データ分析と「現場の声」で挑む、運用
──所属部署の役割と、担当製品について教えてください。
私が所属する防衛・宇宙セグメントの「航空機・飛昇体事業部 プロダクトサポート部 運用支援技術課」は、防衛省(陸・海・空の自衛隊)に納入した機体のデータを分析し、改善を提案することがミッションです。F-2、F-15などの戦闘機や陸/海/空自H-60ヘリコプターなどを対象としています。
具体的には、お客さまから整備や補給に関する詳細なデータをいただき、機体の可動に影響を与える指標値等を管理/分析しています。もし指標を下回った場合は、徹底的に原因を分析し、対策を提案します。
分析の内容も多岐にわたり、整備性や信頼性の分析、点検・検査間隔の見直し、さらには将来の運用基盤の提案など、チーム内で役割を分担しながら、機体をより多く可動状態にするための運用支援を行っています。組織としては全体で約50名が在籍しており、機体ごとに5〜10人弱程度のチームを編成して業務にあたっています。
──現在の村部さんの役割を教えてください。
現在は課長として全体のマネジメントを行っています。メンバーから課題を吸い上げたり、部の方針と整合を取りながら組織のビジョンを策定したりといった業務を行っています。具体的な分析実務は行いませんが、課題があれば現場に入り込んで、一緒に解決策を考えることもあります。
──チームにはどのようなメンバーが在籍していますか。また、雰囲気はいかがですか。
メンバーは新卒から50代のベテランまで幅広く在籍しています。 雰囲気は非常に明るく自由ですね。とくにITスキルやAIなどの最新技術に関しては、若手がベテランに「こう作ったほうがいいですよ」と教える場面も多々あります。ベテランも意見に素直に耳を傾けながら、若手に経験に基づく知見を共有し、互いに刺激し合いながら進めています。
──マネジメントにおいて、大切にしていることはありますか。
コミュニケーションの場づくりです。意図的にベテランの中に若手をアサインし、経験知と新しい技術をミックスさせる環境を作っています。
また、メンバーへの「声掛け」も欠かしません。1on1~3on3の面談を行ったり、「何に困っているの?」と、極力話しかけたりするようにしています。一人で悩むことがないよう、雑談を交えながらコミュニケーションのハードルを下げることを意識していますね。
──分析業務において、若手に伝えている「心得」のようなものはありますか。
「データの分析だけでは答えは出ない」と常に伝えています。何より大切なのは「現場の声」です。お客さまがどのようなプロセスで仕事をし、何を問題と感じているのか。データだけでは見えない、お客さまの業務プロセスや現場の感覚をミックスさせて初めて、良い提案ができると考えています。
技術者からマネージャーへ。「人が育つプロセス」におもしろさを見出すまで
──学生時代はどのようなことを学ばれていましたか。
機械工学を専攻し、工作機械の精度設計を研究していました。工作機械の数学モデルを組んで、わずかな組立誤差が工作機械の生み出す最終製品の精度にどう影響するかをシミュレーションすることに夢中になっていましたね。
──就職活動の軸はどのようなものでしたか。
「自分一人ではできないような、複雑で大きなシステムをみんなで作りたい」という軸でメーカーを志望しました。
原点は、高校時代に地元・岡山に「瀬戸大橋」が完成した時の記憶です。目の前に現れた巨大な構造物を見て、「一体どこがこんなものを作っているのだろう」と純粋に感動したんです。そこには建設会社だけでなく重工メーカーも関わっていることを知り、その時の衝撃が、「大きなものづくり」への憧れにつながっています。
──その中で、三菱重工業株式会社(以下:三菱重工)へ入社を決めた理由を教えてください。
やはり、組織で手掛けなければならないような巨大で複雑なシステムを扱っていたことが一番の理由です。また、社会基盤に係わるものづくりができる点にも惹かれました。
学生時代は個人の作業が多かったため、機械・電気・制御など、多様な能力を合わせたチームワークで仕事がしたいという憧れもありました。
──入社後、航空機・防衛分野では、どのような業務を経験されてきましたか。
最初の航空機サービス課では、約13年間にわたりお客さまの整備に関わる分析を担当しました。マニュアルで定められている整備間隔を見直して延長したり、現場で時間のかかっている整備作業をいかに短縮できるか改善策を練ったりと、データの分析を通して現場の効率化に取り組んでいました。
その後、補給統制課に異動し、約11年間「補給」の実務に携わりました。航空機の部品は、製造に5年もかかるものがあります。モノがなくなってから作るのでは間に合いません。
そのため、整備のタイミングに合わせて数年先を見越して準備をしたり、万が一モノが足りなくなった場合はメーカーやお客さまと調整してどうリカバリーするか計画を立てたりします。制約の中で最適解を見つけるプロセスには、おもしろさがありましたね。
