製品の「安心・安全」を仕組みから創る。多角的な視点で挑む品質保証の最前線
──防衛・宇宙セグメント 航空機・飛昇体事業部 品質保証部 加工品・機器品質保証課 部品係の主な業務内容について教えてください。
製品がお客さまの要求通りに作られているかを客観的に評価し、安心と安全をお届けする──それが、品質保証という仕事の根幹にあるミッションです。私たち係は愛知県にある三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)の小牧北工場で扱う飛昇体、航空・宇宙エンジン、制御機器関係製品のあらゆる部品加工品の品質保証を統括しています。
具体的には、機械工学の知識に加え、品質管理、加工・測定技術の知識を活用し、どうすれば品質を保証できるかを考える「品質保証プランニング」をしています。最近では3Dプリンター造形品の品質保証プランニングとして造形原理・造形条件・材料粉末の特性からばらつき要因を特定し、製品品質を保証する方法を明確にするなど、新しい製造方法に合わせた保証方法の検討をしています。
私は係長として、上記業務の取りまとめを行うとともに、現場の検査員含め約40人のメンバーが力を発揮できる環境づくりや業務改善にも取り組んでいます。
──品質保証部の仕事の魅力はなんですか。
さまざまな製品の部品加工から完成まで幅広く関わることができるところがこの部署の魅力です。品質保証は、1つの部品や特定の工程だけを見る仕事ではありません。部品加工や表面処理、組立、検査、試験など、製品が完成するまでの流れを幅広く見ながら、どこで何を確認すれば品質を保証できるかを考えます。いろいろな分野に関わりたい私の性格にも合っていると感じています。
──仕事をする上で、谷口さまご自身はどのような価値観を大切にされていますか。
品質保証部一筋でおよそ10年間働いてきたので、一番の根底にあるのはお客さまが求める品質の製品を確実に保証して納めるという強い責任感です。設計や製造の知識も駆使しながら「いかに適切かつ経済的に保証するか」を組み立てていくプロセスには、深く広大なおもしろさがあります。
そして2026年に係長に就任してからは配下のメンバーがやりがいを持ち、気持ちよく働ける環境をつくることを心がけています。できるだけメンバーに積極的に声をかけ、日々の悩み事や困り事を一緒に解決していくよう取り組んでいます。
未知の世界から「確信」へ。学生時代の学びと実務の思考プロセスがつながった瞬間
──航空宇宙工学に興味を持ったきっかけと、三菱重工との出会いを教えてください。
中学生の頃、テレビで目にしたスペースシャトル打ち上げの映像に対する直感的な感動が、航空宇宙の道を志す原点となりました。大学では工学部で航空機について学び、大学院では人工衛星の誘導制御を研究。就職活動を迎える中で、国内トップレベルのスケールで航空宇宙事業を手がける三菱重工へ自然と惹かれていきました。
実際に説明会などに足を運んでみると、社員が皆とても明るく仕事に対して前向きだったことが印象的でした。航空宇宙という分野が心から好きで、自分の興味関心を仕事にぶつけて活躍している人が多いと感じられたことが入社の大きな決め手になりました。
入社とともに製品と業種の希望を聞かれる機会があったのですが、私はどの分野にも興味があったので、どこに配属されてもよいと思っていましたね。結果として、入社当初は品質保証部で飛昇体を担当することになりました。
──配属後、品質保証の仕事にはどのように馴染んでいかれたのでしょうか。
正直、入社前は品質保証部が何をするところか、まったくイメージがつきませんでした。しかし入社後に上司から説明を受けて、すぐにイメージができました。とくに感動したのは、お客さまの要求を図面や工程に落とし込み、各段階で正しく実現できているかを確かめる「V&Vプロセス」という考え方を知った時です。
これは学生時代に参加した「衛星設計コンテスト」で実践していたミッション設定から機器選定への落とし込みとまったく同じ構造でした。学生時代の学びと実務の思考プロセスが完璧にリンクし、一気に視界が拓けた感覚がありました。配属後も上司や先輩から丁寧なレクチャーを受け、仕事の全体像をスムーズに理解することができました。
──入社後は多様な製品を担当されたと伺いました。
約10年間の間に飛昇体、ヘリコプターの機器、そして現在の部品加工品と、さまざまな製品の品質保証に携わってきました。飛昇体とヘリコプターでは製品特性や使用用途が異なるため、品質保証の考え方も変わってきます。
