「他社を追う」のでなく、「他社に負けない」「他社にない」価値を提供するために
臨床開発部の臨床管理グループに所属する富安。治験情報の公開と外部委託先の監視・情報管理という2つの業務において、リーダーを担当しています。
「近年、臨床試験の透明性を確保するべく、世界的に治験の情報公開が進んでいます。国内でも2020年に、jRCT(臨床研究等提出・公開システム)にて治験情報を公開することが義務化されました。
そうした流れを受けて、当社のコーポレートサイト内にも「臨床試験(治験)について」というページを設け、治験の理解を深めるコンテンツや治験の情報について紹介しています。
また、患者さんやそのご家族を含む一般の方に、実施中の治験情報を広く提供する外部サイトも運営しています。こうしたWebページを含め、治験情報の公開に関連する業務をリーダーとして管理するのが私の役割です。
情報公開に関しては、社内での検討を進めるだけでなく、日本製薬工業協会(以下、製薬協)の活動にも参加し、製薬企業としての治験情報公開の在り方について検討しています。他にも、部内のDX推進基盤の構築においてリーダーを兼任し、業務効率化に向けたツールの導入や意識変革に取り組んでいます」
いくつもの業務を同時に推進する富安。マルチタスクをこなす上で、社内の人間関係の良さが活かされていると話します。
「心理的安全性が高く、自分の意見を躊躇せず発言できる雰囲気があるおかげで仕事を進めやすいです。お互いの発言が異なっても衝突が起こることがなく、積極的に意見交換ができる土壌があると感じます」
そうした社風をチームづくりにも反映している富安。リーダーとして大切にしていることがあります。
「チームのみんなが気持ち良く仕事ができる環境づくりを心がけています。心理的安全性はパフォーマンスに大きく影響し、とくに創造的な業務をする場合にはとても重要です。仕事柄、話の内容がかたくなりがちですが、メンバー同士の関係性はかたくならないよう、少しでも遊び心を入れたり、相談・意見しやすい雰囲気をつくったりすることを心がけています」
そしてマルホで働く1人の社員としては、ある想いを大切にしながら仕事に取り組んできました。
「『他社を追う」のではなく、『他社に負けない』、『他社にはない』価値を少しでも多く提供したいという想いを大事にしています。私が入社して間もないころは、皮膚科学領域でトップシェアを誇っている一方で、トップとして先陣を切って新しいことに挑戦できていないのではないかというもどかしさがありました。
でも今は、当社のバリューの1つである『超えていこう』という行動基準をみんなが意識するようになり、私が大事にしてきた想いを体現できていると感じます」
治療薬があるという安心感を与えること──友人との会話から気づいた製薬会社の使命
大学・大学院では薬学部・薬学研究科に所属し、生物工学を学んだ富安。友人の言葉をきっかけに、製薬会社への就職を考えるようになりました。
「当初は製薬会社に対して、病気の人をビジネスの対象にしているというネガティブなイメージを抱いていました。そんな折に友人と話す中で、友人が将来かかるかもしれない病気の予防薬や治療薬がないことを不安に思っていると知りました。
病気の人を救うだけでなく、もし病気になっても治療薬があるという安心感を与えること。それも製薬会社の使命なのだとその時気づきました。健康な人も含めて多くの人々に貢献できると考えたことが、製薬会社を志望した理由です。その中でマルホを選んだのは、マルホで働く大学の先輩と話したことが決め手となりました。
先輩は、私の質問に対してとても真摯に答えてくださり、なんでも話せる雰囲気がありました。先輩を通じて社風の良さが伝わってきて、ここで働きたいと思いました」
そして2010年、富安はマルホへ入社。臨床開発部に配属され、希望していたCRA職に就くことができました。
「CRA(Clinical Research Associate)になりたいと思ったのは、医師と丁寧にコミュニケーションを取りながら、全国を飛び回って医療に貢献できる点に魅力を感じたからです。
CRAは、医療機関で計画通りに治験が実施されているかモニタリングする役割を担います。具体的には、治験を実施するにあたり医療機関との契約手続きや、治験実施中にはGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)など各種規定を遵守しているか、あらかじめ承認された計画を遵守しているか、医療機関を訪問してCRF(症例報告書)の内容がカルテと整合しているかを確認するなどの業務に取り組みます」
念願だったCRA職に就いて5年目を迎えたころ、富安は臨床管理グループへの異動を志願します。
「幸いなことにCRAとして4品目もの承認に関わることができ、次のステップを考えた時に、CRAとしてさまざまな剤形(外用剤、内服剤)、さまざまな疾患に携わった経験を活かして治験全体の課題解決に貢献する仕組みを考えていきたいと思いました。そして自分の可能性に挑戦するために、異動を希望しました。