そして、現在の運用支援技術課での業務に至っています。 これらを通じて感じたのは、運用があるから整備があり、整備があるから補給があるという「連携」です。一見バラバラに見える業務が、すべてつながっている。そうして全体像を理解しながらキャリアを重ねてこられたことは、今の私にとって大きな財産になっています。
──補給統制の部署では、初めて管理職を経験したそうですね。マネジメントへ移行することに、不安はありませんでしたか。
当初は「自分はテクニカルなことが好きなのに、マネジメントができるだろうか」という不安がありました。しかし、人が育つ姿や、チームで悩んで課題を解決するプロセスにおもしろさを感じるようになりました。メンバーの能力に気づき、それを伸ばし、活かすことに喜びを見出し、現在は楽しんで取り組んでいます。
──実際にマネジメントをする中で、とくに印象に残っている成功体験はありますか。
各メンバーと組織の成長です。最初は不安そうに業務を行っていたメンバーが、経験を積むことで自信をつけ、深く考えるようになり、やがて社外へ出て周囲を巻き込みながらより大きな仕事をすることができるようになりました。その姿を実感したときは本当に嬉しかったですね。
多様な関係者を巻き込み、課題を解決する。防衛の現場と向き合う「確かな手応え」
──ご自身のキャリアの中で、価値観が大きく変わった瞬間はありますか。
かつては「自分が技術的におもしろいと思うこと」を中心にしていましたが、ある時「社会や顧客のニーズ」を中心にする考え方へ大きくシフトしました。きっかけは、過去の社会情勢の影響で仕事が大きく減少した経験です。その時、いくら自分がやりたくても、社会情勢やニーズがなければ仕事はできないのだと痛感しました。
技術者として「自分が作りたい」という思いも大切ですが、それ以上に「社会から求められていること」に応えることの重要性に気づき、視座が切り替わった瞬間でした。
──現在のプロダクトサポート部で働く醍醐味は何でしょうか。
営業、製造、設計など多様な社内外の関係部署と関わるため、視野が大きく広がる点です。もちろん、立場による価値観の違いを調整する難しさはあります。ですが、だからこそ多くの人を巻き込み、全員が納得する解決策を見出せた時の達成感は大きいですね。
また、お客さまである防衛省に近く、ご要望に応えていける実感があることも大きな醍醐味です。
──そのようなお客さまの要望に応えられた事例として、印象的なプロジェクトはありますか。
お客さまのデータシステムの改善を提案し、事業化につなげた案件です。当時、データが紙やPDFで混在しており、分析に工数がかかっていました。そこで、「問題を解決するには、どんなデータが必要で、どんな分析をすべきか、どんなアウトプットを出すべきか」から逆算し、システム自体の改善が必要だと判断しました。
チームで議論し、「このようなシステムの改善をしませんか」と提案しました。結果としてお客さまに受け入れていただき、事業化に至りました。自分たちの提案が形になったことは、チームにとっても大きな自信になりましたね。
知的好奇心が未来を拓く。めざすは、自律的に動く組織
──あらためて、三菱重工という会社の魅力はどこにあると思いますか。
「人」の厚みだと思います。困った時に社内を探せば、必ず解決策を知っている専門家がいる。この人材の幅広さはものすごい強みです。
また、先輩たちが築いてきたお客さまとの深い信頼関係も魅力です。「やっぱり三菱重工さんだよね」と言っていただける関係性があり、国防に携わり社会の役に立っているという実感を持てる会社です。
──今後のビジョンについて教えてください。
技術面では、AIなどの新技術を取り入れてプロセスを革新し、より高度なアウトプットをめざしていきたいですね。組織としては、お客さまのニーズを的確につかみ、それに応えるために「自律的に」動けるチームを作りたいです。変化に対応し続けられる組織をめざしています。
──どのような価値観を持った学生と一緒に働きたいですか。
「知的好奇心」を持ち続けられる人です。技術だけでなく、人や社会、経済など、幅広い分野に興味を持てる方と一緒に働きたいですね。そして、組織の中で自分のすべきことを自ら考え、行動し、人を巻き込んでいける方をお待ちしています。
──最後に、これから入社をめざす学生へメッセージをお願いします。
学生時代には、ぜひ「専門外の刺激」を受ける経験をしてほしいと思います。私自身の反省でもあるのですが、専門分野だけを深めすぎると視野が狭くなり、他者との協働で苦労することがあります。学生のうちに自分の専門分野から少し外れた分野にも興味を持ち、思考の幅を広げておくことは将来に役立つと思います。
私たちも、新しい技術や感性を持った皆さんから学ぶことがたくさんあります。互いの経験をミックスして、一緒に新しいものを作っていけることを楽しみにしています。
※ 記載内容は2025年12月時点のものです

