最先端技術で“クルマの顔”を形に。樹脂だからこその造形、軽量化の実現がミッション
車両生産技術開発本部 塗装樹脂技術部 樹脂技術課に所属する大島。外装樹脂部品の金型設計を主に担当しています。
「現在、チームには約12名が在籍し、20〜30代前半を中心とした若いメンバーで構成されています。中でも私はリーダーとして、金型の設計内容のチェックや、若手および海外設計者の教育を行なっています。
主な外装樹脂部品として、“クルマの顔”とも言われるバンパーが挙げられます。ハイブリッドや電気自動車へと自動車のトレンドが移り変わる中、樹脂を用いて、鉄やアルミではできない造形、軽量化を実現することが私たちのミッションです」
これと並行して、技術開発業務金型の技術開発に携わっています。
「直近では、金型冷却効率の改善に取り組みました。樹脂部品は溶けた樹脂を金型に流し込んだ後に冷やし固めるプロセスで製造を行いますが、近年はバンパーの形状がより複雑かつシャープになってきており、金型の細部まで均一に冷却することが困難です。
そこで3Dプリンターを活用したり、金型の一部を鋼材からより熱伝導率の高い材質に置き換えたりすることで複雑な形状の効率的な冷却を試み、高品質のバンバーを製造することを可能にしました。
樹脂には軽量で自由な形状を成形できる利点がありますが、剛性に課題があり、フレームなど多くの部品では依然として金属が使われているのが現状です。それでも近年、技術開発が進み、バックドアに樹脂を適用する試みが始まるなど、樹脂の適用範囲が拡大すると期待されています」
金型の製作はやり直しなしの一発勝負が原則。日産がこれまでに培ってきた伝統的な技術と部門間連携がこれを可能にしています。
「金型の製作は一回で成功させる必要があるため、長年の技術と部門間連携に基づいて綿密な準備が行われます。まずは上流のチームが樹脂流動シミュレーション等を活用し、高品質な樹脂部品が製造できるよう、デザイン・設計部署と連携し、部品形状を最適化します。その後蓄積されたノウハウと標準化されたツールを活用しながら金型の設計が進められます。
設計後に金型を自社工場で製作し、トライアルを重ねたうえで世界の工場に出荷されます。その後工場でも確認の為のトライアルを行い、問題点を全て潰し込んで完成となります。初めて金型に樹脂を流し込む初回トライアルの際は緊張しますが、それだけに完成時の達成感は大きいですね」
金型には、何十万回もの射出成形に耐えうる耐久性が求められます。安全で信頼性の高い金型を実現するために、大島は論理的な設計プロセスを貫いてきました。
「私が常に心がけているのは、論理的なアプローチです。計算式や科学的根拠に基づいて設計を行い、直感や過去の模倣は避けるようにしています。
というのも、現在私が設計している金型は非常に大型で、人の身長くらいの大きさがあり、重さは30トンにも及ぶものもあります。作業者が運ぶ際の安全にも関わりますし、成形時には金型に膨大な力がかかり金型が破損するリスクもあるからです。
こうした状況に対処するためには、金型の強度や安全性に関する綿密な計算が欠かせません。また、設計の各段階で、どのような力が加わり、なぜその構造が適切なのかを明確に説明できるよう心がけています」
自動車部品会社を経て、日産へ。成長環境で進化する金型設計のキャリア
幼いころから自動車が好きで、大学では機械システム工学を専攻した大島。卒業後、自動車部品会社に入社しました。
「試作開発を行うグループに配属され、エンジンスイッチ、ワイパーレバー、スマートキーといった小さな内装樹脂部品の試作金型や治具の設計に携わりました。前職では樹脂流動解析業務なども経験しています」
キャリア8年目に大島は日産へ。転職を決めた経緯を次のように振り返ります。
「メーカーを問わずさまざまな車種に関われるところに惹かれて自動車部品会社を選びましたが、最上流である完成車メーカーで働いてみたいという気持ちが徐々に強くなっていきました。さらに、技術者としてグローバルな環境で高い知識やスキルを身につけたいとも考えていました。
中でも日産を選んだのは、“技術の日産”と言われるほど他社の追随を許さない技術への憧れからです。もともと自分が日産車オーナーであったことも決め手になりました」
こうして日産に入社した大島は、バンパーなど外装樹脂部品の金型設計に従事。挑戦を後押しする風土の中で、着実にキャリアを積み重ねてきました。
「金型のスケールが大きくなれば、作用する力も重量も大きくなるため、考慮すべきことが格段に増えます。剛性解析など、それまで経験したことのない高度な計算スキルの習得が求められました。
