引っ込み思案だった少年が見つけた、人と関わる喜び
小学生の頃の私は、どちらかというとおとなしく、引っ込み思案な性格でした。積極的に前に出るタイプではなく、クラスの中でも目立たない存在だったと思います。そんな私が夢中になっていたのは、絵を描くことやアニメを見ることでした。日常には起こりえない出来事の連鎖に、のめりこむように見入っていました。画面の向こうに広がる非日常の世界は、当時の私にとって大切な居場所だったのかもしれません。
しかし、中学生から大学生にかけて、私の性格は少しずつ社交的な性格に変化していきました。そのきっかけは、自分がかかわる人の数や属性の種類が増えたことでした。地元という小さいコミュニティでの生活から、いろいろな地方出身の人がいる集団での生活を経験し、さまざまな人の考え方や話し方、印象を自分にインプットしていく中で、「自分なりの自分」を作り上げていくことができたと思います。人との関わりが、私という人間を形作っていきました。
大学では農学部に進学し、私自身が花粉症で毎年苦しんでいた経験から、アレルギーやアミノ酸、抗体について学びました。花粉症治療が自分の手でわずかでも進むのであればやってみたいという思いから、研究に取り組み始めました。
学生時代に最も注力したのは、学習塾でのアルバイトです。4年間、小中高生と近い距離で接する仕事を続けました。塾生とのコミュニケーションが楽しく、そして彼らの進路の一端を担う責任ある仕事であることが、私を4年間突き動かした理由でした。理系だった私は、塾でも理系科目をメインに担当していました。そこで気づいたのは、「理屈ではわかっているけど上手く言葉にできない」という間違いが多いということでした。各教科の内容ではなく、「日本語能力の育成」に興味を持つようになったのは、この経験があったからです。人と関わる中で、新しい自分と出会い、新しい興味を見つけていく。学生時代は、そんな発見に満ちた時間でした。
受け身だと思っていた協会の、意外な「攻めの姿勢」に惹かれて
就職活動では、自分の専門性を活かせる道を探していました。大学で生物や化学を学んできたので、研究・開発の仕事ができる業界を中心に企業を見ていました。研究はずっと好きで、この先の人生でもきっと続けていくんだろうな、と漠然と思っていたためです。
そんな中、就活サイトでたまたま見つけたのが漢検協会でした。最初は正直なところ「漢字検定を作っている会社」という印象しかなく、どちらかというと受け身なスタイルの組織なんだろうと思っていました。でも企業説明会に参加してみると、そのイメージは大きく変わりました。受け身な部分が少なく、むしろ協会から世間に積極的にアプローチしていくことが多いと知りました。自分の中のイメージと実態のギャップがあまりにも大きくて、それが逆に魅力的に見えました。
ほかにも選考を受けていた企業はありましたが、この協会は自分にとって未知の領域が多く、実際に入社してみると、想像以上に攻めの姿勢が強いことに驚きました。漢検の受検者だけでなく、さまざまな対象にアプローチしている姿を見て、協会の積極的な一面を実感しました。
選考では印象深い出来事がありました。電車の遅延が原因とはいえ、最終選考で遅刻してしまったんです。それでも門前払いせず、真摯に面接をしてくださいました。人事の方々、そして理事の方々には本当に感謝しています。
入社後は約3か月間、各部署の業務を経験する研修がありました。どの部署が何をしているのか、部署ごとの雰囲気を肌で感じることができました。塾でのアルバイト経験から、協会への入社を志した面もあったため、学習者ともっとも距離が近く、教育の現場の声を聴けるカスタマーリレーション課を希望しました。そして配属され、今もその部署で働いています。
メールマガジンと漢検オンライン、二つの挑戦から得た成長
現在私は、団体の担当者向けのメールマガジンの配信計画および原稿作成・配信と、訪問・オンライン面談等を通じた『漢検オンライン(団体受検)』の普及活動を担当しています(漢検オンラインとは、2023年度から始まった「タブレットで受検ができる漢字検定」です)。どちらも全体統括という立場で、半年分の活動計画を立案し、実行していく役割を担うなど、責任ある役割を任されています。この仕事の最大のやりがいは、メールマガジン配信後にキャンペーンの申請が増えていたり、先生とお話ししている中で「聞けてよかった」「話せてよかった」と言っていただける瞬間です。
