◯はじめに
エンジニア同士の技術的な対話や議論から生まれる「気づき」や「学び」は、実務では得難い貴重な経験です。今回、株式会社サーバーワークス、株式会社スカイアーチネットワークスという、異なる強みを持つ2社とともに、技術交流イベントを開催することができました。
本記事では、それぞれの交流を通じて得た気づきや学び、そして今後に向けた活動の展望についてお届けします。
◯企画の背景
IT技術、とくにクラウド技術は進化も速く、企業ごとのアーキテクチャ・活動・文化も多様化しています。
その中で、「他社の考え方や進め方に触れる機会が少ない」という課題や、「自社の中だけでは得ることができない刺激や視点がある」ということに気がつきました。
「一歩外に出て他社のリアルな技術観や設計思想に触れてみたい」
「同じ課題に向き合うエンジニアと、立場を越えて語り合ってみたい」
そんな想いから、同じく技術に真剣に向き合う2社と今回の交流イベントを企画し、社外との接点を“対話”と“実践”を通じて深めることで、お互いにとって学びの多い場になることをめざしました。
◯イベントの狙いと全体像
今回の技術交流は、2社それぞれ異なるテーマで構成された“実践型の道場”スタイルで企画構成を行いました。
■株式会社サーバーワークス:アーキテクチャ設計道場
実在するような課題シナリオに対し、クラウドアーキテクチャをどう設計するか?持ち寄ったアイデアをもとにディスカッションを重ね、考え方の違いや判断基準の裏側について深掘りをする企画としました。
■株式会社スカイアーチネットワークス:RFP検討会
提案依頼(RFP)をテーマに、限られた条件下でどのように提案戦略を練り、魅力を伝えることができるか。提案力やプレゼンの工夫にフォーカスし、アプローチの違いが明確に見えるようにするワークショップを企画しました。
両イベントを通して感じたのは、“実践に向き合う場”だからこそ見える、思考や文化の違い。異なる立場や視点がぶつかることで、自然と議論は深まり、新しい気づきが次々と生まれることを狙いとしました。
◯イベント詳細
【第一部】株式会社サーバーワークス 「アーキテクチャ設計道場」編
<開催概要>
日時:2025年2月14日(金14:00-17:00(+懇親会)
会場:(株)サーバーワークス東京オフィス ANNEX
テーマ:Well-Architected Frameworkの「セキュリティ」
形態:オフライン開催
参加者数:28名
参加者内訳:株式会社サーバーワークス 16名、NECソリューションイノベータ 12名
協力:AWSジャパンさま
<推進メンバー> Uさん Nさん Cさん Hさん
Mさん Sさん
<概要>
アーキテクチャ設計道場は、チームで協力しながら、与えられた課題に対してAWSアーキテクチャ図を描くワークショップ形式の取り組みです。
今回のテーマは、改善点の多い既存アーキテクチャを、Well-Architected Frameworkの「セキュリティの柱」に沿ってブラッシュアップするという実践的な内容でした。チームごとに検討・設計したアーキテクチャは、全体発表の場で共有され、NECソリューションイノベータのAWS Ambassador Sさんからの鋭いフィードバックが加わりました。各チームの設計方針や見落としていたポイントに対する指摘を通じて、全員が深い学びを得る機会となりました。
▲ワークショップ中の様子
<各チームの設計アプローチとディスカッション>
対面開催の利点を活かし、どのチームも活発なコミュニケーションが行われました。
・改善項目をとにかく多く拾いにいくチーム
・一つひとつを丁寧に深掘りしながら着実に進めるチーム
・AIサービスや最新技術を取り入れて拡張性のある設計をめざすチーム
など、アプローチの多様性も際立っており、「正解はひとつではない」ことを体感できるワークショップとなりました。
<見えてきた共通点・視点の違い>
今回のチーム編成は、2社混合かつスキルバランスが均等になるよう事前調整を行い、多様な視点を掛け合わせる形にしました。
共通点として印象的だったのは、有識者が未経験者に実務で得た知見を丁寧に共有していたこと。それに応えるように、未経験者が積極的に質問し、学びを得ようとする姿勢も目立ち、企業の垣根を越えた“教え合い・学び合い”の文化が自然に生まれていました。
また、「会社」という単位での視点の違いも興味深いものでした。とくに、株式会社サーバーワークスの参加者が、ワークに入る前に“目的とゴールをしっかりと揃える”姿勢は、他の参加者にとって新鮮な学びだったようです。「認識合わせをすることで、全員が自分事としてワークに向き合える」──そんな気づきが、日常業務へのヒントになったという声も聞かれました。
<参加者の感想・ふりかえり>
初めて社外勉強会に参加する方も多く、「普段関わらないような業務や考え方に触れられたことがとにかく楽しかった!」という声が多数寄せられました。
アンケートでは、とくに以下の2点が大きな成果として挙げられました:
・参加者全員が「新たな発見があった」と実感し、今後の学びへのモチベーション向上につながったこと
