含めて本質を理解しながら、1つずつ確実にエンジニアに必要な知識を習得しています」
「フェアレディZ」との出会いから理系の道へ。自身の原点となった日産自動車へ入社
大学時代は理工学部の精密機械工学科に所属していた高瀬。卒業後に日産自動車へ入社を決めた背景には、小学生の頃に図書館で出会った本がありました。
「今までにない新製品の開発など、一大プロジェクトに挑戦する人々の姿を描いたドキュメンタリー漫画を、小学生の頃に夢中になって読んでいました。その中でもとくに印象的だったのが、フェアレディZの開発に挑む日産のストーリーです。そこからクルマなどの動くものに興味を持ち、とくに動力を生み出すエンジンを学びたいと考え、大学で熱力学を専攻しました。
就職活動を行うにあたって自己分析を行う中で、あらためて自分の原点だと思ったのが日産の開発ストーリーです。他の自動車メーカーの本も読みましたが、私の中ではフェアレディZが群を抜いて格好良かったんですね。自分もこんなクルマづくりに携わりたいと思い、日産への入社を志望しました」
そして高瀬は、2023年4月に入社。希望した通り、パワートレイン生産技術開発本部に配属されます。
「この部門を希望したのは、電動化が進む今、最先端の技術が学べると考えたからです。学生時代の学びが活かせる部分も多く、たとえばバッテリーパックの中で使われるボルトの締結や引張強度などは過去の知識が役に立っています。
一方で、電流や回路の設計に関しては専門外です。そのため業務でわからないことがあれば絶対に放置せず理解できるまで学んでいます」
入社後に新たな領域を学ぶ上で、高瀬にとってとくに有益だったのは約1年に及ぶ研修でした。
「私の部門では研修が充実しており、『自動車とは』という基礎から徹底して学ぶことができました。また教育センターで行われた約2カ月の研修は非常に有益なものでした。
空気圧や電気回路など工場配属後に必要な知識を習得した後、実習にも取り組んで技術を身につけました。同期と生活を共にしながら学べたことで絆も深まり、切磋琢磨できたと感じます」
本配属直後に1カ月の出張を経験。エンジニアとして正確に伝えることの大切さを実感
2024年4月にパワートレイン技術開発試作部 電動パワートレイン技術グループへ本配属後、さまざまな業務に挑戦してきた高瀬。中でも印象に残っているのは、約1カ月間に及ぶ長期出張の経験です。
「任されたのは、次世代EV用バッテリーパックの試作です。とくに重要になる初期試作ロットを担当することになりました。私たちの部署の他、外部メーカーや量産を担当する部署のメンバーも参加して行われました。
実際に試作を始めてみると、想像以上に多くの課題が抽出されました。そこで一つずつ原因と対策を検証しました。たとえば塗布した接着剤が設計規格に入らなかった際は、量産時にも使う設備の条件を1つずつ変更してばらつきを抑え込んだり、断線の可能性があるハーネスに補強テープを巻いたり、電極の抵抗を下げるため端子面をアルコールで脱脂したりと、所定の性能を出すためにさまざまなトライアルを重ねました」
高瀬はさらに、課題を写真や数値としてまとめ、設計部門に伝える役割も担当。その中でエンジニアとして大きな学びを得ました。
「私にとって初めての経験が多く、他部署のベテランエンジニアに指導してもらいながら業務に取り組みました。その中で何度も言われたのは、『エンジニアとして物事を正確に伝えることの大切さ』です。課題が正しく伝わらないと、真の対策が取れないからです。
設計部門にフィードバックをする上で、図面の描き方を工夫するなど、わかりやすく正確に情報を伝えるための技術を、直接ベテランエンジニアから学べたのは非常に有意義だったと思います。
また試作することで初めて設計や構造の課題が可視化されるので、いかに自分が担当している業務が重要であるかをあらためて実感する機会にもなりました」
もう1つ高瀬が今回の出張を通じて実感したのは、多くの関係者と連携し、コミュニケーションを取ることの大切さです。
「部品ごとに設計担当部署が異なり多数の設計者とやり取りが必要です。もし1個でも部品が組み付かない場合、車両全体のスケジュールに影響が及びます。
それを回避するために課題を迅速に共有して改善案を提示し、密にコミュニケーションを取りながら部署横断で連携する。その重要性についても学ぶ機会となりました」
大変さの中にクルマづくりのやりがいを実感。1人前のエンジニアとして成長するために
小学生の頃に出会った本に導かれ、たどり着いた現在の仕事。当時の高瀬が憧れた、壁にぶつかりながらも困難を乗り越える登場人物の姿を、今の自分に重ねることがあると話します。
「よく思い出すのは、登場人物がプロジェクトの大変さを語りながらも、自分の仕事に誇りとやりがいを持っている姿です。私はまだまだ経験が浅いですが、『こういうことだったんだ』と、仕事を通じてわかるようになってきました。
自分が関わった製品が世に出て、お客さまに愛用してもらえる喜び。それを味わうためにも、もっと勉強して試作業務に必要な知識を学び、成長していきたいです」
憧れていた仕事に就き、間もなく入社3年目となる中、高瀬が今後描いている目標があります。
「早く1人前として認められ、周囲から頼られる存在になることが当面の目標です。そしてお客様に、より高性能で高品質なクルマをお届けできるエンジニアになりたいと考えています。
私は車体の開発には関わっていませんが、母が仕事で軽自動車を利用しているので、荷物をもっとラクに積み込めるクルマづくりに携わることが理想ですね。そうした身近な人を含め、誰もが安全で快適に運転を楽しめるように、試作業務を通じて貢献していきたいと思います」
目標に向かって挑戦を続ける高瀬。働く中で感じる日産ならではの魅力をこう語ります。
「日産では職歴・年齢・国籍などさまざまなバックグラウンドを持つ仲間が働いているなど、多様な人財が活躍していることが魅力です。それぞれが個性を発揮しながら、知見やノウハウを惜しみなく共有してくれるので、モチベーションがあればいくらでも学べる環境だと思います。
また、社内の研修をはじめ教育環境が整備されており、TOEICの受験支援など学びをサポートする制度が充実しているのも魅力です。私の場合、海外メンバーと量産に向けた連携を行うにあたり、英語でコミュニケーションを取る機会があるため英語力も磨いています。
こうして若手の成長を支援してもらえる環境を活かし、先輩方のように高度な知識を持つエンジニアをめざして成長していきたいと思います」
※ 記載内容は2025年1月時点のものです
