“売る”だけじゃない。市場を動かすBtoBセールスの現場へ
私は現在、レノボグループのスマートフォン事業を担うモトローラモビリティジャパンで、BtoBビジネスのマネジメントを行っております。
日々のミッションはシンプルでありながら、極めてダイナミックです。 「いかに市場シェアを伸ばし、選ばれるブランドにしていくか」。その一点に尽きます。
BtoB領域では、セルイン(パートナー企業への販売)とセルアウト(エンドユーザーへの販売)の両方が重要になります。私は主にキャリア領域のセルアウトを担当し、通信キャリアやディストリビューター、量販店といったパートナーと向き合いながら、現場から売上とシェアをつくっています。
やっていることは単なる営業ではありません。 市場動向を読みながら販売戦略を立て、パートナーと関係を築き、実際に“売れる状態”を設計していく仕事です。
スマートフォンの勉強会を開いたり、販売現場でのトークや提案方法をレクチャーしたり。 エンドユーザーにきちんと価値が届くように、現場の一つひとつを積み上げています。
2026年2月からは大手通信キャリアの販売店担当も開始しました。 かつて代理店側にいた経験を活かしながら、今はメーカー側として“支援する側”へ。 立場が変わったからこそ見える課題と向き合いながら、試行錯誤を続けています。
17年の現場主義キャリア。役員昇格と“二つの挫折”がくれた転機
私のキャリアは、22歳で大手通信会社の販売代理店に入社したところから始まりました。携帯電話の販売スタッフとして現場に立ち、ガラケーからスマートフォンへの大きな変化を最前線で経験。店長、エリアマネージャーと役割を広げながら、最終的には取締役兼執行役員営業本部長を務めました。
17年間、通信業界一筋でキャリアを築いてきましたが、振り返ると大きな転機が二度ありました。
ひとつ目は26歳で課長になったときです。初めて6人の部下を持ちましたが、「自分のやり方が正しい」と考え、それを押し付けるマネジメントをしていました。結果としてチームは崩れ、メンバーは半減。売上も落ち込み、初めて大きな挫折を経験しました。
そのときに気づいたのが、「何をやるか」ではなく、「なぜやるのか」を伝えることの大切さです。そこからコミュニケーションを重視したマネジメントへと転換。メンバーとの対話を増やし、目的や想いを共有することを意識した結果、売上は前年比170%まで成長し、定着率も大きく改善しました。この経験を通じて、人の成長が組織の成長につながることを実感しました。
もうひとつの転機は36歳のコロナ禍です。緊急事態宣言により店舗からお客様の姿が消え、売上は大きく落ち込みました。そんな中で当時の社長が発した「この逆境を好機に変え、市場を我々が主導していく」という言葉に背中を押され、完全予約制の導入や店舗運営の見直しなど、大胆な変革を進めました。結果として業績を回復させることができ、変化を恐れず行動することの重要性を学びました。
そして38歳。次のキャリアも見え始めていましたが、私はあえて転職を決断しました。「このままでは成長が止まる」と感じたからです。40歳を前にした最後の挑戦。安定よりも成長を選び、未経験だったコマーシャルビジネスの世界へ飛び込みました。
“無理難題”の先にある勝利。ビッグディールが生まれる瞬間
入社してから特に印象に残っているのは、大型案件の獲得です。
ビッグディールは、簡単には決まりません。 何度もミーティングを重ね、時には厳しい条件を突きつけられながら、代案を出し続けてようやく形になります。
その過程は決してスマートではありません。 しかし、その分、決まった瞬間の達成感は非常に大きいものです。
この仕事の本質的なやりがいは、「高い目標にどう向き合うか」にあります。
グローバル企業では、目標は毎年のように引き上げられます。 だからこそ、それをどう達成するかを考え続けるプロセス自体が面白い。
一方で、大きな試練もありました。
昨年発生したメモリ高騰による端末価格の変動です。 当初は市場全体でも認知が薄く、確証もない中での対応でした。
それでも、リスクを見越して先に動いたのがレノボグループでした。 ディストリビューターに対して先行調達を提案し、理解を得るための説明を何度も重ねました。結果としてPO(Purchase Order)獲得に至るまでには多くの困難がありましたが、この経験は“情報の早さが競争力になる”という実感を強く残しました。
一度は静かになった存在感を、もう一度市場のど真ん中へ
現在の目標は、モトローラの法人ビジネスにおける存在感をさらに高めていくことです。
現在の市場シェアは約4%。決して容易な目標ではありませんが、各キャリアとの取り組みを強化し、着実に実績を積み重ねることで、10%という水準も十分に目指せると考えています。
その先に見据えているのは、単なる販売拡大ではありません。モトローラというブランドの価値そのものを高めていくことです。今後投入される折りたたみモデルをはじめとした製品を通じて、「コストパフォーマンスに優れたブランド」から、プレミアム領域でも選ばれるブランドへと進化させていきたいと思っています。サムスンをはじめとするグローバルブランドと真正面から競い合い、その中で独自の存在感を確立することが私たちの挑戦です。
個人としてのゴールは、特定領域の専門家にとどまらないことです。営業だけでなく、開発やマーケティングなどの知識も横断的に持ち、事業全体を理解できる人間になること。
“どの領域でも語れる人材”になって初めて、事業の成長により大きな価値を提供できる。その考えを胸に、これからも挑戦を続けていきたいと思います。
