コンサートホールでの経験と地元への想いが導いた調剤薬局への道
大学時代、私はコンサートホールのスタッフとして、6年間アルバイトを続けていました。もともと観劇が好きだったこともあり、趣味の延長のように楽しみながら働くことができました。
なかでも新設ホールでの勤務で印象に残っているのが、携帯電話やスマートフォンの着信音、画面の光に関するクレームが相次いだことです。当初は「携帯電話のご使用はお控えください」とご案内していましたが、なかなか改善につながりませんでした。そこでスタッフ全体で対策を話し合い、その地域には普段あまり劇場に足を運ばないお客さまも多く、私たちの声掛けが十分に伝わっていないのではないか、ということに気付きました。そこで案内の表現を「携帯電話は電源を切り、かばんの中におしまいください」と、より具体的で分かりやすい言葉に変更したところ、クレームは大幅に減少しました。
この経験を通じて、お客さまの立場や視点を意識し、伝え方を工夫することが成果につながるというやりがいを実感しました。この考え方は、薬剤師として患者さまの視点に立ち、信頼関係を築いていきたいという思いの土台になっています。
このような経験から、就職活動では地域の方々と長く密接に関係を築けるような環境を求めて調剤薬局を志望しました。大学進学で6年間地元を離れていたため、家族や親戚、友人たちといつでも会えるという環境が、決して当たり前ではないことに気づきました。大好きな人たちに何かあったときにすぐに駆けつけられる距離で暮らしたいと思い、地元での就職を選びました。さらに、地元でも自身が成長できる環境であることを重視して就職活動を進めました。
なの花薬局のことは就職活動を通して初めて知りました。私が感じた第一印象は「誠実な会社」です。会社説明会で採用担当の方が、「嘘をつかない」「他社の悪口を言わない」「強引な勧誘をしない」という三点を約束してくださったことが印象的でした。他社の印象を下げるような発言や断りにくい雰囲気を出さず、抱えている課題点も誤魔化さずに真摯に伝えてくれたことに信頼感を覚えました。
入社の決め手となったのは、店舗見学の際に感じた雰囲気の良さです。群馬県の店舗を実際に見学し、朗らかな雰囲気の職場に「ここなら長く働けそうだ」と感じました。また、資格取得のサポート体制が整っていることや地域活動に力を入れていることも、自分のやりたいことに合致してました。
充実した研修と日々の学びで築く薬剤師としての土台
入社後の新人研修では、社会人としての心構えから始まり、薬歴の基本や入力監査、在宅医療の基礎に至るまで、幅広い内容を学ぶことができました。中でも特に印象に残っているのは、医療安全に関する研修です。薬剤師の判断ミスが重大な事故に繋がった事例の数々を聞いたとき、自分がこれから入るのはそういう世界なのだと身が引き締まる思いでした。一方で新人薬剤師の気付きによって事故を防げた事例も紹介され、自分も頑張ろうという前向きな気持ちにもなりました。
その後、店舗に配属されてからは、実際の業務についてトレーナーの先輩薬剤師を中心に指導を受けました。その中で最も印象的なのは、小さな疑問も共有することの大切さです。ちょっとした違和感が調剤事故の未然防止に繋がることがあるため、医療安全の観点からも重要だと感じました。分からないことがあった際にも、店舗の皆さんが些細なことでも質問していい雰囲気を作ってくれていたので本当に助けられました。
また、薬剤師になって強く実感しているのは、日々学び続ける必要があるということです。国家試験を終えた直後は「もう一生分勉強した!」と思っていましたが、むしろ薬剤師になってからが本番なのだと気付きました。このギャップは大きかったですが、現在はe-ラーニングや、企業のオンラインセミナーを活用して日々学んでいます。さらに、薬理や病態など基礎の部分がまだ足りないため、国家試験の参考書なども見返して勉強し直しています。
患者さまとの信頼関係を築きながら、一歩ずつ成長を重ねる日々
現在は群馬県にあるなの花薬局下里見店で勤務しています。健康サポート薬局として地域活動にも力を入れている店舗で、主に外来患者さまへの調剤・投薬・服薬後のフォローなどを行なっています。また、個人在宅の患者さまを3名担当しており、ご自宅に伺い、残薬の有無や服薬状況の確認、健康相談なども行っています。単にお薬をお渡しするだけでなく、その後の継続的なフォローや健康相談、地域の健康イベントにも積極的に取り組むことで、地域の方々や患者さまに寄り添うことのやりがいを感じられています。
