システムの枠を超えて経営の本質へ──現場から企業変革を導くまでの軌跡
学生時代は、プログラミングやネットワーク構築などの情報システム分野を専攻し、ITの仕組みそのものに強い関心を持っていました。とくに、システムが人や社会をどのように支えているのか、その「裏側の仕組み」を理解し、より良くしていくことに魅力を感じていました。
新卒で入社したSIerでは、SAPを中心としたERP導入プロジェクトに携わり、業務の基盤を支えるシステム作りを経験しました。偶然担当した会計領域を専門とする中で、数字を通じて経営の動きが可視化され、それを起点に組織や人が動くことに魅力を感じました。数字を適切に扱うことで企業をより健全に、そして強くできる──そう考え始めたのが、今のキャリアの原点です。
その後、よりお客様に深く関わることを志し、コンサルティングの道へ転身しました。転職した日系大手ファームではSAPメインの案件に従事し、お客様と近い立場での支援を経験できましたが、ソリューションがSAPに限定されることにもどかしさを感じていました。
より広い視野でお客様の本質的な課題解決に携わりたいと考え、それが叶うブティック系ファームに転職。経営層の方々と直接対峙しながら、ソリューションフリーでより最適な課題解決を提案できる環境はやりがいを感じる一方、求められるバリューの高さも相当なもので、当時は本当に苦労しましたが、その分大きく成長できたと感じます。
会計領域も財務会計のみならず管理会計まで広がり、構想策定から導入支援まで一気通貫での伴走支援も経験できました。毛色の異なる2社のファーム経験から、お客様の悩みや苦しみを正しく理解し、適切に言語化しながらご提案を重ね、あるべき姿へ着実にリードしていくといった、コンサルタントとしての確固たる土台ができたと思います。
新たなチャレンジとしてチームで価値を出していく役割にも興味が出てきたころ、知人からの紹介でエル・ティー・エスと出会いました。当時は50名程度のコンパクトな規模で、今よりもさらに若い組織でした。それゆえ、早いタイミングでチームリードを経験できるのではという期待感から入社を決意しました。
入社後はマネージャーとして複数の大規模プロジェクトを牽引する役割を担いました。とくに印象深いのは、2017年に手掛けたERP導入プロジェクトです。エル・ティー・エスとして初のERP導入のプライム案件、チーム規模も外部パートナー合わせて50名超と大きく、非常にプレッシャーのかかる環境でしたが、プロジェクトマネージャーとしてチームの皆さんと一つにまとまり、一人の離脱者も出すことなく無事成功へ導けたことは今でも強く記憶に残っています。2019年ごろからは執行役員や本部長など、現場のみならず経営に近いポジションで新たな挑戦を続けています。
ERP・EPMを軸に企業変革を支援し、“変化を受け入れる力”を組織に根づかせる
現在、私は Enterprise Transformation事業本部の本部長を務めています。
当本部は、企業経営の中枢を支える二つの領域、基幹業務(ERP)と経営管理(EPM)の変革支援を主軸としています。ERPで業務の基盤を整え、EPMで経営の意思決定を支える。両者を連動させることが、企業が持続的に成長していくための鍵だと考えています。
私たちが手掛ける数あるテーマの中でも、比較的ポピュラーなのが老朽化したERPシステムの刷新です。20〜30年前に構築されたシステムを刷新するケースも珍しくありません。当時の担当者はすでに社内にいないことが多く、その結果クライアントの現場としては全社を巻き込むシステム刷新の取り組みは初体験となります。クライアント自身も全体像を把握しづらく、「どこから手をつけるべきか」といった判断の手掛かりも少ない状況からプロジェクトが始まることも珍しくありません。
だからこそ私たちは、単なるシステム刷新の支援者ではなく、“変革のパートナー”であることを意識しています。業務や組織の現状を丁寧に整理し、何を守り、何を変えるのかを共に考え抜く。あるべき姿とそこに至るためのプロセスと課題を抽出する。その上で、協力会社やベンダーを巻き込みながら最適な変革シナリオを描き、お客様に伴走しながらプロジェクトをリードしていきます。
こうした取り組みを通じて、私はERP/EPM領域ならではのやりがいを強く感じています。
ERP/EPM領域の魅力は、企業経営の「基盤」を形づくる仕事であるという点にあります。