そのため覚えるべき知識は膨大でしたが、私は好きなことであれば学ぶことが苦にならない性格なんです。指導員からの教えに加え、社内の充実した研修制度や資格取得のアシストを活用し、着実に専門性を高めていきました。
「過去の常識」を疑い、真実を解き明かす。現場での探求が確かな成長につながる
──これまでのキャリアの中で、とくに印象に残っているエピソードを教えてください。
ヘリコプターの機器を担当していた際、長年解決に至っていなかった難解なトラブルの原因分析に挑んだことです。社内工程には問題がないとされていましたが、私は社内のとある工程が有効に機能しているかどうかに疑問を持ち、「これまで大丈夫だったからきっと大丈夫」という周囲の声を鵜呑みにせず、模擬品を用いた小さな実証実験を泥臭く積み重ねてデータを集めました。
その結果、その工程が有効に機能していないことでトラブルが起こると証明でき、長年の課題解決とプロセスの大幅な改善へとつなげることができた際は達成感がありました。
私がこのような考えに至るようになったのは、入社2年目に当時の部長からかけられた「過去の踏襲を安易に受け入れてはならない」という言葉があったからこそです。「昔からこうやってきたから大丈夫」という思い込みは品質保証において危険な落とし穴であることを、身をもって学びました。
──長年の経験の中で、ご自身の成長を実感した瞬間はありましたか。
トラブル解決に没頭する際は、膨大な図面や過去データを読み込み、製品構造を誰よりも深く掘り下げる必要があります。机上の理論を、手を動かして「現場の事実」と照らし合わせる中で、知識が自分自身の「活きた技術」へと昇華していくのを実感しました。今では困難な課題こそ、製品を誰よりも深く知る最大の成長機会だと感じています。
──係長に就任された現在、どのような部分に仕事のやりがいを感じていますか。
飛昇体の増産という事業の大きな転換期において、組織の目標達成に向けたアプローチを考えることに非常にやりがいを感じています。業務の平準化や自動化を進める目的は、現場の作業を奪うことではありません。単純作業を効率化することで、メンバーの強みである高い技術力をもっとも発揮できる業務へ集中してもらうためです。人やリソースの「選択と集中」を設計してチーム全体の成長を実感できた時、何物にも代えがたいおもしろさを感じます。
「好き」を突き詰めた先にある挑戦。日本の技術力と安全保障を支える存在へ
──今後の展望や、谷口さまがめざしていきたい姿について教えてください。
技術者としての専門性と全社的な経営視点を兼ね備え、実行力を発揮できるリーダーとなることです。自身の持つ専門性を活かすとともに、自分の組織だけでなく、事業部や会社全体を見渡した「全体最適」の視点を持って業務に臨めるようになりたいと考えています。そのために最近では全社の品質問題未然防止活動や選抜型の経営リテラシー研修などに積極的に参加し、専門性の向上と視座の拡大に努めています。
一緒に働くメンバーは皆、技術力が高く、中には寸法測定の高度な技量が評価され、製造現場において傑出した最高峰の技能を有することを示す全社的な称号である「範師」を持つ人もいます。係長として配属された私にとっても非常に頼もしい存在です。彼らの強みを最大限に活かしながら、確実かつ効率的にお客さまへ安心と安全を届けられるビジネスプロセスを構築できるマネジメント力を磨いていきます。
──これから就職活動に臨む学生へ向け、アドバイスやメッセージをお願いします。
就職活動では、まず自分が何を好きなのかを大切にしてほしいと思います。心から興味を持てることであれば、知らないことも自分から学び、難しい課題にも粘り強く向き合えます。
私自身も、航空宇宙への「好き」が、品質保証の仕事を学び続ける原動力になりました。指示を待つのではなく、自主性を持って課題を見つけ、解決していくプロセスを楽しめる方なら、きっと大きなやりがいを感じられるはずです。
──最後に、三菱重工で働く魅力とは何でしょうか。
三菱重工には大規模な製造業として防衛や安全保障、宇宙開発など国の基盤を支えるスケールの大きさはもちろん、若手であっても思考し発言すればチャンスを与えてくれる懐の深さがあります。私自身、若手の頃に担当者として飛昇体に関わる中で発射試験などの重要な局面でも一定の裁量権を持って取り組ませてもらえたことが、当時のやりがいにつながりました。
「航空宇宙が好き」「日本の防衛力や技術力の要として貢献したい」という熱い想いを持った方なら、必ずワクワクできる環境がここにあります。谷口の情熱と挑戦は、妥協のない品質保証の確固たる礎となり、今日も日本のモノづくりの最前線を支え続けています。
※ 記載内容は2026年7月時点のものです