特に印象に残っているのは、今年8月から担当を引き継いだ在宅患者さまとの関わりです。前任、前々任の先輩方が親密な関係を築かれていたので、それを引き継ぐのは不安もありました。しかし今では私にも悩み相談や若い頃のお話などをしてくださるようになり、少しずつ信頼関係を築けていると感じています。「優しい子が新しい担当になってくれてよかった」と言っていただけたときは本当に嬉しかったです。患者さまの言葉を遮ったり否定しないことを心がけて、まずはご自身のことをたくさんお話ししてくださる気持ちに向き合うことを大切にしています。
また他の患者さまからは「名前を教えて。困ったら次もあなたに聞くのでよろしくね」と言っていただいたこともありました。相談先として頼っていただけたことが本当に嬉しく、薬剤師としてのやりがいを感じられた瞬間のひとつです。
もちろん失敗もあります。疑義照会に時間がかかっているときにお待ちいただいている患者さまへの声掛けができず、遅いとご指摘を受けたことがあります。当時はひとつの業務に気を取られると、周りに目を向ける余裕がなくなってしまうことも多々ありました。今では、お待たせしてしまいそうな場合には、患者さまに必ず理由や事情を説明するように心掛けています。なぜ時間がかかっているのか、現在どのような状況なのかわかるだけでも患者さまの負担は軽減すると思うからです。一秒でも早くお薬をお渡ししたいという気持ちもありますが、焦っているときほど一歩引いた視点で業務の優先順位をつけられるようになりたいと思っています。
入社してから、自分自身の成長も実感しています。わからないことを質問できるようになったのが一番大きな変化です。学生時代は人に頼る勇気が出ず、わからないことは何時間もかけて一人で調べて、悩んでいました。しかし、薬剤師として自分なりに出した答えが間違っていたら患者さまの命に関わります。店舗の薬剤師たちも互いに質問し合っているのを目にして、知識のある先輩方も迷ったら誰かに聞くのだと気づき、質問するハードルが下がりました。自分が質問したら、手を止めて聞いてくださる先輩方の姿勢もとてもありがたいと感じています。
技術的な面では、用量計算が素早くできるようになってきたことに成長を感じています。学生時代から数学が苦手で、新人研修でもかなり苦労しましたが、経験を重ねたことと、自分の考えやすい計算手順を見つけられたことで改善できています。今後は、店舗の中で様々な役割を任せてもらえるように頑張ってきたいです。
漢方資格への挑戦と、地域から頼られる薬剤師を目指して
私は現在、漢方薬・生薬認定薬剤師の取得をめざしています。この資格は薬剤師を志したときからの目標であり、大学の卒業研究も漢方薬をテーマにしていたので、大学時代に学んだ知識や経験も活かして挑戦したいという思いがあります。取得に向けて、漢方薬メーカーが主催するWeb勉強会には積極的に参加するようにしています。また、大学時代に使用していた書籍や資料を読み返して、知識を補完する努力も続けています。
将来的には、店舗を安心して任せてもらえるような立場の薬剤師になることをめざしています。ただ、そのためには今の自分には広い視野を持つ力が足りないと感じています。目の前のことに集中しすぎてキャパオーバーになることが多いので、物事を俯瞰的に捉え、業務の効率と優先順位を考えながら動けるようになりたいです。
また、他の医療機関や地域施設との連携を深め、社外からも頼られる存在になることも目標です。地域の健康イベントや講話を依頼されることがあり、薬局薬剤師という立場が自分が思っていた以上に地域の方々に頼られていることを知りました。相談窓口として薬局をより身近に感じていただくために、地域活動を通して地域の方々と顔馴染みになれたらいいなと考えています。
学生の皆さんにお伝えしたいのは、なの花薬局にはやりたいことを応援してくれる環境があるということです。取りたい資格や挑戦してみたい業務は積極的に手を挙げると、上長や教育担当の方々が実現に向けてサポートしてくださるので心強いです。また、仕事をするうえでは、コミュニケーション能力が求められます。店舗内だけでなく、患者さま、医師や看護師、ケアマネジャー等、様々な立場の人と適切なコミュニケーションが取れることが大切です。地域の方々のために思いやりを持って優しい気持ちで行動できる人と一緒に働きたいです。そして、これから入社される方には、「まちのあかり」として地域全体を支えるために、店舗業務以外の活動にも積極的に取り組む姿勢を大切にしていただけたら嬉しいです。
※記載内容は2025年11月時点のものです