臨床管理グループへ異動してからは幅広い業務に携わるようになり、多角的に物事を捉えられるようになったと感じます。治験ごとの課題にとどまらず、仕組みそのものを考えるようになったことで、視野が大きく広がりました」
患者さんが本当にほしい情報とは──治験情報公開の要点を考え抜く
CRA職を経て、多様な業務で活躍してきた富安。中でも大きく貢献したのは、マルホのコーポレートサイトにおける治験情報の公開です。
「患者さんへの情報発信をもっと強化するべきだという話は2018年ごろからあり、部内でどのような情報を公開するべきかについて検討していました。当時はまだ時期が早かったのですが、2023年1月に治験に係る情報提供の取り扱い要件が変更され、情報を求める方への公開が可能になりました。そこから業界内で一気に自社サイトで治験情報を発信する機運が高まり、当社でも以前から検討していた企画を実現していくことになりました」
こうして富安は温めていた企画を次々と形にし、外部サイトも含め「臨床試験(治験)について」のWebページを制作。その中で苦労したのは、利用者の視点に立つことでした。
「患者さんが本当にほしい情報とは何か──それを追求し、公開する治験情報の範囲をはじめ、どのようなコンテンツにすべきかを考えることが難しかったですね。製薬協の別のタスクフォースの活動で、患者さんに治験情報に関するアンケートを行っていたため、その回答も参考にコンテンツを制作していきました」
公開後もアクセスの解析などを通じて、よりわかりやすいサイトの構築に務めている富安。サイトを見た同業者から、うれしい反響があったと話します。
「製薬協で活動を共にする私と同じく治験情報の公開を担当している社外の方から、いろいろと反響をいただきました。中でも大手製薬会社の方から、『一気に抜かされました』と言われたのが印象に残っています。早くから企画を検討していたことで、他社に先駆けて公開を実現できました」
Webページを通じた治験情報の公開。反響が得られた一方で、新たな課題も見えてきました。
「Webサイトの導線を考える上で、『治験』というワードの検索ボリュームを調査しました。すると『治験』とセットで検索されているワードで最も多かったのが『バイト』だったんです。治験に対する誤ったイメージが世間に広まっていることにショックを受けました。
この要因の1つに、製薬会社からの情報発信がまだ十分でないことが挙げられます。治験情報を求めている方に適切な情報を届けるのはもちろん、治験の対象になっていても治験とは何かを知らない方にも、効果的に情報を届けたいと強く想うようになりました」
ミッションを体現するために。組織一丸で、新たな目標に向かって誠実に挑戦
被験者(治験を受ける方)を保護し、透明性を確保するために重要な治験情報の公開。そこに携わるやりがいを、富安は日々感じています。
「企業にとって治験の情報公開は、ある意味で競合相手への情報公開にもなり得ます。それでも実施するのは、何よりも治療薬がないことに不安を感じている患者さんのためになるからです。
情報公開を通じて治験に参加いただく方が早く集まれば、それだけ新薬を患者さんの手元に早く届けられます。その実現に貢献するため、患者さんが必要としている情報を考え、形にするのはとてもやりがいのある仕事です。
また製薬協の活動を通じて他社と連携しながら、業界団体としての意見を厚生労働省に提案するなど、業界全体の変革につながる役割を担えるのも、仕事の醍醐味です」
さまざまな経験を重ね、今年で入社15年目を迎えた富安。新卒から長く働いてきた中で、あらためて感じるマルホの魅力をこう語ります。
「挑戦したいという意志を伝えれば、それを後押ししてくれる環境があります。治験に関するWebページの制作もそうですが、以前新たなシステムを導入したいと上司に相談した際には、関連部門にかけ合い道筋をつけてくれました。自分たちの部署だけではできないことでも、声をかければ他部署が協力してくれ、組織一体で実現できるのもマルホの良さだと感じます」
「あなたといういのちに、もっと笑顔を。」をミッションに掲げるマルホ。富安はミッションを広く解釈し、その体現に努めています。
「“いのち”には、病気の患者さんだけでなく、今は健康でも将来患者さんになり得る一般の方も含まれていると捉え、業務に当たっています。義務化されているから情報を公開するのではなく、患者さんはもちろん一般の方に対して誠実に向き合い、役に立つ情報を公開したいと考えています」
治験の情報を必要としている幅広い人々に貢献するために──富安がこれから挑戦したいことがあります。
「疾患に応じた治験の情報を、タイムリーに届けられる仕組みをつくることが今後の目標です。疾患情報のWebページを管理・運営している部門と連携し、マッチする治験情報を提供できないか検討を始めています。
皮膚の疾患に悩んだ時に当社のWebサイトを見れば、治験だけでなく疾患に関する正しい知識が得られる。そんなふうに医療機関を受診する前の一次情報として、ためになるサイトをめざしていきたいです」
皮膚科学領域のスペシャリティファーマとして、患者さんに貢献し続けるために。富安はこれからも、目標に向かって着実に歩みを進めていきます。
※ 記載内容は2024年7月時点のものです
