栄養相談からイベント企画、講演まで。調剤薬局で活躍する管理栄養士の幅広い業務
なの花薬局手稲駅前店に勤務する荒井さん。エリア内にある複数の店舗を担当し、管理栄養士として幅広い業務を担っています。
「私が主に担当しているのは、店舗での栄養相談です。患者さまから直接ご相談をいただく場合もありますが、薬の変更や追加があった患者さまに対して、管理栄養士としてアドバイスをさせていただいています。たとえば薬が変更、追加となった経緯を伺い、検査値の悪化があればそれらの改善につながる食事指導を行うのが私の役割です。
また薬剤師と密接に情報を共有し、病院と連携を図りながら患者さまの健康を支えることも大切な業務です。薬剤師からお薬を渡す際には、管理栄養士である私が食事や生活改善に関する指導が必要かどうかを判断し、指導した場合は、必ず薬剤師に共有するようにしています」
荒井さんはほかにも、店舗内での健康イベントや、店舗で取り扱っている健康食品の試食会など、幅広い業務を担当。また最近では、地域住民に栄養ケアを提供する認定栄養ケア・ステーションを通じ、介護予防教室での講師も務めています。
「地区によってテーマは異なりますが、たとえば加齢による心身の衰えを指すフレイルの予防として、良質なたんぱく質が摂取できる食事や、認知症予防の観点からバランスの良い食事の大切さなどについてお話しさせていただいています。健康に生きるには食が必要不可欠なので、管理栄養士としての知見を活かしながら、継続していただきやすいアドバイスを心がけています」
店舗内で唯一の管理栄養士である荒井さん。地域の患者さまにとって、より身近な存在になりたいという想いを強く持っています。
「医療機関とは異なり、調剤薬局は気軽に立ち寄っていただける場所です。『調剤薬局はお薬をもらう場所』というイメージがあるかもしれませんが、いつでも相談に来ていただきたいと考えています。店舗でのイベントを実施するのは、そうした来局のハードルを下げるためです。
とくに冬の北海道は外出の機会が減るため、定期的なイベントの開催により、地域の方々の健康づくりに貢献できればと考えています」
高校時代からの夢をかなえ管理栄養士へ。やりたい仕事を追求し、なの花薬局へ転職
荒井さんが管理栄養士の仕事に興味を持ったのは、高校生の時。野球部のマネージャーをしていた際に、管理栄養士が来校したことがきっかけでした。
「筋力づくりに役立つ食事トレーニングに関する講話をしていただいたことで、スポーツ栄養に関わる仕事に興味を抱くようになりました。そんな折、母が病気に罹り食事制限が必要になったことで、さらに栄養管理の大切さを実感しました。
もともと食べることが大好きだったということもあり、本格的に学ぶために卒業後は健康栄養学科への進学を決めました」
大学で管理栄養士の資格を取得した荒井さんは、新卒でドラッグストアに入社。地域密着型の店舗で、気軽に栄養相談ができる存在になりたいと考えて選んだ就職先でした。
「1年目はレジ業務や品出しなどに奔走していました。大型店舗だったので、とにかく忙しかったですね。2年目には化粧品販売を担当するようになり、会社としても栄養士活動の幅を広げていく予定だったのですが、コロナ禍に入り計画通りに進まなくなってしまって……。管理栄養士の資格を活かした仕事がしたいのにできない歯がゆさを感じていたところ、なの花薬局で働く学生時代の友人から、求人があるから応募してみないかと声をかけてもらいました。
友人が担当している業務について詳しく聞いたところ、1つの店舗を代表する管理栄養士として、いきいきと栄養相談に応じている様子が伝わってきました。自分もそんなふうに患者さまのお役に立ちたいと強く思い、入社を決めました」
そして2021年10月、荒井さんはなの花薬局に入社。なの花薬局手稲駅前店で実際に働いて驚いたのは、従来抱いていた薬局とはイメージが大きく異なることでした。
「とにかくスタッフの皆さんが明るくて、コミュニケーションが活発だというのが第一印象です。私はこれまで調剤薬局に対して、静かで淡々としているイメージを持っていたのですが、健康食品の品揃えも豊富で、気軽に入れる温かい雰囲気が広がっていることに驚きました。
そうした環境の中、前任者からしっかりと引き継ぎをしてもらうことができ、キャリア入社でも安心して仕事が始められました。とはいえ店舗にいる管理栄養士は私1人です。そのため最初は不安でしたが、先輩方が『わからないことがあればいつでも電話してね』と言って支えてくれました。
もう1つ心強かったのが、週に1度、本社で管理栄養士が集まる機会があることです。そこで栄養相談に応じる際の悩みや症例に関する情報交換などができ、横のつながりが強くなりました。プライベートでも食事に行くほど仲が良く、仲間のおかげで店舗に1人で立つことに心細さを感じなくなりました」