・「今回関わった人と、今後も関係を続けたい」との声が多く、社内外を横断する“技術的つながり”の形成に貢献できたこと
▲イベント後の集合写真
【第二部】株式会社スカイアーチネットワークス「RFP検討会」編
<開催概要>
日時:2025年3月11日(火)15:00-17:30(+懇親会)
会場:NEC玉川事業所4F FIELD
テーマ:オンプレシステムのクラウドリフト
形態:オフライン+オンラインのハイブリッド開催
参加者数:25名
参加者内訳:株式会社スカイアーチネットワークス 12名、NECソリューションイノベータ 13名
<推進メンバー>
Hさん Kさん Mさん Yさん
<概要>
“架空のお客さまからの提案依頼(RFP)”に対して、チームで最適なソリューションを検討・提案する実践型プログラムです。今回のお題は、「オンプレミスで運用中のシステムをAWSへリフトし、同時に現行課題を解決してほしい」という設定。
単にアーキテクチャを描くだけでなく、費用感や移行スケジュールといった実務的な要素を加味した総合提案が求めることとし、最終的には、提案内容を“お客さま役”にプレゼンし、NECソリューションイノベータのAWS Top Engineer Yさんからフィードバックを受けるという流れで、リアルな提案活動に近い体験となるよう構成しました。
▲ワークショップ中の様子
<各チームの提案戦略(強みの出し方、プレゼンの工夫など)とディスカッション>
チームは、AWSスキルがばらつくように調整し、さらにエンジニアと営業を混成する形で編成。これにより、多角的な視点からの議論が生まれ、テクニカルに偏りすぎず、「お客さま課題の解決」を軸に据えたワークが展開されました。
アーキテクチャ設計道場と違い、今回は“提案”というアウトプットに向けて、構成だけでなくコストやロードマップも含めて考え抜く必要があるため、チームごとの個性が色濃く出ました。
たとえば:
・伝わりやすさを意識し、専門用語をかみ砕いて説明するチーム
・ソリューションに印象的なネーミングをつけてストーリー性を高めるチーム
・費用対効果や移行ステップの現実性にこだわった提案をするチーム
など、「どう伝えるか」まで含めた提案の工夫がプレゼンの盛り上がりにつながっていました。
<見えてきた共通点と視点の違い>
フィードバックタイムでは、“お客さま役”を担ったメンバーから、エンジニアと営業、両方の視点での評価や指摘が行われました。普段はなかなか聞くことができない、「営業から見た提案の良し悪し」「エンジニアから見た実現性の検討」の両側面が語られたことで、提案の奥深さと難しさを実感する時間となりました。
あらためて、「お客さまの課題にどう寄り添い、どう価値を提供するか」が提案の本質であると感じることができたのは、非常に大きな学びでした。
<参加者の感想・ふりかえり>
多くの参加者にとって、提案活動そのものが初めての経験。
「普段とは違う頭の使い方が新鮮だった」
「実際の提案ってこうやって進めるのかと実感した」
「チームによって伝え方やプレゼンの見え方が全然違って、刺激になった」
といった声が多数あがり、ワークショップを通して得た“提案の多様性”と“伝える力の大切さ”が参加者の心に残ったようです。
▲イベント後の集合写真
◯交流会を通じて得た学びと気づき
2回にわたる技術交流会を通じて、多くの学びと発見がありました。とくに印象的だったのは、以下の2つの観点です。
●技術的観点
ワークショップの中で、新たな知識を得るだけでなく、それを自分の言葉でアウトプットする機会が多くありました。この“インプット→アウトプット”の繰り返しが、理解をより深めるきっかけになりました。
●コミュニケーション的観点
会社や職種の垣根を越えて対話することで、「異なる視点を知る」「他者の考え方を受け入れる」ことの重要性を再認識しました。このつながりは、運営メンバーだけでなく、参加者全員にとって大切な財産になったと感じています。
また、今回の技術交流会では、ワークショップやディスカッションに加え、懇親会や雑談の場が非常に大きな意味を持ちました。雑談を通じて見えてきたのは、各社の「文化」の違いです。
たとえば:
・企画や会議の進め方
・若手育成のアプローチ
・社内LT会の開催頻度や熱量
こうしたリアルな社風の違いは、公式なプレゼンや資料だけでは決して伝わらないもの。対話を通じて初めて肌で感じることができた、貴重な気づきの一つです。
また、交流の中で「今後につながりそうなコラボレーションの芽」も少しずつ見えてきました。
・若手向けハッカソンの共催
・社内勉強会へのゲスト登壇
といった実現可能なアイデアが複数生まれ始めており、今後の展開にも期待が持てます。さらに、この交流をきっかけに、将来的には技術にとどまらず、ビジネス連携へと広げていきたいと考えています。
◯おわりに
今回の交流会で生まれた関係性を大切にしながら、今後も継続的にイベントを開催していきたいと考えています。参加者一人ひとりの視野が広がり、新たな刺激やコラボレーションのきっかけを得られるような、価値ある“つながりの場”を提供し続けていきます。