システムを入れ替えたからといって、翌日に売上が上がるわけでもコスト削減につながるわけでもありません。しかし、「業務や情報の流れを整える」ことは、企業がこれからの変化に耐え、成長し続けるための重要な土台作りです。うまく機能していない基幹業務は成長のボトルネックとなりうるので、この領域の変革を適切に支援することができればダイレクトに企業成長に寄与でき、それは大きな価値貢献となります。
また、これからのAI時代においてデータの重要性がさらに増していきます。AIによる業務の自働化も進んでいきますが、それが可能になるのは整備された日々の業務データがあってのことです。さらに整備されたデータは整理された業務プロセスやルールが前提に合って生み出されます。「業務や情報の流れを整える」というのは、将来のAI時代に向けた準備という点でも非常に重要なことと捉えています。
それに加え、私たちの仕事の真価は「システム導入」ではなく、「人と組織を動かすこと」にあります。エル・ティー・エスは創業当初から、仕組みの導入だけでなくその実行・定着支援に強みを持ってきました。現場の行動変容やマインドチェンジを数多く支援してきた経験が、今のチェンジマネジメントの専門性につながっています。
そうしたチェンジマネジメントの専門性を活かしながら、変革を一時的なプロジェクトで終わらせることなく、「変化しているのが当たり前」という文化をお客様の中に育てていくこと。業務・IT・人材・組織文化にまで踏み込み、変革が日常として根づく土壌を整えることを大切にしています。その上で、“変化を受け入れる力”をお客様自身が持てるようになる。それが、私たちの支援の最終ゴールです。
ERPは営業部、購買部、製造部などの現場にアプローチでき、EPMは経営企画部や経理財務部にアプローチできます。お客様企業のさまざまな組織に私たちが関り、変化を共に乗り越える経験を一緒にしていただくことで多方面から変化を促していくことができるのもERP/EPM領域の大きな魅力とやりがいではないかと感じています。
組織の存在意義を示し、人が誇りを持って働ける場をつくる
私がEnterprise Transformation事業本部の本部長に就任したのは2024年のことです。それ以前も100名規模の組織を担当してきましたが、当時は複数の専門領域を束ねた組織で、それぞれが異なる方向性を持っていました。一方、当本部はERPとEPMという領域に焦点を定め、同様の専門性を持つ仲間が集う組織となります。共通の目的意識を持って取り組むことで、より強い一体感と推進力が生まれていることを実感しています。
そうした組織を率いる立場として、まず大切にしている軸があります。私が組織を率いる上で最も大切にしているのは、「なぜ私たちの本部が存在するのか」という存在意義を明確に示し続けることです。この領域のコンサルティングは、華やかさよりも泥臭さが求められる仕事です。企業の変革を内側から支え、時間をかけて成果を実現していきます。だからこそ、メンバーが自分たちの仕事の価値を見失わないように、仕事の意味を言語化し続けて、腹落ち感、納得感を持てるようになることがリーダーの責務だと思っています。
私自身の原動力は「企業の成長を支援することで、日本全体を元気にする」という信念です。一社一社の変革に深く寄り添い、確かな成果を積み重ねていくことで、社会全体の活力を生み出していけると信じています。そのために、クライアントの潜在的な課題を見極め、LTSの他部門やグループ会社とも連携して最適な解決策を導く。そんな姿勢を持って日々の仕事に向き合ってほしいとメンバーには伝えています。
その信念を組織運営に落とし込む上で、マネジメントにおいて心がけているのは、心理的安全性のある組織づくりです。とくに若手とは距離感を縮めるためにイベントやラウンドテーブルなどの場を作りながら意識的に会話をする機会を設けています。
また悩みや課題を抱えたメンバーがすぐに相談できるよう、話を持ってきてくれた際にはまず感謝を伝えるようにしています。また、会社から示された方向性については、私自身が腹落ちするまで理解を深めた上でメンバーに伝える。納得感のあるコミュニケーションを通じて、メンバーが前向きに行動できる環境を整えることを意識しています。
マネジメントを担う者として、何よりのやりがいはメンバーの成長を間近で実感できることです。
初めてプロジェクトマネージャーに挑戦したメンバーが試行錯誤を重ね、クライアントの前で一人前のコンサルタントとして自信を持ってバリューを発揮している姿を見る度に、大きな喜びを感じます。さらに、お客様からメンバーの名前を挙げて「◯◯さんがいてくれて本当に助かっています」と評価いただけた時には、誇らしさとともに胸が熱くなります。
