品質、作業効率の高さ、物流コスト。多様な観点を盛り込んでかなえる梱包設計
日産自動車株式会社のサプライチェーンマネジメント本部で、佐々木は、新型車の部品梱包設計を担当しています。10名ほどのチームで、サプライヤーから車両組み立て工場までの部品輸送における梱包荷姿の設計業務に携わっています。
「部品一つひとつ、形も性質も材質も異なりますので、車両の品質を保証するために部品の品質を保持した状態で輸送する必要があります。そのため、部品ごとに異なる梱包方法や素材、ワーク(部品)の置き方を設計しています。
私たちの仕事で最も大切にしているのは3つのバランスです。1つめは品質の維持。2つめは工場のライン作業での作業性です。過剰梱包をしてしまうと、部品の取り出し時間が増加してラインに支障をきたす可能性があるため、取り出しやすさを考慮する必要があるのです。3つめは物流コストで、容器内にできるだけ多くの部品を効率的に収める必要があります」
佐々木は現在、2人1組で新型車の梱包設計を担当。これまで複数の車種の梱包設計を手掛けてきました。
「製造業として、ラインで働く人々の作業のしやすさを大切にするように先輩方から教えられてきました。現在も工場に常駐し、製造ライン担当者と密に連携を取りながら、荷姿の設計を行っています」
品質維持を最優先としながらも、作業性や物流効率も考慮する。そのバランスを取りながら、すべての関係者が納得できる最適な解決策を見出すことが求められます。
「クルマの一部品だけでなく、クルマ全体の成り立ちに広く興味を持ち、全体像を見たいという好奇心旺盛な方に向いている仕事だと思います。部品の知識は必須ですが、それを通じてクルマづくり全体が見えてくる。そこに大きなやりがいを感じながら、私自身、働くことができています」
入社後、CADの技術や自動車部品の専門知識をキャッチアップしながら得た成長
学生時代に環境科学分野で材料開発を研究していた佐々木は、就職活動時に科学系メーカーや環境系の材料開発を行う企業を中心に検討を進めていました。その中で日産自動車を選んだ理由について、こう語ります。
「私が就職活動を進める当時は、世界的にEVシフトが本格的に始まっていた時期でした。EVの可能性に魅力を感じていましたし、日産はEVに関する知見が豊富な企業でした。
また、自動車産業はそもそも日本の基幹産業であり、売上規模も桁違いです。そのような大きな市場で働くこと自体に興味を持ちました」
産業全体が変革期を迎えていたことも、佐々木の決断を後押しします。
「変化が激しい時代だったので、その波に乗っていくのも楽しそうだと感じました。安定したところよりも、これから変わる産業の方が魅力的でした。予測しきれない将来への漠然とした不安もある中で、大きな変化についていける人材になっていきたいという思いもありました」
入社後、最初に配属されたのは部品物流グループ。ここでは、新型車の予算を決める段階で、部品がまだない状況での物流費用を算出する業務を担当し、CADを使用し梱包荷姿の検討を行うことをしてきました。
「CADの知識は入社以前にまったくありませんでしたが、社内の充実した教育支援制度を活用して学びました。ひたすら数をこなして努力を重ねる形でしたね」
2年目からは現在の部署に異動し、実際の部品の梱包荷姿設計を担当することになります。1台の自動車につき、1,000から2,000点もの部品を扱う中で、さまざまな課題に直面します。
「部品ごとに性質がまったく異なるため、適切な荷姿にするためにはそれぞれの特性を理解しないと仕事ができません。関係者に話を聞いたり、過去の事例を研究するなどして乗り越えてきました。入社前はユーザーとしては完成車しか見たことがなかったので、部品の知識を習得するのはとくに最初は大変でした」
しかし、学生時代の専攻が活きる場面もありました。
「現在の仕事では部品を保護する緩衝材の素材選定が重要です。部品を傷つけない工夫や、汚れの付着防止、耐久性のある材質の選定など、材料開発で培った考え方が直接活かされています」
独り立ちするには最初の数年を費やしますが、その過程でさまざまな成長を実感できたと佐々木は振り返ります。