特に印象に残っているのは、漢検オンラインについて先生方にお話しした時のことです。漢検オンラインはリリースして間もないサービスであるため、先生方もあまり把握できていないことが多いのが現状です。紙で受ける漢検とは違った魅力があるので、それについて丁寧にお話しした際に「荻山さんと話せてよかった」と言っていただけました。この言葉は、自分の仕事が誰かの役に立っているという実感を与えてくれるものです。
もちろん、失敗や苦労もありました。メールマガジンでは、添付した資料があまり見られていないことがありました。また、漢検オンラインの普及では、団体の担当者の課題をよくわかっていないままコンテンツの紹介をしてしまい、先生が困惑してしまったこともありました。これらの経験から、相手の状況や課題を十分に理解してから提案することの大切さを学びました。
入社してから、自分でも驚くほど成長したと感じているのが、計画立案能力と対話能力です。学生時代は計画を立てることがとにかく苦手で、長期休みの宿題や部活の練習なども計画的に進められたためしがありませんでした。しかし協会で働いている中で、先輩職員から計画を立てる時に参照するデータや実際の立て方、どれくらいであれば今のマンパワーで実現可能なのかなどのアドバイスをいただきました。大きな目標から小さな目標まで何度か計画を立て、アドバイスをもらっているうちに、先輩職員のノウハウを少しずつ自分に落とし込んでいけています。今では計画を立てるのが普通になり、自分の考えを十分に反映させた計画になるので、「やると決めたらやる」を続けることができています。
また、団体の担当者と電話やWeb会議、実際にお会いしたりする中で、先方の課題解決に何が有効なのか、そしてそれをどう言語化するのかを考えるようになりました。対話を重ねることで、相手のニーズを的確に捉え、適切な提案ができるようになってきたと実感しています。
新しい発見と成長を求めて―これからの挑戦と次世代へのメッセージ
短期的な目標として、漢検オンラインに限らず、様々なコンテンツの普及活動に携わっていきたいと考えています。現場に出向き、利用者の声を直接聴くことで、より多くの人に協会のコンテンツを届けられると信じています。そして中長期的には、その普及活動を通じて得た現場の声を反映させたコンテンツ製作にも携わりたいと思っています。利用者と製作者の架け橋となり、より良いサービスを生み出していくことが私の目標です。
こうした目標を達成するために、今は協会コンテンツについての知識を地道に蓄積し、他課の活動にも積極的に興味を持つようにしています。当たり前のことを怠らずに続けることが大切だと実感しています。ただ、タスクが増えてくると自分のことでいっぱいいっぱいになってしまいがちです。そうならないよう、一歩引いて全体を俯瞰することを常に心掛けています。この視点を持つことで、自分の役割や協会全体の方向性がより明確に見えてくるのです。
漢検協会で働く魅力を一言で表すなら、「そんなこともしてたんだ」「こんなことも漢検協会でできるんだ」という、日々新しいことの発見があることです。自分の固定観念がどんどん壊されていく感じが新鮮で面白いと感じています。この環境で活躍できるのは、特別なスキルや資格を持った人ではありません。少なくとも私にはそのようなものはありませんでした。大切なのは、新しい知識を貪欲に吸収していける姿勢だと思います。
これから入社される方には、新しいことや流行に敏感であってほしいと思います。さまざまな人と関わるにあたり、多角的な視点を持っていることはとても大切です。いろいろな情報を取り入れ、自身の脳内をどんどんアップデートしていける人にぜひ来ていただきたいです。漢検協会は若手の意見をしっかり吟味する環境が整っており、効果や労力を考えたうえで実行に移しています。また、職員のプライベートを大切にする風土が強く、有給休暇も奨励されています。この環境で一緒に新しい価値を創造していけることを楽しみにしています。