患者さまの喜ぶ姿が管理栄養士としての原動力。一人ひとりに最適な栄養指導をめざして
これまで数多くの患者さまの栄養相談に応じてきた荒井さん。その中でもとくに印象に残っている出来事があります。
「糖尿病予備軍の方だったのですが、まだお薬を飲むほどの状態ではないため、担当医から栄養指導の依頼がありました。そこから定期的に来局してもらい、約半年かけて栄養指導に取り組みました。血糖値に関しては病院で採血した数値を報告してもらいながら、来局のたびに体重の測定と食事内容の確認を行い、結果に合わせたアドバイスを懸命に続けました。
その結果、患者さまの数値は基準値内に改善。効果が出た喜びを患者さまが新聞のコラム欄に投稿したところ掲載されたとのことで、わざわざ切り抜きを持って報告しに来てくださいました。『引っ越してきて慣れない環境に落ち込んだこともあったけれど、これをきっかけに健康管理がすごく楽しくなりました。これからも続けていきます』と嬉しそうにお話しされる様子を見て、大きなやりがいを感じました」
この経験を通じ、荒井さんがあらためて感じたのは、継続的な支援の大切さです。
「栄養相談を1度受けたら、そこで満足してしまう患者さまも少なくありません。しかし指導した食事内容を継続できなければ、狙った効果が得られなくなります。食事を変えたことで血圧などの数値や体調にどういう変化があったか、そもそも指導した通りに食事の内容を変えられているのか。そうしたことを私から患者さまにお声がけすることで、継続するモチベーションにつなげる工夫をしています。
健康維持のためには一時的ではなく継続的な努力が必要になりますが、それが患者さまの負担になってしまう可能性もあります。そのため、患者さまの性格やご意向を汲み取りながら、個別に指導を行うことが重要です。たとえ同じ症例であっても、人によって目標の立て方や障壁は異なるため、共通のアプローチでうまくいくとは限らないからです。
多くの患者さまが来局されるため、一人ひとりに最適な栄養指導を実現するのは難しい部分もありますが、患者さまの『ありがとう』の言葉に背中を押されながら、管理栄養士としてより良い指導を追求しています」
調剤薬局だから描けるキャリアがある。患者さまに寄り添い、幅広い経験を未来へつなげる
なの花薬局手稲駅前店に勤務して約3年。仕事をする中で、荒井さんはなの花薬局で働く魅力を実感しています。
「キャリア入社だったため、当初は右も左もわからない状態でした。それでも上司や薬剤師の方をはじめ、職種を超えてみんなが常に気にかけて、サポートしてくれました。忙しい時期も人間関係が良いのでお互い支え合って乗り越えることができますし、毎日仕事をしていて楽しいです」
働きやすさを感じる環境の中、荒井さんは次の目標に向かって新たな挑戦を続けていきます。
「調剤薬局に管理栄養士がいることへの認知がまだまだ低いことが課題だと感じています。同業の管理栄養士の方からも、調剤薬局で活躍していることを知らなかったと言われることが少なくありません。そのため、調剤薬局で働く管理栄養士について、もっと知っていただける場を設けたいと考えています。
まずはその1つとして、健康イベントの開催頻度を増やすことが目標です。認知度が上がるほど、より多くの患者さまをサポートできる機会が増えると信じて、情報発信に努めていきたいと思います。そして調剤薬局のイメージを変えることにも注力したいです。処方箋がなくても、買い物のついでに気軽に立ち寄れる場所になるように、患者さまとの接点を増やす工夫をしていきたいと思います」
管理栄養士として、患者さまのためにできることを懸命に模索し続ける荒井さん。同じ管理栄養士の資格を持つ就職活動中の学生や転職を考えている仲間へ、メッセージを送ります。
「管理栄養士というと、医療機関や介護福祉施設、学校、あるいは食品メーカーへの就職を考える方が多いと思います。そうした中で調剤薬局は、患者さまにより近い場所で活動できる魅力的なフィールドです。レシピの作成や資料づくり、薬剤師や医療機関との連携、イベントの企画など、多岐にわたる業務が経験できます。
さらに、調剤薬局での管理栄養士の働き方は一つではありません。医療機関に出向して活動をしている同僚もいます。クリニックの中で直接指導するという場面もあるので、医療機関で働きたいと思う方にもおすすめです。調剤薬局はいつでも立ち寄れる場所なので、ぜひ直接なの花薬局に来店して、新しい働き方の可能性を見ていただきたいと思います」
※ 記載内容は2024年11月時点のものです