「3年目の中盤から後半くらいで、やっと業務全体を理解し、1人で回せるようになってきました。とくに、関係者全員が同じ方向を向いて進んでいけるよう、それぞれのメリットや目標を共有することの重要性を学びました」
工場全体のメンバーのために。作業効率改善に向けた提案により本部長賞を受賞
仕事の全体像も掴めてきた頃、佐々木は入社3年目にして本部長賞を受賞します。その背景には、2年目から取り組んできた新車の梱包荷姿設計プロセス改善がありました。
「1つめの車種担当の時に、ラインを担当する方の要望を十分に織り込めない梱包荷姿になってしまい、作業に負担をかけてしまった経験がありました。その反省から、みなさんが納得できる梱包荷姿を実現するために、プロセスの改善が必要だと考えていました」
多数の部品を早い段階から確認できるよう、CAD検討の時期を前倒しして、検討の効率化を図るなど、プロセスを改善。その結果、より安定した仕上がりを実現することができました。
「製造業では、現物を確認しないとわからないことがたくさんあります。CADでの検討後、みんなで試作荷姿の現物を確認するというのは、とても大切なフェーズ。それをより多くの荷姿で、より早く問題点を洗い出せるようなプロセス改善をすることができました」
入社からの3年間で、部品に関する深い知識も身につきました。現在の仕事では、日産自動車の内部だけでなく、サプライヤーとも密接に関わっています。
「頻繁に会議を行い、実際に物が出来上がったら一緒に立ち会って確認します。時にはサプライヤーの工場にお邪魔して、困り事を直接伺うこともあります。両者の意見や課題を聞ける立場にいることで、広い視野を持つことができます」
また、物流費削減という具体的な数値目標もあり、成果を実感できる仕事でもあります。
「入社当初、自分では想像していなかったのですが、最近はクルマへの興味も深まってきました。社内には自動車好きな方が多く、一緒にドライブに行ったり、パーツ選びをしたりする機会も増えてきました。まだまだ知識は浅いですが、日々新しい発見があって、到底興味の尽きない世界であることを実感しますね」
グローバルなサプライチェーン全体の提案に関わることを見据えて
佐々木は今後の目標について、商品の魅力をお客さまに伝えることを軸に据えながら、物流面での具体的な展望を語ります。
「梱包を通じての物流業界での経験を活かし、今後については2つの目標を掲げています。1つは安定生産のための供給を止めないこと、もう1つは輸送コストの削減です。
現在は既存のルートでの物流の中身を決める仕事をしていますが、今後はサプライチェーン全体のルートを変えていくような、より大きな枠組みでの仕事に挑戦していきたいと考えています」
入社時からグローバル人材になることをめざしていた佐々木は、現在その目標に向かって着実に歩みを進めています。
「今は国内だけでなく輸入業務も担当しており、海外との英語でのメールやWeb会議も日常的に行っています。ここは、グローバルな環境で活躍したい方に非常に向いている仕事ですね」
また、組織をまとめる立場として、メンバーとの関係性構築にも意識的に取り組んでいます。
「当然嫌なことは皆さんできるだけ減らしたいでしょうし、一緒に働く皆さんにメリットがあって、楽しく同じ方向を向いて邁進できるように心がけています。メリットを共有し合い、目標を共有し合うことが大切だと考えています」
社会人としての成長という観点からも、佐々木は確かな手応えを感じています。
「いずれ、リーダーとしてグループを持つことは必然的にやらなければいけない仕事になってくるので、いかにコミュニティを動かしていくか。関係者の先頭に立って、目標に向かって動かす力というのは社会人として重要な力で、それは実際に業務をしていく上で学んでいけています」
最後に、これから日産自動車での就職を考える学生に向けて、メッセージを送ります。
「クルマの製造プロセスを根幹から学びたい方に適している仕事です。会社としては、個人の意欲に応じてスキルアップの機会を積極的に提供してくれる環境が整っているため、成長意欲の高い方にはとくに良い環境だと感じています。
私自身も入社前に考えていたよりもかなり具体的な知識を身につけて成長し、クルマを好きになってきています。ぜひ一緒に働けることを楽しみにしています」
※ 記載内容は2024年12月時点のものです