入社後わずか4カ月という早期段階で、マイナーチェンジ車両のバンパー設計を任されて驚きましたが、同世代の先輩社員たちのサポートのおかげで、スムーズに知識とノウハウを吸収することができました。
また、数ヵ月間工場の生産ライン業務を行う機会もあり、金型設計の役割を一連の製造工程の中で捉え直す貴重な経験となりました」
モノづくりの現場の傍で、設計から製品ができ上がるまで一貫して見届けられる醍醐味
入社5年目を迎える大島。最近になって、モノづくりにおける問題点を徹底的に洗い出して改善に取り組む日産らしさを感じた出来事がありました。
「冷却効率の改善に取り組んだときのことです。うまく冷却できないとわかった際、誰ひとりあきらめずに前向きに課題を解決しようとするメンバーの姿勢に強く感心しました。
さらに驚いたのは、その取り組み方です。闇雲に試すのではなく、まず選択肢を洗い出し、冷却の解析やコスト、リードタイムの検討など、机上で綿密に計画を立て、見通しが立った段階で初めてテスト用の実型をつくり、検証を行いました。
チャレンジングなプロジェクトを実行できるだけの体力が日産にはあることを再確認すると同時に、論理的に説明すれば、困難な課題にも挑戦できる環境があることを実感しました。
加えて、この取り組みの成果を他メーカーが集まる場で報告する機会にも恵まれ、人に伝えるスキルを学べたことも有意義でした」
また、金型設計ではこんな経験も。
「入社3年目に、非常に大きなバンパーの金型設計を任されたことがありました。通常の設計手法では金型の重量制限やサイズ制約等をオーバーしてしまう為、複数の技術的課題を解決した上でその制限をクリアする必要がありました。
金型設計のエキスパートのもとで課題解決に取り組む中、とくに印象的だったのが、先輩社員が単に方向性を示すだけでなく、私の成長を念頭に置いた指導方針をとったことです。
具体的には、剛性と軽量化を両立する方法を模索するよう指示されました。また、新しい構造を検討する際は、後工程での組立性や耐久性を確保しなくてはなりません。それらの課題にどう対処し、それがどんな影響を及ぼすかまで徹底的に調査することも求められました。
こうした体系的な育成システムが、日産のモノづくりの基盤を形成し、継続的な技術革新を可能にしていると感じています」
これ以外にも、2022年に「日産賞 銀賞」を受賞した「薄肉汎用溶着機」の立上げにも技術開発のサポートとして貢献するなど、部門を超えて活躍してきた大島。日産で生産技術開発に取り組む醍醐味について次のように話します。
「金型の品質は、工場での生産効率に大きな影響を与えます。金型の品質がよければバリがでることもなく、現場での作業が大きく軽減されます。金型が製造現場を支える重要な役割を担えていることは、大きなやりがいです。
また、車両生産技術開発本部は現場と直結した部門です。モノづくりの現場に密着し、設計から製品ができ上がるまでの全工程を一貫して見届けられるところに、おもしろさを感じています」
現場力を強みに、日産だから実現できるワクワクする未来へ
信じるのは、現場の力。大島には、技術者として描くビジョンがあります。
「常に論理的思考に基づいて仕事ができる技術者になることが目標です。原理原則を理解し、それがどのように実際の製品や工程に反映されているかを、常にロジカルに説明できる存在でありたいと願っています。
ただし、設計だけに集中するつもりはありません。現場に頻繁に足を運び、理論と実践の両方に精通した技術者になりたいと考えています。
金型設計をコアスキルとしながらも、今後は他分野でも経験を積み、樹脂のエキスパートと呼ばれるような、樹脂に関して幅広い知識と経験を持つ人材になりたいです」
日産のモノづくり技術をさらに高みへと引き上げ、革新的なイノベーションを実現するために。若手を牽引するリーダーの立場から、日産で働く魅力に触れながら、大島は新しい仲間に向けて次のように呼びかけます。
「車両生産技術開発本部では、与えられた課題に対して綿密な計算や徹底的な調査を行い、それに基づいて考え抜いた提案ができる人材が活躍しています。物事の本質を粘り強く追求し、適切なアプローチを見出せる人の参加を心待ちにしています。
初めは困難な時期を経験することもあるかもしれません。しかし、そうした苦労を乗り越えて結果を出したときの達成感は何物にも代えがたいものです。
たとえば、私は入社後、慢性的に発生する不具合に対する解決法の模索や、新技術の開発業務を経験していくに従い、現象の根本原因を分析する習慣が身につきました。体系的なアプローチを通じて、技術的課題に対して常に定量的かつ論理的な解決策を提案できるようになったと実感しています。
日産だから実現できるクルマづくりをめざして、挑戦を楽しみながら、共に成長していきましょう」
※ 記載内容は2024年8月時点のものです