個人として信頼を築き、クライアントにとって欠かせないメンバーが増えていくこと。その積み重ねこそが、組織の力を底上げしていくと考えています。
変革をカルチャーに。その積み重ねがよりよい社会を実現していくと信じて
私は「日本を元気にしたい」という想いを、派手なスローガンではなく、一社一社の変革に愚直に伴走することで実現したいと考えています。企業が自ら変化できる力を身につけ、その変化が積み重なっていくことこそが、社会全体の活力につながっていく──その信念が、私の原動力です。2030年に向けて、Enterprise Transformation事業本部を実力・規模ともに次のステージへ導くことが、私に託されている役割です。
その変革を進めるにあたり、変革という言葉がブームのように語られる今だからこそ、「なぜ変わるのか」を冷静に問い直す姿勢も重要だと考えています。「周りがやっているから」「取り残されたくないから」という恐れを出発点にした変革では、本質的な成果は得られません。私たちは、クライアントが自分たちの現状を正確に見つめ、何を守り、何を変えるべきかを見定めるところから支援します。
その「守るべきもの」として、私が近年強く感じているのは、日本企業が本来持っているカルチャーの価値です。競争力の議論では欧米との比較が語られがちですが、日本には100年以上続く企業が4万社以上あり、世界的に見ても多い数字です。これは日本独自の価値観──協調を重んじ、互いに関心を持ち合い、長期的な関係性を築く文化が企業の持続性を支えてきた証でもあります。
私は、こうした日本らしいカルチャーを軽視せず、むしろ「成長の源泉」として大切にしたいと考えています。最近出会った「文化資本経営」という言葉も、まさにその考えを後押しするものでした。長期に渡り育まれてきた価値観や信頼関係といった文化資本こそが、企業の差別化と優位性につながるという考え方です。
LTSとしても、誰かを蹴落として勝つ世界ではなく、関わる人・企業が共に成長していける世界をめざしたい。お客様と並走し、日本企業が大切にしてきた文化を尊重しながら、必要な変革を適切なタイミングで確実に実現する──そのような支援を重ねていきたいと思っています。また私たち自身もお客様も、そうした文化を大切にし合える関係性でありたいと考えています。
こうした「文化を尊重した変革」を絵に描いた餅に終わらせないために重要なのが、エル・ティー・エスが長年実績を積み上げてきたチェンジマネジメントです。創業当初から、施策や仕組みを導入するだけでなく、現場での行動変容までをめざして支援をしてきました。DXが求められる今こそ、「変化を定着させる力」が最も重要だと感じています。人が動き、組織が自走し始めてこそ、真のDXは実現します。そこに私たちの強みがあります。
例えば、SAP領域で進むFit to Standardの潮流においても、この考え方を大切にしています。標準に合わせることそのものを目的とするのではなく、標準を活かして、その企業らしさをより引き出す仕組みへと変えること。構想設計やチェンジマネジメント支援の中で、効率と独自性、変革とカルチャーの両立を追求しています。
このような支援スタイルの背景には、私自身が大切にしている考え方があります。京セラ創業者・稲盛和夫氏の「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という言葉です。この式で最も重要なのは「考え方」だとされています。どれほど能力や熱意があっても、考え方が誠実でなければ良い結果にはつながらない。
逆に、誠実で前向きな考え方を持っていれば、その人の能力もキャリアも必ず伸びていく。コンサルタントである以前に、一人の社会人として、社会・顧客・仲間に対して誠実でありたいという想いが、この言葉と深く重なります。
エル・ティー・エスには、そうした考え方を共有できる仲間が多くいます。外資系ファームなどから転職してきたメンバーも、「ここには金銭的な報酬だけでは測れないリワードがある」とよく話してくれます。一緒に悩み、学び、成長していける仲間がいること。そして自分の価値観や社会との向き合い方を見つめ直すきっかけをくれる環境があること。私自身も、LTSのカルチャーに触れる中で、自分の考え方や顧客・仲間への向き合い方が大きく変わってきました。
誠実であり、他者や社会のために力を尽くしたいと思える方。変革をカルチャーとして根づかせ、関わる人たちと共に成長していくことに価値を感じる方。そうした皆さんとなら、きっと素晴らしい仕事ができると信じています。クライアントの可能性を広げ、共に社会の未来を創っていきましょう。
※ 記載内容は2026年2月時点のものです

